七つの大罪(アニメ版第1期)の最終回

メリオダス「諦めるな!俺たち―――〈七つの大罪〉がいる限り!!」

メリオダスの一撃で倒れていたヘンドリクセンが起き上がり、メリオダスに左の拳を振り下ろそうとしたが、バンの‘強奪(スナッチ)‘で、左腕の関節を外された。

メリオダス「ふっ!」
そこへメリオダスがパンチでヘンドリクセンを打ち上げ―――
ディアンヌ「はあ―――っ!」
ディアンヌがギデオンでヘンドリクセンを吹き飛ばし、
岩壁に叩きつけた。

ヘンドリクセンは翼を広げて岩壁から飛び上がったが、
その上からキングのシャスティフォルが突き刺さった。

聖騎士たち「す、すげえ!」
「これが伝説の騎士団の力・・・」

エリザベス「メリオダス様・・・」
メリオダス「大丈夫、エリザベスのお陰で底をついてた体力も戻った。後は俺達に任せて、お前はホークについてやってくれ」

エリザベスは、ヘンドリクセンの攻撃からメリオダスを庇って、黒ずんだ塊となったホークに寄り添った。
エリザベス「ホークちゃん・・・ずっと、側にいるからね・・・」


ナレーター「これは、未だ人と、人ならざる者の世界が分かたれてはいなかった、古の物語。
ブリタニアの歴史の中で、幾度と無く繰り返されてきた争い。
何故にそれは始まり、どう決着を見い出すのものか、最早誰も知り得ない。
その答えを知る者は、ただ一人。そしてその男が率いる騎士団こそ―――伝説の、〈七つの大罪〉!!」


第二十四話 英雄たち

ヘンドリクセンが起き上がり、左腕の関節を戻した。

ディアンヌ「うそ・・・ほとんどダメージを与えてられてない?」
バン「ちっ!腕、もいでやったつもりなのによ、あの装甲の硬さは厄介すぎだろ~」
メリオダス「まだ希望はある」
バン「あっ?」

メリオダス「ゴウセル、あれをやる!全員に伝達を頼む」
キング「団長・・・ゴウセルは、もう・・・」

ゴウセルは既にヘンドリクセンに頭をもぎ落とされていた・・・
しかし、頭の無いゴウセルが立ち上がった。

ディアンヌ「ひいっ!」
キング「うわっ!」

ゴウセルは自分の頭を抱えて、メガネを探していた。
ゴウセル「メガネメガネ」

キング「生きてるよ!」

ゴウセルが頭とメガネを戻した。
ゴウセル「よし、了解だ。団長」
キング「き、君は一体何者・・・?」

ゴウセル「とん、‘光矢伝達(ブロードキャスト)‘」
ゴウセルが頭に左手を当ててから、右手から光の矢を放ち、
その矢はバン達〈七つの大罪〉の団員だけでなく、
その場にいた全ての聖騎士達の頭を通り過ぎていった。

ギルサンダー「あ・・・これは・・・」

キング「一瞬でゴウセルの指示が頭に流れ込んできた・・・」

ハウザー「マジかよ!」

バン「これが作戦だと?」
ディアンヌ「団長・・・ホントにいいの!?」

メリオダス「さ―みんな、行ってみようか!」

ヘンドリクセンと相対するメリオダスから、魔力が溢れ出してく―――
と思いきや、その魔力が消え失せた。

ヘンドリクセン「魔力を解いた・・・何のつもりだ?」

メリオダスが飛び上がり、ヘンドリクセンの後ろに回り、剣を突いたがかわされ腹にパンチを喰らった。
それでも、ヘンドリクセンの拳を握り、回転してヘンドリクセン諸共落下し、ひざ蹴りを叩き込んだ。


ディアンヌ「キング、どうするの!」
キング「分かってる!こうなったら、やるしか!」

ギルサンダー「くっ・・・‘雷帝の鉄槌‘!!」
ギルサンダーの雷撃が、メリオダスごとヘンドリクセンを撃った。

メリオダス「くっ・・・!」
ヘンドリクセン「味方ごと討ちに来るとは・・・私のみに的を絞る余裕はもはや無いか」

ヘンドリクセンが飛び上がったが、そこへマムルスの‘重力(グラビテイ)‘攻撃が放たれた。
マムルス「ちょっ!‘重力×30‘!!よくもオラの正義を裏切ってくっちゃな~~~~~~!!」

ヘンドリクセンがマムルスに右手を向けたが、ハウザーの‘竜巻(テンペスト)‘が遮った。

ハウザー「‘ライジングトルネード‘!」

しかし、メリオダスもその攻撃に巻き込まれていた。
メリオダス「くうっ・・・・」

マムルス「んぎぎぃい~~~~っ!も、もう魔力がもたねえべ・・・」
ハウザー「早えな!もう少し持たせろ!」

‘竜巻‘と‘重力‘が消えて、ヘンドリクセンが降下しようとしたが、
攻撃で起こった砂嵐がヘンドリクセンの行く手を遮った。

聖騎士「よし!」
しかし、ヘンドリクセンはその攻撃を放った聖騎士の目の前に来ていた。
聖騎士「ひっ・・・」

メリオダスがヘンドリクセンの首を絞め、動きを止めた。
メリオダス「お前の相手は俺な!」

そこへ、ギーラの‘爆炎(エクスプローション)‘が飛んできた。

ヘンドリクセン「私の動きを止めるために自らが犠牲になるか・・殊勝な心がけだが、ダメージを受けているのは貴様一人のようだな・・・なるほど・・・エリザベスの力で回復したのはあくまで体力のみ」
ヘンドリクセンの魔力波を受け、メリオダスが吹き飛ばされた。
ヘンドリクセン「最早貴様には、‘全反撃(フルカウンター)‘を使う魔力すら残っていないのでは?」

しかしメリオダスは笑みを浮かべていた。
メリオダス「ふひっ」

メリオダスが地面に叩きつけられた。

ディアンヌ「団長!」

起き上がったメリオダスの前に、ヘンドリクセンが立っていた。
ヘンドリクセン「‘暗黒の環(ダークネビュラ)‘」
ヘンドリクセンが魔力波を放ち、メリオダスを攻撃する。
メリオダス「あんまり俺を・・舐めるな!」
メリオダスが‘暗黒の環“を突き破り、ヘンドリクセンの腹を殴り、そのまま首を絞める。
その周りに無数の岩が浮かび上がっていた。

ディアンヌ「団長・・・ごめんね・・・‘千の礎(ラッシュ・ロック)‘!!」
ディアンヌが浮かべた岩がメリオダスとヘンドリクセンに降り注いだ。

エリザベス「やめてディアンヌ!」

キング「霊槍シャスティフォル第四形態「‘光華(サンフラワー)‘」!!」

シャスティフォルが巨大な木となり、花を開かせた。

ハウザー「まずい・・・退避しろ!」

「光華」から熱線が放たれ、メリオダスとヘンドリクセンに降り注いだ。

ヘンドリクセン「理解に苦しむぞ、憤怒の罪ドラゴン・シンよ・・・濡れ衣で王国を追放されながらも、なお王国のために我が身を犠牲にしようとは・・・」

メリオダスは、制服が消え失せ半裸になりながらも尚、立っていた。

メリオダス「はぁ・・・はぁ・・・」
ヘンドリクセン「この私が全てを破壊し尽くすというのに」
バン「そうはいくかっての~」
バンがヘンドリクセンの後ろに来た。
ヘンドリクセン「ムダなことを。貴様たちの攻撃は、英雄メリオダスを殺しこそすれ私を殺すことはできない」

バン「さあて、どうかな?‘バニシング・キル‘!」
バンの、魔力を込めた三節棍の一撃は、正確にメリオダスの体を抉った。

ヘンドリクセン(奴は何を・・・?)

バン「・・・これで充分か、団ちょ」
メリオダス「・・・ああ」

メリオダスから、巨大な魔力の光が溢れ出した。

ヘンドリクセン「な、何だ!?この魔力は!?」
(まさか・・・)
メリオダス「そう、まさかだ。‘リベンジ・カウンタ―‘!」


ゴウセル「魔力を排除した状態で受けた、あらゆる攻撃魔法を蓄積、チャージし一気に放出する。加減を一つ間違えば自滅必死の諸刃の剣にして、団長のアルティメットブロー、だ」

ポーズを決めて解説するゴウセルに、ディアンヌ達は呆れていた。

ゴウセル「俺の計算だと、この技を受けたお前の生存確率は、0,2%だ。がんばれ」

ヘンドリクセンが翼を広げ、飛び上がった。だが、その行く手を‘障壁(ウォール)‘の球体が覆った。
ヘンドリクセン「ぐっ!」

その場に、グリアモールが来ていた。
グリアモール「私にも、別れの挨拶をさせてもらおう」
ハウザー「生きていたのかグリアモール!」

ヘンドリクセン「どいつもこいつも・・・どこまで私の邪魔をする!」
ヘンドリクセンがパンチで‘障壁‘を砕いたが、メリオダスが目の前に来ていた。
メリオダス「まだわからねぇかヘンドリクセン・・・お前はくだらねえ力と引き替えに大事なもんを全部捨てちまった・・・」

メリオダスが剣を振り抜き――――
吹き上がった閃光がヘンドリクセンを呑み込んだ。

メリオダス「それがお前の罪だぜ」

ヘンドリクセン「こ・・・の・・私・・・が、お前ごときに・・・っ!」
ヘンドリクセンは光の中に消えていった。

そして、空中で大爆発が起こった。
その爆煙の中から、メリオダスが墜落した。

メリオダスは起き上がるも、また倒れた。

ディアンヌ「団長!」
ディアンヌとキングがメリオダスに駆け寄ろうとしたが、
その前にエリザベスがメリオダスに寄り添ったのを見て、立ち止まった。

メリオダスとエリザベスが見つめ合う・・・・・

バルトラ「ウオッ、ホン」

リオネス国王バルトラと〈暴食の罪(ボア・シン)〉マーリンが来ていた。

ハウザー「こ、国王陛下!」

エリザベス「父上!お体の具合はもうよろしいのですか?」
バルトラ「ああ」
エリザベス「良かった・・・」
メリオダス「マーリン、バルトラの治療は終わったのか?」
マーリン「前から試したかった魔界の新秘術がことのほか上手くいってな」
エリザベス「・・・・え?」
メリオダス「国王を実験に使おうだなんて・・・いい度胸してるな・・・」
マーリン「結果良ければ・・・だ。そうだろう、国王陛下」
バルトラ「ハ・・・ハハ・・・」

聖騎士達がバルトラに傅いた。
ギルサンダー「陛下!どうか我ら聖騎士に厳しい裁きを!
我々は、道を踏み外しました・・・聖戦の回避を訴えた陛下の御言葉を無視し、人々の苦しみに目を背けてきました・・・最早我々には聖騎士を名乗る資格すらありません・・・
どうか厳しい裁きを・・・」

バルトラ「分かった、では沙汰を下す。お前たち全員これから当面休暇はなしとする!」
ハウザー「陛下、そんな事では我々の罪は!」
バルトラ「お前達がいくら罰せられたところで、苦しんできた民の傷が簡単に癒えるものではない。今こそ王国聖騎士として一刻も早い王国の復興と民の救済に尽力せよ!」

聖騎士たち「「「はい!!」」」

バルトラ「メリオダス、そして〈七つの大罪〉よ。大儀であった!
裏切り者の濡れ衣を着せられたにもかかわらず、王国を守ってくれたこと、そして娘を守り続けてくれたこと。王として、一人の父として感謝する。ありがとう」

メリオダス「堅苦しいのはなしでいこうぜ、バルトラ」

ディアンヌ「ボク達は友達のために当然のことをしただけだよ。ねっ」
キング「うん」

バルトラ「エリザベス、お前は本当に強くなった。よくぞ一人で〈七つの大罪〉を探し出してくれた。私は父として、お前をとても誇りに思う」
エリザベス「・・・けど・・・でもそのせいで、ホークちゃんは・・・私の、大切なお友達だったのに・・・」
メリオダス「ホークはお前のせいだなんて思っちゃいないさ」
エリザベス「でも・・・」

バンがホークの側に来た。
バン「師匠・・・お前にはひでぇことさんざん言っちまったな。ダチじゃねえなんて・・・・・本当にひでぇこと、言っちまった・・・俺が気に入った奴はみ—――んな・・・俺の前からいなくなっちまう・・・」
ゴウセル「だが結果的にはラッキーだった」
バン「ッ!」
ゴウセル「あの場面で団長が死ねば俺たちの勝率はかなり低くなったが、残飯長が死んだことによる戦力の低下は0だ。なんの支障もない」
バン「てめぇ・・・」
怒りながら振り返るバンの前にマーリンがテレポートしてきた。
マーリン「まあまて・・・フォックスシン、バン」
バン「どけっマーリン!」
マーリン「ゴウセルに悪気はない。許してやれ」
バン「ちっ・・・ならしばらく黙ってろクソメガネ!」

ゴウセル「なぜ怒る」
マーリン「ゴウセル、私の与えた鎧はどうした?」
ゴウセル「・・・・壊れた」
マーリン「・・・そうか、早々に代わりのものを用意しよう」


メリオダス「ホーク・・・勝手に店止めたら許さねえぞ・・・お前の代わりに誰が残飯片づけんだよ・・・」
バン「今度の勝利の栄誉は全部師匠のもんだ。なあ、団ちょ」
メリオダス「ああ・・・戻ってこいよ。そしたら毎日のメシの量、三倍にしてやるぜ」

?「その言葉忘れんな」

バン「っ!?」
キング・ディアンヌ「「!?」」

ホークの体が塵となって、消えていった――――が、その中に小さなホークがいた。

エリザベス「ホーク、ちゃん・・・?」
メリオダス「お前・・・生きてるのか・・・?」
ホーク「うん、そうみたい・・・」

バンが胴上げする要領で、ホークを上空へ放り上げた。
バン「師匠最高、うそみてぇ~~~~~♫」
ディアンヌ「信じられな~い!」
キング「小さくなってる!?」

ホークが蹄でサムズアップをし、メリオダスもサムズアップを返した。
メリオダス「たく無茶するブタ野郎だぜ」

エリザベスがメリオダスを抱きしめた。

ディアンヌ「あっ、ずるい!」
キング「待って」

エリザベスの魔力で、メリオダスの体が回復した。
メリオダス「エリザベス」
エリザベス「メリオダス様もです。もう・・・いつも無茶ばかりするんだから」
今度はメリオダスがエリザベスを抱きしめた。

そこへ、ベロニカが来た。
ベロニカ「エリー」
エリザベス「ベロニカ・・・姉様?ベロニカ姉様!?どうして、姉様は・・・だって・・・」
グリアモール「バイゼルで皆さんと別れた後、突然目を覚まされたのです」

ベロニカ「あんたのお陰だよ」
エリザベス「姉さん・・・良かった・・・本当に・・・」
ベロニカ「泣き虫だな・・・エリーは・・・」

ホーク「とりあえず、一件落着だな」
バン「まっ、そうだな~、ところで、師匠は何でこんな小っちゃくなっちまったんだ?」
ホーク「ナゾ」

エリザベス「メリオダス様」
メリオダス「ああ、終わったんだ」


それからしばらくした後、メリオダスはマーリンと話していた。
メリオダス「常闇の棺がどこにもない?」
マーリン「ああ。魔力を使って色々と調べてみたが、まるで反応がない」
メリオダス「なら一体どこに・・・」
マーリン「念のため、王都中を調べたが結果は同じだ。ただひとつ、団長殿がヘンドリクセンを倒した直後、あの辺りで奇怪な鳥らしき生物が南の空へ飛び去ったとの目撃情報があった」
メリオダス「南か・・・」
マーリン「まっ、渋い顔をするな。アーサーには留守にすると伝えてきた」
メリオダス「あ?」
マーリン「〈暴食の罪〉マーリン、〈七つの大罪〉としてしばし同行しよう」


人々「じゃんじゃん木材持ってこい!」
「明日の王国誕生祭まで一区切りつけとくぞ!」
人々が街の復興に取り組む中、キングはオスローと共に塔の上に座り込んでいた。

キング「あ~あ、ディアンヌ凄く落ち込んでるだろうな。団長とエリザベス様のあんな様子見たら・・・あっ!でもこれってディアンヌをオイラに振り向かせるチャンスじゃないか!」
「・・・チャンスってもなにすりゃいいのさ・・・」
ディアンヌ「チャンスがどうしたの?」
キング「ディアンヌ!・・・えっ?」

ディアンヌは人間と同じ大きさになっていた。
キング「どうしたの?」
ディアンヌ「服を新調する間は小さくなってろって。マーリンが特別な薬を作ってくれたんだ。キング?このお洋服・・・変?」
キング「ああいや、何て言うか・・・」
ディアンヌ「それともボクが小さいと変?」
キング「ちがうよちがうよ!そうじゃなくて!おっきくても小さくても、ディアンヌはディアンヌだな―って、そう思っただけ」

ディアンヌ「・・・ぷぷーっ!そんなの当たり前じゃない!キングってば変なの~」
キング「変かな・・・そうだ!せっかくだし、誰か明日の王国誕生祭に誘ってみたら!・・・例えば、団長とかさ」
(ああ、オイラのバカバカバカ!ホントは一緒に行きたいのはオラじゃないか!)
ディアンヌ「うん、じゃあ誘ってみる。キング!一緒にお祭り行こ?」
キング「はい?」
ディアンヌ「だからボクとキングの二人で、ね?」
キング「はい?」


ジェリコは一人で街を歩いていた。
ジェリコ「くそ!やっぱり魔力が消えてる!」
(でも、あのままだったら俺はバケモノのまま・・・バンが救ってくれなければきっと今頃・・・)
「あ―――あ――――!!あいつのせいで頭ン中がぐちゃぐちゃだ!!」
そこへギーラが通りかかった。
ギーラ「あら、すっかり元気みたいね」
ジェリコ「ギ、ギーラ!何だよ、その女みてえな格好は・・・」
ギーラ「女ですもの。ジェリコも可愛いわよ」
ジェリコ「いいよなお前は・・・暴走もせず、魔力も残ってさ」
ギーラ「実は、理由があるの・・・」
ジェリコ「理由!マジか?」
ギーラ「愛の力」
ジェリコ「は?」
ギーラ「私が彼を、そして彼が私を思う絆がきっと、私を守ってくれたんだと思う」

ギーラが手を振ると家の中にいた―――ゴウセルが手を振り返した。

ジェリコ「ええ―――っ!?」

しかし、ゴウセルは妙な笑みを浮かべていた・・・


〈豚の帽子〉亭。
ホーク「バンの作った残飯うんめ~~~~~!何コレ何コレ!咀嚼が止まらねえよ!ミラクルだろ?ファンタジーだろ!?この味を形容するなら――――」
「‘神の口よりこぼれし至高の残飯たち‘!!

メリオダス「おい神様、ちゃんと経費は抑えて作ってくれたよな」
バン「安心しろ、期限切れのあり合わせだ」

そこへギルサンダーが来た。
ギルサンダー「本当に、店をやってるんですね」
メリオダス「おお、ギル坊。ようこそ、豚の帽子亭へ。適当なとこに座ってくれ」
ギルサンダー「じゃあ」

ホークがギルサンダーを見つめる。
ギルサンダー「や、やあ。君に会ったらちゃんと言おうと思ってたんだ。白夢の森では本当にすまなかった」

ホーク(白夢の森・・・・何だっけ?この残飯は誰にも渡さん・・・!)


メリオダス「はいよ、バーニャエールお持ち」
メリオダスが持ってきた酒は、かってギルサンダーが危機に陥れてしまったバーニャ村の酒だった。

メリオダス「美味いだろ?」
ギルサンダー「・・・とても美味いです」
メリオダス「特に一仕事終えた後の一杯は最高なんだよな~」
ギルサンダー「メリオダス」
メリオダス「ん?」
ギルサンダー「俺・・・王都を出ます」
メリオダス「何で?」
ギルサンダー「ヘンドリクセン達の目を欺き続けるためとは言え、俺はたくさんの人々を傷つけました。俺はそんな自分が許せない。王都を出て各地を巡り、傷つけた人達にどんな形でもいい・・・償いたいんです」
メリオダス「・・・そっか、いいんじゃね。自分の意思で決めたことなら止めはしねえ。お前はもう一人前なんだ」


エリザベス「暗闇に囚われた二人の聖騎士長の野望は潰え、王国に希望の光と人々の笑顔が再び戻りました」


夜。
花火が上がり、バルトラは〈威嚇する咆吼(ドーン・ロアー)〉と共に城から花火を見ていた。

ギルサンダーとマーガレットが抱き合い、キスをした。

グリアモールが父、ドレファスの墓に花を添えて、涙ぐんでいたが、
ベロニカに松葉杖で頭を小突かれた。

そして、〈豚の帽子〉亭に皆が集まり、楽しんでいた。

エリザベス「こうして、〈七つの大罪〉を探す私とメリオダス様の冒険は終わったのです」
「でも私は忘れません。辛かったことも楽しかったことも怖かったことも嬉しかったことも、全てはみんなとの、メリオダス様との大切な思い出だから」



翌朝。
エリザベス達は城で朝食を食べていた。
マーガレット「もうこんな日は来ないかと諦めていたけど・・・」
ベロニカ「姉様には色々と心配かけたね。あんたにもね・・・」
エリザベス「・・・・」
バルトラ「エリザベス・・・」
エリザベス「あ、はい」
バルトラ「今日、〈七つの大罪〉の連中が国を発つ」
エリザベス「え・・・発つって・・・どこへ・・・?」
バルトラ「アーサー王の国、キャメロットじゃ」

エリザベスが立ち上がった。
バルトラ「待ちなさい。どこへ行く」
エリザベス「だって・・今日経つなんてあまりに急で、お別れだってまだ・・・」
バルトラ「会えば別れが辛くなる」
エリザベス「でも!」
バルトラ「新たな旅は今度の旅以上につらく、困難なものとなろう。そのことを知ることからこそ、メリオダスは己が心を律し、一人旅立つことを・・・」
その時、大きな物音が聞こえてきた。
バルトラ「何事だ!ぬおっ!?」

エリザベスがメリオダスと初めて会った時のように、ホークママが窓の外に来ていた。

メリオダス「エリザベス!」
メリオダスが梯子と一緒にエリザベスの前に降りてきた。
エリザベス「メリオダス様!」

メリオダス「いや~すんげー大事なこと忘れててさ、俺達まだちゃんと七人揃ってねーんだよな。一緒に、来るだろ?」
エリザベス「はい!!」

ベロニカ「ちょ、ちょっとエリー!?」
バルトラ「えっ!?」

エリザベスがメリオダスの元に飛び移った。

メリオダス「じゃあバルトラ、そういうことで!」
エリザベス「い、行ってまいります!」
ホークママが城から離れていった。

バルトラ「おい!」


ホーク「エリザベスちゃ~ん、やっぱりエリザベスちゃんがいねえとこいつらだけじゃ締まらないぜ」
ホークがエリザベスの肩の上に移った。

ディアンヌ「お迎え、遅くなっちゃてゴメンね」
キング「お姫様をさらってきてるんだけどね」

エリザベス「ディアンヌ、キング様もゴウセル様もまたよろしくお願いします」

ゴウセル「お願い、します」

キングはおっさんの姿に変身して、サムズアップをした。


バン「団ちょ、俺は今日限りで暇を貰うぜ。行きてえとこもあるしな」

ディアンヌ「え、いきなり?」
ホーク「つか、俺の残飯は!」

メリオダス「戻ってくんだろ」
バン「ああ、決着をつけにな」

バンがホークママから飛び降り、キングがバンを追いかけていった。
キング「お、おい。ちょっと待てよバン!バン!」

マーリン「相変わらず賑やかだな、このパーティーは」
メリオダス「そういえばマーリン、お前には10年前のこと色々と聞きたかったんだ」
マーリン「長い話になるぞ」
メリオダス「心配ないさ。次の目的地までは時間があるからな」


エリザベス(この出会いは偶然か必然か。待ち受けるのは希望か絶望か。〈七つの大罪〉と巡る、私とメリオダス様の新たな冒険が始まったのです)


今は無き、ダナフォール王国。
破壊された町の中、メリオダスは息絶えようとしている自分の思い人――もう一人の‘エリザベス‘、リズの前で涙を零していた。
リズ「泣くな・・・また、会える・・・・」


その頃、リオネス城のドレファスの部屋では・・・
ギルサンダー「これを・・・これと同じものがメリオダスやヘンドリクセンの顔に浮かび上がっていた・・・」
ギルサンダー、ハウザー、グリアモールの三人の前に開かれた大量の書物の全てに、魔神の紋様が書かれていた。
ハウザー「ってことは・・・まさか!?」
グリアモール「父さんは一体何を・・・」
ギルサンダー「全てを・・・初めから考え直す必要があるかもしれないな・・・」


(完・・・・?)

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最終更新:2023年10月16日 11:45