とある広い森。
黒いマントの人物、レディナが集団に追われていた。
集団は一斉に矢を放つが、すべて交わされる。
すると仮面をかぶった1人の矢がレディナの背中に刺さる。
レディナ「うっ!」
一同「おおっ!」
レディナは崖を飛び降りる。
そこからコンドルが矢を持って飛び去っていく。
闇の神殿。
レディナは何か呪文を唱えていた。
王宮。
ティオ「母上! 母上、しっかりしてください!」
医者「なんということだ。ますます弱っていくぞ」
ティオ「母上、目を覚ましてください。母上!」
重鎮「呪いだ。レディナの呪いだ!」「恐ろしや……」
ティオ「うろたえるな!」
レディナ「眠るのだ…… この世の終わりが来るまで。マヤナ国に呪いあれ!!」
神殿に雷が落ちる。
すると女王の手が落ちる。
ティオ「母上!」
一同「女王様!」
ティオ「母上!!」
レディナ「あはははは!」
森の中に立つ家。
そこに魔女に扮するスネ夫がやってくる。
スネ夫「こんばんは……」
しずか「はーい!」
家から白雪姫のしずかが出てくる。
スネ夫「これはこれは、白雪姫様」
しずか「なーに? おばあさん……」
スネ夫「このリンゴを召し上がれ。これは魔法のリンゴ…… これを食べればどんな願いも叶うのよ」
しずか「まぁ、ありがとう。私の願いはただ1つ。王子様と幸せに暮らしたいの……」
スネ夫「さぁ、召し上がれ」
しずか「カリッ。ううっ、ああっ……」
しずかはリンゴを食べて倒れる。
スネ夫「ヒーヒッヒッヒ! 眠るがよい。この世の終わりが来るまで! イーヒッヒッヒ!」
スネ夫が去る。
一方、ドラえもんとミニドラたちが歌っていた。
ドラえもん「あっ、白雪姫!」
ミニドラたち「ドラドラ!」
ドラえもんたちは白雪姫の柩の前で泣き崩れる。
ドラえもん「姫〜!」
一同「うわあーん!」
ドラえもん「白雪姫!!」
声「白雪姫!」
そこへジャイアンがやってくる。
ドラえもん「王子様、姫さまが……」
ジャイアン「ジャーン! どうしちゃったのだ? おおーっ、私の愛する白雪姫が! うわあーん!」
ドラえもん「少し演技オーバーだな……」
ジャイアン「おおっ! なんという美しい顔。そしてなんという美しい手……」
しかし、ジャイアンが触れていたのはのび太の手だった。
ジャイアン「のび太! なんで木が邪魔すんだ?」
のび太「だって、手を握るなんてシナリオにないじゃないか」
ジャイアン「王子様だからいいの!」
のび太「だいたい、ジャイアンが王子様だなんて……」
ジャイアン「じゃんけんで決めたんだ。文句あっかよ?」
スネ夫「でも王子様は僕に気品がなくちゃ……」
ジャイアン「じゃあ、俺は下品なのかよ?」
しずか「もうやめて! これじゃ練習にならないわ」
ドラえもん「ほんと。せっかく『万能舞台セット』で雰囲気出してあげたのに。練習休憩!」
すると景色が元に戻る。
ドラえもんはミニドラたちをポケットにしまう。
ドラえもん「いっつも配役で揉めるんだから。ご苦労さん……」
しずか「これじゃ学芸会に間に合わないわ……」
ジャイアン「だいたい『白雪姫』なんてやる気がでないよな……」
スネ夫「うん」
しずか「そうかしら? 素敵なお話じゃない……」
のび太「王子様とお姫様に魔女の話なんてほんとにあったのかなぁ?」
ドラえもん「さぁ。『白雪姫』は童話だからね……」
スネ夫「あっ、いけない。塾の時間だ! 悪いけど先に帰るね」
のび太「あっ、スネ夫……」
ジャイアン「ああっ、俺も店番しなくちゃ!」
のび太「えっ? ジャイアンも?」
ジャイアン「ドラえもん、これ借りてくぜ」
ドラえもん「ああっ、それはダメ!」
ジャイアン「いいじゃない……」
ジャイアンは装置を作動させ、ネズミを出現させる。
ドラえもん「ぎゃああっ!!」
ジャイアン「ごめん。エキストラの『ネズミの大群』押しちゃった。じゃあな!」
ジャイアンは装置を持って帰ってしまう。
のび太「ドラえもん! あっ、ジャイアンったら!」
しずか「ドラちゃん、しっかり」
ドラえもん「ネズミ、ネズミが……」
のび太「何に使うつもりなんだ?」
剛田雑貨店。
ジャイアン「ひひひ。コンサートの練習には最高だぜ! スーパースターの舞台は、これだ×2。観客は…… 10万人。行くぜ」
装置の作動により舞台はコンサート会場となる。
ここでは観客が歓声やジャイアンコールをあげていた。
ジャイアン「行くぜ!」
ジャイアンはとっさに衣装に着替える。
ジャイアン「どうだ! 今日の衣装は新しいんだぜ! 今日は思いっきり歌うぜ!」
野比家。
ドラえもんはすでに目を覚ましていた。
ドラえもん「ええっ? 持ってった!? よーし、取り返そう。『取り替えっこ風呂敷』! 物と物を入れ替える風呂敷なんだ。のび太くん、何かいらないものなーい?」
のび太「いらないもの? ゴミ袋がある!」
のび太がゴミ袋を持ってくる。
ドラえもん「風呂敷をかぶせて、取り替えたいものと代われって叫べばいいんだ。行くよ」
のび太「よし!」
ドラえもん「ジャイアンの……」
のび太「変われ!」
ドラえもん「ああっ、早いよのび太くん!」
するとゴミ袋とジャイアンが入れ替わる。
ジャイアン「俺はジャイアン! ガキ大将♪」
のび太「何とかしてよドラえもん! ドラえも〜ん!!」
最終更新:2018年01月09日 22:32