重戦機エルガイムの最終回


ドリーマーズ アゲン



工場星メッタがスヴェート目掛けて落下を始め、正規軍兵士たちがパニックに陥っている。

「敵前逃亡は銃殺刑だぞ!」「メッタが落ちてくるって言うじゃねぇか!」「逃げるが勝ちさ!」「貴様らぁ!」


エルガイムのコクピット。
アムの傍らで、クワサン・オリビーが空ろな表情でコアムの歌を歌い続けている。

アム「オリビー……」


スヴェート。
マーハル・セヌーマとハンス・アラハートを従えたオルドナ・ポセイダル(実は影武者ミアン)。
3人の前で、アマンダラ・カマンダラ(真のポセイダル)と執事のエイマンが近衛兵に取り押さえられている。

アマンダラ「私をどうするつもりだ。なぶり殺しにでもするのか?」

天井が爆発する。
すかさずアマンダラが近衛兵を振り払い、降って来る瓦礫をかわす。
近衛兵が瓦礫の下敷きとなって、アマンダラは自由となったものの、エイマンもまた下敷きとなる。

アマンダラ「エイマン!? チッ……」
ポセイダル「アマンダラを止めよ! オリジナル・オージェに乗せてはならん!」
マーハルたち「はっ!」

ダバ・マイロードのエルガイムmk-II(マークツー)が降下してくる。

ダバ「ポセイダル、いたかぁ!」

エルガイムmk-IIが降り立ち、アマンダラを追うマーハルたちは足止めされてしまう。

ダバ「逃がすかぁ!」

アマンダラが巨大な扉の向こうへ消える。
mk-IIが扉をこじ開ける。
アマンダラの前にそびえ立つ黄金色のヘビーメタル、オリジナル・オージェ。

ダバ「う!?」

オージェがひとりでに動いて攻撃を放ち、直撃を食らったmk-IIが吹っ飛ぶ。

ダバ「生きているのか……? あのヘビーメタル!」
アマンダラ「オリジナル・オージェのキーは生体反応だ。ダバ・マイロードくん、ポセイダルの恐ろしさというものを教えてやるよ」

アマンダラが乗り込むや、オージェの全身から生気がみなぎる。
突然、ポセイダルが苦しみだす。

ポセイダル「ああぁぁ……っ」
マーハルたち「ポセイダル様!」「しっかりなさって下さい!」「ここは危険です、早くあちらへ!」
アマンダラ「バイオリレーションとは、こういうことだ。人の生体エネルギーをパワーの源とする。カモン・マイロード、ヤーマンの血の結束を持っても、私のバイオリレーションには勝てんよ」
ダバ「そんなことはないっ! そんなことは……」
アマンダラ「ならば、試すがいい」

アマンダラの顔にみるみる生気が漲り、ミアンが演じていたポセイダルそっくりの顔になってゆく。

ダバ「ヤーマンの血のもとに!!」
アマンダラ「ポセイダルに逆らう者には死を!!」


海上をエルガイムが行く。
コクピット内で、オリビーが苦しみ始めている。

オリビー「はぁ、はぁ、はぁ……」
リリス「オリビー、どこが苦しいの? オリビー、目を開けて、お願い!」
アム「急ぐわ、ターナに!」

ギャブレーの乗るアトールが飛来して、エルガイムに迫る。

アム「アトール!?」

アトールが急降下し、エルガイムを海面に押し付ける。

アム「このぉ、沈められるものかぁ!」
ギャブレー「クワサンはどこか! mk-IIか? ターナにいるのか!?」
アム「ギャブレー!?」
ギャブレー「クワサン・オリビーを取り戻したのは知っている。彼女はどこか」
アム「あんたに関係ないでしょ!?」
ギャブレー「ある!! 私はクワサンを愛しているのだ! 私は本気だ!!」
アム「……わかったわ」
リリス「アム!?」
アム「その代わり…… スヴェートへ潜り込んだダバを助けてくれる?」
ギャブレー「おぉっ、助けるとも! クワサンはどこだ!?」
リリス「アム、やめてぇ!」
アム「オリビーはここにいるわ」
リリス「駄目ぇぇっ!」
ギャブレー「何と、何と!!」

アムがエルガイムの外に出る。
ギャブレーもアトールから降り、銃を構える。

ギャブレー「嘘ではないのだな? 渡してもらおう」
アム「中よ」

ギャブレーが、エルガイムのコクピットを覗く。

ギャブレー「あぁ…… 何といたいけな」

ギャブレーは、気を失っているオリビーを引き上げにかかる。

アム「手伝おうか?」
ギャブレー「すまんな」
アム「ほ…… ほら」
リリス「やめてってばぁ! ダバが悲しむよぉ!」

リリスがギャブレーに、必死にまとわりつく。

リリス「悪魔の手先のミラリィだぞ! 呪いをかけられたくなかったらオリビーを離せぇ! 離せ~っ!」
ギャブレー「えぇい、うるさいっ! 愛の前にはミラリィが何だ!!」
リリス「べぇ~だ!」
アム「おやめ、リリス」
リリス「だってぇ……」
アム「ダバを助ける約束は守れるわね?」
ギャブレー「男に二言はない。約束は必ず守る」


一方のダバは、オリジナル・オージェの圧倒的なパワーの前に苦戦を強いられている。

ダバ「ハァ、ハァ…… 何だ、あのパワーは? まるで吸い取られる感じがする」
アマンダラ「つくづく身のほどを知ったようだな、カモン・マイロードくん。ヤーマンの血が結束したからといって、スヴェートをパワー源にしているこのオージェを突破することは、無理だよ」

ポセイダル「うぅっ…… 何だ…… 私の生体エネルギーが放出してゆく…… フル・フラット、消えてゆくのか…… あなたの力が……」
マーハルたち「ポセイダル様、どうなさいました? ポセイダル様」「メッタの衝突まで、もう時間がありません。すぐシャトルを用意させます」
ポセイダル「私は逃げん。私をラキシスの心臓へ連れて行きなさい」
マーハルたち「ラキシスの心臓!?」「あそこへは、誰も生きては近づけません!」
ポセイダル「そうだ…… あの部屋は、私にしか開けられん」

エルガイムmk-IIの放つ銃撃を、オージェがバリアーで防ぐ。

ダバ「マキシマムパワーでも、かすりもしない!?」
アマンダラ「私の前では何者も無力だ」
ダバ「格闘に持ち込めば、mk-IIのパワーだって!」
アマンダラ「甘いな」

mk-IIがオージェに飛び掛るが、オージェのパワーの前に左腕を引きちぎられ、吹き飛ばされる。

ダバ「うわぁぁっ!」
アマンダラ「私の予定した以上の行動をしなければ、良い生活ができたものをなぁ」
ダバ「他人に自分の人生の枠を組まれて、何が面白いものかぁっ!」
アマンダラ「ならば、つまらなくしてやる」

オージェが剣撃を放つ。
とっさにmk-IIがランチャーを放つと、意外にも今度はオージェに命中する。

ダバ「当たった!?」
アマンダラ「チッ、フィールドを離れすぎたか」
ダバ「エネルギー切れか?」

オージェが立ち位置を変えると、再びオージェの全身の生気が満ち、猛攻が繰り出される。

ダバ「うぅっ…… さっきのパワーダウンは何だったんだ!?」
アマンダラ「すべてのフィールドでパワーが繋がらんとは…… そろそろカタをつけさせてもらうぞ、カモン・マイロード!」

オージェが、巨大な鎌を構える。
その姿に、死神のイメージが浮かび上がる。

ダバ「何だ…… あれは!?」


正規軍艦隊がガストガルを上昇してくる。
巡航艦サージェ・オーパスのブリッジには、ギワザ・ロワウがいる。

ギワザ「ガストガルを逃れようとする船は全て落とせ。一隻たりとも逃がすなよ。メッタはどうなっている?」
通信兵「はっ! 標準時間で10分後にはスヴェートを直撃します」
ギワザ「10分後には私がペンタゴナの王か……」

一方、反乱軍の帰還・ターナ。

ロンペ「反乱軍のスヴェート撤退、完了しました」
セムージュ「ダバくんとはまだ、連絡がとれないのか?」
ロンペ「はい。厚いジャマーのため、救助に向かったキャオ、レッシィ両名からも通信が途絶えたままです」
セムージュ「メッタ衝突まであとわずか…… 我々はまだリーダーを失うわけにはいかないんだ!」


スヴェートでは、レッシィがヌーベルディザードを駆ってダバを捜し回っている。

レッシィ「ダバ、どこに紛れ込んだの? ──上!?」

上階で待ち構えていたグルーンが体当たり。

レッシィ「えぇい、このっ!」

衝撃で床が抜ける。
ヌーベルはとっさにそばの鉄骨につかまるものの、グルーンはそのまま落ちてゆく。

レッシィ「ふぅ…… あれは…… 何だ!?」

眼下に巨大な十字架が見える。
ヌーベルがゆっくりと降下してゆく。
四方八方から、レーザーの雨が降り注ぐ。
ヌーベルが機体を破壊されながらも、どうにか着地する。

レッシィ「こんなのがあるってことは…… ここがスヴェートの心臓部?」

レッシイがヌーベルから降りて、単身、前方を目指す。

レッシィ「人が……?」

マーハルとハンスが倒れている。
レッシィの目の前で、2人の体が砂のようにボロボロに崩れ去る。

レッシィ「これは!? ──ポセイダルの秘密、この目で確かめてやる!」

真っ暗な通路を駆け抜けた末、視界が明るくなる。
巨大な女神像。
その足元へと続く階段の途中で、ポセイダルが倒れている。

レッシィ「これは!? ──ポセイダル!?」


ギャブレー艦スレンダースカラから、ギャブレーの乗ったバッシュが飛び立つ。

イレーネ「作戦参謀殿、メッタはもう近くまで来ているんですよ!?」
ギャブレー「反逆者となるのは私1人でいい。お前たちは正規軍の指揮下へ戻れ」
イレーネ「なぜです、ギャブレー殿!?」
ギャブレー「フッ、私はギャブレット・ギャブレーだ……! 義に死してこそ華だと思わんか!!」

バッシュが飛び去る。

イレーネ「はぁ…… 何と能天気な……」


レッシィ「ダバはどこ!?」
ポセイダル「少年は今…… 真なるポセイダルと戦っている」
レッシィ「真なるポセイダル?」

壁面のスクリーンに、ダバたちの戦いの模様が映し出される。

レッシィ「あれは!?」
ポセイダル「オリジナル・オージェのエネルギーは、スヴェートそのものから取っている…… 私を祭壇まで連れて行きなさい…… 私なら彼を止められる」
レッシィ「あなたが止める……? そんなことは信じられない!」
ポセイダル「信じないのは勝手だ…… 数分後にはメッタの衝突で皆死ぬのだぞ、レッシィ……」
レッシィ「あなたにはそれも止められるというのか?」
ポセイダル「無論だ……」


ダバ「やはり一定の距離を離れないな…… パワーを出せるフィールドが決まっていると見たぞ」

オージェの猛攻の前に、mk-IIが後ずさる。
背後は壁で、もはや退路はない。

ダバ「しまった!」
アマンダラ「私の両親は、これ以上のむごいやり方でヤーマンになぶり殺しにされた」
ダバ「何だと……!? アマンダラ!」
アマンダラ「それに比べたら、私は優しい男だと思って欲しいな!」
ダバ「そんなデタラメをっ……!!」

オージェの大鎌で、mk-IIの首が叩き切られ、吹っ飛ぶ。
同時に、mk-IIの繰り出したセイバーが、オージェの喉元に深々と突き刺さる。

アマンダラ「ミアンめ…… バイオセンサーを切ったのか!? うぅっ…… 私の夢を…… 私の世界を……!」

オージェがmk-IIを吹き飛ばす。
mk-IIは地面に倒れて、もはや動かない。
アマンダラが息を荒げ、その容姿が急速に老いてゆく。

ダバ「動け! 動いてくれ!」
アマンダラ「許さんぞぉ!! 小僧!!」
ダバ「動けぇっ!!」

再びのオージェの鎌。
あわやというとき、その刃をギャブレーのバッシュが受け止める。

ギャブレー「生きているのか、ダバ!」
ダバ「ギャブレーか!?」
アマンダラ「私の選んだ若者が…… 揃って私に歯向かうというのか!」
ギャブレー「お前の時代は終わった!」
アマンダラ「若造があぁぁ──っ!!」

オージェの全身が炎に包まれる。

ポセイダル「マシンなど使わずとも…… あなたの愛だけで…… 私は自由に操られましたのに……」

レッシィの目の前で、祭壇に座したポセイダルの体が砂のように崩れ去り、消滅する。

レッシィ「ミアン……!」

オージェが煙を噴き上げつつ動きを止め、崩れ落ちる。
突如、スヴェート全体が激しく揺れ始める。

ダバ「な、何だ!?」
ギャブレー「スヴェートが動き始めたんだ!」

レッシィ「ミアンの言ってたことって、このこと!?」

アムの乗るエルガイムの周囲、建造物がどんどんせり上がってくる。

リリス「アム、低すぎる!」
アム「でも、高度は下げてない!」

ギワナ「バ、馬鹿な! スヴェートが飛ぶなど聞いてはいない!」

空から、メッタが火の玉と化して飛来する。
海上から浮上したスヴェートがメッタを避け、メッタは何もない海上で爆発する。

ダバ「この感覚は?」
ギャブレー「空を飛んでいるみたいだが……?」

ダバはmk-IIを捨て、スパイラルフロー・ヴュイで脱出する。

アム「これじゃ、下にいるダバたちは……」
リリス「溺れるわけないでしょ、ダバが…… あ?」
アム「何?」
リリス「こっち……かな?」

ギワザ「フフフ。しかし、スヴェートの今の動きは最後の力と見た。反乱軍のザコどもを叩けば、もう終わりだな」

ダバたちがようやく、アムのエルガイムのもとにたどり着く。

ダバ「アム! エルガイム!」
アム「ダバぁ!」
リリス「ギャブレーが来てくれたの!?」
ギャブレー「クワサンのためには、多少の苦痛は耐えてみせる!」
ダバ「アム、コクピットを!」

エルガイムのハッチが開き、リリスが真っ先にダバに抱きつく。

リリス「ダバぁ!」
ダバ「リリス!」
アム「ダバ、よく無事で!」
ダバ「ありがとう……」

ダバがアムにキスを残し、自らエルガイムに乗り込む。

ダバ「ポセイダルは死んだ!! 一気にギワザと決着をつける!!」

セムージュ「やった! 聞いたか諸君! 我らがリーダー、カモン・マイロードはポセイダルを倒したぞ!! 残るギワザ艦隊を打ち倒し、ペンタゴナに自由を取り戻すのだ!!」
反乱軍兵たち「カモンがポセイダルを倒したのか!」「カモン・マイロードがいる限り」「反乱軍は勝てるぞぉ!」

反乱軍が一気に沸き返る。
ギワザ艦隊から次々にヘビーメタルが出撃する。
反乱軍も勢いに乗って迎え撃ち、乱戦状態となる。

ダバ「ギワザの船を沈めれば、事は済む!」

エルガイムがギワザのサージェ・オーパスに挑む。
ガニア・キラーズのアシュラ・テンプルが追いすがる。

ガニア「反乱軍こそ、貴様を潰せば烏合の衆! カモン・マイロード!」
リリス「ダバぁ!」
ガニア「ギワザ殿はお前の死がお望みだ!」

キャオがディザードを駆って駆け付け、アシュラ目掛けて斬りつける。

ガニア「何だ!?」
キャオ「あんたらねぇ! ギワザには、世界を背負ってくだけのパワーはないんだよ!」
ガニア「こんなところに…… うおぉぉ──!!」

エルガイムとディザードの連携の前に、アシュラが大爆発する。

通信兵「ガニア・キラーズの反応、消えました。我が軍の損傷、フリゲート艦3隻、ヘビーメタル34機……」
ギアザ (ここは…… 機を譲るしかないというのか)


スレンダースカラ内。

乗組員「ギワザ艦隊が後退を始めました」
イレーヌ「よし、ギャブレー殿に最後の奉公だ。さよならね…… プラネット・ボンバー用意!! 目標ギワザ艦隊── ファイヤー!!」

プラネット・ボンバーが地表めがけて放たれ、ギワザの艦隊へと降り注ぐ。

ギワザ「な、何事だ!?」
通信兵「低軌道上からのプラネット・ボンバーです」
ギワザ「また近衛隊か!? 反乱軍なのか!?」
ギャブレー「イレーヌ!? ()い奴…… 良いタイミングで!」
ダバ「セムージュ、バスターランチャーだ!」
セムージュ「よし、バスターランチャーを落とせ!」

ターナから投下されたバスターランチャーを、エルガイムが手にする。

ダバ「バスターにエネルギーを回す。落ちるぞ」
リリス「とどめだからいい。やれ!」

通信兵「正面、エルガイムです。ギワザ様……? ギワザ様!?」

ギワザはすでに艦橋を離れ、1人で脱出用シャトルに乗り込んでいる。

ギワザ「こんなところで死んでたまるか…… あんなガキどもになめられて……」

ダバ「最期!!」
リリス「撃てぇっ!!」
ギャブレー「違う! ギワザはシャトルだ!!」

ギャブレーのバッシュが、ギワザのシャトルに追いすがる。

ギワザ「私に逆らうヘビーメタルがここにもいる…… ここにも!」
ギャブレー「ギワザ……!」
ダバ「ギワザ!!」
ギワザ「軍を立て直してくれば、烏合の衆なぞは……」

エルガイムのバスターランチャーが、ギワザのシャトル目掛けて火を吹く。

ギワザ「叩きのめしてくれる…… あ? がああぁぁ──っ!!」

バスターの光の中に、ギワザがかき消えてゆく──


反乱軍兵の間を、通信が飛び交う。

通信『何、投降する? 正規軍のどこの部隊だ?』『ラジャー、受け入れる』

セムージュ「よぉし、指定した海上へ降下してくれ」

勝利に沸き返っている反乱軍兵たち。

セムージュ「喜んでいる暇はないぞ! 各艦艇のチェック、スヴェートに集結させるんだ!」


決戦を終え、ダバが仲間たちのもとを発つ日がやって来た。

アム「いいところあるのね、クワサン・オリビーをダバに返すなんて」
ギャブレー「『ギャブレーさん』ではなくて…… 『お兄ちゃん』と呼ばれ続けるのは、私の本意じゃない……」
レッシィ「でもギャブレー、あなたがクワサンを返すって言ったときから、ダバはコアムに帰るって言い出したのよ」

アムがちらりと、キャオを見やる。

アム「何で今日はついてかないの? 冷たいじゃない?」
キャオ「俺だって自立したいんだよ。いつまでもダバ、ダバじゃあるまい? な、リリス」
リリス「フフッ、今度は私とミラリィ探しをするんだよね」

ダバがオリビーを連れて、セムージュと固く握手をかわす。

セムージュ「いつでもまた、スヴェートにな」
ダバ「ありがとう。本当にありがとう、セムージュ。そして…… みんな!」
アム「おぅ!」
キャオ「近寄らねぇぞ! 近寄ると、泣いちゃうからなぁ!」
レッシィ「そ、勘弁ね……」
リリス「そ、堪忍ね、ダバ……」

ダバ「さ…… クワサン・オリビー、故郷へ帰ろう」
オリビー「うん、お兄ちゃん」

バイオリレーションの後遺症か、オリビーがミアンと同じ仕草で耳元を撫でる。
ダバがオリビーを抱き上げ、オリビーが子供のように笑い転げる。

オリビー「アハハハ! アハハハッ……」
ギャブレー「あれは、一生治らん…… ダバめ……」

反乱軍兵たちに見送られ、ダバとオリビーを乗せたターナが飛び立つ。

レッシィ「アマンダラは、ヤーマンの血族者全てに対して、復讐を完成させたのよ……」
アム「復讐を…… 完成させた!?」
レッシィ「今日から一生、人形になってしまったオリビーの面倒を見るのよ…… そして、歳をとって死んでゆくのよ。2人とも……」

レッシィが涙をこぼす。リリスもアムの髪に顔を埋め、肩を震わせる。

アム「それが…… 復讐か…… でも、ダバはそれを選んだのよね……」

アムも大粒の涙を流し始め、がっくりと膝をつく。


ダバたちの生まれ故郷のコアムを目指し、ターナが飛び去っていく。


(終)

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最終更新:2014年07月30日 03:30