機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGEの最終回

PHASE;20 -未来-TOMOROW

ラクス「・・・勝敗を決めるのはスピードです。チャージのサイクルがわからない以上、一刻も早く目標に到達し破壊しなければなりません。撃たれた後で、間に合わなかったと嘆くわけにはいかないのです」

オペレーター「ザフト軍第一防衛ラインまで距離200・・・光学映像出ます!」

カガリ(今のオーブは・・・、まだお前たちの`力`を頼るしかないんだ・・・頼むな)

キラ「アスラン、ラクスも頑張ってくれる・・・僕たちは僕たちのできることをやろう」

デュランダル(争いが無くならぬから・・・`力`が必要なのです)

アスラン「・・・・ああ!」

エターナルから、ミーティアと合体したインフィニットジャスティスとストライクフリーダムが発進していった。

ラクス「こちらエターナル、ラクス・クラインです。ザフト軍の全将兵に通告いたします・・・
私たちはこれよりその無用な大量破壊兵器の排除を開始します」
「その兵器は・・・人が守らねばならないものでも、戦うために必要なものでもありません!道を空けて下さい!」
「ザフトがその力と誇りを懸けて守るべきものは、そんな兵器では断じてないはずです!!」

インフィニットジャスティスの前に、グフイグナイテッドが出てきた。

アスラン(出て来るなっ・・・!!)

インフィニットジャスティスはグフイグナイテッドの頭を撃ち抜き、進み続ける。

ラクス「道を開けなさい!!」

アスラン(――――爆発の音も聞こえない・・・瞬く閃光が感覚を奪って、`力`に呑み込まれそうになる)

ラクス(戦わねば守れないなら・・・戦うしかないのです!)
アスラン「・・・くそっ!」

ミリアリア「艦長・・・オレンジ186より侵攻する巨大構造物!」
マリュー「!?」

月の地平線から、ザフトの要塞メサイアが浮上してきた。

アスラン(要塞・・・!?あんなものまで・・・!)

ミリアリア「さらにα20にミネルバ!レッド18αに空母ゴンドワナ!包囲されます!」

キラ「アスランとAAは行って!レクイエムを!!ここは僕とエターナルで抑えます!」
アスラン「キラ!?」
(ラクスを・・・囮にするのか!?ムチャだ!!)

ラクス「行って下さい!時間がありません。撃たれる前に破壊を・・・そのために私たちはここへ来たのです。守らねばなりません、プランに対する最後の砦・・・オーブを!!」
マリュー「・・・わかったわ、また・・・後で!必ず!」

アスラン「・・・・・・頼むぞキラ!」
キラ「うん・・・そっちもね!」


アスラン「!!」
(追ってきたのはミネルバか・・・くそっ・・あと少しなのに・・・!)


後ろから追ってきたミネルバの砲撃がアークエンジェルを掠めていく。

アスラン「ラミアス艦長!!」
マリュー「アスラン君は前を見て!!時間がないわ!!」

レクイエムの蓋が開きだした。

アスラン(蓋が・・・)

そこへ飛んできた一つの光が、ミーティアの左アームを切り飛ばした。
アスラン「!?」

飛んできたのはデスティニーガンダムだった。

アスラン「シン・・」

デスティニーが対艦刀「アロンタイド」を抜き、インフィニットジャスティスに向かって行く。
インフィニットジャスティスはミーティアを分離し、デスティニーが分離されたミーティアを破壊した。
デスティニーはそのまま、ビームライフルでインフィニットジャスティスを狙う。

アスラン「!!、シン・・・やめろ!!そんなものを守って戦うんじゃない!!」

デスティニーは更に高エネルギービーム砲を撃ってきた。

アスラン「クッ・・・」
シン「守るさ・・・守ってみせる・・・そして終わらせる・・・!そのためにはアンタを討つ!」
アスラン「クッ・・・」

インフィニットジャスティスはシールドでデスティニーの攻撃を防ぐ。

アスラン「お前は一体何を守ってるつもりだ!?後ろにあるものをよく見ろ!あれは人でも国でもない!従わない者を焼き尽くすための兵器なんだぞ!」
シン「黙れ!!裏切り者がっ!!世界はもう変わらなきゃならないんだ・・だからオーブは撃たなきゃならないんだ!!」

アスラン「な・・」
(次の照準はやはりオーブなのか!?)

シン「戦争ばかりで・・・人の命を弄ぶヤツがいて・・・!こんな世界はもう終わらせるべきなんだよ!!」
アスラン「ふざけるな!!そのためにオーブの国民は犠牲になれと!?お前が欲しかったのは本当にそんな`力`か!?」
シン「俺だって!!守りたかったさ、俺の`力`ですべてを!だけど・・・俺が撃ってるのは敵じゃないって、撃つのは奪うことだって・・・`力`で解決できることなんて何もないって!!アンタが俺に言い続けてきたんじゃないか!!」

デスティニーがインフィニットジャスティスの右腕を切り飛ばした。
アスラン(シン・・・・俺は・・・お前を絶望させていたのか?)
シン「できるようになったのは、こんなことばかりだ・・・っ!」
アスラン(違う!俺がお前に言いたかったのは・・・・)
シン「でも・・・議長とレイは戦争のない世界を作るために・・・俺の力が役に立つって言ってくれたんだ・・・!」
「この`力`ですべてを終わらせて・・・その先に平和があるのなら俺はっ・・・!!」

デスティニーが右手のパルマフィルキオーナを光らせ、向かって行く。

アスラン「諦めるな!」
インフィニットジャスティスはグリフォンビームブレイドを展開した右足の蹴りで、デスティニーの右手を切り飛ばした。

アスラン「こんな風に`力`を使ってしまったら・・・お前は永遠に`力`の呪縛から逃れられなくなるんだぞ!!」

インフィニットジャスティスがレクイエムの内部へ入っていった。
アスラン(絶対に・・・撃たせるわけにはいかない!!間に合え・・・!)

シン「やめろオオォッ」
デスティニーがインフィニットジャスティスを追ってきた。

アスラン「シン!?」
シン「だめだ・・・それはぁっ!!」

アスラン「クッ」
インフィニットジャスティスがリフター「ファトゥム01」を切り離した。

デスティニーがファトゥム01を避けた隙に。インフィニットジャスティスがデスティニーの背中からアロンタイドを抜いた。

シン「!?」
アスラン「シン・・よく見ろ!!」
「こんな`力`に・・縋るんじゃないっ!!」

インフィニットジャスティスの投げたアロンタイドがレクイエムの砲身に刺さり、
レクイエムが爆発し始めた。

アスラン「くっ」
シン「あああっ」

インフィニットジャスティスとデスティニーがレクイエムから出たのと同時に、
レクイエムから爆発が吹き上がった。

アスラン(・・・間に合った・・・か?)
シン「あ・・・ああ・・・っ、よくも・・・よくもやったなぁ・・・アンタって人はぁっ!!」

ルナマリア「シン!!やめて!!」

ルナマリアの乗るインパルスが来た。
ルナマリア「もう・・終わったのよ!!だからもう・・・」

アスラン(インパルス・・・ルナマリアか!?)

シン「う・・・うわあああッ」
デスティニーが左腕のパルマフィルキオーナを光らせ、インパルスに突っ込んで行った。

ルナマリア「え・・・」

シン「来るなァッ!!」
アスラン(!?)

アスラン「馬鹿野郎ッ!」
インフィニットジャスティスが、グリフォンビームブレイドを展開した左足での蹴りで、
デスティニーの左腕を切り飛ばした。

シン「アアアッ・・・」

落下していくデスティニーを、インパルスが助けに向かい、
アスランは悲痛な顔でそれを見ていた。

マリュー「・・・アスラン君!」
アスラン「ラミアス艦長・・・」
マリュー「ここはもういいわ。すぐにエターナルの方に戻って!」
アスラン「・・・はい!」

月面に、ミネルバが不時着していた。
アスラン(ミネルバ・・・沈んだのか・・・)

アスラン「くそ・・・っ」
(できるようになったのは、こんなことばかりだ・・・っ)

ラクス「戦いを止めて下さい!これ以上の戦闘は無意味です!」
アスラン(エターナル・・・無事か)
「ラクス・・・キラは!?」
ラクス「あの要塞の内部です・・・!おそらくは議長のところへ・・・」
アスラン(議長の・・・!?)


インフィニットジャスティスがメサイアに向かった。

拳銃を持ったアスランがメサイアの中を進む。
アスラン(俺も・・・行かなくては、会わなくては。あの人を・・・止めなければ。今度こそ・・・!)

キラ「傲慢なのはあなただ!」

アスランが入った司令室で、キラとデュランダルが銃を向け合っていた。
キラ「僕はただのひとりの人間だ!」

アスラン(キラ・・・!?)

デュランダル「だから明日を求める権利があると?人はその欲を振りかざし悲劇を繰り返してきたのだろう?今の君のようにね。私はそんな世界を変えようとしただけだ・・・少しのあきらめと引き替えにね」
キラ「・・・あなたのやったことはただの脅迫だ!僕たち以外にも反発する人は必ず出てくる!」
デュランダル「すぐに収まるさ・・・そのための`力`もある・・・本当は君がその力になってくれれば良かったのだがね・・・」
キラ「・・・僕は兵器じゃない!」
デュランダル「では・・・今君がやっていることは何だね?それが君の`運命`だろう?」
アスラン「違う!」

アスランがデュランダルに銃を向けた。
アスラン「人の運命は他人の理屈で決めるものじゃない!自分の意思で選び取り・・・切り開くものだ!」
キラ「!!、アスラン・・・」
アスラン「議長・・・何故・・・!あんなやり方でプランを強行しようとしたのですか!?力ではなく言葉で・・・人々を動かしてきたあなたが!!」
デュランダル「・・・今この時を逃したらプランは成立しないのだ。人は痛みを忘れくり返す・・・その前に断ち切らねば!・・・もう少し高い所で世界を見たまえ。人々が渇望した戦争のない世界が、あと少しで実現しようとしているのだよ?」
アスラン「あなたは・・・そんな風に世界を眺めているから人の心が見えなくなっているんです!あなたを最後まで信じて従った人間の心さえ」
「戦士だとか・・・誰かの代わりだとか・・・目をふさいで役割を与えるばかりで・・・!彼らの心がきしみ叫んでいたことを、あなたは知っていたのか!?」

デュランダル「・・・いっただろう?人は痛みなどすぐ忘れる・・」
キラ「あなたは・・・!」
デュランダル「運命を受け入れる事で人の苦しみは終わり、世界は生まれ変わるのだ」
アスラン「違う・・・!人は過去を消す事なんてできない・・・過去があるから明日を願うんだ!」
デュランダル「・・・ずっと背負って生きていくというのかね?人の罪と恐ろしさを。私の示す未来を放棄して・・・再び混迷する世界を君たちはどうしようというんだ?」
キラ「・・・覚悟はある。僕は・・・戦う!」
デュランダル「フ・・・」

次の瞬間、デュランダルの左胸が撃ち抜かれた。

アスラン(!?)

デュランダルが倒れた。
アスラン(な・・・・撃った・・・!?誰・・・が?)

タリア「ギルバード!」
そこへタリアが来た。

アスラン(グラディス艦長・・・・?)

レイ「・・・・・・あ・・・」
アスランの後ろに拳銃を持つレイがいた。

レイ「・・・・あ・・・ギル・・・ご・・・・めん・・・なさ・・・でも・・・彼の・・明日は・・・」
デュランダル「うう・・・っ、レイ!?」

アスラン(どういう・・・ことだ・・・?何故・・・レイが・・・!?)

タリア「レイ!ギルバードの傍に・・・来てあげて」

レイがタリアとデュランダルの傍に来た。

アスラン(ああ・・・父を・・・撃った・・・のか)

タリア「アスラン!あなたたちは行きなさい・・・・ここに居るべきではないわ」
タリアはアスランとキラに銃を向けていた。
アスラン「グラディス艦長・・・」
タリア「ラミアス艦長に伝えて・・・子供がいるの・・・男の子よ、いつか会ってやってね・・・・って」

アスラン(死ぬ・・・つもりなのか?子供を残して?)
「・・・・・・・・」
キラ「・・・・わかりました。行こう・・・・アスラン」
アスラン(この三人は・・・家族・・・だったんだろうか?)

アスランは去って行く中一度振り返り、タリア達を見た。
その姿に、幸せだった頃の父と母との思い出が重なった・・・・・


崩壊していくメサイアを、インフィニットジャスティスで脱出したアスランが見ていた。


ラクス「こちらエターナル、ラクス・クラインです。この宙域でのこれ以上の戦闘継続は無意味と考え、それを望みません」
「どうか現時点をもって両軍の戦闘停止に同意願います・・・」

アスラン(何が正しい選択だったのか。答えは・・・見つからないままだった)
(ただ確かなことは、ひとつの戦いが終わり・・・俺たちは生きているということと、これからも見えない明日が続いていくということだけだ)
(失ったものと奪ったもの。その選択と結果を、俺たちは背負って生きていく)
(前を向いても・・・過去は消えないのだから)

インフィニットジャスティスが、デスティニーとインパルスの元に向かう。

アスランが座り込んでいたシンとルナマリアの元に来た。

ルナマリア「アスラン・・・・」
アスラン「シン」

アスランがシンに手を伸ばしたが、シンは手を取らずに立ち上がった。

シン「・・・ひとりで立てます」
アスラン「・・・そうか」

アスラン(傷が癒えたらまた歩き出そう。振り返りながらでもいい。それぞれの明日へ・・・・)

デスティニーとインパルスを残して、インフィニットジャスティスが帰還していった。


オーブ、オノゴロ沖の慰霊碑に一つの花束が添えられていた・・・・

GUNDAM SEED DESTOMY THE EDGE
〈おわり〉

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最終更新:2024年07月13日 13:49