空に赤い月が上がっていた。
ジャイアン「み、見ろよ!」
スネ夫「赤い月が上がった!」
ジャイアン「まるで血のように真っ赤だ」
スネ夫「嫌な予感がする。帰ろう、もともと無理な冒険だったんだ! 帰ろう!」
のび太「僕は反対だね。そんなに簡単には引き下がれないよ!」
ドラえもん「うん……」
ジャイアン「なにぃ?」
スネ夫「生意気言うな。のび太のくせに!」
ジャイアン「俺たち3人で何ができるっつーんだ?」
のび太「僕たちに何ができるかという前に、僕たちが何をすべきかそれを考えるべきだよ!」
ジャイアン「のび太にしちゃ気の利いたセリフ……」
のび太「君たち…… この深〜い霧の底に常闇の城がある。しずかちゃんはそこで僕たちの助けを待っているんだよ?」
ドラえもん「のび太様!」
のび太「ん? どうした!? ドラえもん」
ドラえもん「近づいてきます」
ジャイアン、スネ夫「うわああっ!」
ドラえもん「近づいてくる…… 霧の底からたくさんの光がゆらゆらと」
スネ夫「鬼火だ、人だまだ!」
ジャイアン「いや、魔王軍の松明だ。に、逃げるんだ! あんな大群とどうやって戦うっつーんだ?」
スネ夫「もう逃げられない」
ジャイアン「どうしよう……」
スネ夫「ママ! ああーっ!」
声「君たち、狼狽えなくてもいいよ」
ジャイアン、スネ夫「ああっ!」
ジャイアンとスネ夫の前に現れたのは正体不明の戦士、黄金ハットだった。
黄金ハット「はっはっは!」
ジャイアン「黄金ハット!」
黄金ハット「そうです。私が正義の味方、黄金ハット!」
ドライオン「そして相棒の僕、ドライオン!」
スネ夫「謎のヒーロー黄金ハットが……」
2人「どうしてここに?」
黄金ハット「人々が助けを求めるとき、私はそこにやってくるのです!」
ドライオン「そうなんです!」
ジャイアン「だ、だけど、いくら黄金ハットでもあの大軍団が相手では……」
妖怪たちが迫ってくる。
黄金ハット「正義は必ず勝つ! 行くぞ、ドライオン!」
ドライオン「ガオーッ!」
黄金ハット「進め、ドライオン!」
ジャイアン「頑張れ!」
スネ夫「黄金ハット!」
黄金ハットがドライオンにまたがり、妖怪たちを切って進む。
スネ夫「すごい。やっぱり黄金ハットだ」
ジャイアン「頑張れ、やれ。やっつけろ!」
黄金ハットはようやく囚われのしずかの元にたどり着く。
黄金ハット「し、しずかちゃん!」
しずか「黄金ハット! 助けにきてくれたのね」
黄金ハット「今行くぞ。うわあっ!」
大地が揺れる。
しずか「黄金ハット!」
黄金ハット「し、しずかちゃん!」
地中から巨大な怪物が出現。
黄金ハット「な、なんと巨大な怪物だ……」
怪物「はっはっは! 待っていたぞ黄金ハット」
しずか「助けて!」
黄金ハット「弱い相手じゃ物足りない。こいつは手応えがありそうだ! じっくり勝負をつけよう!」
ドライオン「ちょっとそれはまずいよ」
黄金ハット「どうして?」
ドライオン「時間がないんだ」
黄金ハット「なんで?」
ドライオン「そろそろ起きないと学校に遅れるじゃない……」
黄金ハット「そ、そんな…… これから最後の対決があって、しずかちゃんを助けてそれから、ジャイアンたちに黄金ハットの正体を見せてあっと言わせなくっちゃ!」
そこへジャイアンとスネ夫が現れる。
ジャイアン「おーい! 黄金ハット!」
黄金ハット「ほら、ジャイアンたちが来ちゃった。しょうがない、どうせこれは僕の夢の中なんだ…… 早く終わらせよ。まずこの怪物は大して大きくなかったことにする」
怪物「ええーっ? ずるいよ、そんなの……」
怪物が小さくなっていく。
黄金ハット「やい怪物、覚悟しろ!」
ジャイアン「だ、大丈夫か?黄金ハット!」
怪物「ずるいよ、ずるいよ……」
黄金ハット「うるさい、時間がないんだ!」
黄金ハットが怪物の頭部に乗る。
黄金ハット「正義は必ず勝つのだ! 君たち、何かあったら質問があったら早く聞きなさい」
スネ夫「質問?」
ジャイアン「どうしたらそんなに強くなれるんですか?」
黄金ハット「ううん、そんなんじゃなくって、例えば僕の正体は誰だとか!」
スネ夫「だってそれは秘密なんでしょ?」
黄金ハット「一応聞くのが礼儀だろう?」
スネ夫「じゃあ、あなたはどこの誰ですか?」
黄金ハット「それは秘密だ!」
スネ夫「ほら、そんなのずるいよ……」
黄金ハット「だが、今日は特別サービス。僕の顔を見せちゃう!」
ジャイアン、スネ夫「本当?」
黄金ハット「僕の正体は…… あら? と、取れない! しっかりかぶりすぎちゃった……」
ママ「のび太!」
ドライオン「まずい。ママが呼んでる!」
黄金ハット「ダメだ……」
ママ「のび太、起きなさい!」
ドライオン「のび太くん、もう起きなくちゃ!」
黄金ハット「ドラえもん! ドラえもん!!」
最終更新:2017年11月25日 21:25