ブラジル(Brazil)
南アメリカ東部の大半を占める地域。ほかの地域とは異なりポルトガル語が話されている。
一応奴隷としてヨルバ系の黒人がいっぱい入ってきたので、カンドンブレというヨルバ系の信仰体系をベースにした民間信仰がある。これは、同じような経緯で出来たキューバのサンテリアが、スペイン系のご主人様から興味深く見られて地位を何となく獲得しているのに対し、黒人のお姉さんが旦那様を誑し込んで信仰を認めさせている。
さらに、ポルトガル系の信仰と、アフリカ系と先住民の宗教がこんがらがったカチンボだか何だかいうのがある。
そんでもって
日本から来た移民の皆さんが持ち込んだ、
仏教の加持祈祷系が結構拝まれている。しかもアパレシダ(英語で言うとアパリション 「漁師さんが海で拾った」
マリア様)というブラジルの守護聖人も仏教のお寺で拝まれている。
密林アマゾンには今でも多くの先住民たちが住んでおり、神話伝説が豊富に残されている。
コンゴ系
当初、奴隷として引っ張られたバントゥー人は、地元の伝承、文化を、一応なんとなく辛うじて継承しておった。ソレが中央アメリカのそこここで一応、「元祖」として、各地でふんぞり返っている。ので、ヨルバ系(ブラジルでは「ナゴ」という)のカンドンブレの中に「アンゴラ・コンゴ・カンドンブレ」というものができておる。また、魔術的なものとしてマクンバやキンバンダというものが興っている。
カンドンブレの一環として、格闘技カポエィラがある。そのアクロバティックな動きは、「民衆が立ち上がる演習を警察から隠すため」に開発されたらしいのだが、檀原照和は、その辺を認めつつ、格闘技そのものは、アフリカの段階で「太鼓の伴奏付きの喧嘩」がある点を踏まえ、元々アフリカン喧嘩しぐさのバリエーションである可能性を示唆している。はにょ、カポエィリスタの服が白いのはカンドンブレの影響。
ヨルバ系
後に奴隷としてこき使われたヨルバの人は、キューバなどの島々で出来たサンテリーアという信仰みたいなものを立ち上げる。その国では、旦那様がその信仰とかを興味深く見て儀礼の実践とかもやるほど仲良しさんになったので、信仰では教会が兼用され、独自の施設がなく、神だか精霊(一応オリチャという)はスペイン語訛りで呼称されるが、こっちは
ヴードゥー教と同じく、精霊つうか神様(オリシャという)を拝む施設(テヘイロという)が存在する。そんでもって、そのオリシャはキューバなどとほぼ一緒で、あてられる守護聖人も大体一緒である。1月1日に年始のお参りとして祝われる、イェマンジャーの祝祭は、20世紀後半から諸般の事情で盛んになっている。
派生
一応ダホメイ系を一応のベースにし、先住民族と
キリスト教が完全に混濁した、でもアフロブラジリアン宗教ミナ(コンゴの一地方)・ナゴ(ブラジルでのヨルバの表現)と呼ばれるものがある。タンボール・ヂ・ミナ(Tambor de mina)と呼ばれるカンドンブレの一派から発生したこの宗教では、レグラデオチャやカンドンブレとほぼ似るものの、それらが対応させているキリスト教の聖人とオリシャの対応はなく、一応、守護聖人>>>オリシャ(ヨルバの神様)>>>カボクロ(先住民の精霊) というヒエラルキーがある。その精霊というか神々は、オリシャだか、ヴードゥンとかセニョール、サントとか呼ばれる。ヴードゥーが
レグバの導きで見境なく信徒の人へ憑依するのに対し、ミナ・ナゴにおけるキリスト教の神Deus、その下のオリシャの皆さん、さらに下位に位置するカボクロの皆さん(インヂオ系のバジェランサ、ポルトガルっぽいカチンボ、アフリカンなピジー)は、特定の霊媒や司祭だけに「跨る」(アフロアメリカン宗教で憑依を指す表現)
日本系
第二次世界大戦前、ブラジルへ成人してから行った皆さんが、加持祈祷的な活動を開始、大戦後に宗教団体を立ち上げることになった。興った当初は権威付けのため、本山の末寺とか分社を志望していたその団体は、そこへa大量の非日本人が参拝しまくりb他教の要素が、神仏どころかアパレシーダ(ブラジルの守護聖母マリア様)崇拝とか他の神様が流入するのをc無節操に吸収する、ことになったため、内実がかなりブラジルオリジナルっていうかカオスになっており、アパレシーダ崇拝をする僧侶が火渡りって修験道!!をやるとかだそうである。
またクリスチャンがプロメッサ(聖人に対する祈願成就の恩返し)不履行による不幸を解消するため、ブラジリアンお稲荷さんへ依頼によく来る。
参考資料
檀原照和『ヴードゥー大全』
ホルヘ・ルイス・ボルヘス『幻獣辞典』
カメの笛の会『ブラジルのむかしばなし1』
カメの笛の会『ブラジルのむかしばなし2』
カメの笛の会『ブラジルのむかしばなし3』
最終更新:2023年07月28日 13:56