CSRとは

1990年以降企業の社会的責任を求める動きが本格化してきた。現在では企業は,多様なステークホルダーとの関係を認識し、それぞれのステークホルダーに配慮した行動を求められるようになってきた。ここで言うステークホルダーとは、・・・を意味する。
これまで多くの企業は企業経営の支援をしてくれる株主、金融機関、監督官庁を主なステークホルダーとしてみなしてきた。しかし近年CSR(Corporate Social Responsibility)という言葉が取り上げられる機会が多くなるにつれ、「企業の社会的責任」の意味する範囲は広がり、これまで大きな影響力を持っていなかった消費者、従業員、NPO、地域社会や環境にまで配慮した企業活動を行う必要性が高まってきた。
CSRという概念自体まだ新しいもので、論者や国によって、CSRの定義、ステークホルダーの対象は異なってくる。そこでまず本論文におけるCSRの定義を確認しておく。本論文でのCSRとは、「利益を第一の目的とせず各ステークホルダーとの持続的な信頼関係強化を図る活動」と定義する。

主なCSRの取り組み分野として、「コンプライアンス」、「コーポレート・ガバナンス」、「顧客・消費者」、「従業員」、「株主・投資家」、「環境」などが挙げられる。以下、それぞれの分野におけるCSR活動について説明する。

  • コンプライアンス
企業が経営活動を行ううえで、法令、各種規制にとどまらず、社会的規範を含む企業倫理を遵守すること。
相次ぐ企業不祥事からステークホルダーの信頼をえるために、企業は法令や社会的規範を遵守するための仕組みを構築し、社内のチェック体制を強化することが求められる。

  • コーポレート・ガバナンス
株主利益最大化のために、経営の公平性と透明性を保つための監視と仕組み。
経営者の業務執行を監督するために、取締役会や監査の機能を強化することが求めらる。

  • 顧客・消費者に対する取り組み
顧客・消費者の信頼なしに企業の存続はありえない。食品の偽装表示、情報流出、不祥事隠ぺいといった企業不祥事に対して、日本の消費者も厳しい態度をとるようになってきた。消費者の安全を守るために、積極的な情報公開といった消費者とのコミュニケーションの場を増やしている。

  • 従業員に対する取り組み
少子高齢化の影響で、若い労働力、優秀な人材を確保するのが今後さらに懸念される。企業側では終身雇用を基本とする雇用制度、従業員側では1つの会社に一生勤め上げるという働くことに関する意識が変わりつつある。優秀な人材を確保するために、ワークライフ・バランス(仕事と私生活の両立)の実現支援、従業員の能力開発、ダイバーシティ(様々な働き手の活用)の推進といった従業員にとって魅力のある人事制度を取り入れている。

  • 株主・投資家に対する取り組み
これまで投資家は企業の「成長性」、「財務状態」、「事業戦略」などを基準として投資を行う企業を選定してきた。ところが近年になって従来の要素に加え、投資先を決める際に「その企業が社会的責任を果たしているかどうか」を考慮する「社会的責任投資(Socially Responsible Investment:SRI)」という手法が広がってきた。企業も

  • 環境に対する取り組み
地球環境の悪化により環境規制が強化されてきた。今では環境に配慮しない企業は消費者や取引先から敬遠されるほど、企業には環境に配慮した経営が求められる。業務・経営戦略に環境配慮を組み込む環境マネジメントを構築し、環境配慮による経営的評価を行う環境会計、その結果と今後の方向性を情報開示する環境報告書を開示し、自社の優位性を保つよう努力している。
最終更新:2009年09月16日 13:36
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