次元戦団バイラムでは、前々回の戦いの最中でラディゲがトランザとの仲間割れの末、消息を絶っていた。 マリア「ラディゲ……」 (トランザ『ラディゲ!』) (ラディゲ『くッ! トランザぁ……!』) (マリア『ラディゲ!?』) (ラディゲ『うぅっ……! 俺は死なぁん!』) マリア (一体、どこに消えたのだ? ラディゲ……) トランザ「何を考えている? フッ、ラディゲか? 無駄だ。恐らくもう、生きてはいまい。そしてジェットマンもすぐに、ラディゲの後を追うことになる。俺の手でな」 #center(){|BGCOLOR(darkblue):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&bold(){帝王トランザの栄光}}&br()&br()|} 一方の鳥人戦隊。 竜は、敵幹部マリアこそが死んだはずの恋人リエだと知ってしまっていた。 墓地を訪れた竜が、リエの墓に花を捧げる。 竜 (リエ…… 今度お前に逢うとき、そのときこそ、お前を元の姿に戻してやる) サングラス姿の1人の男が現れ、墓にバラの花束を捧げる。 墓標に刻まれた名は「天堂竜」。 竜「『天堂竜』!? 馬鹿な! なぜ、なぜ俺の墓が!?」 サングラスを外す── その男はトランザ。 トランザ「バラの花は嫌いかな? レッドホーク」 竜「お前は…… トランザ!?」 突如、周囲が無数の墓石に満ちた異空間と化し、トランザが正体を現す。 トランザ「短い間だったが、ジェットマン。貴様たちとのお遊び、なかなか楽しかったぞ。だが俺は飽きっぽい性格でな。今日こそすべてのカタをつけてやる。チェックメイト!」 竜「クロスチェンジャー!」 竜はレッドホークに変身して応戦する。 トランザの超能力により、レッドは十字架に張りつけされてしまう。 レッド「う!? うぅっ……!」 トランザ「フフフ…… ハハハ! 仲間が来るまで待ってやる。そのほうが話が早い」 街中では1人の青年が突如、苦しみだす。 青年「トランザ…… トランザぁ!」 レッドのもとへ、他のジェットマン4人が駆けつける。 トランザ「来たな」 レッド「みんな!」 一同「竜!」「竜!」 ブラックコンドルがレッドの縛めを解く。 レッド「凱! 許さんぞ、トランザ!」 トランザ「勝負だ!」 5人揃ったジェットマンとトランザの戦いが始まる。 ブラック「野郎! ウイングガントレット!」 ホワイト「ブリンガーソード!」 トランザ「バイオガン!」 イエロー「うわぁ──っ!」 新兵器バイオガンの攻撃を浴び、イエローオウルが石板に姿を変えられ、地面に転がる。 一同「雷太!」「雷太さん!」「雷太!」「雷太さんが石板に!?」「馬鹿な!?」 レッド「何の真似だ、トランザ!?」 トランザ「狩人は獲物を剥製にする。この彫刻こそ、貴様たちの剥製」 レッド「何ぃっ!?」 トランザの攻撃で、ジェットマンたちは変身を解除されてしまう。 竜が、一際大きな攻撃で吹き飛ばされ、崖下へと落ちてゆく。 竜「うわぁぁ──っ!」 一同「竜ぅ──っ!」「竜ぅ──っ!」 小田切長官が、地上基地スカイキャンプから指示を送る。 小田切「竜!? みんな、逃げて! 逃げるのよ!」 凱「逃げるんだ! 逃げろ!」 トランザ「逃げても無駄だ、ジェットマン。俺の手で1人1人、片づけてやる」 竜が気を失ったまま、崖下の川辺に流れ着く。 そこへ先の、トランザの名を呼んで苦しんでいた青年が近づいてゆく。 ジェットマンの凱、香、アコはバラバラになって逃げる。 アコは、街中の人混みをかき分けて逃げる。 アコ「すいません!」 一般人に扮したトランザが、余裕の様子でアコを追う。 竜「ここは……?」 竜が川辺で気づくと、傷を負った脚に手当てが施されており、そばにあの青年がいる。 竜「あんたが手当てを?」 青年「……」 竜「あんた、一体?」 青年「俺もトランザを憎む者」 竜「えっ……!?」 青年「俺のことはどうでもいい。急がないと、お前の仲間たちが危ない」 竜「えっ!?」 青年「俺たち2人の力を合せれば、あるいはトランザに勝てるかもしれない」 竜 (こいつは…… 一体?) アコはビルの屋上までたどり着き、どうにかトランザから逃れたかと思いきや、そこにトランザが。 トランザ「ハハハハハ!」 アコ「はっ、トランザ!?」 トランザ「2匹目の獲物だ、ブルースワロー。バイオガン!」 アコ「クロスチェンジャー!」 アコがブルースワローに変身するものの、バイオガンの銃撃を浴び、石板に姿を変えられてしまう。 香は商店街の中を必死に逃げる。 すぐ目の前に、トランザの姿が見える。 慌てて、人混みをかき分けて逃げ出す。 香「すいません、ごめんなさい!」 どうにか、エレベーターの中へと逃げ込む。 声「上へ参ります──」 エレベーターボーイに扮したトランザがいる。 香「はっ…… ト、トランザ!?」 トランザ「地獄行きエレベーター、というわけだ」 香「クロスチェンジャー!」 香も、とっさに変身するものの、石板となって床に転がる。 一方で竜は、あの青年に肩を担がれながら、山道を歩いている。 足を踏み外した竜が崖下へ── とっさに、青年が竜の手をつかむ。 青年「つかまるんだ!」 青年が、竜を引き上げようとする。 岩肌を必死につかむ青年の手に、血がにじむ。 青年「ぐぅっ……!」 竜「駄目だ、このままじゃ2人とも…… 手を、手を離してくれぇ!」 青年「あ、あきらめるなぁ! 貴様は戦士、俺も戦士だ!」 凱はバイクを駆って荒野を駆け、トランザをバイクでそれを追う。 トランザ「ハハハハハ!」 凱「野郎、ふざけやがって! クロスチェンジャー!」 トランザ「バイオガン!」 凱がブラックコンドルに変身するものの、彼もまた石板と化してしまう。 トランザ「4匹目の獲物、ブラックコンドル」 竜「そこまでだ、トランザ!」 竜とあの青年が現れる。 トランザ「フン。生きていたか、天堂竜。しかも、新しいお友達と一緒とはな。2人とも、俺のコレクションに加わるがいい。あと1匹、それはお前だ」 竜「みんな……!?」 トランザ「5匹目だ!」 竜「クロスチェンジャー! ビークスマッシャー!」 竜がレッドホークに変身し、バイオガンの銃撃をかわして攻撃する。 だが逆にトランザの反撃を浴び、地面に叩きつけられる。 青年「大丈夫か!?」 バイオガンを構えたトランザが、不適に迫る。 青年が、レッドの手にしたブリンガーソードに手を添える。 青年「貴様の剣に、2人のエネルギーを込めるんだ!」 レッド「何っ!?」 青年「やってみるんだ!」 レッド「……よし!」 トランザ「地獄へ行け、レッドホーク」 バイオガンの光弾が放たれる。 レッドたちはブリンガーソードを2人で握りしめ、剣身で光弾を受け止める。 レッドたち「ぐぅぅッ……!」 トランザ「小癪なぁっ!」 渾身の剣撃で、光弾がトランザへ跳ね返され、バイオガンが吹っ飛ぶ。 トランザ「ぐわぁぁ──っ!?」 レッド「やったぞ!」 青年「今だ! 飛べ、レッドホーク!」 レッド「よし! 行くぞ!」 青年の肩を蹴り、レッドが大きくジャンプする。 レッド「バードブラスター! はぁっ!」 さらにブリンガーソードで斬りつけようとするも、トランザはその剣撃を持ち堪える。 青年「おのれっ!」 青年が飛び出すが、トランザはレッドホークを羽交い絞めにして盾にする。 トランザ「動くな! レッドホークの命はないぞ!」 青年「フフフ……」 トランザ「むぅっ!?」 青年「トランザ。しょせん、貴様は流れ星! いかに輝こうと、墜ちる運命にあったのだ!」 トランザ「何っ!? 貴様、一体!?」 青年「フフフ……!」 青年の姿が変わり、正体が現れる── なんと、その正体はラディゲ。 トランザ「ハッ…… ラディゲ!?」 レッド「ば、馬鹿な!?」 ラディゲ「レッドホーク! もはや、貴様にも用はない。2人揃ってあの世へ行け!」 ラディゲが攻撃を放ちつつ、突進する。 レッドはトランザを振りほどいて、必死に剣で斬り結び、スマッシュボンバーで反撃する。 さらに銃撃が、トランザの腕の超能力制御装置・メタルトランサーを砕く。 超能力が解け、石板に姿を変えられていたジェットマンたち4人が、元の姿に戻る。 レッド「みんな、大丈夫か!?」 トランザ「は、はぁ、はぁ……!」 レッド「よぉし、とどめだ! ジェットストライカー!」「ファイヤーバズーカ・スタンバイ!」 一同「OK!」 レッド「スコープ・ロック!」 一同「ファイヤァ──ッッ!!」 超能力を失ったトランザに、最強武器ファイヤーバズーカが直撃する。 トランザ「があぁぁ──っっ!!」 トランザが全身傷だらけとなって、崖下へと転がり落ちる。 トランザ「ば、馬鹿な…… この俺が…… 帝王、トランザが……!?」 ラディゲが現れ、地面に這いつくばるトランザの手に、剣を突き立てる。 トランザ「がああぁぁ──っっ!?」 ラディゲ「トランザ。俺の名を言ってみろ」 トランザ「あぁ──っ! うぁぁ──っ! ラ、ラディゲ……!」 ラディゲ「何ぃぃ!?」 ボロボロのトランザを、ラディゲが無情に踏みにじる。 ラディゲ「トランザ、俺の名を言ってみろぉ!」 トランザ「うぅ…… ラディゲ……」 ラディゲ「何ぃ? 『ラディゲ』だとぉ!?」 トランザ「うぅぅっ…… ラ、ラディゲ様ぁぁ──!!」 ラディゲ「そうだあぁぁ!!」 嘗てトランザがラディゲに強いた様に、ラディゲは自分を「様」付けで呼ばせ、トランザを嘲笑う。 ラディゲ「だが殺しはせん。人間として生きながら一生、俺の名を恐れるんだ! ハハハハハ!」 身も心も廃れきったトランザを残し、ラディゲが去ってゆく。 後日、とある精神病院。 「あの患者、まだ身元が分からないのか?」 「あぁ…… 酷いもんだよ、脳神経がズタズタにやられてる。一生あのまんまだそうだ……」 トランザが人間の姿となって、車椅子に乗せられている。 全身、包帯だらけ。 虚ろな表情で視線は定まらず、口からは涎がだらしなく垂れている。 トランザが、鉄格子の向こうの病室へと運ばれてゆく。 突如、トランザが何かに怯えて暴れだし、医師達が必死に取り押さえる。 トランザ「うわぁぁ──っっ!!! た、助けてくれぇっ!! 許してくれっ、許してくれぇぇぇぇ──っっ!!」 #center(){&big(){&bold(){つづく}}}