烈車戦隊トッキュウジャーの第1話


世界は、目に見えるものが全てではない。夢見る力、想像する力……
すなわち、イマジネーションを持つものだけが見ることができる世界がある……
イマジネーション。それは不可能を可能にし、世界に光を灯す無限の力である。
しかし…… 光を嫌う闇もまた、存在する。


空が突然暗くなる。

少女「ママ、変な音が聞こえる……」
母親「ママには聞こえないけど」

すると突然、クライナーが現れ、子供達を連れ去って行く。

イマジネーションを失った世界は、闇に沈む。

クライナーでは、子供たちが泣いていた。そこにはシャドー怪人のバッグシャドーも乗っていた。

バッグ「ご乗車ありがとうございます。神隠し経由、ガキすて山行きです。いい泣き声だ! いい闇を感じるぞ。子供たち、もっと泣け!! ん? 妙な泣き声…… 違う! この状況で寝ているのか!? 誰だ?」

後ろの座席を見ると、ライトが眠っていた。

バッグ「ああっ、なんで大人が乗っている!? おい、貴様。起きろ!」
ライト「いただきます……」
バッグ「あいたたた。俺は食い物じゃねぇ!」

すると汽笛が鳴り響く。
背後から5両の烈車が現れる。

バッグ「あの烈車…… レインボーラインか?」
ライト「何!?」



始発駅
特急烈車で行こう


烈車がクライナーの横に並ぶ。

バッグ「レインボーラインめ、弾き飛ばしてくれる!」

2台の車両が激突。

バッグ「撃て!」

クライナーが砲撃を繰り出す。

バッグ「何!?」

激戦が続く中、クライナーは停車する。

バッグ「おのれ! 乗ってるのは誰だ?」
ライト「俺も見たい」

2人は車両から落ちてしまう。

バッグ「貴様は引っ込んでろ!」

やがて、烈車も停まる。

声「ドアが開きます。トッキュウジャーが降りて来ますので、ドア付近のお客様は適当にご注意下さい」

トッキュウ2号が降りようとするが、滑り落ちてしまう。

3号「ほらほら、足元気をつけてって言ったでしょ!? はい」
バッグ「貴様らがトッキュウジャーとかいう奴か!?」
2号「いててて……」
3号「そうみたい」
2号「いや、みたいじゃなくてそうだから…… ついでに、補足説明させてもらうと……」
バッグ「トッキュウジャーだか、ドンコウジャーだか知らないが、我々の邪魔をするな! クローズ!」

背後から戦闘員クローズが現れる。

5号「やだ。いっぱい出てきた……」
2号「よし。みんな、行く……」
3号「私たちも行くよ!」
2号「ちょっと……」
『撃ちます!』『斬ります!』

4号のトッキュウブラスターがクローズを一掃する。

3号「こら! 卑怯でしょ、そういうの…… 男らしくないよ」

クローズが3号の背後に迫るが。

3号「やめなさいって言ってるのに…… もう許さないから! あんたも」

一方、5号は追い詰められていた。

5号「怖い×2。どうしよう…… 怖くない…… 私は強い、私は強い、私は強い。スーパーガール!! 来い!」
2号「両手で持って、脇を締めて……」

『撃ちます!』

2号が銃撃戦を繰り広げる。

ライト「へぇーっ。なんだかわかんないけどわかった! とにかくあいつ、倒せばいいんだな? よし!」
4号「えっ?」
3号「ダメ。危ないよ」

ライトがクローズに挑む。

5号「すごい……
3号「あの人、もしかして……」
ライト「行くぞ! おりゃ、おっと」
バッグ「引っ込んでろって言っただろうが!」

ライトはバッグシャドーに挑むが、すぐ吹き飛ばされてしまう。

一同「ああーっ!」

(『この木は今日から俺たちの秘密基地だ!』)

少年が気に上るが、落ちてしまう。
そして、ライトはすぐ目を覚ます。
そこにはトカッチ、ミオ、ヒカリ、カグラが乗っていた。

ヒカリ「おっ、気がついた……」
ミオ「大丈夫?」

走行中の烈車。

ライト「電車の中か……」
トカッチ「うん。今逃げた怪人を追ってるところ……」
ライト「てことは、もしかして、お前達がさっきのトッキュウジャーって奴か?」
ミオ「まあね……」
ライト「やっぱりか…… で、あんたも?」

ライトが話しかけたのは、車掌とチケットだった。

チケット「違いまーす。バカですか、あんた」
車掌「まあまあ。わたくしは車掌です。どうぞよろしく…… こちら、わたくしの片腕のチケット君です」
ライト「これ、車掌さんが動かしてるんでしょう?」
車掌「違います……」
チケット「変なこと言わないでもらえます?」
ライト「いや、動かしてるって……」
車掌「錯覚です。それが証拠に…… カエルの歌が、聞こえてくるよ♫」
チケット「カエルの歌が……」
ライト「なぁトカッチ、どうなってんの?」
トカッチ「さぁ…… 僕にも良く……」
2人「ん?」
ライト「俺、なんで名前知ってるんだ?」
ヒカリ「気づいたんじゃない?」
ライト「お前たち、もしかして……」
トカッチ「そう。実は僕たち……」

ライトがトカッチを制止。

ライト「わかった。なんか見覚えあると思ったんだ……」

回想

ライト「いいか、お前たち。この木は今日から俺たちの秘密基地だ! このパスがないと登れないからな…… 基地の高さは1億km。てっぺんまで行くと宇宙だから気をつけろ」
ミオ「こんなとこ登ったら危ないでしょ?」
ヒカリ「てっぺんが宇宙なわけないし……」
トカッチ「宇宙まではそんなにないよ。と言うか、どこを宇宙と言うかによっても……」

ライトがトカッチの口を抑える。

ライト「俺が決めたところが、宇宙だ!」

ライト「トカッチ、ミオ。ヒカリ、カグラ……」
カグラ「ライト!」
ライト「何だよお前たち、どうしたんだよ? 全然わかんなかったけど、でもやっぱりそのままだな」
ミオ「なんか久しぶりって感じ、全然しない……」
トカッチ「もう1人仲間がいるって聞いたから、 もしかしたらと思ったけど、やっぱりライトだったんだね」
ライト「おう! で、俺達、なんでここにいるんだ!?」
カグラ「私達も気がついたらここにいたの……」
ヒカリ「それで、トッキュウジャーとして戦うようになって……」
ライト「さっきの怪人とか!?」
車掌「シャドーライン!!」

車掌の大声にひるむ5人。

車掌「彼らは、世界の影に住むものです。目的は、世界を闇で包むこと……」


キャッスルターミナル。

ノア「バッグシャドー、新しいステーションの完成は、まだですの!?」
バッグ「はっ! すでにガキ捨て山駅と名付け、あとは子供たちを運ぶだけ…… 子供らの泣き声が、宵闇となるでしょう……」
グリッタ「お母様! グリッタは退屈です。お外に出たい……」
ノア「ああっ…… グリッタ。もう少しですから我慢なさい。お母様が宵闇にあふれたステーションを作ってあげますからね……」
ネロ「ノア夫人! まだ遊びのステーションを作るのは早いですぞ…… 今、必要なのは、シャドーラインの路線を広げること。闇の皇帝をお出迎えするために」
ノア「ネロ男爵。グリッダはいずれ皇帝のお妃となる子ですのよ? 美しさを保つのも皇帝のためです!」

グリッダの目に飛び込んだのは、シュバルツ将軍だった。

グリッダ「シュバルツ様……」

シュバルツ「トッキュウジャーか……」


烈車内。

車掌「そして彼らに対抗する存在が、我々レインボーラインであり、君達トッキュウジャーと言うわけです……」
ライト「当然、俺も入ってるんだよな!?」
チケット「不本意ながら……」
ライト「よーし!」
ミオ「でも、なんで私達が選ばれたんですか!?」
車掌「それは…… イマジネーション!」
一同「はぁ!?」

すると烈車の明かりが消える。

車掌「おっと、シャドーの烈車に追いついたようですね」
ライト「よーし! なんだかよくわかんないけどわかった。トッキュウジャー、引き受けた!」
トカッチ「ちょい」
ミオ「ちょっと!」
ライト「よーし! おりゃあ!!」
ミオ「ライト!!」

ライトはそのままクライナーに乗り込む。

ライト「みんな、大丈夫か!? 助けに来たからもう大丈夫!?」
バッグ「1人で乗り込んでくるとは、バカか!」
ライト「さっきとは違う。俺もトッキュウジャーになったからな。……あれ? どうやってなるんだっけ!?」


烈車内。

車掌「ライト君はせっかちですね…… トッキュウジャーになるならこれを持っていかないと……」
車掌が取り出したのは、トッキュウチェンジャーとトッキュウレッシャーだった。
一同「ああっ!」
ミオ「ライトってば、もう……」
チケット「やっぱりお馬鹿ですね…… 早くもここで脱落決定ですよ」
車掌「それはどうでしょう……」
チケット「えっ?」
車掌「あなたたちをトッキュウジャーに選んだ理由、説明が面倒なところがありますが、簡単なことも1つ。あなたたち…… 特にライト君は持っているんです。闇を照らし、シャドーラインに対抗する力」

トカッチたちもクライナーに飛び移り、ライトに駆け寄る。

トカッチ「大丈夫? ライト」
ライト「平気×2。あんなやつに絶対負けないから……」
バッグ「貴様…… どこからそんな自信が? 何を根拠に……」
ライト「見えるんだよ……」
車掌「夢見る力!」
ライト「最初からずっと、俺のここにははっきり見える!」
車掌「想像する力! 不可能を可能にする力!」

ライトの拳がバッグシャドーに殴りかかる。

ライト「お前に、勝ってる俺が……」
車掌「イマジネーション!」

(『俺が決めたところが、宇宙だ!』)

ミオ「イマジネーション……」
トカッチ「そうだった…… ライトが言うと、なんでも本当になるような気がした」

バッグシャドーがクライナーから放り出される。
トカッチが子供たちを非難させる。

トカッチ「早く、こっち!」
ライト「どうだ。俺の言った通りだろ?」
バッグ「貴様ら、調子に乗るな! クローズ」

地面からクローズが出現。

トカッチ「ライト。これを使えば、トッキュウジャーに変身できるよ。ここからが本番…… 運行開始だ!」
ライト「おう!」

『変身いたします。白線の内側に下がってお待ちください』

バッグ「危ない。下がって×2」

一同「トッキュウチェンジ!! はぁっ!」

ライトたちがトッキュウジャーに変身。

トッキュウチェンジを遂げる。

『トッキュウ1号、トッキュウ1号!』
『トッキュウ2号、トッキュウ2号!』
『トッキュウ3号、トッキュウ3号!』
『トッキュウ4号、トッキュウ4号!』
『トッキュウ5号、トッキュウ5号!』

一同「勝利のイマジネーション! 烈車戦隊トッキュウジャー!!」
1号「出発進行!」

トッキュウジャーがクローズに立ち向かって行く。

2号「ホームトリガー!」
3号「シンゴウハンマー!」
4号「トンネルアックス!」
5号「テッキョウクロー! 行け。ツンツン」
1号「レールスラッシャー! よーし」

5つの形態固有武器がクローズを一掃。

1号「なぁトカッチ。俺も青になってもいいか!?」
2号「えっ?」
1号「乗り換えだよ」
2号「乗り換え?」
1号「ほら、お前のこっち寄越せ」
2号「ちょっと!」

『変身解除いたします。お急ぎの方は、お乗り換えください』

2号「変身解除って言ってるよ!?」
1号「大丈夫×2」
2号「できるのかな? そんなの……」

『トッキュウ1号・レッド、乗り換えてブルー。トッキュウ2号・ブルー、乗り換えてレッド』

1号と2号が乗り換えチェンジを遂げる。

2号「できた……」
1号「これもいいな……」
4号「へぇーっ、面白そうだね……カグラ」

『お急ぎの方はお乗り換えください』

『トッキュウ4号・グリーン、乗り換えてピンク。トッキュウ5号・ピンク、乗り換えてグリーン』

4号「ほう、軽い×2」
5号「やだ! この武器、重い……」

5号の周りにクローズが集まる。

5号「どうしよう×2、どうしよう…… 私は強い、私は強い、私は強い。怪力ガール!! おりゃあっ!」

5号のトンネルアックスがクローズに斬りかかる。

1号「今度は、こっちだ!」

『お急ぎの方はお乗り換えください。トッキュウ1号・ブルー、乗り換えてピンク。トッキュウ4号・ピンク、乗り換えてブルー』

3号「こら! 皆遊ばないで」
1号「 大丈夫×2!」
3号「 えっ? 何するの!?」

『お急ぎの方はお乗り換えください。トッキュウ1号・ピンク、乗り換えてイエロー。トッキュウ3号・イエロー、乗り換えてピンク』

3号「何!? もう! こうなりゃ何色だっていいわよ!」
2号「もう、誰が誰だか……」
バッグ「そうだぞ、いい加減にしろ。意味がわからん」

『トッキュウ1号、乗り換えてグリーン』

1号「倒せればいいんだよ。俺には見えた、お前の終着駅!」
バッグ「俺には見えん!」

1号がトンネルアックスを振るう。

1号「どうだ」
4号「ライト!」

すると1号のレインボーパスが鳴り響く。

車掌「勝手に乗り換えないでください」
チケット「ポチッと……」

『変身解除いたします。お急ぎの方はお乗り換えください』

車掌の操作によって、5人はそれぞれの基本カラーに戻る。

チケット「そろそろバズーカで終わりにしてください。武器を連結させるんです」
1号「よっと」

5つの形態固有武器が合体。
レンケツバズーカとなる。

車掌「必殺技はレインボーラッシュ。あなたたちのイマジネーションで、変幻自在の攻撃ができます」
一同「レンケツバズーカ!」
1号「よーし、あいつは子供いじめたからな。これでいく」

『烈車が発車いたします』

1号「小泣地蔵レインボーラッシュ!」

『出発進行!』

レンケツバズーカからエナジーレッシャーが発射。小泣地蔵に変わり、空からも何体か降ってくる。

バッグ「やっぱり意味がわからん……」
5号「だよね」

バッグシャドーが大爆発。
同時に巨大化再生を果たす。

バッグ「泣け×3!」
チケット「さっさとブレスで烈車を呼んでください!」
1号「わかった」

『烈車が参ります。白線の内側に下がってお待ちください』

5人は烈車に乗ろうとするが、なぜか1号がぶつかってしまう。

1号「いたたた……」
2号「ダメだよライト。ちゃんと改札通らないと……」
3号「ほら、こっち」

5人はパスと通して改札を通る。

車掌「烈車のコントロール権は、一時的にあなた達に移り、あなた達のイメージ通りに動きます」
1号「おおっ……」

『レッドレッシャー、ブルーレッシャー、イエローレッシャー、グリーンレッシャー、ピンクレッシャー』

チケット「キーワードは、烈車合体です」
一同「烈車合体!」
男性陣「侵入開始!」
1号「制限70!」
4号「左右確認よし!」
1号「接続!」

レッドレッシャーにブルーレッシャー、グリーンレッシャーが接続。
男性陣がコックピットに集合。

男性陣「連結確認よし!」
女性陣「ポイント切り替え!」

ブルーレッシャーにイエローレッシャーが、グリーンレッシャーにピンクレッシャーが接続。

女性陣「連結完了!」
一同「制限解除!」
チケット「毎度ご乗車ありがとうございます。トッキュウオー、完成いたします! ドア開きます」

5台の烈車が合体。トッキュウオーとなる。

一同「乗車完了! トッキュウオー!!」
1号「これなら一気に決められる!」
バッグ「泣け。泣け×5!」

トッキュウオーのフミキリケンがバッグシャドーに斬りかかる。

バッグ「泣け! 泣け×2」
1号「フルパワー!」
3号「トッキュウオーパンチ!」
4号「トッキュウオーキック!」

トッキュウオーの技が次々と炸裂。

5号「ねぇ。一気って言うなら、もう決めないと駄目でしょ?」
1号「ああ。フミキリケン烈車スラッシュ!!」
バッグ「泣け×2、待て×2……」
一同「はぁっ!!」

トッキュウオーの必殺技が炸裂。

バッグ「泣けるぜ……」

バッグシャドーが大爆発。

2号、5号「やった!」
1号「なるほどね。これがトッキュウジャーか…… ますます気に入った」


その後、5人はトッキュウジャーになった理由を聞かされる。

一同「ええっ?」
ミオ「あの、私達がトッキュウジャーに選ばれた理由がそれですか?」
車掌「なんでもありません。チケット君の口が滑ったんです」
ライト「いや、もう1回言ってくれ……」
チケット「まぁ、何度言っても同じですよ。お前たちは死んでるも同然って言ったんです!」
ライト「死……?」



(続く)

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最終更新:2015年10月31日 10:46