ここはM78星雲、光の国。 ウルトラの勇者たちが暮らす、神秘の星だ。
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宇宙警備隊の筆頭教官、
ウルトラマンタロウ。
彼の実子、若き戦士ウルトラマンタイガが現れる。
タイガ「お呼びですか? 父さん」
タロウ「タイガ。お前が宇宙警備隊候補生として訓練を始めて、随分と経ったな」
タイガ「はい! 自分で言うのも何ですけど、かなり腕を上げたつもりです! いつでも戦いに臨めますよ」
タロウ「……」
タイガ「父さん?」
タロウがおもむろに脱ぎ捨てたマントが、タイガを覆う。
タイガ「うわっ! いきなり何をするんですか!?」
次の瞬間、タロウはタイガの背後で、彼の首に手刀を突きつけている。
タロウ「確かに、少しは腕を上げたかもしれん。だが、己の力を過信するようでは、まだまだだな」
タイガ「い、今のは…… いきなりの不意打ちで、油断して……」
タロウ「お前は戦う相手にも、同じ言い訳をするのか?」
タイガ「そ、それは……」
タロウ「タイガ。お前はウルトラマンとして、まだまだ未熟。偉大な先人たちの戦いを見て、色々なことを学びとれ」
タイガ「そ、そんなぁ……」
タロウ「返事は?」
タイガ「は、はい!」
タロウが立ち去る。
タイガ「ちぇっ…… なんか俺に厳しいんだよなぁ、父さんは」
タイガが戦いの構えをとり、パンチやキックを決めてみせる。
タイガ「こんなに鍛えたんだぜ。いつ、何があったって、すぐにでも活躍できるんだ! それを…… と、愚痴を言っても仕方ないか。やれやれ、お勉強は柄じゃないんだけどなぁ」
バット星人「おのれ、こうなったら!」
(タイガ『ハイパーゼットン・イマーゴか。確か、バット星人が作り上げた、ゼットンの進化形だったな』)
アントラー、キングパンドン、ブラックキングら、5体の怪獣兵器が出現する。
(タイガ『ハイパーゼットンと同じく、バット星人が強化した怪獣兵器── なんて凶悪そうな奴らなんだ』)
ダン「我々は、必ず勝つ」
(タイガ『あの人たちは……! まさか!?』)
ハヤタ「そうだ。どれほど恐ろしく」
郷「どれほど、巨大な災厄が降りかかろうとも」
北斗「我々は絶対に、挫けてはいけない!」
ゲン「どんなに傷つけられても、立ち上がり!」
ダン「必ず、未来を掴もう! それが──」
ハヤタがウルトラマンに、ダンがウルトラセブンに、郷がウルトラマンジャックに、北斗がウルトラマンエースに、ゲンがウルトラマンレオに変身し、サーガと共に並び立つ。
(タイガ『伝説のウルトラ兄弟の揃い踏みだ!!』)
セブン「怪獣兵器たちは、我々が引き受けた!」
(タイガ『ウルトラ兄弟が怪獣兵器たちを攻め立てる! 凄い、凄いぜ!! なんて堂々とした戦い方なんだ!』)
ウルトラ兄弟の前に、怪獣兵器たちが次々に撃破されてゆく。
(タイガ『スペシウム光線、アイスラッガー、ウルトラランス、メタリウム光線、レオキック。どれも俺にはない、強力な必殺技だ!』)
現在のタイガ。
タイガ「やっぱ、凄いなぁ……! 伝説のウルトラ兄弟は! 父さんも、その兄弟の一員なんだよなぁ。おかげで俺は、プレッシャー凄いけど。あっ、そう言えば、兄弟子のメビウスも、ウルトラ兄弟の1人に数えられてるんだったな」
(タイガ『メビウスから聞いたことがある。かつて友情をはぐくんだ、ロボット兵士がいたと。あいつがそのメカザムか』)
メビウス「君はゴーストリバースなんかじゃない、メカザムだ!」
メカザム「皇帝のために! 強くなる」
メビウス「戦いたくない!」
(タイガ『メカザムは元々、悪のロボット。メビウスと出逢った後に、本来の役目を思い出してしまったんだ』)
メビウス「目を覚ませ、メカザム!」
メカザムの目の光が、険しかった色から、穏やかな色へと変わる。
(タイガ『ついにメビウスの想いが、メカザムに届いた!』)
メビウス「メカザム……!」
そこへアーマードメフィラスが割って入り、メカザムの胴に、ギガバトルナイザーを突き立てる。
メフィラス「メカザム、皇帝を甦らせるのが、お前の宿命!」
メビウス「メカザム!?」
(タイガ『そんな!? せっかくメビウスとメカザムの友情が戻ったのに!』)
メカザムがギガバトルナイザーを得て、次第にエンペラ星人の姿へと変貌してゆく。
(タイガ『メカザムは、メビウスが倒した暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人を甦らせるための、憑代だったんだ! このままじゃ……』)
ウルトラ兄弟たちが、メカザムを始末しようとする。
メビウス「待ってください! 僕が…… 葬ります」
メビウスがメカザムを目がけて、必殺のメビュームダイナマイトを発動させる。
メビウス「さようなら…… メカザム!」
メカザム「お主に逢えて…… 良かった……」
(タイガ『こんな…… こんな悲しい決着なんて、あるかよ!?』)
再び、現在のタイガ。
タイガ「あんなに傷だらけになって、悲しい思いまでして、それでも守りたい何かが、あったのかな…… 俺はウルトラマンとして、まだまだ未熟、か…… 父さんが伝えようとしていたことって……」
グレンファイヤー、ミラーナイト、ジャンボット、ジャンナインらの目の前で、ゼロの体はベリアルに乗っ取られてしまう。
グレン「なな、何だぁ!?」
ミラー「この波動は!?」
ナイン「ゼロ……!?」
ジャン「ジャンナイン!」
ジャンボットがジャンナインを庇って攻撃を浴び、木端微塵となる。
ミラー「ジャンボット!?」
グレン「焼き鳥ぃぃ!!」
ベリアル「俺はゼロであってゼロではない。そうだな…… ゼロダークネスとでもしておくか」
(タイガ『なんてこった! ゼロの体を、ベリアルが乗っ取ってしまった!』)
ミラーナイトが、鏡の能力で次々に虚像を作り出し、ゼロダークネスを翻弄する。
ベリアル「またか!」「何っ!?」
ミラー「鏡を作るのは得意でね。ゼロ、かつて私の心は、あなたに救われた。今度は私があなたを救う番です!」
ゼロダークネスの攻撃が、ミラーナイトに直撃する。
ミラー「ぐわぁっ!」
ジャンナインがゼロダークネスに挑む。
ナイン「目を覚ませ、ゼロ! 僕に涙を、心というものを教えてくれた君が、その心を失ってどうする!?」
ゼロダークネスの一撃で、ジャンナインの胴が真っ二つに砕ける。
(タイガ『やめろ、ゼロ! その人たちは、大切な仲間なんじゃないのか!?』)
グレン「ゼロぉぉ!! ファイヤーダ──ッシュ!!」
ベリアル「暑苦しいぞ」
グレンファイヤーもまた、ゼロダークネスの前に倒れる。
(タイガ『そんな!?』)
精神世界の中で、ゼロは土砂降りを浴びて、うつむいている。
ベリアル「お仲間は逝っちまったぜ。俺の、いや、お前の手にかかってな」
(タイガ『こんな状態から、ゼロはどうやって立ち直ったって言うんだ!?』)
そんなゼロに、倒れて行った仲間たちが語りかける。
ナイン「なぜ、うつむいているんだ、ゼロ?」
ジャン「私たちは君と出逢い、共に戦い、力の限り生きた。何も悔いはないのだ」
ミラー「あなたにはまだ、救える命がある。手を差し伸べられる多くの心が、待っているじゃありませんか」
グレン「俺たちゃ、おめぇを信じて託せるから、先に逝けるんだぜ。そのおめぇがこんなところで立ち止まってちゃ、いけねえなぁ」
一同「進め! ウルトラマンゼロ!!」
ゼロ「俺は…… まだ飛べる!! 守るべきものがある! 俺は、ウルトラマンだ!!」
ウルトラマンゼロが、最強の姿であるシャイニングウルトラマンゼロとして甦る。
(タイガ『仲間たちの声が、想いが、ゼロを甦らせたのか!』)
ベリアルが滅びた後、シャイニングウルトラマンゼロの力で時間が逆行し、ウルティメイトフォースゼロの一同が甦る。
グレン「また逢えたな、ウルトラマンゼロ」
ゼロ「お前ら……!?」
ノーマル状態に戻ったゼロが、能力の反動で倒れそうになり、一同が支える。
ミラー「大丈夫ですか!?」
グレン「おいおい、しっかりしろよ。情けねぇなぁ」
(タイガ『良かった…… 本当に良かった!』)
三たび、現在のタイガ。
タイガ「ウルトラマンゼロとベリアルの因縁の話は聞いていたけど、あんな壮絶な戦いがあったなんて……!」
そこに、タロウが現れる。
タロウ「そう! ゼロは仲間との絆を胸に生き、ベリアルの支配を脱したのだな。仲間を信じる心。それは即ち、心の強さに繋がるのだ」
タイガ「心の強さ……!」
タロウ「逆に心が弱ければ、ベリアルのようにウルトラマンでありながら、闇に身を落してしまうこともある。私の友のように……」
タイガ「えっ?」
タロウ「い、いや、何でもない」
タイガ「はぁ……? しかし、ウルティメイトフォースゼロか。自分だけの仲間っていうものも、いいもんですね」
タロウ「そうだな」
タイガの脳裏の突如、未知のウルトラマン2人の姿がよぎる。
タイガ「!? 今のビジョンは…… 一体?」
タロウ「どうした?」
タイガ「い、いえ。とにかく、少しですが、わかった気がします。立派なウルトラマンになるために、必要なことが」
タロウ「それは良かった。私にもお前のような時期があってな。よく父さんに、窘められていたものだ」
タイガ「爺ちゃんに!?」
タロウ「あぁ。お前はまだ若い。焦らず、色々な世界を知ってほしい。わかったな」
タイガ「はい。ありがとうございます!」
若き光の勇者、ウルトラマンタイガ。 彼が真のウルトラマンになるための戦いは これから始まる。
ウルトラマンタロウから 譲り受けることになるアイテム タイガスパークが繋ぐ、新たな仲間たち。 力の賢者、ウルトラマンタイタス。 風の覇者、ウルトラマンフーマ。
そして、彼らの前に立ちはだかる 闇の使徒、ウルトラマントレギア。
様々な出会いが、タイガに何をもたらすのか それは誰にもわからない。 運命の歯車はまだ、 回り始めたばかりなのだから──
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最終更新:2020年04月03日 22:26