???「私の声が聞こえますか?」
闇の中、赤い鎧を纏った銀髪の青年の元に天使の少女がいた。
ユリア「目を覚ましてくださいませ。勇者さま」
???「俺が・・・・勇者?まさか・・・そんな・・・な、何も思い出せない」
ユリア「大丈夫ですよ。少しずつ思い出しましょう。まずは、お名前から」
勇者の名前を入力、ここでは「ディアス」とする。
ユリア「そう、あなたの名前はディアス。魔王ギールを倒しロビリア国を救った勇者です」
「さあ次は、魔王城であなたがギールを討ったあの日のことを思い出してください」
ディアス「魔王城?ギール?ああ、そうだ。俺は仲間と一緒に魔王城に乗り込んだんだ・・・」
ディアスが仲間のゾロ、リュー、トーマスの3人と共に、魔王城の奥に辿り着いた。
ゾロ「とうとう、ここまで来たぜ。魔王ギールは、この階段の上だ。ヤツを倒せば、俺たちは英雄だ!!」
ディアス「英雄?あぁ、そうだな・・・俺たちの手で必ずこの戦乱にピリオドを打とう」
リュー「ディアスよ、案ずるな。魔王にさらわれた貴様の恋人はきっと無事だ。さあ、行こう!」
そのとき、扉の奥から不気味な笑い声が響いた
???「ふははは・・・ディアスよ、おまえのいとしい人は、まだ生きている」
「女の命を救いたくば、ここから先は、ひとりで来い」
トーマス「くそっ、なんと卑怯な!!」
ディアス「・・・みんな、・・・・すまない。俺ひとりで行かせてくれ」
ゾロ「なんだと!おまえ、正気か!?」
ディアス「いざとなったら刺し違えでても魔王ギールは、必ず俺が倒す。だから俺を行かせてくれッ!」
リュー「ふっ、愚かな・・・・ひとりの女のために、何万もの人命を危険にさらすのか?」
「しかし、貴様のそんな甘さが私は嫌いにはなれぬ」
ゾロ「か、勝手にしろ!だが、おまえがやられたときは、俺が魔王を倒して英雄になるぞ」
トーマス「穴民のアルテマとマーナの神が坊ちゃんを守ってくれますよ。ご武運を!!」
ディアス「ありがとう、みんな・・・・
扉が開いた。
ディアスは一人、ギールの部屋に乗り込んだ。
ディアス「彼女はどこだっ!?」
ギールがディアスの前に来た。
ギール「我に勝てたなら返してやろう。さあ、かかってくるがいい!」
ディアスとギールの死闘は果てしなく続くかと思われた
だが、ついに決着の時が来た・・・
ディアス(決着をつけるには、究極魔法‘ダイヴォーラ‘を使うしかなさそうだ・・・)
ディアスの究極魔法、ダイヴォーラが放たれ、周囲が炎に包まれ――――
ディアス「・・・思い出せるのは、ここまでだよ。それでこのあと、俺はどうなったんだ?」
ユリア「あなたは、その言葉どおりギールを討ち果たしました。でも、その代償に・・・」
「ディアスさまは、命を落とされてしまったのです」
ディアス「ああ・・・・・そういうことか。じゃあ、ここは天国かい?」
ユリア「いいえ、違いますよ。よく周りをご覧ください」
次の瞬間、ディアスはユリアと共に街中にいた。
ユリア「ディアスさま、首都グランダムの風景は覚えてらっしゃいますね」
「あなたの勇気に免じて、神様が特別に五日間だけ、再び命を授けてくださいました」
「あの日以来、行方不明のままの恋人を探すのも、救った街を巡るのもあなたの自由です」
「ただし、あなたの体力は刻々と衰えていきます。それだけ注意してください」
「あ、そうそう・・・・あなたの命が尽きるまではこの地に夜は訪れません」
「わずかな時間を有効に使えるよう神様がご配慮くださったのです」
「今は月曜ですから、土曜の同じ時間にお迎えにあがります。では、悔いなき五日間を」
ユリアが去って行った。
ディアス「えええっ!?おい、ウソだろ?ちょ、ちょっと待ってくれよ。天使さ~ん!!
そこへ、勇者の元従者トーマスが来た。
トーマス「坊ちゃん、お帰りなさい!」
ディアス「ああ、爺か・・・なんだか妙なことになったらしい」
トーマス「そのようですなぁ。で、神様にいただいた五日の余名をどうなさるおつもりで?」
「坊ちゃんのことだ。あの天使が言うように、行方知れずのいい人を探すのでしょうな?」
ディアス「ああ、もちろんだとも!!」
「・・・と言いたいところだけど、一度、死んだショックかな、彼女のことが思い出せないんだ」
「世界中の誰より愛していた!!それは強烈に覚えている。だが、それ以外はさっぱりだ」
「なあ、ガキの頃から俺の面倒をみてきた爺なら、何か覚えてるんじゃないか?」
トーマス「す、すみません、ボッチャン。ワシも歳のせいか、このところ物忘れが激しくて・・・」
「でも、大丈夫。各地を旅すれば、きっと思い出せます。もちろんワシもお供しますぞ」
ディアスの元従者トーマスが仲間に加わった!
トーマス「このグランダムを離れる前に王様と王女様に辞去のご挨拶をされてはどうですかな」
最終更新:2020年05月18日 16:17