重戦機エルガイム アンダー・ザ・サンズの最終回



サンズ・ライト

SUNZ LIGHT



ダバ・マイロードはポセイダル打倒のために立ち上がり、反政府反乱軍と共に、最終決戦地である首都スヴェートへ向かう。

『──陽動だと!? 主力をガストガルへ戻せ!』

反乱軍のリーダー、ステラ・コバンが奮戦している。

通信「ガストガル 防衛隊戦力 90%まで落ちました!」「! 右後方より敵増援!!」
ステラ「支えきれ! 我々の正念場だぞ! 突入隊に近付けさせるな!!」


マイロード*1「このままスヴェートに進入する! 目標はポセイダルの中央司令部だ!!」
レッシィ「いいのね? 落とすわよ!?」
キャオ「東2番のラインが薄い! 近衛本部前だが 抜けるならそこだ!!」
アム「……ちゃんと戻ってきてね マイロード……」


マイロードの乗るエルガイム*2が、反乱軍のヘビーメタル群と共に、スヴェートへ突入する。
ポセイダル軍の司令官チャイ・チャーが檄を飛ばしている。

チャイ「突破されたのか!? 前衛は無能かっ ポセイダル様のお足元ぞ 墜とせ!!」

エルガイムが、ポセイダル軍のヘビーメタルを、次々になぎ倒す。

チャイ「味方一部隊ですめば安い 撃て!!

ポセイダル軍の強烈な砲撃が、味方の軍も巻き添えにして炸裂する。
エルガイムは損傷を受けながらも、かろうじて立ち上がっている。

チャイ「続けろ!! マイロードをのがすな!!

反乱軍「くそ 足のダンパーがいっちまった」「こっちはいい! 行ってくれ マイロード!」


オルドナ・ポセイダルと、従者のマーハル・セヌーマ、ハンス・アラハート。

ポセイダル「見事なものではないか」
マーハル「わ 我々の力至らず……」
ポセイダル「よい オリビー!」

マイロードの義妹オリビーは洗脳され、ポセイダルのもとに仕えている。

オリビー「は」
ポセイダル「オージェの支度をせい」
ハンス「お 御自ら出向かれるので!?」
ポセイダル「ここまでのことをされたのだ 相応の例をせねばなるまいが」

ポセイダルが最強のヘビーメタル、オリジナル・オージェのもとへ向かう。
そこに、武器商人アマンダラ・カマンダラと、執事のエイマンが立ち塞がっている。

オリビー「武器屋がなぜここに!?」
エイマン「慎めっ!」
アマンダラ「気にするな ま 歓迎くらいしてもらいたかったが そうもいくまい 支配者としての役割 長い間ご苦労だった お前はよく働いてくれた だが反乱軍どもにスヴェートの首都機能はくれてやっても 基部だけは守らなくてはいかん…… オージェは返してもらおう」
ポセイダル「重用してきた恩を忘れたか 商人風情が 無断で入りこんだうえ 王が物を玩具のごとく扱えると思うのか」

アマンダラが手元のスイッチを操作するや、ポセイダルが頭に強烈な衝撃を受けて、倒れる。

オリビー「ポセイダル様!?」
アマンダラ「玩具か…… 人形遊びもこれまでだ 苦情ならマイロード君に言ってくれ」

オリビーもまた、急に苦しみ始める。

オリビー「……! あ ああ……っ」
アマンダラ「バイオリレーションのリンクを絶ったせいだ こちらはまだ残しておかなくては」

マイロードのエルガイムが突入してくる。

マイロード「……!? オリビー!!
アマンダラ「彼のためにもな!」

アマンダラがオリビーを連れ、オージェに乗り込む。

オリビー「う……」
アマンダラ「君は私に一度も剣で勝てなかったな しかしHM(ヘビーメタル)戦ならと…… 考えていないか!?
マイロード「うおおぉおぉおおおおおっっ!?}」

オージェの強烈な剣撃が、エルガイムの片腕を斬り落とす。

マイロード「ぐ……っ !? ……!」

足元にポセイダルが倒れている。

アマンダラ「君の成果さ!!」

オージェのさらなる剣撃が、エルガイムの片脚をも砕く。

マイロード「──かつてのペンタゴナは 各星の王たちが各々勝手な行動をし 世は動乱の極みにあった ──だから多くの王朝を滅し 統一をしたってのか アマンダラ ──いや オルドナ・ポセイダル!!

今まで支配者として君臨していたポセイダルは、真のポセイダルの愛人ミアンが影武者として洗脳された姿。
そしてアマンダラこそが、真のオルドナ・ポセイダル──!

アマンダラ「……くっくっくっ 君はもう少しきつく縛り上げておくべきだったか……!」
マイロード「そうだ! そうやって鎖をつけて思惑どおりに縛ろうとする 似ていると感じてた ……それこそポセイダルのやり方だ!!」
アマンダラ「ふふん 君こそこのかわいい妹を自分の好きにしたくて こうして戦っているのではないか?」
マイロード「…… それでも オリビーの心はオリビーのものだ!!」

エルガイムが反撃の剣を振るう。

アマンダラ「……!!」
オリビー「……う ん……」
アマンダラ「! ……本人の意識が戻ってきたか システムにダメージがきはじめたな…… オリビーを次の表の指導者に立てるためにも む!」
オリビー「エルガイム…… お兄ちゃ……?」
アマンダラ「『自らの進むべき道は自らで決める』 先ヤーマン王もそんなことを言っていた だから世は乱れる! こうしてまた余計な抵抗をしてかき乱す! そうならぬよう私が 世界の道を決める!!

オージェの一際激しい剣撃が、エルガイムの胴を真っ二つに斬り裂く。
エルガイムが倒されたかと思いきや、爆風の中から、マイロードの乗るスパイラルフローが飛び出す。
マイロードがセイバーでオージェのコクピットハッチを斬り裂き、中のアマンダラへ一撃を加え、オリビーを救い出す。

マイロードの腕の中で、オリビーが気を失う。

マイロード「!

マイロードがオリビーを抱き、戦線を離脱する。


アマンダらが深手を負いながらも、オージェから脱出する。

アマンダラ「…… システムの調子が戻れば この程度……!!」

ポセイダルことミアンが意識を取り戻し、立ち上がっている。

アマンダラ「ミアン! そうか お前がいたか 来い! 基部を切り離しスヴェートを崩す! あいつらは逃がさん……!」

アマンダラがミアンに背を向け、周囲の機器を操作する。

アマンダラ「……よし よし! まだいけるぞ」
ミアン「……フラットはどうしたのです?」
アマンダラ「盟約を破棄した ……望み通りバイオリレーションで永遠の若さを与えたというのに 愚かな女だ ミアン・クゥ・ハウ・アッシャー! お前はテンプルナイツとしての役目を忘れるな! ……いや お前が私から離れることはない そうだな ミアン? ヤーマンめ 今度こそ最後だ ミアン お前にはまたポセイダルをやってもらう まだ退場などできん 世界(ペンタゴナ)は私のものだ 失えるものか この この楽しみを……」

ミアンがアマンダラの背後から、胴をセイバーで貫く。

ミアン「玩具(おもちゃ)…… あのころのあなたは いずこへ……」

アマンダラが血を吹き出し、息絶える。
ミアンが涙を流しつつ、機器を操作する。

スヴェートが粉々に崩壊し、陥落してゆく。


スヴェート陥落から半年後
惑星ミズン
首都ロージナ

首都ロージナでは復興管理委員会が開かれ、キャオが人々の応対に四苦八苦している。

キャオ「言いたいことはよ──くわかりました あとは本会議でな!!」
相手「だが! 我々の功績ならもっと……」

アム「ま──よく次から次へと来るわよね」
キャオ「たく! 管理委員なんて引き受けるんじゃなかったぜ 面倒なことこのうえねーって」
リリス「よしよし」
レッシィ「活発なのは悪くないけど こうもまとまりがないと…… ……やっとペンタゴナ各惑星自治政府議会が開くところまでこぎつけたのだもの」
キャオ「復興管理委員会代表さまの一声は それなりに効くんだろうけどな 代表っつっても(仮)だが」
アム「……やっぱり今日も寄ってるんだ ……目覚めるかどうかなんて わかんないのに……」
レッシィ「もし本当に放り出してきたらどうするの?」
アム「そりゃ ぶん殴ってやるわ」
キャオ「俺たちもいつまでも マイロード マイロード言ってられんわな どーれ うるさい奴らを少しはまとめとくかね」


マイロードは、病院を訪れている。

医師「なにぶん未解明の部分が多いのです 残る影響については我々としても……」
マイロード「……そうですか いえ 今日は少しだけでもと」

病室では、オリビーが眠り続けている。

マイロード「……オリビー 窓からミズンの森が見えるんだ オリビーにも見せてやりたいよ ……もう少し日がさすと もっときれいなんだけど……」

オリビーは意識を失ったまま、何も答えない。

マイロード「……俺は本当に身勝手だな こうしてまた仲間にも甘えさせてもらってる…… 二人の兄弟の証はなくなってしまったけど ……いや 俺は兄妹ってことでお前を縛ろうとしていたのかも……」

オリビーの手を取る。

マイロード「お前が目を覚ましたとき それにどんな答をくれるかはわからないけど 兄妹としてじゃなく 今の俺自身の…… 本当の気持ちを話すよ オリビー」

マイロードが、病室を後にしようとする。
柔らかな日差しが、窓から差し込んでいる。

オリビー「あ……」

オリビーが、うっすらと目を開く。


オリビー「あたたかい…… これは 光……?」


THE END



※ アニメ『重戦機エルガイム』の漫画版です。

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最終更新:2020年05月23日 21:19

*1 主人公ダバ・マイロードは、アニメでは「ダバ」(姓)と呼ばれていたが、この漫画では「マイロード」(名)と呼ばれている。

*2 アニメではダバはエルガイム(Mk-I)からエルガイムMk-IIに乗り換えたが、この漫画では乗り換えない。最終回序盤でレッシィの乗るメカが明らかにMk-IIに見えるが、そう明言されてはいない。