初恋限定。(アニメ版)の最終回

夜。楠田、衛、曽我部の3人は寝袋で寝ようとしていたが・・・
楠田「さみーっ、もっとこっちに寝袋よこせよ!」
衛「ああっ、僕の寝袋なのに!大体さ、野宿する用意する位ちゃんとしてこようよ」
曽我部「ていうか、まだ9時にもなってないのに寝るのは早くないか?」
衛「起きてたって、お腹減るだけだろ。結局、夕飯だってお菓子だけだったし」
曽我部「僕、腹が減っていると眠れないんだよなー」
衛「ああ、もう!ぶつぶつうるさいよ!」
楠田「財津は腹が減ると、腹が立つタイプだな」
衛「いいから、静かにしてよ!」

その3人を追ってきたあゆみ、小宵、名央、慧の4人は温泉に入っていた。
小宵「楠田くんたち逃げられたかな?」
名央「犬の群れから?」
小宵「何行ってるの千倉ちゃん、あれ犬じゃ無くて狼だよ」
あゆみ「え、狼!?絶滅したんじゃないの?」
慧「ちょっと何でそうなるのよ。問題はあいつらが無事かどうかでしょ」
あゆみ「それなら大丈夫だよ。財津くんがいるから」
小宵「ははは・・・・」

慧(ホントに、無事だといいんだけど・・・)
慧の元にあゆみと小宵が寄ってきた。
慧「な、なに?」」
小宵「慧ちゃん、ムネおっきくてうらやまし―――」
あゆみ「ホントだ」
慧「ちょっと。何なのよあゆみまで」

あゆみ「もっと良く見せてよ~」
あゆみと小宵が慧に飛びかかった。
慧「もう今それどころじゃないでしょ!勘弁してよ!」
名央「・・・」


ハツコイリミテッド

朝。衛達の食料であるお菓子が全て食べられていた。
衛「ああ―――!僕達の大事な食糧が!」
曽我部「全部食べられてる。昨日の夜食べた時、まだ18個残ってたのに!」
衛「誰だ!誰が全部食べたんだ!」
曽我部「何で楠田は黙ってるんだ?」
衛「も、もしかして、楠田くんが犯人!?」
楠田「そうだよ」
衛・曽我部「「!」」
楠田「オレが食べたよ。けど!俺が食べたのは2個だけだ!つまり、俺の前に16個盗み食いした奴がいるってことだ!」
衛「16個も食べてないよ!せいぜい5、6個・・・」
楠田「じゃあ曽我部が10個も食べたのかよ!」
曽我部「ご、五十歩百歩じゃないか」
楠田「ふざけんな!俺なんか2個しか食ってねーんだぞ!10個も食いやがって・・・」
曽我部「もともと僕が持ってきた駄菓子だし・・・」
楠田「そういう問題じゃねえ!せめて粉だけでも残して・・・」
衛「怒ってもお腹空くだけなのに・・・」


操、有二、良彦の3人は電車で衛やあゆみ達を追っていた。
操「お菓子食べますか、お兄さん?」
有二「いらん。何でこいつまで一緒なんだ」
操「じゃあ、肩を揉みましょう。ずっと電車乗って、肩凝ったでしょ、おにいさ~ん」
有二「どんだけ媚びても歩はお前には渡さん!」
操「ホントに好きなんです!妹さんのことが!」
有二「俺の方が!何万倍も!何億倍も!あゆみのことを・・・」
良彦「有原!そうやっていつもいつも、あゆみって言ってるけど・・・」
有二「何だよ」
良彦「山本さんのこと、ちゃんと考えてあげろよ」
有二「何だよ、いきなり、山本って・・・別所、お前・・・・」


あゆみ達は地図を見ていた。
あゆみ「うーん、財津君たちどこに行くつもりなんだろう?」
名央「このまま行くと・・・」
小宵「海だぁ!」
慧「じゃあ、この辺りの海岸、片っ端から行ってみるか」


曽我部達は、弁当を食べていた。
曽我部「あー、やっと落ち着いた」
楠田「腹が減っては戦は出来ぬって言うもんな」
衛「戦って・・・僕達そんな事しに来た訳じゃないだろ?どうするの?後150円しかないんだい。もう家に戻った方がいいんじゃないかな?」
楠田「お前はふんぎり付いたのかよ?」
衛「え?」
楠田「隣のお姉さんにフラレたことから、立ち直りたいんだろ。今のままで胸張って戻れんのかよ?」
衛「それは・・・」

衛達はまた自転車で進みだした。

楠田「俺はまだ戻れねえ」
曽我部「僕も、まだ戻れない」
衛「僕だって!僕だって,このままじゃ戻れないよ。さき姉のこと諦めなきゃ、忘れなきゃって思うんだけど、ちっとも忘れられないんだよ」
曽我部「分かるよ。その気持ち。僕だってちっとも忘れられないんだよ、千倉さんのことが・・・」
衛「曽我部くん、千倉さんのこと・・・」
曽我部「千倉さんのあの笑顔!あの笑顔が素晴らしいのに!今の僕じゃダメなんだ!千倉さんに相応しい僕にならなきゃ戻れないんだよ―――!」
衛「僕だって!どこがいいのか全然理解できない男にさき姉取られたんだぞ!絶対僕の方が幸せに出来る自信があるのに!」
曽我部「僕だって千倉さんを幸せにしてあげたいさ――――!絶対あいつよりイイ男になってみせる―――!」

曽我部「僕は!カッコよくないが!カッコよくなりたいんだ!」
衛「楠田くんは!」
曽我部「楠田も叫べよ!」
楠田「俺はいいよ」
曽我部「どうせまた江ノ本さんとケンカしてヘコんでるだろ!」
衛「楠田くん!江ノ本さんにフラレたの!?」
楠田「う、うるせえな!フラれてなんかねえよ!」
曽我部「じゃあ何で旅に出たんだよ!」
衛「そうだよ!楠田くんが旅に出た理由は!?」
楠田「自分に自信が欲しかったんだよ!」
衛「自信?」
楠田「それと・・・」
曽我部「それと?」


夕暮れ。楠田達は、海岸まで辿り着いた。

楠田(空っぽになった頭に最初に浮かんだのは・・・)
それは慧との思い出だった。
楠田(オレが自分に自信が欲しい理由・・・)

慧(ホント、ゴメンね・・・)

楠田「ちっくしょう・・・うわ――――――!」
楠田が海の方へ走り出した。

衛「楠田くん!」
曽我部「待てよ!」

楠田達が海に入り、叫んだ。
楠田「大好きなんだ―――――!!江ノ本――――!!」
曽我部「大好きだ―――!!千倉さ――ん!!」
衛「大好きだ―――!!さき姉――――!!」

小宵「えーーー今のホント、楠田くん!ちょービックリ!ねっ、慧ちゃん」
楠田達の後ろにあゆみ達が来ていた。

楠田「ああぁ・・・・」
慧「今の・・・ホント?」

楠田達は逃げ出した。

慧「ああっ!」
小宵「こらーーー、待て―――!」
小宵の方にあゆみと慧が荷物を投げ出した。
慧「小宵、それ持ってて!」
あゆみ「あたしのもお願いね!」
慧とあゆみが楠田達を追った。
小宵「えっ、何なの、も―――」
名央も小宵の元に荷物を置いて、楠田達を追う。
小宵「千倉ちゃんまで!?」

あゆみ「待って―――財津くん―――!」

衛「追いかけてきてるよ!」
楠田「とにかく逃げろ!掴まったら旅が終わっちまう!大丈夫か曽我部!」
曽我部「ずっと、自転車、運転、つか・・・」
曽我部が派手に一回転しながら転んだ。

楠田・衛「「曽我部」くん!」
曽我部「ぼ、僕はもう走れない・・・お前らはこの旅を終わらせるな・・・」

楠田「バカ立て!早く・・・」
あゆみ「財津く―――ん!」
楠田「曽我部・・・」
衛「ごめん!」
楠田と衛はまた走り出した。

名央が曽我部の前で立ち止まった。
名央「曽我部くん大丈夫?砂まみれだよ・・・」
曽我部「千倉さん・・・僕は・・・千倉さんのことが、好きです」
名央「曽我部くん・・・」
曽我部「ごめんなさい、勢いに任せて言っちゃって・・・」
名央「あの、私・・・」
曽我部「分かってます。今も連城先輩の事が好き、なんだよね・・・そりゃ僕はあいつに比べて顔も頭も悪いし、絵も上手くないけど・・・でも、いつも僕も絶対追いついてみせるから・・・」
名央「違うよ曽我部くん」
曽我部「え?」
名央「連城先輩には無い、別のいい所を曽我部くんは持ってるんだよ。それを探しに来たんだよね?だって曽我部くんは連城先輩じゃないんだから。曽我部くんは曽我部くんなんだから」
曽我部「千倉さん・・・」
名央「私も頑張るから、たからお互い頑張ろう。ねっ、曽我部くん」


有二達も海岸に向っていた。
有二「本当にこっちでいいのかよ?」
操「ムシャクシャした時とか、悩んでる時って何か無性に海が見たくなるだろ」
有二「それってヤンキーだけんじゃ・・・」
操「何か言ったか?」
有二「いえ、ははっは・・・」

あゆみ「財津くんってば!待ってよ―――!」

有二「この声は!あゆみ!そこにいるのか!」
操「うお―――!衛―――!」
良彦「ちょっ・・・」

あゆみ「待ってよ財津くん!そうやって逃げるのは、まだ山本さんのこと好きだから!?」
衛「・・・ッ」
衛が立ち止まった。

有二「あゆみ!いた、あゆ・・・」

あゆみ「好きな気持ちは仕方ないじゃない!」

有二「あゆみ・・・」

あゆみ「逃げたって、好きな気持ちは消えないよ・・・」
衛「逃げたわけじゃないんだ」
あゆみ「じゃあ何で・・・何で家出なんか・・・」
衛「立ち直りたくて・・・」
あゆみ「立ち直れた?」
衛「どうかな。でも、いっぱい叫んだら何かスッキリした」
衛が笑い、あゆみは泣き出した。
衛「あ、有原さん・・・」
あゆみ「良かった・・・財津くんが笑った顔がまた見れて・・・無事で・・・」
衛「ありがとう、ここまで来てくれて」
あゆみ「ううん」

有二と操は、2人のやり取りを見守っていた。

慧「もう何処まで逃げる気よ!待ちなさい楠田―――!」
慧が上着を脱ぎ捨て、持っていた水筒を楠田に投げつけた。
楠田「何すんだよ!」
慧「え――――い!!」
楠田「どわあぁ!」
慧が楠田に体当たりして押し倒した。

楠田が慧の胸が背中に乗っているのを見て、飛び退いた。
楠田「うおわ!離せよ!」
慧「えへへへー、あたしの方が足が長いから、本気出せばすぐ捕まえられんのよ。あっ、ゴ、ゴメン・・・」
楠田「謝る必要ねーだろ。事実なんだしよ」
慧「ねえ、旅に出たの?」
楠田「答える必要無いだろ」
慧「あたしには聞く権利あると思うけど?」
楠田「足が短くて顔がブサイクだからだよ」
慧「え?」
楠田「江ノ本なんかには一生わかんねーよ、俺のことなんて。江ノ本は美人だし、何処かのイケメンと付き合えばいいだろ」
慧「あたし、楠田のカッコイイ所知ってるよ。クラスが嫌な雰囲気の時に冗談言って和ませたりさ。それに楠田、友達のことすっごく大事にしてるし、軽いフリして、ホントはすごく頼れる奴だって・・・
運動会の応援委員やった時だって・・・あたし、あたしも・・・楠田のことが大好き・・・」
楠田「う、嘘言うな!お前俺のこと大嫌いだって言ってただろ!
慧「あれは嘘!今のが本当!」
楠田「ありえねえよ!俺こんなのだぜ!江ノ本より背が低いし、顔だって・・・
慧「それが何!中身が良ければ見た目なんて関係ないの!」
楠田「・・・男は顔だって散々言ってたのは、お前だろ・・・」
慧「何よ。さっき海に向ってあたしの事大好きだって言ったくせに・・・」
楠田「あああ!もう!うるせえ!」
楠田がまた逃げ出した。
慧「両思いって分かったのに何で逃げるのよ―――!」

有二達はあゆみ達に合流した。
小宵「お兄ちゃん!小宵のこと心配で探しに来てくれたなんて!小宵、感激です!」
操「衛――――!生きててくれてありがとう――――!」
有二「・・・もう、心配かけんなよ」
あゆみ「あれ?」
(それだけ?いつもなら抱きついたり、気持ち悪いこと言うのに・・・)

楠田「帰ろーぜ」
曽我部「ああ」
衛「うん!」

帰り際、慧たちは海に沈んでいく夕日を見た。
慧「ねえ、見て。すっごくキレイ」
小宵「ホントだ・・・」
名央「きれい・・・」

楠田「俺、旅に出て良かったよ」
曽我部「僕も」
衛「僕も!」

有二「おれもそろそろ、妹卒業しなきゃな・・・」
良彦「有原・・・」


付き合っている寺井と共に1人残っていたりかの元に連絡が来た。
りか「楠田達、やっと見つかったって」
寺井「そっか、良かった」
りか「たく、何現実逃避してんだろ」
寺井「逃避、ってだけじゃないと思うよ」
りか「え?」
寺井「何て言うか、自力で何かをやり遂げたいって言うか・・・分かるな、僕もつらい時はきっと同じだから・・・」
りかが寺井の手を取った。
寺井「土橋さん!?」
りか「もし、そういう状況になったとしても、寺井がどっか行っちゃうなんてあたし絶対嫌だから・・・」
寺井「ど、ど、土橋さん・・・」


後日。あゆみ達の学校。
慧「は?愛する恋と愛される恋?」
あゆみ「海で財津くんがあたしじゃない女の人の名前を叫んでるのを聞いて、
あたしのこの思いは一生報われないと思ったら、いっそあたしのこと好きって言ってくれたお兄さんとって・・・」
慧「あゆみ。男は顔じゃないのよ!そりゃ、財津兄は見た目ブサイクよ。恐ろしいわよ!でもそーゆー人に限ってピュアなハートを持ってたりするものなの!!」
りか「変わったなー、江ノ本」
あゆみ「土橋ちゃんはどう思う?
りか「好きって言ってもらえるだけで・・・嬉しくってくすぐったくて恥ずかしくって・・・でも心地よくて」
慧「そーなのー!わかるわかる!うれしくって恥ずかしくて!」

小宵「 困った時はこれ!」
小宵が一本の花を取り出した。
小宵「財津くん!お兄さん!財津くん!お兄さん!財津くんからのお兄さん!財津くんと見せかけての、お兄さん!」
あゆみ「・・・」

名央「・・・あたしにはわからないけど、でも・・・たとえ報われなかったとしても、その恋もたしかに・・・意味はあるはずだから」
あゆみ「千倉ちゃん大人だねー」
名央「えへ」

曽我部「どーするも何も、好きな奴を好きなままでいいじゃないか。実らない恋だって得るものはたくさんあるんだから」
あゆみ「千倉ちゃんも同じこと言ってた」
曽我部「えっ!千倉さんが・・・それはそれでフクザツだ・・・・・」
あゆみ「楠田くんは?」
楠田「俺とか財津の兄貴とかってダメモト側の人間じゃん。
だから手紙渡すのだって相当勇気必要だったと思うんだよなー。つーか、髪切ったんだ、曽我部」

岬が家に帰るとその前に有二がいた。
有二「おっす」
岬「あ、有原!?なんで有原がここにいるの」
有二「知りたいから。山本のことちゃんと・・・」
岬「嘘!あたしになんか興味無いくせに・・・」
有二「待てよ!」
有二が岬の手を取った。
岬「離してよ」
有二「ヤダ」
岬「何なのよ一体」
有二「知りたいと思っちゃ、ダメか?」
岬「えっ・・・」


あゆみは財津家を訪れた。

衛「有原さん・・・」
あゆみ「返事、遅くなっちゃてゴメンなさい。あたしやっぱり財津くんのことが・・・財津衛くんのことが好きなんです!! 」
衛「あ、有原さん、あのこんな所で・・・」
あゆみ「操さんが怖いだけの人じゃないって。今は知ってる・・・だけど、もうちょっとだけ追いかけてみたいの。大切なあたしの・・・・・・初恋を」


あゆみ「私達は恋をする」
岬と有二が顔を赤らめながらも、寄り添って歩く。
その後ろに、久間たち水泳部がついていた。
あゆみ「うまくいくことばかりじゃない」
めぐると武居が一緒にプールの中で泳ぐ。
あゆみ「間違うことも、あるかもしれない」
小宵が良彦の弁当を作る。
あゆみ「でも、初めて出会った恋する気持ちは」
りかと寺井が部活から一緒に帰って行く、
あゆみ「きっと、確かに大切なもので」
曽我部と名央が絵を描いている。
あゆみ「そんな思いの一つ一つが」
慧がエロ本を持って逃げる楠田を追いかける、
あゆみ「―――私達を未来へ運んでゆく」

あゆみが小宵達と合流した。

名央「あゆみちゃん」
小宵「で、どっちの財津くんにしたの?」
あゆみ「ひみーつ」
慧「男は中身なのよ、中身」
りか「あんたが言ったらとギャグだから」

あゆみ(アナタは今恋をしてますか・・・?)



おわり

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最終更新:2018年09月01日 22:48