この地球には悪しき「魔」が住みついている。
そして同時に、この地球には「魔」を屠る者がいた。
謎の生き物「さきちゃん!東の方向に敵の気配ヌポ」
少女「OK,それじゃあ・・・行くよっ!」
羽根の生えた謎の生き物、マスコットのココロンを従えた、フリフリの衣服を纏った少女―――魔法少女さきが、地上に降り立った。
その名は・・・魔法少女である!
魔法少女さきが、異形の怪物と相対する。
さき「ようやく出たわね・・妖鬼モョスウッチ!!こわい」
モヨスウッチ「ギョベロボババンヌゥエッゲヘエー!!!」
ココロン「さきちゃん!気をつけるヌポよ!何を言ってるかよくわからないけど、とにかく殺意を感じるヌポォ~!!」
さき「何を言ってるかよくわからないけどわかったわ!!」
モョスゥッチ「ゴベロバッチョンヌウゴ――――ッ!!」
モョスゥッチが口から吐いた光線がさきの左手に当たった。
さき「キャッ。なんて攻撃・・・・ん?」
ココロン「こ、これは!!攻撃を受けたところが白黒になってるヌポォ~~~~~~!!」
モョスゥッチの光線が当たったさきの左手が、白黒になっていた。
さき「クッ・・・せっかくのカラーページになんて卑劣なことを・・・」
ココロン「もったいなさが限りないヌポォ・・・」
モョスゥッチ「ギョバ~~~~」
さき「よし、あの技を使うよ!」
ココロン「ま・・・まさか、あの禁断の技を!?」
さき「魔法少女、レインボーミラクルスーパーデリシャスプリティハイパーレインボーアタ――――ック!!!」
さきがステッキから放った虹色の光線がモョスゥッチに炸裂した。
モョスゥッチ「ゴベロチョマァッムフンンゥア――――――ッ!!!」
さき「成敗!!」
ココロン「七色を惜しげもなく使いゴージャス気取った攻撃・・・貧乏性のさきちゃんらしい技なのスポォ~」
さき「うっ!!」
さきが膝をついた。
ココロン「さきちゃん!!」
さき(技の反動で力が・・・えっ・・・?)
豪勢な服を着た少年がさきを抱え上げていた。
さき(ピ・・・ピーチプリンス・・・!!)
「どうしてここに・・・王国へと帰ったはずじゃ・・・」
ピーチプリンスが指を立て、自分の閉じた口を指さす。
ピーチプリンス「しっ・・・」
さき(は・・・はい~~~~~~っ)
さき(ピーチプリンス・・・貴女は一体何者なの・・・・?ああ、でも――――・・・しばらくは、まだこの腕の中に・・・)
ピーチプリンス「ピピピピ」
目覚まし時計「ピピピピピピピ」
さき「・・・・・・・・」
「・・・・・」
ベットで寝ていた少女、卯野さきが目覚め、
目覚まし時計を止めた。
さき(・・・・夢か・・・・・・)
「ちくしょう・・・・」
さきともう一人の少女、御翔桜世が街でライブをしていた。
さき「皆――――!!今日はマジカルツインのライブに来てくれてありがとう!!今日出たばっかりのシングル『ハチミツフラュシュ~変わるわね~』もよろしくね!」
しかし、二人のライブには人っこ一人来てなかった。
さき「・・・・・・・・・」
(人っこ一人いない・・・・)
「マネージャー・・・ひょっとして今日この辺りに戒厳令敷かれてたりとか・・・」
マネージャー 矢茂小波「いや、君達が人気ないだけだね・・・まだCD1枚も売れたことないよ・・・」
さき「ハッキリ言いますね・・・・」
(また部屋が自分で買った自分のCDの在庫で溢れてしまう・・・)
桜世「あ、兄さん」
さき「えっ」
二人の後ろのTVに、桜世の兄で、冒頭でピーチプリンス役(?)だった、御翔桃拾が映っていた。
司会「それでは今大人気のユニット、STAR☆PRACTICEのお2人の登場でーす!」
「今日も桃拾はひたすらボーっとしてましたね~」
小波「あー!そういえば桜世ちゃんのお兄さんってこの黒髪の方の・・・桃拾だ!」
桜世が頷いた。
小波「いやーすごいよねぇ~あんなトップアイドルと兄妹なんてさあ」
「あれ?ってことは・・・・さきちゃんはスーパーアイドル御翔兄妹と幼なじみか~」
さき「えっ」
さきはガラスにびったりとくっついてまで、桃拾を見ていた。
さき「幼なじみっていうか小さい頃から私がついて回ってただけで・・・・・・・実はアイドルになりたいってキッカケもちょっとでも桃拾ちゃんに近づきたかったからなんです」
「不純ですよねっ。それにまだ全然ですけど・・・」
小波「いやー。ラブだね!ラブ☆パゥワ~だね!」
さき「もう、やだもう。何言ってるんですかもう!!」
小波「あっでもアイドルは恋愛禁止だからね!いきなり普通の女の子に戻る宣言とか涙の卒業演説とかだめだよ!」
さき「だ、大丈夫ですってば~!」
小波「ホントにー?」
桜世がさきの手を取った。
桜世「追い越してやろうよ、兄さん」
さきが笑みを返した。
さき(まだまだ頑張らなきゃいけない事はたくさんあるけど、ずっとこんな日が続けばいいなぁ・・・)
小波「それじゃさきちゃん、おつかれ――――」
さき「はい、おつかれさ・・・・・」
さき(心から、そう)
さきの家の前でヤクザの様な風体の男が、家の扉を蹴りつけていた。
さき(思っていたんです)
ヤクザ?「ウラァ、出てこいやワレェ。ここにおるのはわかってるんやぞゴラァ。オルアアアアアアアア」
さき(ヤ、89・・・3・・・・・?ひ、ひえ~~~~~っ)
「あ・・・あの・・・うち・・・用・・・家・・・まちがえ・・・・?」
ヤクザ?「おう、この家のモンか・・・・・?ちょっと話きかせてもらおうやないかオラァ・・・・」
さき(ヒ、ヒエェ~~~~~ッ)
小波「さきちゃん!大丈夫!?」
桜世「一体何が・・・・!?」
小波と桜世は電柱に隠れながら様子を見ていた。
さき(ち、ちゃっかり隠れている・・・・)
さき「心配しないで!見ての通り全然平気だから!」
小波「ほ・・・ほんとに!?通報とか・・・」
ヤクザ?」「ア‘‘?」
男がさきを家の中に引きずっていった。
さき「大丈夫!!超大丈夫!!多分!!元気!!」
さき(嘘です・・・)
ヤクザ?「おふくろさん・・・呼んでくれるか・・・?:
さき「オガーザーン早ぐ来てえ――――」
さきの母、さよりが来た。
さより「はいはい、何のご用・・・・」
さき「お・・・お母さ・・・うちにヤのつく自由業の方が・・・・」
さより「ヤノック?」
「・・・・・!!コーさん・・・どうしてここに・・・・」
ヤクザ?「おう、久しぶりやのう・・・さよちん」
さより「帰って!私とあなたの関係はもう終わったはず・・・」
ヤクザ?「ククク・・・甘いな・・・ワシから逃げられると思ったら大間違いやぞ・・・」
さき(ちょ・・・ちょっと――――――!!!この2人まさか・・・、まさかだよね・・・?)
さき「あの・・・お2人はその・・・どういう・・・そういう関係で・・・・・?ああいう・・・・・?」
さより「・・・・そうね、さきにはそろそろ話しておくわね・・・お母さんね・・・実は魔法少女やってたのよ・・・」
さき「は?」
(元魔法少女)さより「魔法少女だったんよ・・・・」
さき「は?」
ヤクザ?「ちなみにワシはお供のマスコットや」
ヤクザ風の男が出した名刺には、
「魔法界 魔法少女マスコット部門 ココロちゃん」と書かれていた。
さき「嘘でしょ!!?名前かわいっ」
ココロ「パッと見てすぐわかると思うたんやけどな・・・語尾もついてるしなゴラァ」
さき「それ語尾だったの!?100人が見て100人がその筋の人だって答えると思うけど」
さより「でも・・・ほら、お母さん先月腰痛めちゃったでしょ?寄る年波には勝てないっていうか・・・・」
さき「さ・・・最近までやってたの!?」
さより「現役だったよ」
ココロ「まぁ・・・この業界15過ぎたら完全にババァやからな!」
さき「厳しすぎる・・・今の発言だいぶ敵作ったよ、あんた・・・・」
ココロ「でもそれやったらこの辺守る魔法少女おらんようになるやろ?やからもうちょい頑張ってもらわんと困・・・・・ん?」
さき「ん?」
ココロ「・・・・・・・・・・・」
ココロがさきをじ――――――っと見つめる。
さき「?、?」
ココロ「ねぇ・・・好きな人とか・・・・いる・・・・?」
さき「何いきなり!?そ、そりゃ年頃の女の子だし、ときめきやきらめきの1つや2つ・・・・・・」
ココロ「年は?」
さき「じゅ・・・15」
ココロ「まぁギリギリセーフやな、オラァ・・・・よし!」
「ワシと契約して・・・魔法少女になろうや・・・・・?」
さき「!?」
さより「よっしゃ!!さきちゃん、お母さんの腰の代わりに頑張って!!」
さき「ちょちょちょっと待ってよお!!まっ・・・待て!!!」
「急にそんな事言われても・・」
ココロ「お前・・・魔法少女になったらあれやで・・・?ムッチムチのバインッバインやでクラァ・・・・」
さき「ウ・・・ウッビョオ!!いやっいや・・・・えっマジ?」
ココロ「ノリ気やな!じゃあさっそく・・・」
さき「わーっ、今の違っ・・・・・タイム!!タイム!!!」
ココロ「この契約書にサインしてくれる?」
契約書
私は、次の事項を遵守し、
全ての人々及び平和を守ることを
ここに誓約します・
- 魔法界のルールに従い正義を貫くこと。
- 史上による魔法の乱用・悪用を行わないこと。
- みだりに己の正体を明かさないこと(*特定の場合を除く)
- 戦闘によって精神的・身体的にどのような損害を被ろうとも一切の文句を言わないこと。
さき「予想以上に生々しい・・・・全然マジカルじゃないじゃん・・・・」
「でも・・・すごい魔物?とか出るんでしょ?」
ココロ「大丈夫大丈夫!魔法少女っつーても最近は近所のチンピラやっつけたりするだけやから!妖魔なんて滅多に・・・・・・ん?」
ココロの腰の辺りから「デルデルデルデル・・・・」というアラームが鳴り出した。
ココロ「妖魔出ちゃった・・・」
さき「え――――――――っ!!!!」
ココロ「ちょうどええ・・・お前にも見せとくわオラァ・・・妖魔の恐ろしさを・・・!!」
さき(スマホで見れるんだ・・・・)
ココロ「見ろ!!このおぞましい姿を・・・!!!」
ココロのスマホには、モコモコとした可愛らしい生き物が映っていた。
さき(かわいい)
「かわいい・・・っていうかこっちの方がマスコットっぽい気が・・・・」
ココロ「バカめ!ゴラァ!そんな仮初めの姿に決まっとるやろが!こいつらおもっくそムッムキになんぞ!」
さき「ム・・・なんて!?」
ココロ「ムッキムキ!!」
「それに妖魔に通常の攻撃は通じん・・・・倒せるのは特別な力・・・・魔法少女だけや」
さき「・・・・・・あつ、誰か人が・・・・・」
桃拾が妖魔を抱え上げてるのが、スマホに映っていた。
さき(!?)
ココロ「知り合いか?」
さき「も・・・桃拾ちゃん・・・・・・!?」
(帰ってきてたんだ・・・・そういえば動物好きだったもんな・・・)
ココロ「まずいなゴラァ・・・妖魔は人を異界へさらう」
さき「!」
「場所は!?」
ココロ「この先の角だオラァ!」
さき「わかった!」
さきとココロが家から飛び出した。
ココロ(・・・・・・こいつ・・・)
さき(桃拾ちゃん、桃拾ちゃん・・・・!!)
「桃拾ちゃん!無事・・・・」
駆けつけたさきの眼前で、縛られた桃拾がムキムキになった5匹の妖魔に抱え上げられていた。
さき「ウワ―――――ッ手遅れだ―――――ッなんか増えてるし」
桃拾と妖魔の進むすぐ前に、黒い穴が開いていた。
ココロ「おい!あの異界ゲートに放り込まれたらゲームオーバーやぞコラァ!!」
さき「近っ」
さきがココロの首筋を掴んで、揺さぶる。
さき「お願い!どうやったらあいつら倒せるか教えて!!お願い!!」
ココロ「ちょ・・・ゆらすな・・・酔っ・・・・」
さき「桃拾ちゃんを助けたいの!!」
さきの胸に、♡マークが浮かび、そこから光が溢れ出した。
ココロ(このラブ♡パゥワ~指数は・・・・・!!)
「よっしゃ!!思いっきり好きな奴の名前を叫んで告れ!!」
さき「!?ハ・・・ハエア!!?なっ・・・なん!!?」
ココロ「早うせんかいオラァ!!それが変身の呪文だァ!!あいつがいなくなってもいいのか!」
さき(よくない!!!!!!)
「わ、わたっ、私はっ。御翔っ、桃拾ちゃんがっ、大好きだあああああああ・・・・・」
♡マークが強く輝き――――
次の瞬間、さきが居た所にフリフリの衣装を纏った――――
筋骨粒々の男が立っていた。
さき(!?!?!?!?)
妖魔(!?)
さき・妖魔
(続く)
最終更新:2019年11月11日 22:54