ニューヨーク。
オークションが開催されていた。
オークショニア「続いては、本日のオークションの目玉です。国際的な名画にして、人類の至宝! 失われたと思われていた、フィンセント・ファン・ゴッホのひまわりです!」
カーテンが外れ、ひまわりが公開される。
観客たち「なんだ? あのひまわりは」「確か、あのひまわりは戦争で焼けたはずじゃあ……」
オークショニア「皆様お静かに。これから詳しく説明させていただきます」
スペシャリスト「ゴホン。ゴッホはアルルにいた頃、7枚のひまわりを描いたと言われていました…… その2枚目と言われているひまわりが出品されたものです。1945年、日本の芦屋で戦火に焼かれたと言われていましたが、昨年新たに同じ構図のものがアルルで発見されました。この作品は各専門家の鑑定により間違いなくゴッホによって描かれた作品だと確認されています……」
オークショニア「さぁ、このひまわりに皆様が新たな命を吹き込んでください! さぁ、フィンセント・ゴッホの幻の名画、2枚目のひまわり! 1千万ドルから始めようと思います」
通行人たち「おいおい、いきなり1千万ドルからかよ?」「しかも10万ドルずつ上がってるぜ」「そんな大金あったら宇宙旅行にでも行くけどなぁ……」
オークショニア「今、電話で2千万、ネットで2千50万ドル……」
参加者「5千万ドル!」
観客たち「おい、あの人……」「流石だな。これで決まりだな……」
声「1億ドル!」
なんと、次郎吉と園子もオークションに参加していたのだ。
次郎吉「聞こえんかったか? 1億ドル。1億ドルじゃ!」
オークショニア「1億1千万ドル。1億1千万ドルの方いらっしゃいませんか?」
参加者「くそっ。誰だあのヒゲジジイは?」「どういたしましょう?」「まぁいい。勝負は2億からだ……」「はい」
次郎吉「2億ドル!」
参加者「鈴木がいるぞ!」
園子「あ、はい。2億ドル!」
オークショニア「ええっ、聞き間違いでなければ、705番が2億ドルとのことですが……」
オークショニアがパソコンで次郎吉を調べる。
オークショニア「(彼があの有名な、ミスター鈴木……) ええっ、ネットでの対応が追いついていません……」
園子「ちょっとおじさま、みんな引いてるじゃない……」
次郎吉「ワシはショッピングには時間をかけん主義じゃ」
園子「しょ、ショッピングって……」
次郎吉「ネットなど待つ必要はない! 3億ドル」
園子「ええっ?」
次郎吉「3億ドルじゃ!!」
オークショニア「ハンマープライス! ハンマープライス! 3億ドルで落札です!」
阿笠邸。
歩美「コナンくん、始まるよ」
コナン「ああ……」
歩美「早く×2!」
元太「今度は何作ったんだ?」
光彦「もしかしてこれってロボットですか?」
歩美「早く動かして博士!」
コメンテーター「お願いします」
アナウンサー「この作品はなぜ最近まで日の目を見ることがなかったんですか?」
コメンテーター「それはこの絵が第2次世界大戦で消失したと言われてたからなんです……」
アナウンサー「焼失? では、今回の作品は偽物……」
コメンテーター「いえ、そう言われ続けていただけだったんです。こちらをご覧ください…… 昨年のニュースですが、フランスのアルルでゴッホの作品と思われる絵が新たに見つかったんです」
アナウンサー「そういえば、古い民家の家で見つかったって話題になりましたね……」
コメンテーター「ええ。それが今回の2枚目のひまわりだったんです」
博士「ほーら、始めるぞ」
探偵団「やった×2!」
博士「1番大きいのを持ってきたぞ!」
博士がスイカをメカに入れる。
博士「これを押して……」
元太「うな重出てくっかな?」
光彦「いや、さすがにそれは無理ですよ……」
アナウンサー「しかし、贋作である可能性は?」
コメンテーター「専門家たちもそこは慎重です。オークションで扱うに当たり、詳しい鑑定をしました。結果、ゴッホがアルルで描いた他の作品と同じキャンパスが使われていたことがわかりました……」
元太「おおっ。うな重よりもいいものって、特盛りのことかな?」
光彦「なんでそうなるんですか?」
もう1つのふたが開く。
歩美「出てきたよ」
探偵団「わあっ!」
歩美「あれ?」
光彦「スイカのままですね……」
元太「なんだ、また失敗かよ」
博士「ふふふ、これからじゃよ。ふふん……」
スイカが割れ、中身が仮面ヤイバーとなる。
光彦「おおっ!」
元太「スッゲェ!」
歩美「仮面ヤイバーだ!」
元太「カッケェ!」
光彦「どうやったんですか? これ……」
コナン(何やってんだよ博士。他に作るもんあんだろう?)
アナウンサー「芦屋のひまわりは贋作だったと?」
コメンテーター「ええ。その可能性もなくはありません…… さらにはゴッホが描いたひまわりには7枚ではなく8枚だったという説も新たに出てきています。今回落札されてたひまわりと芦屋のひまわり。このどちらかがゴッホ地震が描いた模写作品だという説です……」
アナウンサー「作者自身が模写を作るなんてことが本当にあるんですか?」
コメンテーター「ええ。ひまわりは現像する7枚のうち、3枚が模写でそのどれもがいたものですよ」
哀「ゴッホもいいけど、博士の作品にも興味持ってあげたら? なかなかの芸術作品よ」
コナン「珍しく好評ミテェだな」
博士「やった!」
アナウンサー「あっ、どうやら会見が始まるようですね。では、会見の様子をニューヨークから生中継でご覧ください……」
映像が切り替わる。
司会者「ええっ、それでは見事ひまわりを落札された鈴木次郎吉さんにコメントをいただこうと思います……」
次郎吉「うん。計画通り、絵画史上最高額での購入に成功したことを嬉しく思うとる」
司会者「えっ? 3億ドルでの購入は予定通りだったということでしょうか?」
次郎吉「その通り! 全ては日本でひまわりの展覧会を開催するためじゃ!」
司会者「展覧会?」
園子「我々鈴木財閥は、世界中に散らばる花瓶に指された構図のひまわりを全て集め、我がレイクロック美術館で日本に憧れたひまわり展をここに発表します!」
記者「ミス鈴木! 全てのひまわりとは、具体的に何枚になるんですか?」「今回落札のひまわりも計画の一部だったと?」
園子「ええ。全ては今日、この場で展覧会のことを発表するためです! そして、集めた作品は今回落札したひまわりを含め、7点です」
記者「7枚もですか?」「いくら日本の財閥でもそんなことは不可能では?」
次郎吉「案ずるな。すでにプロジェクトは進めておる。」
園子「我々は以前からひまわりを所蔵する世界中の美術館や個人に全てのひまわりを集めた展覧会を開催したいと宣言していました。そして今回、オークションに出品されるひまわりを落札した暁には、協力していただく確約もすでに得ています!」
次郎吉「さらにじゃ! 7人のスペシャリストを用意し、完璧な保存と運搬、そしてセキュリティーを約束した!」
司会者「7人のスペシャリスト?」
次郎吉「ワシがこの日に集めた7人の侍じゃ!」
5人が会場に入場。
司会者「この方たちが7人の侍でしょうか?」
次郎吉「左様…… 彼らはゴッホゆかりの地であるオランダやフランスで修行した経歴を持つ精鋭ばかりじゃ。左から絵画の歴史及び鑑定を担当する宮台なつみ女史」
なつみ「よろしくお願いします……」
次郎吉「同じく絵画の専門家で修復、保存、管理を担当する東幸二氏……」
東「……」
次郎吉「続いて、展覧会の企画を担当する圭子アンダーソン女史……」
圭子「圭子です。よろしく……」
次郎吉「絵画の運搬、運送方法を指導する石嶺泰三氏」
石嶺「石嶺です」
次郎吉「そして今回のひまわり展展示、演出を指導する岸久美子女史……」
久美子「必ず展覧会を成功させてみせます……」
次郎吉「最後に警備責任者としてニューヨーク市警のチャーリー警部に協力してもらっておる」
チャーリー「ひまわりは私が守ります」
司会者「あのぉ。先ほど7人の侍とおっしゃってましたが、ここには6名しかいないようですが……」
次郎吉「残り1名は日本についてからセキュリティ強化要員じゃ。その者の名は、毛利小五郎じゃ!」
コナン「えっ? よりによって7人目がおっちゃんかよ?」
哀「今なら漏れ無くキッドキラーがついてくるからじゃないの?」
コナン「えっ?」
哀「頑張ってね、菊千代さん」
歩美「あっ、すごい。園子お姉さんがテレビに出てるよ!」
光彦「ほんとですね!」
元太「見ようぜ、見ようぜ」
光彦「はい!」
司会者「7枚全てが集まらなかったら場合でも落札されたひまわりは展示していただけるんでしょうか?」
次郎吉「いや。7枚揃わねば決してやらん!」
司会者「しかしそれでは……」
次郎吉「案ずるな。ひまわり展は兼ねてからワシの夢じゃ。そしてワシには叶わぬ夢などない! ガッハッハ!」
するとステージにカードが飛んでくる。
それにはキッドマークが入っていた。
園子「これってまさか……」
次郎吉「キッドカード!」
一同「えっ?」
ステージの前に男がやってくる。
人々「なんだあいつ」「銃を持ってるぞ!」「警備員を呼べ!」
チャーリー「銃を捨てろ。聞こえなかったのか? 早く銃を捨てるんだ」
男が銃からワイヤーを発射。
服を脱ぎ捨てて飛び去る。
コナン「まさか!」
元太「なんだ? 見えねぇぞ!?」
光彦「なんかあったみたいですね……」
歩美「ええっ!?」
男の正体は怪盗キッドだった。
園子「キッド様!」
キッド「はっはっは!」
キッドは会場を飛び出し、煙幕を投げる。
チャーリー「キッド!」
警官「止まれ! 止まらんと撃つぞ!」
キッドが再び逃走。
廊下に出ると警官やチャーリーが集まる。
警官「止まれ! 動くと撃つぞ!」「キッドを103階、東側廊下に追い詰めました!」
チャーリー「キッド、銃を捨てろ。早く!」
キッド言われた通りに銃を捨てる。
チャーリー「よし。次は両手をゆっくり上げ、その場に膝をつけ。聞こえなかったのか? 両手を見えるところに上げるんだ」
そこへ次郎吉と園子がやってくる。
園子「キッド様!」
チャーリー「よし、そうだ。ゆっくりそのまま…… あっ!」
キッドが閃光弾を落とす。
チャーリーが銃を乱射。
園子「きゃああっ!」
次郎吉「やめんかチャーリー!」
キッドがガラスを割って外に出る。
そしてそのままハンググライダーを広げて飛び去る。
チャーリー「くそっ、怪盗キッドめ!」
次郎吉「逃げられたようじゃな……」
アナウンサー「現場は騒然となりましたが、死傷者はおらず、ニューヨーク市警は……」
歩美「あれっ? もう終わり!?」
元太「キッドがひまわり盗んでったのか?」
光彦「おかしいですね。キッドは宝石しか狙わないはずけど……」
コナン(一瞬しか見えなかったが、あれは本当にキッドだったのか?)
そこへ何者かが現れる。
声「お困りのようですね……」
次郎吉「な、なぜうぬがここに?」
声「キッドがひまわりを狙っていると聞いたものですから」
その正体は新一だった。
新一「よかったら、協力させてください」
最終更新:2017年06月08日 19:04