五星戦隊ダイレンジャーの第44話


再び現れた大神龍によって、
人々は死の危険に直面していた。
そしてダイレンジャーは、
ついにコウの母親を助け出すことに成功。
コウを捜すべく行動を開始したが、
その行手に阿古丸が立ち塞がった。



コウの誕生日である12月24日。
コウの誕生時刻までに、ゴーマの血を抑える儀式を行わなければ、ダイ族とゴーマ族の混血であるコウは、完全にゴーマとなってしまう。
しかし阿古丸の下僕の怪物・イカヅチが、ダイレンジャーたちを襲う。

一同「すごいパワーだ!」「コウが産まれた時間まで、あと少ししかないわ!」

コウがゴーマの血に囚われ、キバレンジャーとなってダイレンジャーたちを襲う。

ホウオウ「きゃあ!」
一同「リン!?」「コウ!?」「やめろ、コウ! しっかりするんだ!」

コウの母が、無我夢中で駆け出す。

母「コウ──っっ!」
亀夫「お母さん!?」
母「コウ──っ! コウ──っ!」



感動!! 君も泣け



キバレンジャーの猛攻が、さらにダイレンジャーたちを襲う。

一同「うわぁ!」「大丈夫か!?」「産まれた時間が迫り、ゴーマになりかけているんだ。早く抑えないと!」
亜古丸「そうはさせるか! もっと暴れて、一気にゴーマになれ!」
キバ「気伝招来!」
リュウたち「気伝招来!」「五星合体!」「大連王!」

キバレンジャー,リュウレンジャーたちがそれぞれ、ウォンタイガー、大連王に乗り込む。

リュウ「このまま突っ込め! 俺がウォンタイガーに飛び移り、コウを抑える!」
亜古丸「そうはさせるか! イカヅチ!」


一方で、超宇宙生命体・大神龍(だいじんりゅう)が、亜古丸の争いを感知して飛来する。
地上の争いを消滅させるべく、大勢の人々を催眠術でビルの屋上に立たせ、自殺させようとする。

嘉挧(かく)「やめろ、大神龍!」

ビルから飛び降りた人々が、嘉挧の気力でどうにか救われる。


大神龍はさらに、ゴーマ族の拠点であるゴーマ宮をも襲撃する。

ゴーマ族「うわぁ──っ!」「あぁ──っ!?」
シャダム「阿古丸ぅ……!」


ウォンタイガーとイカヅチの連携攻撃が、大連王を圧倒する。

ホウオウ「もう駄目! 駄目だわ!」
亜古丸「やれ、イカヅチ! ウォンタイガー! もう間もなく、コウはゴーマになる!」
母「やめてぇ──っ! やめて、阿古丸!」
亜古丸「フン。やれ、イカヅチ! ダイレンジャーにとどめを刺せ!」
母「コウは、私とシャダムの間に産まれた、双子の弟なのよ! あなたの…… 兄弟なの!」
亜古丸「……!?」
リュウ「な、何だって!?」

亜古丸が言葉を失い、拳が震える。

母「双子が産まれたら、その弟を殺さなくてはならないという決まりがあった。でも私は、コウを殺すことができなかった…… だから、産まれたばかりのあなたを置いて、コウを連れて逃げたの」
亜古丸「そんな…… じゃあ、お前が私の母親だというのか!?」
母「ごめんなさい……! あなたを捨てたつもりはなかった。でも、そうするしなかった……」

コウの母が泣き崩れる。

母「阿古丸…… 私の息子、阿古丸……」
亜古丸「コウが、私の弟……!? う、嘘だ…… そんなの、嘘だぁぁ!!」
母「あ、阿古丸ぅ!」

阿古丸が絶叫して駆け出す。
イカヅチが制御を失って、棒立ちとなる。

リュウ「今がチャンスだ!」

リュウレンジャーが飛び移る。

リュウ「コウ! コウ、しっかりするんだ! コウ!」

リュウレンジャーがウォンタイガー内部に乗り込み、キバレンジャーを当て身で気絶させる。


(コウの母『私の息子、阿古丸……』)

亜古丸「嘘だぁ! 嘘だぁ──っ!!」

亜古丸が涙ぐんで崩れ落ちる。
そこに、シャダムが現れる。

シャダム「阿古丸」
亜古丸「父上、本当なのか!? コウの母親が私の母親だというのは、本当なのか!?」
シャダム「その通りだ! フン、何とも皮肉な運命だな。だが、今さら気づいてももう遅い。貴様のせいでゴーマは崩壊寸前だ! 地獄へ行けぇ!!」

シャダムの放った妖力が、亜古丸に炸裂する。

シャダム「冥土の土産に聞かせてやる。もはやダイレンジャーは我々ゴーマの敵ではない!」
亜古丸「えっ!?」
シャダム「連中が解散することを条件に、道士嘉挧と休戦協定を結んだ。つまり、キバレンジャー・コウをゴーマに引きずり込む必要もなくなったわけだ」
亜古丸「え…… 父上!?」

シャダムがさらに強力な妖力で、亜古丸を吹っ飛ばす。

亜古丸「うわぁぁっ!?」
シャダム「フン!」」
亜古丸「父上…… は、母上…… コウ……!」


リュウレンジャーは、転身が解けて気を失ったコウを抱き、地上へ降り立つ。

母「コウ──っ! コウ、コウ、しっかりして! コウ!」
リュウ「早くコウを!」
母「コウ……!」

母はコウを抱き、封印の儀式のために洞窟の中へ。
リュウレンジャーは再び、大連王に乗り込む。

リュウ「みんな、コウが元に戻るまで、あいつを洞窟に近づけないようにするんだ!」
母「コウ、しっかりして!」

大連王とイカヅチの戦いの余波で、洞窟が大きく揺れる。

母「白虎! 大地の気力よ、宇宙の気力よ! 大いなる力で、コウを救いたまえ──!」「白虎!」「我が息子コウ…… その体内より、ゴーマの血を消して……」

膨大な気力があふれ、その勢いで母が吹っ飛ばされる。

母「コウ!? コウ──っ! 目を覚まして、コウ!」

洞窟内がさらに揺れ、母は必死にコウ抱きしめて守る。

母「コウ、コウ!」

母の涙の雫が、ゴーマの血を抑えていたコウの焼き印に触れる。
痣が消え、コウがゆっくりと目を開く。

母「はっ!?」
コウ「母……ちゃん……?」
母「コウ、元に戻ったのね!」
コウ「母ちゃあん!」
母「コウ!」
コウ「コウ……!」
白虎「やったぜ、コウが元に戻った!」

コウと母が抱き合う。
洞窟内に、さらに瓦礫が激しく降って来る。

母「コウ!」

コウの母はとっさに、自分の体を盾とする。
巨大な瓦礫が、母の背を直撃する。

母「ああぁぁ──っっ!!」
コウ「母ちゃあん!?」

次々に瓦礫が降り注いで、母の体に積み重なる。

母「コウ、コウ! 逃げて、コウ! 早くぅ!」
コウ「嫌だ! 母ちゃんも一緒じゃなきゃ嫌だぁ!」
母「コウ……」

母は敢えて、厳しくコウを見つめる。

母「どうして母さんの言うことが聴けないの!? お前はキバレンジャー・コウなのよ! 大勢の人のために、戦わなくてはいけないの! それを忘れないでぇ!!」
コウ「母ちゃん!?」
母「生きるのよ…… 強く! リンさんや皆がいるじゃない」
コウ「母ちゃん……!」

涙ぐむコウに、母は優しく頷く。
ひときわ多くの瓦礫が落ちてくる。

母「はっ!? 逃げてぇぇ!!」

母が渾身の力でコウを突き飛ばし、自ら瓦礫を浴びる。

母「うぅっ! さぁ、行きなさい! 早くぅぅ──っ!!」
コウ「母ちゃああ──ん!!」
白虎「行くんだ、コウ!」

コウが涙ぐみつつ、洞窟を駆け去る。


コウと入れ替りに、深手を負った亜古丸が、フラフラと洞窟へさまよい入って行く。

亜古丸「は…… 母上……」
母「阿古丸……!? 阿古丸!」

瓦礫が降り注ぎ、阿古丸を直撃する。

母「あぁっ!? 阿古丸!?」
亜古丸「は…… 母上…… 私の…… 母上……」

亜古丸が瓦礫の下敷きとなりつつ、弱々しく手を伸ばす。

亜古丸「逢いたかった……」

母が手を伸ばし、亜古丸の手を握り締める。

母「私の…… 可愛い息子……! 阿古丸……!」


コウ「気力転身! キバチェンジャー!

コウが涙を堪えつつ、キバレンジャーに転身する。

キバ「ウォンタイガー!」「ウォンタイガー武人変化! 来い、イカヅチ!」
リュウたち「コウが元に戻った!」「これで揃った!」「よっしゃ、行くぜ、コウ!」「待ってました!」「コウ!」

キバレンジャーが再びウォンタイガーに搭乗し、大連王と共にイカヅチに立ち向かう。
亀夫も、超気伝獣ダイムゲンに変身して参戦する。

ダイムゲン「僕も戦うがね!」
キバ「一気に決着をつけてやる! 七星合体、重甲気殿!

気伝武人と気伝獣が全合体、最強形態の重甲気殿となる。

キバ「よし、一気にとどめを刺してやる! 重甲気殿・大圧殺!!

重甲気殿の必殺技を受け、イカヅチが大爆発、最期を遂げる。


戦いが終わったことで、大神龍が宇宙へと飛び去り、操られていた人々も正気に戻る。

人々「えぇっ、なんだよ、こりゃ!?」「なんでこんなところにいるんだ!?」「きゃあ、怖い!」


コウが、夕陽の海を見つめている。
亮たちが駆け寄る。

亮たち「コウ!」「コウ!」
リン「コウ……」
コウ「リン姉ちゃん…… 母ちゃんが……」

振り向いたコウは、目に涙をあふれさせている。

コウ「母ちゃんが……! うわぁ~ん!」

コウが大泣きしながらリンに飛びつき、リンが抱きとめる。
亮が優しく、自分の上着を脱いで亮にかぶせる。

亮「コウ…… お前の母ちゃんはな、お前の心の中で生きている。いつまでもな……」


嘉挧とシャダムが対峙している。

嘉挧「シャダム! 自分の子供たちがあんな運命になって、何も感じないのか!?」
シャダム「感じないな! それより俺は約束を果たした。今度はお前が約束を守る番だ。ダイレンジャーを解散して、お前へゴーマへ戻る。そうだったな、ゴーマ族参謀長、嘉挧!」


夜、リンは街角で買物中。
とある店先に、クリスマスツリーが飾られている。
そのそばで、買物中の母親と息子2人が談笑している。

「こら、ケンカしない!」
「はぁい」
「ほら、見てごらん。このサンタさんとトナカイさんのように、あなたたちも仲良くね」
「うん!」
「さぁ、行きましょ」
「うん!」

コウと阿古丸の兄弟、2人の母が仲良く買物している情景がだぶり、リンが微笑む。
懐から、白虎真剣が顔を覗かせる。

白虎「リン……」
リン「あ、雪……!」


リンの家で留守番をしているコウが、窓から雪空を見つめる。
手の中には、母の指輪がある。
母の姿がだぶり、コウに微笑みかける。

コウ「母ちゃん……」

リン「ただいま!」

リンが帰宅して来る。
コウはとっさに、明るい笑顔を見せる。

コウ「お帰り! 寒かったでしょ?」

コウがは冷え切った手を、コウの頬に当ててみせる。

コウ「わぁ、冷たぁい!」


クリスマスケーキの蝋燭に、火が灯される。
リン、コウ、白虎だけのクリスマスイブ。

ホワイトクリスマスの夜が、静かに更けてゆく……


つづく

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最終更新:2024年12月24日 19:35