忍者戦隊カクレンジャーの第24話

講釈師「妖怪の大魔王を復活させようと ついに動き出した貴公子ジュニア」

ジュニア「ひと月経たない内に大魔王様があの扉から現れ、この地上の人間も動物も植物も、生きとし生けるものすべてが滅び、妖怪の天国が完成するのよ。ハハハハハ!」

あァ 一巻の終り

サスケたち「そうはさせねぇ! 行くぞみんな、ヤツを倒すんだ!」「おぅ!」
三太夫「待ぁて! やめるんよ、みんな。今戦っても、ガシャドクロには勝てんけん」
鶴姫「何言ってるのよ、三太夫!?」
三太夫「ヤツは封印の扉の奥にいる大魔王の力を借り、今までにないくらい強くなっている。この場は一旦引き下がるんよ」
サスケたち「冗談じゃねぇ! 石にされた子供を放って逃げろってのか!?」「俺たちはカクレンジャーだぜ!」「子供たちを、平和を守るのが俺たちの仕事じゃない!?」「5人が力を合せれば、絶対勝てる!」

三太夫は静かに、首を横に振る。

鶴姫「三太夫!?」

石にされた子供たちを想う鶴姫。

鶴姫「恵子ちゃん、良太くん…… 三太夫、私たち命を賭けて戦ってみるわ。みんな!」
サスケたち「おぅ!」

5人が貴公子ジュニアこと、妖怪ガシャドクロに挑む。

ガシャドクロ「来たな!」
サスケ「貴公子ジュニア、いや、ガシャドクロ! もうこれ以上、貴様の好きにはさせねぇ。覚悟しろぉ!」
ガシャドクロ「フン。お前たちも大魔王様の生贄にしてやる。くノ一組!」

妖怪軍団の女忍者5人組・花のくノ一組が登場。

くノ一組「花のくノ一組、参上!」
サスケたち「行くぜ! スーパー変化!」

サスケたち5人がカクレンジャーに変身、花のくノ一組と戦いを繰り広げる。

イエロー「イエロークロー! おりゃあ! どすこーい!」
ブラック「ブラックボウ・シュート!」
レッド「隠流(かくれりゅう)・分け身の術!」
ホワイト「隠流忍法・花吹雪!」
ブルー「ブルーショット!」

それぞれの忍法や武器を駆使した末、花のくノ一組は撃退される。

ガシャドクロ「ハハハハッ、さすがカクレンジャー。でも私に勝つことはできないわ」

ガシャドクロが巨大化。

ガシャドクロ「地獄へ送ってあげるわ、カクレンジャー!」
サスケたち「そうは行くか!」「隠流・獣将(じゅうしょう)ファイターの術!」

5体の巨大戦士・獣将ファイターが出現し、カクレンジャー5人が一体化する。

ガシャドクロ「バカめ、獣将ファイターなど問題ではないわ。大魔王様!」

妖怪大魔王の力を受け、ガシャドクロの強力な剣撃が炸裂。

サスケたち「うわぁぁ──っ!」
ガシャドクロ「ハハハハハ!」
レッド「無敵将軍を出すんだ! 隠流・巨大……」
ガシャドクロ「そうはさせるか!」

カクレンジャーたちが呪文を唱える前に、ガシャドクロの攻撃が炸裂。

サスケたち「わああぁあ──っ!」

獣将ファイターが消滅。カクレンジャーたちが分離し、地面に叩きつけられる。

ガシャドクロ「地獄へ行け、カクレンジャー」
サスケたち「がああぁぁ──っっ!」

さらなるガシャドクロの攻撃で変身すら解除され、生身のサスケたちが地面に叩きつけられる。

ガシャドクロ「ハハハハハハ!」
サスケ「くッ! 俺たちの、力は…… こんなものなのか!?」

(良太・恵子『助けて、助けて!』『助けて、お姉ちゃあん! 助けて!』)

鶴姫「恵子ちゃん…… 良太……くん……」
サスケ「負けるもんか…… 子供たちを、助けるまでは!」
ガシャドクロ「ハハハハハ! どうやら私の勝ちのようね、カクレンジャー。冥土の土産に、今から面白いものを見せてあげるわ」

ガシャドクロが巨大化を解き、再び音楽を奏で始める。
怪しげな音色で花が枯れ、大地が揺れ、周辺の地面一体が地上から切り離され、空高く浮き上がる。

ガシャドクロ「ハハハハハ! 見たか、カクレンジャー。封印の扉が開き、大魔王様が現れるまで、この大地は結界が張られ、もはや誰も手を出すことができない。ハハハハ、ハハハハハ! 人間をみんな石にしてやる!」
鶴姫「やめてぇぇ!」
人々「うあぁぁ!」「耳がぁ!?」「助けてぇ!」「痛いよぉ!

ガシャドクロの放つ音色を浴びた人々が、次々に石と化してゆく。

満身創痍のサスケたちも次第に意識が遠のき、視界が霞んでゆく。
そのとき── 空の彼方から、聖忍獣(せいにんじゅう)ツバサマルが飛来。


サスケたち5人が意識を取り戻す。そこは一面が煙で満ちた、謎の空間。

鶴姫「ここは……?」

三太夫が現れる。

三太夫「心配せんでもえぇ。風雲幻城の中やけん」
鶴姫「三太夫!?」
サスケ「あれは……?」

一同の前に、3体の巨大な石像がそびえている。
2つは無敵将軍とツバサマルの姿。もう1つは、サスケたちが見たこともない姿。

三太夫「この世を治める三神将やけん」
サイゾウ「三神将?」
三太夫「うむ。無敵将軍に、ツバサマル。そして……『隠大(かくれだい)将軍』」
剣姫「隠大将軍!?」
三太夫「聞くんよ、みんな。今を去ること二千年前。この地上は、人間と妖怪の戦いに明け暮れていた。妖怪を率いるのは大魔王。そして人間たちを率いるのは3人の賢人たちだった。苦しい戦いの末、3人の賢人は新しい技を編み出し、ついに妖怪たちを地底奥深く封じ込めることに成功した。その技が忍びの術だったんよ…… やがて3人の賢人の魂は、昇華して三神将になり、再び地上に出ようとする妖怪の大魔王を、そのたびに抑えてきたんよ。四百年前、お前たちの先祖が戦ったのも、そうなんよ」
サスケ「……じゃあ俺たちが隠流忍法で無敵将軍を出してたのは?」
三太夫「天界で眠る無敵将軍を呼び出す術やったというわけよ」
鶴姫「それで、無敵将軍は生きてるって?」
三太夫「うむ。良いか、みんな。妖怪の大魔王を倒すには、隠流忍法の極意をマスターしなければならんけん」
セイカイ「隠流忍法の極意ぃ? ハッ、冗談じゃねぇ。俺たちは完全にそれをマスターしたはずだぜ!?」
三太夫「たわけぇ!! 隠流忍法の極意、すなわちそれは、『心技体』やけん」
サイゾウ「……心技体?」
三太夫「うむ。ツバサマルが『心』。隠大将軍が『技』。無敵将軍が『体』。この3つが揃って、初めて大魔王に勝てるんよ」

空中に、5本の巻物の姿が浮かび上がる。

三太夫「隠流忍法極意・忍之巻(しのびのまき)。これを手に入れれば、お前たちは無敵将軍も、隠大将軍もツバサマルも、自由に操ることができるようになる」
サスケ「どこにあるんだ、それは!?」
三太夫「……わからん。二千年前の戦いのとき、5本とも飛び散ってしまったけんな」
ジライヤ「Oh, no...」
三太夫「だが、どうしても見つけなければならんけん。それも。あとひと月の間に」
サスケ「えっ?」
三太夫「大魔王が地上に姿を現す前にな」
サスケ「そんな…… ムチャだって! どこにあるかもわかんねぇのに」
三太夫「あきらめたら人間の負けやけん! 大魔王が甦れば、石にされた人たちは全員死ぬ…… それでもえぇのんか!?」
サスケたち「……」
三太夫「時間がないけん。この地図を頼りに、5人バラバラになって自分の巻物を取りに行くんよ」

三太夫の広げる地図を、サスケたちが受け取る。

三太夫「いいか、これはお前たちの試練の旅でもある。行け、カクレンジャー!!」


海岸に立つサスケたち5人。

セイカイ「冗談じゃねぇよ…… なんでバラバラになって巻物を探さなくちゃいけねぇんだよ。5人揃って行けばいいじゃねぇか!?」
サスケ「……時間がないんだ。仕方ねぇ」
サイゾウ「サスケは平気なの? 俺たち今まで、一度も離れ離れになったことなんてないのよ!?」
ジライヤ「途中で何かアッタラ、二度と…… みんなと会えないかもシレナイ」
サスケたち「……」
鶴姫「私は行くわ。石にされた人たちを助けられるのは、私たちしかいないのよ!」
サスケ「その通りだ」
サイゾウ「……」
サスケ「ハハッ、逢えるさ! 忍之巻を手に入れ、必ずみんな戻ってきて、今までどおり仲良くやれるって! だろ?」

明るく振舞いつつも、わずかに言葉に涙が混じるサスケ。
サイゾウは無理に笑顔を作り、セイカイは涙を堪え、鶴姫とジライヤは静かに、それぞれ頷く。

鶴姫「みんな……」
サスケ「これは隠流忍法の極意を手に入れるためだけの旅じゃねえ…… 俺たちに与えられた、試練の旅なんだ。心の底から、戦士になるためのな!」

サスケ (見てろよ、妖怪ども…… 俺たちは必ず忍之巻を手に入れ、ここへ戻って来るからな!)
鶴姫 (恵子ちゃん、良太くん、待っててね)
サイゾウ (どこにあるのよ、忍之巻?)
セイカイ (俺…… 自信ねぇけど、がんばるぜ!)
ジライヤ (See you again, my friends...)

サスケたち「See you again, my カクレンジャー……」

果たしてサスケたちは、無事に忍之巻を手に入れ
石にされた人々を救うことができるのでありましょうか?

これにて『忍者戦隊カクレンジャー』第1部の終了であります。
来週からは装いも新たに 立派に戦士として成長したサスケたち5人が繰り広げる
『忍者戦隊カクレンジャー』第2部「青春激闘編」のスタートであります。
テレビの前のみんなも、楽しみに待っててね!

本日は、ここまで~!

第一部 完

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最終更新:2014年07月14日 02:47