現代企業を取り巻く主な
ステークホルダーとしては、従業員、株主、顧客、取引相手、地域社会、地球環境などが挙げられる。ここでは、企業と各種ステークホルダーとの関係を具体的に見ていきたい。
1、従業員
企業が価値創造をしていく上で、一番身近なステークホルダーと言えば従業員である。その企業を構成する従業員の働きがあってこそ、企業は存続、成長していくことができる。これまで従業員に対して企業が果たさなければならなかった責任といえば、雇用を維持し、安定した給与を支払うことであった。しかし近年では企業、従業員それぞれの価値観に変化が見られ、従来の考え方では不十分であるとの声が挙がっている。企業側では終身雇用を基本とする雇用制度、従業員側では1つの会社に一生勤め上げるという働くことに関する意識に変化が見られ、少子高齢化の影響もあって企業側は今後若い労働力、優秀な人材を確保するのがさらに懸念されている。人材確保、従業員の動機付けのために企業はワークライフ・バランス(仕事と私生活の両立)の実現支援、従業員の能力開発、ダイバーシティ(様々な働き手の活用)の推進といった従業員にとって魅力のある制度の実施、すなわち生活の豊かさ、従業員が働きやすい環境の実現に向けて努力している。
2、株主
株主に対する最低限の社会的責任は安定的な配当金の支払いであるが、現在ではコーポレート・ガバナンスをめぐる議論が活発になってきた。これは企業の大規模化と関連しており、株式所有が分散化し、所有と経営の分離が進行している日本企業において、いかに株主の利益を守るかという考えに基づくものである。株主にとっての最大の関心は十分な配当金が支払われているかどうかであるが、経営情報が十分に公開されていない場合、どのように利益を使われているかわからない。経営者が自らの利益や企業のために利益を優先する可能性もある。よって株主視点で見た経営者の逸脱した行動を是正するという目的でコーポレート・ガバナンスが注目されている。
また、投資家が投資先を選定する際に、「その企業が社会的責任を果たしているかどうか」を考慮する「社会的責任投資(Socially Responsible Investment:
SRI)」という手法が広がってきた。企業が株主・投資家と良好な関係を築くためには経営に関する情報の開示は欠かせないものとなっている。
3、顧客
企業は顧客に製品ないしサービスを提供し、その結果として便益を得ているため、顧客のニーズを満たすことは収益という見返りを企業にもたらすこととなる。前述したように食品偽装や粉飾決算、不祥事隠ぺいなど企業不祥事が多発しており、社会もそのような企業に対しては厳しい態度をとるようになってきた。信頼を築くためにも、顧客とのコミュニケーションをとり、顧客のニーズを把握する努力をしている。
4、取引先
企業と取引先との関係は、企業と顧客と同じくらい密接な関係である。供給業者にとっての購入企業は顧客であり、共に企業の存続と成功を分かち合う関係にある。最近では環境に配慮した製品を製造する企業が増え、グリーン調達の動きがよく見られる。グリーン調達とは製品の原材料・部品や事業活動に必要な資材やサービスなどを、部品メーカーなどの供給業者から調達する際に環境への負担が少ないものから優先的に選択することを指す。これにより、企業は環境負荷の少ない製品の開発を促すことにつながる。
5、地域社会
地域社会とは定義も曖昧で、地域住民、環境、取引先、銀行と対象は多岐に渡る。それゆえ数あるステークホルダーの中でも中途半端な認識になりがちであるが1970年代の公害問題を振り返るとないがしろにされてはいけない重要なステークホルダーの1つであることがわかる。企業として最低限の責任を果たすだけでなくNPOへの金銭的寄付、自社施設の市民への開放、ボランティア活動など経営資源を活用したCSR活動を行っていくことが、地域社会とうまくコミットメントしていくためにも重要である。
6、地球環境
地域社会よりさらに規模が大きいステークホルダーとして地球環境が挙げられる。地球温暖化が話題になり多くの企業では環境に配慮した行動をとるようになってきた。数年前まではそれに対する資金も企業にとって負のコストと捉えられていたが、グリーンコンシューマーと呼ばれる環境に配慮する消費者が増加したことにより、環境対策は競争優位を得る大きな要因となっている。現在ではそういった経営戦略における重要な要素として環境を取り入れることを環境経営、または環境マネジメントと呼ぶ。
また、
エコファンド、SRIファンドの増加も今後企業に大きな影響を与えかねない。これらのファンドに取り組まれる企業は環境格付けの高い企業、CSR格付けの高い企業と評価を受け、市場価値の高まる可能性が高い。
環境への配慮は企業にとって資金調達からサービス、製品の販売まですべてのプロセスに携わってきているので目が離せない。
最終更新:2009年10月28日 18:11