ついに、デスザラスの巨大要塞が 地球侵攻を始めた。
次々倒れてゆくサイバトロンの戦士たち。 スターセイバーさえ、その圧倒的攻撃力の前に、 消息不明となっていた。
そして、地球のシャトルベースにも 危機が迫っていた──
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地球、サイバトロン軍シャトルベース。
ウィングウェーバー「総司令官と、まだ連絡はとれないのか?」
ファイヤー「コールはしてるんですが、全然」
ダッシュタッカー「まさか、総司令官は……」
ウィングウェーバー「馬鹿を言うな! コールを続けるんだ!」
デストロンに見捨てられてデスザラスの攻撃を浴びた恐竜戦隊。
重傷の隊長ゴウリュウがシャトルベースに運び込まれ、隊員たちに見守られながら、手当てを受けている。
隊員たち「わぁ、気がついた!」「良かったよぉ!」
ゴウリュウ「カ…… カクリュウ……」
カクリュウ「な、何です? 隊長」
ゴウリュウ「サイバトロンを呼んでくれ…… 話したいことがある」
ヨクリュウ「話したいこと?」
カクリュウ「誰でもいい、早く呼べ……」
ファイヤー「キャ、キャプテン! 現在地点に隕石爆弾が降下中! あと3分です!」
ダッシュタッカー「シャトルベースを移動させよう!」
ウィングウェーバー「無理だ、間に合わない」
ダッシュタッカー「じゃあ、どうすれば!?」
「トランスフォーム! 合体、ランドクロス!」
マルチ戦隊が合体してランドクロスとなり、シャトルベースから隕石目がけて飛び立つ。
ランドクロス「命に賭けても、俺たちで止めてやる!」
デストロン暗黒要塞の投下した隕石爆弾が迫る。
ランドクロスが自分の身も省みず、隕石目がけて銃撃。
隕石が空中で大爆発──!
衝撃でランドクロスの合体が解け、大地に叩きつけられる。
一方のシャトルベース。
ゴウリュウが、ジャンに1枚のディスクを託す。
ジャン「どうして、こんなことを僕たちに?」
ゴウリュウ「デスザラスは、俺たちを裏切った。だが、捨てられるのは嫌だ…… だから、見捨ててやるさ……」
ジャン「でも……」
ブラッカー、ラスター、ブレイバーの3人も、重傷を負って担ぎ込まれている。
ジャン「キャプテンたちに、相談しなくちゃ」
ファイアー「ピーポー、すぐ来てくれ。キャプテンたちがケガをした」
ピーポー「キャプテンたちもぉ!? これじゃ、体がいくつあっても足りないなぁ」
ジャン「ランドクロスまで…… 僕が行くしか!」
シャトルベース内の通路を、ホーリーが救急箱を抱えて奔走する。
ホーリー「畜生、どこもかしこもケガ人だらけだ。一体どうなるんだろう」
彼の前を、ジャンの愛機イルミナIIが横切って行く。
ホーリー「ジャン!? イルミナIIなんか出して、どこへ?」
シャトルベースからギャラクシーシャトルが飛び立つ。
コクピット内のジャンのもとへ、ホーリーが顔を出す。
ホーリー「ジャーン、黙ってどこへ行く気だ? 水くさいぞ」
ジャン「ホーリー…… デスザラスの要塞の動力源を止める方法を、ゴウリュウが教えてくれたんだ」
ホーリー「あいつが? 本当だとしたら、何とかしないと」
ジャン「みんなケガしてるんだ。僕が行くしか」
ホーリー「無理無理、1人じゃ。僕も行くよ。でも、命がけだよ。ジャン」
ジャン「うん。僕もサイバトロンの1人だ!」
シャトルベースからの通信。
ファイヤー「ギャラクシーシャトル、誰が乗ってんだ? 応答しろ!」
ホーリー「ファイヤー、後を頼んだぞ」
ファイヤー「リーダーなのぉ!?」
ジャン「じゃあね」
月軌道上のデストロン暗黒要塞。
デスザラスとライオカイザーが、地球を見つめる。
デスザラス「我がデストロン歴代のトップたちが、たかがあんな星一つを制圧できなかったとはな。だが、わしは違うぞ。あの星を消し飛ばし、名実ともに宇宙の支配者となってやる。花火の遊びはこれまでだ」
ライオカイザー「では?」
デスザラス「要塞砲で地球を吹っ飛ばす。要塞を駆逐モードにトランスフォームさせろ」
要塞が変形を始める。
そのはずみで、要塞の片隅に流れ着いていたビクトリーセイバーが、宇宙へと放り出される。
ビクトリーセイバー「うぅっ…… 要塞…… 要塞にたどり着かなければ…… はっ、私は気を失って……? そうだ、要塞は?」
変形した要塞から巨大な砲門がせり出し、地球に狙いを定めている。
ビクトリーセイバー「これは!? まさか、地球を!?」
ライオカイザー「照準セット。要塞砲、エネルギー注入開始」
デスザラス「フフフ、一発で吹き飛ばしてやる」
ライオカイザー「うっ、ビクトリーセイバー!」
デスザラス「何っ!?」
ビクトリーセイバーが要塞に向かって来る。
ライオカイザー「おのれぇ、死に損ないが! ジャマはさせません。奴は俺に!」
デスザラス「行け。だが殺すな。半殺しにして、地球の消滅する様を見せてやるのだ」
ライオカイザー「はっ。大帝のご配慮どおりに」
ビクトリーセイバーが要塞を銃撃するが、まったく応えない。
デスザラス「ウハハ! そんなもので私の要塞砲を壊せると思っているのか? 貴様たちサイバトロンの好きな地球も、あと十数分の命だ」
ビクトリーセイバー「命にかえても、阻止してみせる!」
ライオカイザー「そうはさせん! とどめを刺してやる!」
要塞から飛び出したライオカイザーが、ビクトリーセイバーを迎え撃つ。
ジャン「総司令官!」
ホーリー「やっぱり生きてたんだぁ!」
ジャン「当ったり前さ! よぉし、僕は要塞に向かう」
ホーリー「僕も!」
ジャンがイルミナIIに乗り換え、ホーリーとともに要塞へ向かう。
ビクトリーセイバー「ジャン、なぜここに!?」
ジャン「総司令官、ゴウリュウから動力源を止める方法を聞きました。僕が行きます!」
ビクトリーセイバー「やめろ、ジャン! 危険だ! トランスフォーム!」
ビクトリーセイバーが、スターセイバーとビクトリーレオに分離する。
スターセイバー「ビクトリーレオ、ライオカイザーを頼む!」
ビクトリーレオ「わかった! よぉし、さぁ来い、ライオカイザー!」
ジャンたちが要塞へ突入する。
トランスフォーマーの侵入を感知し、ホーリー目がけてレーザーが降り注ぐ。
ホーリー「わぁ~っ!」
ジャン「ホーリー!?」
ホーリー「ジャン!」
ジャン「やっぱり、人間の僕が行くしかないんだ!」
ジャンがイルミナIIで単身、先へ進む。
スターセイバーも続こうとするが、銃撃の雨が侵入を阻む。
スターセイバー「ジャン!」
ジャン「まっすぐ行って、左の角を4つ目……」
(ゴウリュウ『その動力炉こそ、要塞の要。そこを破壊さえすれば、要塞はおしまいだ』)
通路の突き当たりの扉を抜ける。
そこにあった動力炉は、何百メートルはあろうかという超巨大なものである。
ジャン「こ、こんなに大きいもの…… どうやって壊せばいいんだ!?」
デスザラスが要塞砲の照準を地球に定め、ほくそ笑んでいる。
デスザラス「あと2分。フフフ……」
動力炉では、ジャンがイルミナIIの機体に細工を施している。
ジャン「ごめんよ、イルミナII。お前を使って動力炉を壊すしかないんだ。ごめんよ……」
要塞の外では、ビクトリーレオとライオカイザーの戦いが続く。
ライオカイザー「くそっ! どけぇ!」
ビクトリーレオのビームを食らい、ライオカイザーが要塞の砲門へ吹きとばされる。
ライオカイザー「がはあぁぁっっ!?」
ライオカイザーが、砲門に漲っているエネルギーを浴びて、吹き飛ばされる。
ライオカイザー「い、意識が薄れる…… 体が動かん…… た、助けてくれええぇぇ──っっ!!」
ライオカイザーが、遠い宇宙の彼方へと消えて行く。
デスザラス「ば、馬鹿者! エネルギーの充満している砲に近づくとは。自分自身のエネルギーを吸い取れらた上、弾き飛ばされおって。まぁいい。どうせこの一発で地球もおしまいだ。──発射、10秒前」
ジャン「頼むぞ、イルミナII!」
無人のイルミナIIが矢のような勢いで発進する。
動力炉目がけて自らの機体を叩きつけ、大爆発する。
ジャン「う、うわぁっ!」
思わぬ爆風でジャンが吹き飛ぶ。
動力炉に火花が飛び散り、要塞砲のエネルギーが、静まっていく。
デスザラス「何!? どうしたんだ!?」
要塞の外でスターセイバーを苦しめていた銃撃も、一斉にやむ。
スターセイバー「ジャンが止めたのか……? ジャン!」
スターセイバーが要塞内に突入、内部へ突き進む。
スターセイバー「ジャン! どこだ、ジャン! どこにいる、ジャン!」
デスザラス「スターセイバー! よくもわしの城に土足で!」
ジャンを捜し回るスターセイバーの行く手を、怒りに燃えるデスザラスが塞ぎ、一騎打ちとなる。
スターセイバー「デスザラス、お前の負けだ!」
デスザラス「ぬかせ!」
スターセイバー「お前の消そうとした地球の、たった1人の少年に負けたのだ!」
デスザラス「死ね!」
スターセイバー「お前の野望もここまでだ!」
デスザラス「わしの野望はお前の首だぁ!」
スターセイバー「そうはさせん!」
デスザラス「ブレストアタック!」
デスザラスの胸からタイガーブレストとイーグルブレストが分離、スターセイバーに襲いかかる。
スターセイバー「サイコミサイル!」
スターセイバーはミサイルでブレストを撃ち落とす。
デスザラス「おのれぇ!」
2人がもつれ合い、壁面を破って要塞の外へと飛び出す。
デスザラスが剣で斬りかかる。スターセイバーのバルカンが、デスザラスの左目を砕く。
スターセイバー「デスザラス、勝負!」
デスザラス「何をぉぉ!」
スターセイバー「プラネタリーインパルスソ──ド!!」
2人の剣が激突。スターセイバーが、折れた剣を手にして、がっくりと膝をつく。
デスザラス「フフフ…… 貴様、わざとか……」
デスザラスの胸には、折れたスターセイバーの剣の切っ先が突き刺さっている。
デスザラス「片目の効かぬ俺の遠近感をごまかして、わざと剣を斬らせて…… わしはまだ死なん、まだ負けたわけではない…… うわぁぁ──っ!」
デスザラスが胸から血のごとくオイルを吹き出し、倒れる。
スターセイバー「ジャン!」
要塞の外のホーリーとビクトリーレオ。
ホーリー「どうしたんだろう、ジャンは? 戻って来ない」
ビクトリーレオ「行ってみるぞ」
ホーリー「は、はい」
ジャンがうなされている。
要塞の砲撃で、級友のイルミナが吹き飛ぶ悪夢……。
ジャン「うぅっ、イルミナ…… はっ!? ホーリー?」
ホーリーとビクトリーレオにより要塞の外へ救い出されたジャンが、目を覚ます。
ホーリー「ジャン、良かったぁ! ケガはない?」
ジャン「そうだ、地球は? 要塞は!?」
ホーリー「大丈夫。要塞の動きは止まったよ」
ジャン「……総司令官は?」
ホーリー「逢わなかったの? ジャンを捜しに、先に入ってったよ」
ビクトリーレオ「じゃあ、総司令官はまだ中にいるのか?」
ジャン「早く呼んで来なくちゃ…… うぅっ!」
ホーリー「だ、大丈夫かい?」
ビクトリーレオ「よし、俺が総司令官を呼んで来る。ジャンをシャトルに連れてってくれ、ホーリー」
スターセイバーは再び、要塞内でジャンを捜し回っている。
スターセイバー「ジャン、どこだ!?」
突如、背後で扉が閉じる。
要塞各所で、次々に隔壁が閉ざされてゆく。
ホーリー「総司令官が閉じ込められた!?」
ジャン「総司令官……」
スターセイバーのもとに、どこからかデスザラスの声が響く。
デスザラス「勝った気でいるか、スターセイバー…… だがわしは、ただでは死なん。貴様を道連れにしてやる……」
スターセイバー「何!?」
デスザラス「貴様だけではない。貴様の愛する地球もだ…… スクリーンを見ろ」
壁面のスクリーンに地球が映り、その距離が次第に近づいて来る。
デスザラス「地球に体当たりする要塞は、このわしからのプレゼントだ…… 自分の体ごと吹っ飛ぶ地球を、とくとそこで見定めて……死ね。ハハハハハ!」
要塞内の片隅のデスザラス。
デスザラス「うぅっ、し、死なぬ! わしは死なぬ…… 帰って来るぞ、もう一度。この宇宙を我が手に掴むまで、サイバトロンを倒すまで……」
デスザラスが壁面のハッチを開く。
要塞内の空気が外の宇宙空間へ流れ出し、デスザラスが外へ放逐される。
気を失ったデスザラスが傷だらけのまま、宇宙の彼方へと消えて行く。
スターセイバーは必死に扉を砲撃するが、ビクともしない。
ビクトリーレオたちからの通信が届く。
ビクトリーレオ「総司令官!」
スターセイバー「閉じ込められた。奴はこの私を、要塞ごと地球にぶつける気だ!」
ビクトリーレオ「何ですって!?」
ホーリー「早く、脱出してください!」
ジャン「総司令官!」
スターセイバー「ジャン、どこにいる!?」
ジャン「ビクトリーレオとホーリーに助けてもらって、もう外にいます!」
スターセイバー「一刻も早く、この要塞を破壊しなければならん。場合によっては…… 自爆してでも」
ホーリー「そ、総司令官!?」
ジャン「そんなぁ!?」
ビクトリーレオ「早まらないでください、総司令官! 場所をキャッチしました! 今行きます!」
壁面をぶち破り、ビクトリーレオが現れる。
スターセイバー「ビクトリーレオ! ビクトリーレオ…… 君の命を、私に預けてくれ。この命に代えても、地球を守る!」
ビクトリーレオが頷く。
スターセイバー「トランスフォーム!」
2人が合体して大型ジェットモードとなり、無数の隔壁を次々にぶち破り、一気に要塞の中心部へ突入。
全火器による嵐のような砲撃が轟く。
要塞内がたちまち、炎に包まれる。
スターセイバー「トランスフォーム!」
スターセイバーとビクトリーレオが分離、壁を突き破って外へ飛び出し、再合体してビクトリーセイバーとなる。
ビクトリーセイバー「全エネルギー結集! このまま突っ込むぞ! 突入したとき、全エネルギーを解放する!!」
ビクトリーセイバーが、全身にエネルギーを漲らせて火の玉と化し、要塞に突っ込む。
要塞が幾重もの閃光を放ち、大爆発──!
デストロンの野望もまた、要塞とともに最期を遂げる。
ホーリー「そ、総司令官……」
ジャン「スターセイバー……」
サイバトロンの愛と勇気が、
そして人間の知恵と友情が、
地球を、いや、宇宙の平和を守った……。
地球の丘の上。
級友たちとともに避難しているイルミナが、空を見上げる。
空に突然の閃光がきらめき、そして消える。
ギャラクシーシャトルが、ゆっくりと降下して来る。
ジャンが地上に降り立って、イルミナと手を取り合う。
イルミナ「聞いたわ、ジャン! あなたが要塞を止めたんですって?」
ジャン「うぅん。最後はやっぱり、総司令官が……」
イルミナ「でも、ジャンも立派に地球を守ったのよ!」
空を閉ざしていた暗雲が晴れ、陽の光が差し込み、小鳥たちが鳴き始める。
ジャン「君を助けたかったんだ……」
イルミナ「えっ? 私のために?」
ジャン「うん…… いやぁ、地球を守るためにだよ」
イルミナ「もう、何よ! 今、感激したのに」
スターセイバーの声「愛する人を守りたい…… その気持ちが、宇宙を守ることになるんだ」
(ジャンのナレーションによる後日談)
ブラッカー、ラスター、ブレイバーの ブレインマスター3人は、 第一方面軍司令官として活躍中。
マルチ戦隊は、新たにベガ星支部に配属、 支部長に昇進。
レスキューズは、マイクロ星で相変らず ドタバタやってます。
グレートショットさんは雇い兵に戻って、 シルバルト戦域で消息不明…… でも きっと生きてるよ!
恐竜戦隊のゴウリュウは地球で、 土木建設工事の親方をしています。 もちろん軍団も一緒に。 カクリュウは遊園地で、子供たちの人気者です。
僕とイルミナは進級しました。 また一緒のクラスです。
そして、スターセイバーは……
もちろん健在! サイバトロンの総司令官として大活躍中!!
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最終更新:2015年04月07日 04:49