スモーカー・チャリテヒ - 架空アニメキャラ用語辞典

スモーカー・チャリテヒとは
スモーカー・チャリテヒは、物語中盤、ウィルたちが<白帆の都（ホワイトセイルズ）>を訪れた際に登場する情報屋であり、卓越した技術を持つ傭兵である。特定の国家や騎士団に所属せず、独自の掟と情報網を頼りに生きる現実主義者。その名の通り、常に煙管（キセル）に似た道具で薬草の煙を燻らせているのが特徴で、「スモーカー」という通り名はそこから来ている。

彼の出自や経歴には謎が多く、当初は金銭のみで動く捉えどころのない人物として描かれる。しかし、ウィリアム・G・マリーブラッドの理想と誠実さに触れる中で、徐々に彼の協力者として重要な役割を担っていくことになる。ウィルの持つ清廉な正義とは異なる、世の裏側を知り尽くした彼の実利的な判断力や戦闘技術は、一行が直面する数々の困難において、新たな局面を切り開く力となる。

来歴
彼の過去は断片的にしか語られないが、その言動の端々から壮絶な人生を歩んできたことがうかがえる。出身は大陸南方の交易都市国家群の一つとされるが、幼い頃に<黒き森の国（タール・ヴォイド）>の侵攻によって故郷を失い、天涯孤独の身となった。

その後、生きるために盗賊団に身を寄せ、そこで生存のための戦闘技術、隠密行動、そして何よりも情報の価値を叩き込まれる。しかし、盗賊団の非道なやり方に次第に心をすり減らしていった彼は、ある仕事をきっかけに組織と決別。追われる身となりながら大陸を放浪する中で、裏社会の情報屋として生計を立てるようになった。

この放浪時代に、<鉄錆山脈（てつさびさんみゃく）>のドワーフと交流を持ったり、エルフの隠れ里に世話になったりと、多様な種族との繋がりを築いている。これらの経験が、彼の持つ広範な知識と情報網の基盤となっている。神々に対しては深い信仰心を持たず、むしろ懐疑的な立場を取っているが、それは多くの悲劇を目の当たりにしてきた彼の人生観の表れでもある。灯の神グレイスフィールや輪廻の神マータ、理と知の神ヴァールといった神々の教えについても一通りの知識は有しており、それらを客観的な情報として活用する冷静さを持つ。

作中での活躍
ウィルたちが<白帆の都>で竜の討伐に関する情報を求めていた際、報酬と引き換えに一行の前に姿を現すのが初登場である。当初はウィルのことを「青臭い理想を語る坊や」と見なし、ビジネスライクな関係に徹していた。しかし、ウィルが報酬以上の危険を顧みず、人々を救うために行動する姿を目の当たりにし、次第に彼の中に眠っていた何かが揺り動かされていく。

<鉄錆山脈>におけるエセルバルドとの戦いでは、ドワーフの古い友人を介して一行を砦の内部へと導き、重要な役割を果たした。彼の真価が発揮されたのは、正規軍同士の戦いではなく、地形や心理的な罠を駆使したゲリラ戦においてであった。彼の立案した奇襲作戦や陽動は、ウィルの騎士としての正攻法とは対極にありながら、戦局を有利に進める上で不可欠なものとなった。

物語が南方大陸へと舞台を移すと、彼の過去との対峙が描かれる。かつて彼が所属していた組織が、南方諸国で暗躍していることが判明し、スモーカーは自身の過去に決着をつけるため、そしてウィルたちの進む道を切り開くために、組織との全面対決を決意する。この一連の出来事を通じて、彼はウィルにとっての「汚れ仕事」を引き受ける影の協力者として、その存在感を確固たるものにしていく。

人物
皮肉屋で、常に一歩引いた視点から物事を観察している。彼の言葉は辛辣で現実的だが、それは弱者を切り捨てるためではなく、過酷な世界で生き抜くための知恵に基づいている。理想や綺麗事を信じないと公言する一方で、本心では信じられる何かを渇望しており、ウィルのような純粋な存在に惹かれる自分自身に戸惑う様子も見せる。

彼のトレードマークである煙は、思考を巡らせる際の精神安定剤のような役割を持つとされる。煙の香りや流れを読むことで、敵の気配を探ったり、自身の気配を紛らわせたりといった特殊な技術にも応用している。

他者と深い関係を築くことを避ける傾向にあるが、一度信頼した相手に対しては、ぶっきらぼうながらも深い情を見せる。特に、同じように故郷を失った経験を持つ者や、過酷な運命に立ち向かおうとする若者に対しては、何かと世話を焼いてしまう一面がある。

戦闘スタイル・能力
彼の戦闘スタイルは、騎士や戦士のような正面からのぶつかり合いではなく、奇襲、罠、地の利の活用を主眼に置いたものである。二振りの短剣を主な武器とし、投擲用のナイフや煙幕、毒など、多彩な道具を使いこなす。その動きは非常に俊敏かつ静かで、敵に気取られることなく背後を取ることを得意とする。

長年の情報屋としての経験から、相手の心理を読み、行動を予測する能力に長けている。戦闘においても、敵の僅かな油断や癖を見抜いて的確に突き、戦況を有利に導く。また、複数の言語や古代の暗号にも通じており、彼の情報収集能力は戦闘においても強力な武器となる。

彼は魔法の使い手ではないが、魔法的な道具や遺物に関する知識は豊富である。敵の魔法の弱点を見抜いたり、魔法の罠を看破したりすることで、ウィルたち魔法を使う仲間を支援する場面も多い。

人間関係
ウィリアム・G・マリーブラッド
当初は金で雇われた協力者という関係だったが、ウィルの在り方に触れるうちに、次第に個人的な感情で彼を助けるようになる。ウィルが知らない世界の裏側や、正攻法だけでは解決できない問題の対処法を教える師のような役割を担うこともあれば、年の離れた悪友のように軽口を叩き合うこともある。ウィルの理想を守るため、自ら進んで泥を被る覚悟を持っている。

メネル
同じく世俗から一歩引いた視点を持つハーフエルフであるメネルとは、互いの実力を認め合う関係。口数の少ないメネルと、皮肉屋のスモーカーとでは会話が弾むことは少ないが、戦闘における連携は見事なものである。互いに多くを語らずとも、その意図を理解し合える信頼関係で結ばれている。

過去の組織の者たち
彼がかつて所属していた盗賊団、あるいはそれに連なる闇の組織の者たちとは、深い因縁を持つ。特に、彼を裏切り者として執拗に追うかつての兄弟子とは、物語の中で幾度となく死闘を繰り広げることになる。彼らにとってスモーカーは、組織の秘密を知りすぎた危険な存在であり、同時に、かつては仲間だった者としての複雑な感情を抱かせる相手でもある。

物語における役割
スモーカー・チャリテヒは、ウィルが歩む英雄としての道のりに、現実世界の複雑さと深みを与える存在として機能している。彼の存在は、物語が単なる善と悪の二元論で語られることを防ぎ、清濁併せ呑むことの重要性を示唆する。

ウィルが光の道を歩む主人公であるならば、スモーカーは影の道から彼を支えるもう一人の主人公とも言える。彼の持つ経験と知識、そして時に非情とも思える判断力は、ウィルが真の王、そしてパラディンとして成長していく上で、欠かすことのできない重要な要素となっている。彼の旅への同行は、ウィル一行の戦術の幅を広げ、物語の舞台をより広大な世界へと押し進める原動力となるのである。