海の見える岬に立てられたユリ子の墓に、茂と立花が花を添えた。
茂「ユリ子許してくれ・・・俺の力を至らなかったばかりに・・・お前を死なせてしまった!・・・・」
立花「茂、そんなにいつまでも悲しんでいちゃ・・・亡くなったユリ子は喜びやしない・・・」
茂「分かっています・・・だが、決してお前の死は無駄にさせないぞ・・・」
立花「それでこそお前は、仮面ライダーストロンガーだ」
茂「親父さん。俺は、デルザー軍団の、改造魔人の最後の一人を倒すまではここには来ない・・・」
立花「その日が一日も早く来る事を、きっとユリ子も望んでいるだろう」
茂「ユリ子・・・いや、電波人間タックル。安らかに眠ってくれ・・・」
立花「お前の分まで、俺ががんばるぞ!」
茂「では行きますか」
立花「行くったってお前、当てでもあるのか?」
茂「デルザーの目は、俺達から離れちゃいない」
立花「何だって」
茂が手袋を外し、近くの岩場に飛び移った。
茂「電タッチ!」
茂が岩場に電タッチを放つと、潜んでいたデルザー軍団の戦闘員が倒れた。
立花「おい」
茂「ドクロ少佐の戦闘員だ」
立花「いつの間に。おい、早いとこ行こう」
デルザー軍団の基地で、ドクロ少佐とジェネラル・シャドウが盃を交わしていた。
ドクロ少佐「シャドウ、ストロンガーは俺が倒す」
シャドウ「ほうほう、流石はデルサー軍切っての切れ者、ドクロ少佐。ストロンガー打倒の手はずは打ってあるとでも?」
ドクロ少佐「勿論のことよ。ドクロ少佐によって鍛え抜かれたシノビ集団がストロンガーに着かず離れず機会を伺っているのよ。包囲が完成次第、止めは俺が直々にやる。どれ様子を見るか。ストロンガーの居場所は?」
ドクロ少佐の持つ盃に、戦闘員の顔が映った。
戦闘員「白骨岬の岩場です」
茂と立花は、岩場で火を焚いていた。
立花「おい、いいのか。煙なんか出して。俺達の居所が知れちまうじゃないか」
茂は無言でウインクした。
立花「ん?罠か!」
戦闘員たちが岩場の上から茂たちを監視していたが、
茂は火に水をかけ、吹き出た煙に紛れて姿を消した。
戦闘員たち「き、消えた」
「探せ!」
戦闘員たちが岩場に降りた。
戦闘員「まんまと逃げられたか」
ストロンガー「はっはっは!逃げはせん!」
ストロンガーと立花が出てきた。
戦闘員「はかったな」
ストロンガー「逃げたと見せてお前達をおびき出したのさ」
立花「まんまと引っかかったな」
戦闘員「やれ!」
ストロンガーが戦闘員たちと戦う。
戦闘員「ドクロ忍び戦闘員の力を見せてやる」
戦闘員たちは息の合った連携攻撃を見せたが、ストロンガーは返り討ちにした。
立花「うまく行ったな!」
ストロンガー「後はこいつらを上手く利用して、ドクロ少佐の不意を付く」
立花「よし」
ドクロ少佐「ゼネラル・シャドウ、どうやらデルザー軍団の実権を握るのはストロンガーを倒すこの俺だな。火炎隠れ!」
ドクロ少佐が鎌から炎を放ち、姿を消した。
シャドウ「ふっ、いい気なものだ。ドクロ少佐め」
ドクロ少佐が白骨岬に来た。
ドクロ少佐「戦闘員ども」
戦闘員たちは倒れていた。
ドクロ少佐は戦闘員たちの側に降り、蹴り起そうとする。
ドクロ少佐「間抜けが。あれだけ言っておいたのに、おい!目を覚ませ!」
戦闘員の一人がドクロ少佐の足を掴み、押し倒した。
ドクロ少佐「何をする!うろたえるな!」
戦闘員?「うろたえてなどいるものか」
ドクロ少佐「ええい、貴様は!」
戦闘員の覆面を被っていたのは、茂だった。
茂「御存じ、城茂!」
ドクロ少佐「計ったな」
茂「ドクロ少佐、貴様、タックルの恨みを晴らしてやる!」
ドクロ少佐「馬鹿め、俺を捕まえたつもりか。あれを見ろ」
もう一人のドクロ少佐が離れた岩の上にいた。
茂が離れると、抑えていたドクロ少佐は炎と共に消えた。
茂「消えた・・・」
岩の上のドクロ少佐も炎と共に消えた。
ドクロ少佐「見事かかったな、城茂」
茂「駄目だ、気配もない・・・」
茂が辺りを見回していた所に、銃撃が飛んできた。
茂「うわ——っ!」
茂は爆発と共に姿を消した。
ドクロ少佐「見事しとめたか」
ドクロ少佐が出てくると、茂の笑い声が響いた。
茂「ははははは・・・」
ドクロ少佐「ええい、隠れても駄目だ。この目で見つけ出してやる」
ドクロ少佐が目を凝らすと、岩の陰に潜んでいたストロンガーが見つかった。
ドクロ少佐「ドクロ機関砲!」
ドクロ少佐が鎌から銃弾を放ち、ストロンガーは岩の上に飛び上がった。
ストロンガー「改造魔人ドクロ少佐、今日こそ勝負をつけてやる!」
ドクロ少佐「それはこちらのセリフだ」
ストロンガーとドクロ少佐が戦う。
やがて、ストロンガーがドクロ少佐の鎌を掴み、放り投げるとドクロ少佐は一旦離れた。
ドクロ少佐「ドクロ、分体~」
ドクロ少佐の体が、頭、両腕、胴体、脚の五つに分かれた。
分かれたドクロ少佐の体が、次々にストロンガーに向かってきた。
ドクロ少佐「ドクロ火炎!」
ドクロ少佐の口から火炎が吐かれ、ストロンガーを焼いていく。
ストロンガー「ああっ・・・・」
ドクロ少佐「ドクロ再生!」
ドクロ少佐の体が、一つに戻った。
ドクロ少佐「命は貰った!」
ドクロ少佐がストロンガーに鎌を投げつけたが、
どこからか落ちてきた岩が鎌を弾いた。
ストロンガー「た——っ!」
ストロンガーが海に飛び込み、姿を消した。
ドクロ少佐「今一歩の所を!」
落ちてきた岩から、改造魔人・岩石男爵が出てきた。
ドクロ少佐「岩石男爵、どうしてここへ!」
岩石男爵「ゼネラル・シャドウがよう、ドクロ少佐の最期を見届けろと言っちゅうよ。
どころが話は大違い。ストロンガーの方がやべえ。で、お前にあっさり手柄立てられちゃ俺としてはつまらんじゃろうが」
ドクロ少佐「よくも邪魔を」
岩石男爵「面白え、やるか」
ドクロ少佐「貴様との勝負は、ストロンガーをやっつけてから改めてつけてやる」
岩石男爵「あいにくじゃったね、ストロンガーは俺が片づけるんよ。じゃあばよ。岩隠れ!」
岩石男爵が岩の中に戻り、岩が崖の上に登っていった。
ドクロ少佐「だが、あれだけ痛めつけたストロンガーがそう遠くにはいかぬはずだ。ようし、火炎隠れ!」
ドクロ少佐が炎と共に姿を消した。
留められたカブトローに子供たちが集まっていた。
子供たち「かっこいいな~」
そこへ立花が来た。
男の子「これ、おじちゃんのオートバイ?」
女の子「かっこいいわ」
立花「なんたってカブトローだもんな」
男の子「すっげ~な」
立花「さあみんな、あんまり長くなるとお家で心配するから帰りなさい」
子供たち「「「さよなら——」」」
子供たちが帰っていった。
立花「ストロンガーが無事なら必ず来るはずだ」
その近くにドクロ少佐が来た。
ドクロ少佐「思った通りだ」
茂は海から上がっていた。
茂「折角の奇襲作戦も駄目だったか・・・俺の力ではデルザー軍団の改造魔人どもには勝てないのか・・・?くっ!」
茂目掛けて、岩が落ちてきた。
茂が岩をかわすと、岩石男爵配下の戦闘員が出てきた。
茂「デルザー軍団の新手か」
茂の後ろにあった岩から岩石男爵が出てきて、茂に組み付いた。
岩石男爵「その通り、スフィンクスの血を引き継いだ改造魔人、岩石男爵様よ!」
岩石男爵が茂を棍棒で殴りつける。
茂「変身、ストロンガー!」
茂がストロンガーに変身した。
岩石男爵「ストロンガーになったか、そうこなくっちゃ物足りねえってもんよ」
ストロンガー(ドクロ少佐に受けた傷が痛む・・・おそらく、奴にも俺の力が通じるかどうか・・・しかし、やらねばならんのだ!)
「ゆくぞ!と—っ!ストロンガー電キック!!」
ストロンガーが電キックを放ったが、これまでの改造魔人と同じように岩石男爵の体に弾き返された。
ストロンガー「どあ---っ!」
ストロンガーが起き上がった所を、岩石男爵が棍棒で殴り飛ばした。
岩石男爵「どうした、行くぞ!」
岩石男爵はストロンガーを攻め立て、岩場の上に投げ飛ばした。
ストロンガー「岩石男爵、勝負は預けたぞ!」
ストロンガーが逃げていった。
岩石男爵「よし、追え!」
近くの道をワゴン車が走っていた。
岩石男爵「怪しい車だ、行く手をふさげ。行くんだ!」
戦闘員たちが岩になって、車の前に落ち、運転していた男が出てきた。
男「どうなってるんだ?」
男が岩をどかしていく間に、岩石男爵が車の後ろに回り、
荷台を開けたが、中に入っていたのは野菜だった。
岩石男爵「見込み違いか、ちっ!」
岩石男爵が車から離れると、野菜の中に隠れていた茂が顔を見せた。
茂「危ない所だった・・・あっ・・・」
茂が気絶した。
目覚めた茂は、どこかの研究室で寝台に拘束されていた。
茂「ここはどこだ?」
車を運転していた男が出てきた。
男「気がついたようですな」
茂「君は・・・放せ。俺をどうしようと言うんだ」
男「まあ落ち着きなさい。君が気を失ってる間に失礼だが調べさせてもらった」
茂「俺の体を?」
男「まさか君が改造人間だったとは、一瞬信じられなかった」
茂「俺をどうするつもりだ・・・俺にはやらなければならないことがあるんだ・・・離してくれ」
男「その体で、戦うのかな?」
茂「もちろんだ。俺は、悪と戦うために、改造人間になったんだ」
男「その改造人間にも限度がある。違うかな?今、君が戦っている相手には電気の力では勝てない」
茂「どうしてそれを?」
男「体の電気回路がいたる所で破損し、バラバラになってる」
茂「あなたは一体何者なんだ?」
男が名乗った。
正木「正木洋一郎、元ブラックサタンの科学者だ」
茂「ブラックサタン・・・」
正木「逃げだし、戦うために超電子の研究をしている」
茂「超電子?」
正木「そう、電気の力を1とすれば超電子の力はその100倍だ。ただし電気と違って長時間使えない。せいぜい一分だが、超電子ダイナモの力は素晴らしい」
茂「超電子ダイナモ・・・」
正木はある装置を取り出した。
正木「これがその実物」
茂「その超電子ダイナモは、人間には使えないのですか!」
正木「ただしその改造手術の成功確率は10分の1」
茂「10分の1に賭けます!」
正木「死以上の苦痛だが、それでもやるかね?」
茂「はい。電気人間から超電子人間になれるのでしたら、耐えてみせます!」
正木「よし、すぐに取りかかろう」
正木「まず、レザー光線で電気人間の肉体組織を変える」
レザー光線が茂の体に当てられ、茂が気絶した。
正木は茂の胴体を開いた。
正木「電流正常」
「超電子ダイナモ装着」
茂の体内に超電子ダイナモが装着された。
やがて茂が目覚めた。
茂「博士、私の改造手術は?」
正木「成功だ、おめでとう。君は改造電気人間から改造超電子人間に生まれ変わったんだ」
茂「まだ信じられないが・・・」
正木「そうだろう。だが念を押しておくが、超電子ダイナモの使用タイムは一分だけ。それを一秒でもオーバーすれば君は自爆する」
茂「自爆・・・そうですか。正木博士。超電子エネルギーを使えるのは一分間だけですね」
茂が起きようとして、正木が止めた。
正木「まだ動くのは無理だ」
茂「しかし、俺の事を心配してる人がいるんです。早く知らせてやらないと・・・」
正木「私が連絡してあげよう」
立花はカップ麺を食べていた。
立花「茂はとうとう戻らずか・・・・」
そこへ正木の車が来た。
正木「立花、藤兵衛さんですな」
立花「そうですが、あなたは?」
正木「城茂君は無事で、私の研究所に」
それをドクロ少佐が見ていた。
ドクロ少佐「待った甲斐があったというものだ」
正木と立花が研究所に戻った。
正木「茂君もこれで安心するだろう」
立花「ああ」
ドクロ少佐が車の上に立っていた。
ドクロ少佐「道案内御苦労だった」
正木「お前は・・・」
立花「ドクロ少佐」
ドクロ少佐「死ねえ!」
ドクロ少佐が鎌から火炎を放ち、正木の体を焼いた。
正木「うわあ!」
ドクロ少佐「お前もだ!」
茂が出てきた。
茂「おやじさん!」
立花「あ、茂!」
茂「オヤジさん、逃げるんだ」
立花が下がっていった。
茂「博士!」
茂が正木に駆け寄った。
正木「し、茂君、私の言葉を忘れないでくれ・・・」
正木が事切れた。
茂「博士、しっかり」
ドクロ少佐「城茂、最期の時だな」
戦闘員たちが現れ、茂に襲い掛かった。
ドクロ少佐「かかれ」
茂「罪のない、正木博士まで」
茂が公園に移り、ドクロ少佐と戦闘員たちと戦う。
ドクロ少佐「まきびし攻め!」
戦闘員たちが投げるまきびしを茂がよけていくが、
ドクロ少佐に殴り飛ばされ、その拍子に上着にまきびしが刺さった。
ドクロ少佐「かかれ」
茂が上着を捨て、手袋を外した。
茂「変身、ストロンガー!」
茂がストロンガーに変身した。
ストロンガーはダムの上に飛び上がり、
ドクロ少佐と戦闘員たちと戦う。
やがてストロンガーとドクロ少佐は河原に移った。
ドクロ少佐「ドクロ機関砲!」
ドクロ少佐が鎌から銃弾を放ち、更に鎌を投げつけた。
ストロンガーは鎌をかわすも、ドクロ少佐は消失と出現を繰り返し、ストロンガーを幻惑しながら攻め立てる。
ストロンガー「駄目か・・・今は正木博士の言葉を信じるのみだ」
ドクロ少佐が更にストロンガーを攻め立てる。
ストロンガーが飛び上がり、距離を取った。
ストロンガー「チャージアップ!」
ストロンガーの胸のSマークが回転し、角が銀色に輝き、体から火花が吹き上がる。
そして、ストロンガーがチャージアップ形態となった。
ドクロ少佐「ん?」
ストロンガー「これが超電子ダイナモか。よしいくぞ!」
ストロンガーが飛び上がり、きりもみ回転してのキックを放った。
ストロンガー「超電子ドリルキック!!」
ストロンガーの超電子ドリルキックが、ドクロ少佐の頭を跳ね飛ばした。
ドクロ少佐「ケア————!!」
吹き飛んだ頭はそのまま爆発、残った胴体も倒れ、大爆発した。
ストロンガー「恐るべし、超電子・・・・」
立花がストロンガーに駆け寄ってきた。
立花「ストロンガー!やったか」
ストロンガー「おやじさん、この力が得られたのは正木博士のお陰だ」
立花「正木博士の?」
ナレーター「パワーアップを果たしたストロンガー、それを迎え撃つデルザー軍団は如何なる手段で向かってくるであろうか」
(つづく)
最終更新:2020年05月27日 18:24