仮面ライダー電王の第48話

現代世界で愛理を襲おうとしたイマジンたちを、ゼロノが次々に蹴散らす。
そこへデネブも駆けつけ、加勢する。

デネブ「侑斗(ゆうと)ぉ──!」
侑斗「デネブ!」
イマジン「邪魔してくれるよ!」

イマジンたちが退散してゆく。

デネブ「侑斗、大丈夫か?」

変身を解いた侑斗が、カイに襲われて倒れている愛理のもとへ駆けつける。

デネブ「侑斗ぉ!? あぁ、愛理さん!?」
侑斗「おい、しっかりしろ! おい!」
デネブ「あぁっ…… 侑斗、どうしよ? 愛理さん、大丈夫?」


良太郎たちの乗ったデンライナーは、過去から現在を目指している。
一同を行かせるために敢えて過去に残ったキンタロスの姿は、車内にはない。

リュウタロス「クマちゃん、いなくなっちゃった……」
モモタロス「大丈夫だよ。そう簡単にくたばるか、あのクマが」
ウラタロス「……」

ウラタロスの拳が、蒸発を始める。
そして、モモタロスの体も。

良太郎「モモタロス……?」
モモタロス「何だよ?」
一同「……」
モモタロス「お前ら辛気臭ぇぞ! 戦いは勢いなんだ。こんなんじゃ負けちまうっつぅんだよ! そうだろ、良太郎?」
コハナ「モモ……」
良太郎「……そうだね。とにかく早く戻らないと!」
モモタロス「そういうことだ」


ウラタロスは1人、食堂車を去って、デッキでうな垂れる。

ウラタロス「はぁ…… 参ったなぁ、結構平気だったはずなんだけど…… ん?」

操縦席では、騒ぎに乗じてデンライナーに忍び込んだモールイマジン3人が、爆弾を取り付けている。

モールたち「ギャハハ!」「あいつら、まんまと囮に引っかかっちゃって、俺たちに全然気づかなかったよ」「あれだけ数がいればな、作戦成功!」「これで電車はバラバラ、電王もバラバラァ!」

ドアが開き、ウラタロスが操縦席に躍り出る。

モールたち「ムッ?」「おわぁ!?」
ウラタロス「あ、どうも♪ 珍しいお客さんだねぇ」
モール「おとなしくしてないとドカン!だよ」

モールイマジンの1人の手に、起爆スイッチがある。

ウラタロス「へぇ~、そういうこと?」
モール「もう、もとの時間には戻れない。永遠に時間の中だよ!」
ウラタロス「わかったよ…… そろそろ僕も、そっちに戻ろうか」
モールたち「何?」「お前、まさか!?」
ウラタロス「千の偽り、万の嘘。僕が嘘をつき続けた理由…… 教えようか?」


第48話 ウラ腹な別れ…


ターミナルでは、オーナーと駅長がチャーハン対決を繰り広げている。

オーナー「今回で長年の対決に、決着がつきそうですねぇ~」
駅長「素晴しい! この無限の米粒に支えられた1本の旗を制する瞬間、時の真実にまた1歩近づき~」
オーナー「続けませんか?」
駅長「──せんか? この試合、何やら波乱の予感が……」


デンライナーの車体が大きく傾く。

コハナ「きゃあっ!?」
リュウタロス「わぁ~!?」
モモタロス「何だ!? どうした!?」
リュウタロス「わぁっ! 脱線しちゃってるぅ!」
良太郎「えぇっ!?」

デンライナーが大きく、線路を外れてゆく。
扉が開き、ウラタロスとモールイマジン3人が現れる。

リュウタロス「カメちゃん!?」
モールたち「ギャハハ!」「ヒッヒッヒ!」
モモタロス「おい、カメ…… 何だ、そいつら?」
ウラタロス「悪いけど、降りてもらうよ。元の時間には帰らせない」
モモタロス「何ぃ……!?」


デンライナーが現実世界の空中に現れ、土くれを上げながら地上に着陸する。
良太郎、モモタロス、リュウタロス、コハナ、ナオミの5人が車外に放り出される。

コハナ「きゃあ!」
モモタロス「てめぇ!」
モモタロス「カメ! てめぇ一体こりゃ、何のマネだぁ!?」
良太郎「ウラタロス……!?」
ウラタロス「あれ? 何で実体化してんのぉ?」

車内でしか実体化できないはずのモモタロスたちが、なぜか車外で実体化している。

リュウタロス「本当だ……」
モモタロス「一体どうなって…… 今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ、どういうつもりだって聞いてんだぁ!」
ウラタロス「こういうつもり」
コハナ「嘘でしょ……? まさか、あんた最初っから!?」
ウラタロス「そう、最初っから。もっと疑っておくべきだったねぇ」
モモタロス「てめぇ! カメ、てめぇマジかよ!? クマ公があそこまでしたのを見てたろうが! そいつを無駄にすんのかよぉ!?」
ウラタロス「手に入れた時間を守る、か。けど自分が消えたら終わりだよ。あのクマ、やっぱり脳味噌、干物だね」
モモタロス「くっ…… カメェ!!」
ナオミ「ひどぉい! ウラちゃん!」
リュウタロス「カメちゃんの馬鹿、大馬鹿ぁ!」
ウラタロス「うるさいよ、坊や……」

ウラタロスが引っ込み、替わってモールイマジンたちが、良太郎たちに攻撃の狙いを定める。

モモタロス「危ねぇっ!」

モモタロスが、モールの攻撃から良太郎たちをかばい、逃げ去る。


現代、愛理を分岐点の鍵と睨んで襲ったカイ。

カイ「何だ、あれ…… 分岐点の鍵なのに鍵じゃない…… クッ、どうなってんだ…… 俺、最高に怒った顔してるよなぁ、してるよなぁ!」

絶叫と共に、最強のイマジン・デスイマジンが出現する。

カイ「もう全部潰せよ……」
デスイマジン「潰せ……!」


良太郎たちは過去の世界の町外れで、火を炊いて暖をとっている。

モモタロス「あのカメ野郎…… ずっと騙してやがったのかよ!」
コハナ「嘘つきだとは思ってたけど……」
ナオミ「もう、私の食堂車には戻れないんですかね…… これから、どこでコーヒー入れればいいんだろ…… ウラちゃんも、女の子には優しかったのに……」
リュウタロス「ねぇ、何で? クマちゃんいなくなって、カメちゃんが変な風になって、なんか、すごくイヤだぁ!」
良太郎「みんな、おかしいよ……」
コハナ「……?」
良太郎「ウラタロスと一緒にいた間のこと、忘れちゃった? 僕は憶えてるよ、全部…… ずっと一緒戦ってきたこと」
モモタロス「……」
良太郎「だから、心配してない……」
コハナ「良太郎……!」
良太郎「とにかく、今やらなきゃいけないのは、デンライナーを取り戻して帰ることだよ。それから、もう一つ」
コハナ「え?」
良太郎「あれ見て。僕たちが今いる時間……」

良太郎が指した先の電光掲示板には「2007年1月9日」の表示。

コハナ「去年の1月! まだ、愛理さんが記憶をなくしてない時間?」


デンライナーの車内。

モール「こんなあっさり、デンライナーを手に入れるとはなぁ!」「あのカイに信用されてるってだけのことはあるよ」
ウラタロス「フン…… 何も爆発させて海の藻屑にすること、ないんだよ」
モールたち「えぇ?」
ウラタロス「この電車、案外使えるんだ」
モール「けどぉ、いつまでこの時間にいる気だぁ!」「そうだ、早く動かせぇ! 動かせって言ってん……」
ウラタロス「それがさ、パスがないと1ミリも動かないんだよね」
モール「なぁにぃっ!?」
ウラタロス「大丈夫…… 取りに行けば済む」


良太郎とコハナは、2007年当時のミルクディッパーを訪れる。

コハナ「お店行って、大丈夫かな…… 過去の良太郎に会っちゃうかも」
良太郎「でも、のんびりしてる暇ないし、あの日のこと、姉さんに聞くのが一番早いよ」

「そんな…… そんなことできないよ!」

この時代の良太郎の声が、店の外まで響いてくる。
良太郎とコハナが覗くと、この時代の良太郎と愛理がいる。

良太郎「どうして忘れなきゃいけないわけ!? 新しい家族ができるって、姉さんも桜井さんもあんなに喜んでたのに!」
愛理「お願い、ちゃんと話を聞いて」

現代の良太郎 (新しい家族……?)

良太郎「だいたい、僕が時間を元に戻すとか…… 意味わかんないよ!」
愛理「あ、良ちゃん!?」

良太郎が店の外へ飛び出す。

現代の良太郎「ちょ、ちょっと待って!」

呼び止められた過去の良太郎が、自分自身を見て腰を抜かす。

現代の良太郎「大丈夫……?」
過去の良太郎「ぼ、僕……?」
現代の良太郎「今言ってた、新しい家族って……?」
過去の良太郎「ね、姉さんに、赤ちゃんが…… 桜井さん、との……」
現代の良太郎「姉さんに…… 赤ちゃん!?」

過去の良太郎が驚きのあまり、そのまま気を失う。

良太郎「そんな…… 僕、そんなこと全然……!」
コハナ「ねぇ、もしかしてそれが、良太郎の欠けた記憶?」

良太郎が過去の自分から上着を脱がし、自分が着込み、この時代の自分になりきってミルクディッパーへ。

コハナ「良太郎……?」

玄関をくぐる。
この時代の姉・愛理がいる。

愛理「良ちゃん……」
良太郎「……」
愛理「良かった、戻って来てくれて。あんなこと…… 急に納得しろって言う方が、無理よね」
良太郎「姉さん……」


現代の世界では、気を失ったままの愛理が病院にかつぎ込まれており、侑斗が付き添っている。

侑斗「イマジン……?」

病院の前に、イマジンの大群が詰めかける。
侑斗が気配を察して、玄関から飛び出す。

侑斗「ここから先は立ち入り禁止だ!」
イマジンたち「うるせぇ……!」「どけぇ!」

デネブも駆けつけ、加勢する。

イマジン「邪魔すんじゃねぇよ!」

侑斗がゼロノスカードを取り出す。最後の1枚のカード──

侑斗「変身」
音声『チャージ・アンド・アップ』

侑斗がゼロノスに変身する。
そこへ、デスイマジンが現れる。

デスイマジン「今日、ゼロノスが死ぬ…… 憶えておけ!」

デスイマジンが大鎌を振り上げると、衝撃だけで病院の壁が大きく砕け、破片が飛び散る。

デネブ「侑斗! 何だ、あのイマジンは!?」
ゼロノス「こんな奴と戦ったら病院が…… デネブ、ここは任せる! 絶対、中入れんな!」
デネブ「了解!」


ビルの屋上で、カイが街並みを見つめている。

カイ「よく見たらこんな時間、面白くも何ともないって気がするよ……」


2007年の過去の世界での、良太郎と愛理。

良太郎「赤ちゃんを忘れるなんて、どうしてそんな……?」
愛理「この子を、イマジンから守るために……」
良太郎「……!?」
愛理「イマジンが壊した過去は、明日や明後日にいる良ちゃんの記憶が修復してくれる……」
良太郎「でも…… もし、僕が忘れてたら?」
愛理「欠けた記憶で修復された時間には、赤ちゃんはいない。イマジンから赤ちゃんを隠せるのよ! そうしなければ、イマジンは何度も何度も襲って来る……」
良太郎「でも、どうしてそこまで……?」
愛理「この子は…… 良ちゃんと同じ、未来の特異点なの」

コハナ「……!?」

愛理「だから…… 明日、侑斗はカードを使う。忘れなきゃいけないから…… 未来を守るために。この子も、侑斗のことも……」


一方でモモタロスたちのもとには、モールイマジンたちが現れる。

モールたち「ヒッヒッヒ!「ヒャッヒャッヒャ!」
モモタロス「何の用だ!?」

ウラタロスも現れる。

ウラタロス「パスもらわないと、デンライナー動かないんだよね」
モモタロス「カメ、やっぱマジなのかよ!?」
ウラタロス「だったら?」
モモタロス「てめぇ……!」

睨み合いの末、ついにモモタロスとウラタロスの戦いが始まる。

リュウタロス「カメちゃん……!?」
ナオミ「本気なのかな……?」

モールたちが、2人の戦いを面白がって歓声を送る。
ナオミが、その人数を数える。

ナオミ「1、2、3…… あれ? 今、デンライナーからっぽ?」


良太郎「姉さんたちは、そこまでして守ったんだ。未来を……」

良太郎が懐中時計を見つめる。

良太郎「僕がこれを買ったのは、新しい家族のために…… それって!?」

そこへデンライナーが駆けつける。


モモタロスとウラタロスの戦いの最中、デンライナーが駆けつけ、良太郎が顔を出す。

良太郎「みんな乗って! 急いで戻るよ!」
モモタロス「良太郎!」
リュウタロス「デンライナーだぁ!」
モール「どうなってんだぁ!?」
リュウタロス「邪魔ぁ!」

リュウタロスがモールイマジンを突き飛ばし、デンライナーに飛び乗る。

ウラタロス「あぁ、誰か留守番、残るべきだったねぇ」
モモタロス「舐めやがって…… どけぇ!」

モモタロスもデンライナーへ駆け込む。

モールたち「全員で行くっつったの、おめぇだろ!?」「まさか!?」
ウラタロス「ご冗談……」
モール「待て! そうだ、これで仕掛けた爆弾がドカンだぞ!」
モモタロス「何っ!?」

モールの1人が取り出した起爆スイッチを、ウラタロスがひょいと取り上げる。

モール「お、おい!?」
ウラタロス「フフッ♪」
モール「おい、返せ!」
良太郎「ウラタロス……!?」

ウラタロスがスイッチを入れる。
良太郎たちが思わず身構える──が、爆発は起こらない。

リュウタロス「あれ……?」
モールたち「あ!?」「ありゃあ!?」

操縦室には、解体された爆弾が転がっている。

ウラタロス「フフン♪」
モモタロス「カメ…… おめぇ、やっぱり!」
モール「この野郎!」

襲い来るモールたちを、ウラタロスが蹴り飛ばす。

良太郎「ウラタロス! ここは僕に任せて、早く乗って!」

良太郎がデンライナーから飛び出してベルトを構えるが、そのベルトをウラタロスが奪い取る。

良太郎「ちょっとぉ!?」
ウラタロス「変身──」
音声『ロッドフォーム』

キンタロスと同様、ウラタロス自らが電王ロッドフォームに変身する。

モール「このぉ!」
電王「フン……」
音声『フルチャージ』

電王「やああぁぁっ!!」

デンライダーキックでモールイマジンを撃破する。

モモタロス「おい、2人とも早く乗れ!」

良太郎たちがデンライナーへと走る。
だが電王(ウラタロス)は、良太郎を突き飛ばし、デンライナーに押し込む。

良太郎「ウラタロス!?」
モモタロス「カメ公!?」

電王(ウラタロス)を地上に残したまま、デンライナーが動き出す。

モモタロス「何やってんだカメ公、早くしろぉ!」
リュウタロス「ねぇカメちゃん、カメちゃん! 何してんの、早くぅ!」

変身を解いたウラタロスが、パスとベルトを良太郎に投げ渡す。

良太郎「え…… ウラタロス!?」
モモタロス「馬鹿野郎!」

モモタロスが操縦席に飛び込み、必死にブレーキをかける。

モモタロス「止まれ! くそっぉ、止まれぇ! 止まれって言ってんだ、この野郎!!」

ウラタロスが、残りのモールイマジンたちを蹴り飛ばす。

ウラタロス「お前たちには感謝してんだよねぇ。これ以上あっちにいたら、クールで格好いい僕じゃ、いられなくなりそうだったから。僕、嘘泣きしかしたことないし。時間を手に入れるのも、良し悪しだよね……」

デンライナーが時の彼方へと走り去る。
車内では、良太郎ががっくりと座り込み、リュウタロスが泣き崩れる。

良太郎「ウラタロス……」
リュウタロス「うぅっ……」
モモタロス「大馬鹿野郎……」


ウラタロスのもとに、さらに無数のモールイマジンたちが現れる。

ウラタロス「今夜は…… 僕に釣られてみる?」


現代世界では、デネブがイマジンたちの攻撃から、愛理のいる病院を死守している。

デネブ「キリがない…… しかし、ここは絶対に!」


ゼロノスが、デスイマジンの攻撃を浴び続ける。

ゼロノス「うぅ…… くそぉ!!」


カイ「どいつもこいつも……消えろ……!」

空中に次第に、亀裂が走っていく──


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最終更新:2021年03月30日 20:30