萬屋達三人を殺した犯人、『ケルベロス』の正体は――――
何と千家であった。
千家は余命半年だった自分の恋人、利緒を自作の薬の実験台にして殺した萬屋達を殺害するために、利緒が育てていた犬たちを使った今回の事件を計画したのだった。
そして千家は最後の一人である百田を殺害しようとするが――――
千家「あの男を噛み殺せっ!!」
百田「!!」
金田一「よせ―――――ッ!!千家~~~~~ッ!!」
千家が犬笛を吹いたが・・・・
千家「!?」
「え?・・・・ど・・どうしたんだお前たち!?」
犬たちは千家の周りで座った。
千家「座れなんて言ってないっ!!百田を噛み殺せって言ってるんだ!!」
百田「あ・・・・」
五十嵐「・・・・」
八尾「せ・・・・」
千家「あの男はお前たちの主人を―――――・・利緒を虫ケラのように殺した連中のひとりなんだぞ!!なぜ俺の命令が聞けないんだ!!」
金田一「――――――もうよせ!千家!!」
千家「はっ」
金田一「犬たち(そいつら)はもうそんな命令には従わないよ!さあ!その笛を俺に渡してくれ!」
千家「来るな!金田一!それ以上近づくと・・・・・・」
金田一「まだ気がつかないのか?こいつらはもうお前に―――――こんなことをしてほしくないんだ!!」
千家(!!)
金田一「たしかに萬屋たちのやったことはサイテーだ!俺だって絶対許さねーよ!!――――でもカノジョは・・・・利緒さんはこんな血腥い復讐なんか本当に喜んでると思うか・・・・?」
「ケガしたノラ犬を助けて世話するほど優しい子が―――両手を血に染めたお前のそんな姿を見て、喜んだりするとでも思うのかよ千家!!」
千家「・・・・」
利緒(千家君―――――・・)
利緒の幻が千家を抱きしめていた・・・
利緒(千家君・・・・)
千家「・・・・利・・緒・・?」
千家が犬笛を落とした。
金田一「!?」
千家「・・・ああ・・・・・わかってる、わかってるよ・・・利緒・・・・!!」
千家が涙をこぼし、うずくまった。
金田一「・・・・」
夜が明け、警察が来た。
剣持「金田一!」
金田一「オッサン!来てくれたんだ管轄外なのに・・・」
剣持「え・・・・・ああ・・・まあね・・・・」
美雪「!!、はじめちゃん!」
千家が二人の刑事に連行されようとしていた。
金田一(――――千家・・・)
「・・・・・・」
金田一は何も言わずに千家の横を通り過ぎた。
金田一「・・・・・」
美雪(はじめちゃん・・・)
金田一「・・・・」
千家が一旦、立ち止まった。
千家「金田一!」
金田一「!」
千家「ありがとう」
金田一「・・・・ああ、またな!千家・・!」
千家が後ろをむいたまま、手を振った。
そして、パトカーで護送されていった・・・
金田一「さっ!こんなトコにいつまでもいても仕方ねーや!」
八尾「え!」
金田一「八尾!美雪!俺らも帰ろーぜ!」
美雪「はじめちゃん・・」
金田一「あーあ!また明日から学校かよ!かったりーよな――――、―――――ったく!」
――――こうして、暗い森の奥の廃墟に満ちあふれていた魔犬「ケルベロス」の恐怖は――――・・・静かな朝の訪れとともに終わりを告げた・・・
後日、不動高校。
八尾「あれから患者を死なせた新薬実験の件で百田は警察の取り調べを受けてるみてーだし、事件を揉み消そうとした萬屋の病院は責任問題で叩かれまくってるぜ!」
金田一「・・・」
八尾「まあ、遅すぎたかもしんねーけど、これでちょっとは千家も報われたかな?」
金田一「・・・・・」
美雪「でもあの二ノ宮さんのお父さんが、あの潰れた研究所の研究員だって話はびっくりしたわ!」
二ノ宮「小さい頃はこの近くに住んでてこの研究所にも遊びに来てたの・・・・・」
「ここにいいる犬たちが私の唯一の友達だった――――その中でもユーリという犬とは本当に大の仲良しだったわ。やがて実験に使われる犬だとも知らずに・・・・・」
「このユータはユーリの血を引く子なの・・研究所が潰れてもユーリのことはずっと気になってたわ。だからこの合宿の話を聞いてついてきた―――――・・――――見つけたあの子の骨はちゃんとお墓に埋めるつもりよ・・・ユーリは今だって私の大切な`友達`だから―――――」
金田一「・・・・・」
子供「おーい!早く帰ろーぜ!」
一緒に帰る2人の小学生を見て、金田一はかっての千家との思い出を思い返していた・・・
美雪「はじめちゃん・・・・・どうしたの?帰るんじゃないの?」
金田一「あ?ああ・・・・・帰ろっか・・・・・」
翌朝。
金田一の母「こら~~~~~っ!!はじめ!起きなさい!もう何時だと思ってんの!休日だと思って・・・」
金田一「ん~~^ん~~うっせーな~」
(ん?なんか・・・寝息がもうひとつあるよーな・・・)
金田一の目の前で、従姉妹の少女、フミが寝ていた。
金田一(・・・・へ?)
「な――――――――っっ!?」
「フ・・・フフフフ・・・フフフフ・・フフ~~~~~」
フミ「~~~~~~?何笑ってんだよ。人がせっかく気持ちよく寝てんのに――――キミワリーな」
「それにお前のベットせっまいな~、あたし夜中に何回落ちたことか!」
フミが髪を二つのリボンでくくった。
金田一「そっ・・・そんなコト聞いてね~~~~~!!どーしてお前がここにいるんだ!?フミ~~~~~~!!」
フミ「お前が悪いっ!!」
金田一「!、なっ・・・」
フミ「お前がクリスマスにうちにバイトに来た時起きた殺人事件のせいで、うちのコテージ客が来なくなって潰れたんだぞ!おまけにうちの親父一攫千金狙って昔からシュミで調べてた「謎の空中都市シャングリラ」の財宝を探し出すと言って――――――」
「娘の私を置いてチベットに行ってしまった」
金田一「チ・・・・・・チベット・・?あのオヤジ・・」
フミ「どれもこれもみんなお前のせいだ!」
金田一「んなのは俺のせいじゃないっ!!・・・・と思う・・」
フミ「まっ!だから今日からこの家に住み込むことになったんだな~」
フミ「―――――てなワケで~~~~♡次回から、金田一フミの事件簿が始まるよん♡」
着飾ったフミの後ろに、『金田一フミの事件簿』のタイトルが出て、
落ちた『少年』の部分が金田一の頭に当たる。
金田一「そんなモンは始まらねぇ!!なんだ?そのワケわからん服は!」
そこへ美雪が来た。
美雪「はーじめーちゃん♡お弁当作ったから気晴らしに公園でもお散歩しなーい?」
金田一「こんのクソガキ~~~~~~~~~!!」
美雪「!?」
フミ「へ――――ん!エラソーに!あんたその年でキスひとつしたことないんだろ~~~~~」
金田一「う・・・・うるさい!そんなコトどーしてお前にわかるっ!!」
フミ「女のカンだよ!カン!」
金田一「毛ェすら生えてないお前のどこが女だっつーの!!」
フミ「なっ・・・何だと~!?」
美雪「・・・・・・クス、何かまたそーぞーしいのがひとり増えたみたい・・・・」
(続く)
最終更新:2019年12月09日 23:12