LAST MISSION 完全決着!これがみんなの戦車道です!! |
まほのドイツ留学への祝いとして、枢軸国と連合国側に分かれての紅白戦が開催された。
そして、その試合も大詰めとなり、
飛び入り参加した愛里寿のセンチュリオンとあんこうチームのⅣ号が激戦を繰り広げていた。
優花里「さすがは島田流戦車道・・・!まったくスキがありませんね!」
華「・・・せめて0,5秒だけでも停止射撃ができれば・・・」
麻子「そんな余裕はないぞ・・・!避けるだけで精一杯だ」
沙織「なんで!?被弾して弱ってるんじゃないの!?」
みほ「・・・ううん、むしろ逆だよ。あの損傷で愛里寿ちゃんは覚醒した。凶暴で危険な『手負いの熊』だね・・・!」
沙織「手負いの熊!?それってボコじゃん!」
みほ「ボコだったら怖くないんだけどね・・・」
愛里寿「やってやる♪やってやる♪やってやるぞー♪」
センチュリオンの砲撃がⅣ号に直撃し、追加装甲をはぎ取った。
優花里「ああッ!?追加装甲が!?」
「直撃を受けたら一撃でやられてしまいますよ!」
華「こちらの75mm砲弾ではセンチュリオンの装甲を貫くことは困難です。圧倒的不利ですね」
みほ「逃げましょう」
麻子「!!・・・シュルツェンの重量が減った分だけ機動力が上がっている・・・・逃げ切れるか?」
みほ「そして沙織さん」
沙織「!」
みほ「ティーガーⅡとの通信を調節してください。これより『とりかえっこ作戦』を開始します!」
エリカのⅣ号戦車ティーガーⅡは、
マリーのルノーB1bisとダージリンのチャーチル歩兵戦車Mk・Ⅶのタッグに苦戦していた。
エリカ「く・・・ッ!あの2輛・・紅茶対決で仲が悪いと思ったら・・・妙に息が合って連携が取れている。あのルノーB1bisに乗っているのは大洗の生徒じゃないわね。一体何者なの・・・?」
ダージリン「あら・・・あなたなかなかやりますわね。戦車の腕は隊長クラスと言ったところでしょうか」
マリー「うふふ♡相手があの噂の西住姉妹じゃなくて残念だけどね♡」
エリカ「・・・なんですって!?言ってくれるじゃないの!?」
小梅「エリカさん!!相手の挑発に乗ってはいけません!!あんこうチームから通信が入りました。作戦に協力して欲しいと・・・」
エリカ「・・・作戦?」
ティーガーⅡが後退していく。
ダージリン「!、ティーガーⅡが後退していく?こちらの重戦車のコンビネーションを崩す作戦ですわね。動かぬが吉ですが・・・」
マリー「うふふ♡こんなナポレオンの格言を知ってる?勝利は迅速果敢な行動にあるのよ!」
ルノーとチャ-チルがティーガーⅡを追いかける。
押田「迅速・・・と言っても重戦車なので遅いのですが・・・」
安藤「どこまで逃げんだ?あ!!」
「神社の奥に赤い橋が・・・!?」
アナウンス「陣地占領ヲ開始シマス!」
押田「陣地占領?ということは」
安藤「ティーガーⅡは陣地の外に出たということか?」
マリー「ふぅん・・・それならこの橋を渡った可能性は高いわね。陣取りのシステムで場所がバレるなんてお間抜けな話よねぇ」
「・・・よし!この橋を渡りましょう!!」
押田・安藤「「ええ!?」」
押田「危険ですよマリー様!なにかよからぬ作戦の予感がします!」
マリー「ふふ・・・あえて危険な橋を渡る。その方が恋も燃えるものなのよ?」
押田「は・・・はあ、そういうものですか?」
ルノーが橋を渡りだした。
安藤「お・・・おいおい押田。どう考えても危険だろ!エスカレーター組の頭はピーマンか!?」
押田「なんだと!?ドデカボチャの受験組には言われたくない!!」
そうしてる所へ、ルノーに砲弾が直撃し、白旗が上がった。
砲弾を撃ったのは、橋の向こうにいたティーガーⅡだった。
エリカ「1対1なら負ける気がしないわ!ルノーB1bisにとってはこの88ミリ砲は天敵のはずよ!」
マリー「もう!あなたたちがケンカしてたから撃破されちゃったじゃないの」
押田・安藤「「め・・・面目ございません」」
マリー「なーんてね♡こうなることは最初からわかっていたわ」
エリカ「・・・!なんですって?」
マリ-「そこはもう陣地のエリア外よ?陣は中央でこのルノーB1bisが塞いでる。あなたはどうやって陣地に戻るのかしら?ここで戦う?それとも迂回する?迷っている間に占領率はどんどんあがっていくわよ?」
チャーチルがルノーB1bisの後ろに来た。
ダージリン「・・・これは意外でしたわね」
「あなたがこんな自己犠牲の精神にあふれたかたなんて感服いたしましたわ」
マリー「乙女には潔さも大切なのよ。勝利に必要なら喜んでこの身を差し出すわ。ティーガーⅡも潔く撃破されることね」
エリカ「潔く・・・!?私の答えはこれよ!!」
ティーガーⅡが砲撃を撃ったが、ルノーB1bisに阻まれチャーチルには届かなかった。
マリー「悪あがきはよしなさい。ルノーが盾となりあなたの砲撃は届きません」
ダージリン「仮に届いたとしても、傾斜したチャ-チルの正面装甲は貫けない!」
エリカ「・・・・!なにもかもあなたの作戦通り物事が進んでるってワケね。本当に癪だわ・・・!」
ティーガーⅡが砲塔を横に旋回させた。
ダージリン「?、どこに砲を向けいてるのですか?あえて装甲の薄い側面砲塔をさらして・・・まるで撃ってくださいと言わんばかりですね」
エリカ「撃つならさっさと撃ちなさいよ!!あなたの作戦勝ちよ!!」
ダージリン「占領完了まで迂回しては間に合わない・・・覚悟を決めましたか」
「!」
(・・・橋の下に車輌が?Ⅳ号・・・センチュリオン?)
みほ「はい!エリカさん!『とりかえっこ作戦』発動です!!」
小梅「標的は橋の上のチャーチル!!脱出ハッチ部分です!!」
愛里寿「!」
(Ⅳ号の走行に一瞬のスキが・・・)
ティーガーⅡの砲塔が、橋の下のセンチュリオンを捉えた。
エリカ「とらえたわ!」
ダージリン「・・・では遠慮無く」
それぞれの砲塔から砲撃が放たれ――――
チャーチルの砲弾はティーガーⅡに、
ティーガーⅡの砲弾はセンチュリオンに、
センチュリオンの砲弾はⅣ号に、
Ⅳ号の砲弾はチャーチルに直撃し―――
大河『・・・な、な・・・なんと!!4輛の車輌の砲弾が互いに交差して、4輛すべてほぼ同時撃破です!こ・・・これは引き分けか―――!?』
ダージリン「脱出ハッチに直撃・・・お見事ですわ。こんな格言を知ってる?『王を殺しても代わりがいる』」
「白軍はまだリサーブ車輌が1輛残っています」
エリカ「!、なにを言ってるの?白軍はセンチュリオンを含めた7輛でしょ?」
ダージリン「センチュリオンは白軍ではありません。ただ偶然に遭遇してしまった、どこにも属さない車輌です。正式な白軍のリサーブ車輌はすでに参加して今も潜伏中です」
エリカ「な!?全部あなたの策略じゃないの!?」
ダージリン「あなた方が勝手に交戦してしまっただけですわ」
左衛門佐「うーむ・・・呂布のようなものか?」
おりょう「いんや、坂本竜馬ぜよ」
左衛門座「・・・じゃあ白軍の本当のリサーブ車輌って・・・?」
ルクリリ「はーっはっはっは!バカめ!!この私こそ温存されていた白軍の最終兵器!!聖グロリアーナ女学院、マチルダⅡを駆るルクリリだ!!」
そのマチルダⅡに砲弾が直撃した。
ルクリリ「あ・・あれ?」
序盤に損傷し、戦線離脱していた、まほのティーガーⅠが戻ってきたのだ。
まほ「紅軍もまだ1輛残っているぞ」
エリカ「た・・・隊長!?」
みほ「お姉ちゃん!!」
まほ「待たせたな・・みほ。そしてよくがんばった、逸見エリカ新隊長」
大河『残ったのはティーガーⅠ1輛!!完全決着!!紅軍の勝利です!!』
ルソーによる陣地占領率は、97%だった。
マリー「あーあ、最終兵器もずっと潜伏してれば占領勝ちできたかもしれないのに。最後の最後でツメが甘かったようね。まさか白黒はっきりするためにあえてダシにしたの?西住隊長に気づかなかったワケじゃないでしょ?」
ダージリン「・・・さあ。どのみちまほさんと戦えなかった時点で完全敗北ですわ」
戦い終わって、皆は銭湯に入っていた。
杏「いや-やっぱり戦いの後はお風呂だね-♪」
桃「私たちは戦ってませんけどね・・・」
梓「そうですよ!私たちも参加したかったのに!ルノーB1bisだけずるい!!」
そど子「私たちも参加してないわよ!」
アンチョビ「そうだ!まだまだ戦い足りん!!私も初戦撃破など納得がいかん!!次は『裸の戦車道Ⅱ』を開催するぞ!!」
ペバロニ「総帥!!」
カルパッチョ「総帥!!」
まほ「裸の戦車道?なんだそれは?」
エリカ「隊長は知らなくていい話です」
まほ「オープントップの自走砲だけの大会?・・・・実に興味深い。我が校にも自走砲はたくさん・・留学の時期をずらずか」
エリカ「ちょ・・・ちょっと隊長!」
ナカジマ「それなら快速の軽戦車のみでレースなんてどうかな?」
スズキ「大洗24時間耐久レースよ♪」
ももがー「オンライン戦車ゲームなら夢の対決も思いのままナリ!!」
西「戦車ラジコン大会などいかがでしょう!!」
福田「プラモ大会でもよいでありますよ!」
ケイ「車輌性能差があるのは真のフェアプレイとは言えないわ!全車輌シャーマンってのはどう?」
カチューシャ「だったらこっちは全車輌T-34よ!50輛対50輛の殲滅戦なんてどうかしら!」
ダージリン「公平でなくてもいいでありませんか、車輌性能差を覆すのも醍醐味ですわ。暴走しちゃう生徒もいればツメの甘い生徒もいる。それがおかしくてたまらないときもあるのです」
みほ「あはは・・・みんな好き勝手言ってるね」
愛里寿「・・・どうして?」
「みなさんはあんなに笑い合えるのでしょう。さっきまであんなに激しくぶつかり合っていたのに・・・」
みほ「・・・それはね、勝ち負けより大切なものがあるからだよ。『いかなる犠牲を払っても勝利する』、私はずっと・・・その西住流の鉄の掟に縛られ、見失っていた」
「そのことに気づかせてくれたのは仲間たち・・・そしてライバルたち。仲間はどんどん増えて・・・かけがえのない宝物になった」
「・・・それがやっとみつけた私の戦車道。愛里寿ちゃん、あなたにもきっとみつかるはずだよ」
みほは、コーヒー牛乳を持ったボコの人形を出した。
愛里寿「あ!それは限定のお風呂ボコ!!」
みほ「ボコも仲間がたくさんいるもんね♡」
愛里寿「仲間と言うか、種類と言うか・・・私もいつか見つけます、私の戦車道を!」
そして、みほ達は海辺に出た。
まほ「大洗の海もこれが見納めか。遠くに行けば行くほど・・・道がわからずに迷うこともあるのかもしれないな」
みほ「そのときは・・・還ってくればいいんだよ。どこへでも行けるし還ってこられる。戦車に通れない道はないんだから!」
まほ「私は私の戦車道を求めて旅立つが・・・お前の戦車道はお前の中にあるんだな」
みほ達「「「「「戦車前進!!」」」」」
おわり
最終更新:2019年07月21日 06:13