最強のファントム・オーガは、ウィザードラゴンを奪うため、晴人のアンダーワールドへと侵入した。
晴人の全身に、次々に亀裂が走ってゆく。
晴人「食われてたまるか……」
晴人の握りしめていたホープの指輪が、光を放つ。
それに呼応するように、失敗作と思われていた瞬平の「チチンプイプイ」の指輪が、光を放ち始める。
『チチンプイプイ』『チチンプイプイ』
指輪から魔法陣が浮かび上がり、その中からもう1人のウィザードが姿を現す。
凛子「ウソ!?」
瞬平「あれって、晴人さん!?」
ウィザード「ありがとな、瞬平」
瞬平「……はい」
ウィザード「俺が、最後の希望だ」
ウィザードが晴人の指に「エンゲージ」の指輪をはめる。
『エンゲージ・プリーズ』
ウィザードが晴人の、自分自身のアンダーワールドへと突入してゆく。
アンダーワールドに降り立ったウィザードが、変身を解く。
そこは、幼いコヨミが過ごしていた湖畔。
空は、晴人がコヨミと過ごした様々な想い出の光景で、アルバムのスナップ写真のように埋め尽くされている。
晴人「これが今の俺の、アンダーワールドか」
オーガの乗ったウィザードラゴンが飛来、あちこちを暴れ回る。
オーガ「言うことを聞きやがれ、ドラゴン! とっとと俺の血肉となれぇ!」
晴人「これ以上、俺の希望を荒らされてたまるか。変身!」
『♪シャバドゥビタッチ・ヘンシ~ン』『フレイム・プリーズ』『ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!』
晴人がウィザードに変身。ドラゴンから振り下ろされたオーガに立ち向かう。
ウィザード「さぁ、ドラゴン! ショータイムだ」
オーガ「うぉっ!? なんでお前が!?」
ウィザードとオーガの戦いが始まる。
晴人がコヨミと過ごした様々な想い出を背景とし、戦いが繰り広げられる。
晴人がコヨミと初めて出逢った、サバトの儀式の行なわれた海岸。
海の中へと飛び込むオーガを、ウィザードはウォータースタイルとなって追う。
『ウォーター』
そこは、晴人とコヨミの買物デートの場面。
(晴人『何欲しい?』)
(コヨミ『ん…… 帽子』)
(晴人『帽子かぁ。あとは?』)
(コヨミ『あとは、手袋』)
買物を楽しむ晴人とコヨミの傍らで、ウィザードとオーガが戦い続ける。
(コヨミ『ありがとう!』)
(晴人『どういたしまして』)
現実世界ではビーストがビーストハイパーに強化変身し、カーバンクルたちと戦いを繰り広げている。
ビースト「じゃ、これで決めるぜ」
『ハイパー!』『マグナムストライク!』
ミラージュマグナムでの必殺の銃撃がカーバンクルたちを一掃。
ビースト「晴人!」
晴人のアンダーワールドでの戦い。ウィザードの攻撃が次第に、オーガを追いつめてゆく。
オーガ「バカな! 最強のファントムであるこの俺が、こんなにたやすく……」
ウィザード「俺は希望の魔法使いだ。俺の希望があふれる世界で、俺が負けるわけないんだよ!」
ドラゴンがウィンガーウィザードラゴンとなって飛来し、その背にウィザードが飛び乗って突進。
ウィザード「さぁ、フィナーレだ! はぁぁ──っ! だああぁぁ──っっ!!」
オーガ「うわああぁ──っっ!!」
すれ違いざまにオーガを一刀両断──!! オーガが大爆発し、最期を遂げる。
ウィザード「ありがとな、ドラゴン!」
ドラゴン「フン、お前の中は気に入っているからな」
ドラゴンが飛び去り、晴人も変身を解く。
晴人「あ…… そうだ」
アンダーワールドに浮かぶ、晴人の想い出の一場面。
面影堂の店内。賑やかな様子の輪島、凛子、瞬平。
そして店の奥では、コヨミが愛用の水晶玉を磨いている。
晴人「コヨミ」
コヨミ「晴人! どうして……?」
晴人「これ、預かってて」
晴人がコヨミの指に、ホープの指輪をはめる。
コヨミ「いいけど…… 何?」
晴人「俺の希望」
微笑む晴人に、コヨミも笑顔を返す。
コヨミ「わかった。大事に持ってる」
現実世界。晴人が目を覚ます。全身の亀裂も消えている。
瞬平「良かったぁ! 晴人さん、オーガを倒せたんですね?」
仁藤「よくやったな、晴人。さすがは俺のライバルだ」
晴人の手に握られていたホープの指輪が消えている。
凛子「あれ? 晴人くん、コヨミちゃんの指輪……?」
晴人「置いて来た。たぶん、コヨミが一番落ち着くところにね」
仁藤が晴人の肩をポンと叩き、地面に転がっていたウィザーソードガンを拾い上げる。
そのとき──突如、仁藤のそばの空間が裂ける。
晴人「仁藤!?」
仁藤「あぁ、みなまで言うな。まぁ、何とかなるだろ。キマイラの奴…… わ、わぁっ!?」
緑色の怪物が出現。仁藤を飲み込み、そのまま空間の中へと消え去る──
最終更新:2016年07月19日 02:29