鎧伝サムライトルーパーの第1話 (漫画版)

東京・新宿の上空に、不気味な鎧兜の顔が浮かび上がり、声が響く。

われにかしずけ! われは妖邪(ようじゃ)帝王 阿羅醐(アラゴ)なり! われは破滅と死の帝なり! われはよみがえり! 人間界をわれらが悪霊のすみかにせんがために!


よみがえった伝説


富士山が突如として噴火。
主人公・真田 (リョウ)が、パートナーの白いトラ・白炎(びゃくえん)とともに駆ける。

白炎「ガオッ
リョウ「ゆくぞーっ 白炎! 富士山(おふくろさん)のいかりが爆発した! 霊峰富士に魔物がはいりこんだんだ!」

その富士山のふもとに、考古学者を祖父に持つナスティ柳生、小学生の山野 純、中国出身の少年シュウ=レイ=ファンの3人がやって来る。

ナスティ「富士山が噴火したわ!」
純「こ これも阿羅醐のしわざかい?」
シュウ「阿羅醐め! 新宿だけでなく富士山まで破壊する気か!」
ナスティ「いっこくもはやくサムライトルーパーをあつめなければ……!! わたしたちの力では妖邪界の悪霊はたおえせないわ! 阿羅醐をたおせるのは……! 世界をすくえるのは伝説の鎧の勇者“サムライトルーパー”だけよ! サムライトルーパーのひとりは富士のどこかにいるはずよ!」

そこへリョウが現れる。

リョウ「うごくな!
ナスティ「だ……だれ?」
シュウ「なにもの!?」
リョウ「魔物め こんなところまではいりこむとは…… ふざけたやつだぜ」
シュウ「魔物……?」
純「ぼ ぼくたちのこと……?」
リョウ「真田忍者軍団宗家十八代め! 真田 遼 まいる!!
シュウ「や やめろ おれたちは……!」

リョウが剣を抜いて斬りかかる──と思いきや、リョウは地面のシュウたちの影に剣を突きたてる。

シュウ「こいつ おれたちの影を……!?」

影の中から、異形の鎧兵士が、苦悶の声と共に姿を現す。

シュウ「なにぃ!?」
リョウ「おまえたちはにげろ! 魔物どもはまだいる!」
ナスティ「妖邪帝国の妖邪兵士だわ!
シュウ「どけ こぞう! こいつはおれたちの敵だ!」
リョウ「まてよ! だれがこぞうだ!」

シュウが服を脱ぎ捨て、アンダーギア(装甲服)姿となる。

シュウ「こい 悪霊ども! サムライトルーパーのひとり シュウ=レイ=ファンが相手だ!」

兵士たちと共に、妖邪の精鋭・朱天童子(シュテンドウジ)が現れる。

朱天「ふふふ おれたちは運がいいぜ サムライトルーパーをふたりもたおせるとはな……」
シュウ「サムライトルーパーが…… ふたりだって!? じゃあ……!」
ナスティ「この少年が…… サムライトルーパー!?」
リョウ「トルーパーもトイレットペーパーも知るもんか! この山で悪霊にでかい顔はさせないぜ!」
朱天「妖邪帝国の鬼魔将 朱天童子の実力をみせてやろう!」

朱天童子がリョウ目がけ、鎖分銅を投げつける。

リョウ「こんな鎖にやられるものか!」
シュウ「リョウ あぶない!」

シュウがリョウをかばって盾となる。
分銅攻撃と見せかけ、鎖鎌がシュウの胴に突き刺さる。

シュウ「うおぉっ! 分銅はフェイント…… ほんとうの攻撃は鎖鎌……だ」
リョウ「おれのために体をはって…… シュウ! おまえの心…… おれの“仁”の心にひびいたぜ!」
朱天「そのていどの腕で妖邪界にさからうとは かたはらいたいわ!」

朱天童子が槍を地面に突き立てると、地面に亀裂が入り、リョウたちのほうへと走ってゆく。

シュウ「地われ……が!」

足場を失ったシュウが、地割れの中に転落してゆく。

シュウ「うわあぁ──っ!」
リョウ「シュウ!」

とっさにリョウも、シュウを追って地割れの中へ身を投じる。

朱天「ふたりそろって地の底でねむるがいい!」
シュウ「リョウ おまえまでが……! なぜ……!?」
リョウ「おまえはおれを命がけでたすけた! おれも命をはるのはあたりまえだぜ! 白炎──っ!

白炎が地割れの中へ飛び込み、2人を背に乗せる。

リョウ「白炎! 徐福の洞くつへ! このままじゃ妖邪界のやつらにたちむかえない!」

朱天「追え! 追ってやつらの首をとれ!」


2人はひとまず、洞窟内に身を隠す。
リョウもアンダーギア姿となる。

シュウ「そ それはアンダーギア! リョウはやっぱりサムライトルーパーだ!」
リョウ「これ アンダーギアっていうのか?」
シュウ「しらないのか~っ」
リョウ「じいちゃんがいってた…… 強いやつと戦うときはこれと鎧をつけて戦えって」
シュウ「鎧……!? 鎧ギアのことだ! 鎧ギアはどこにあるんだ?」
リョウ「このさきの弥勒岩におさめられてるはず……」

その鎧のあるという場所へ行ってみると、周辺は富士山の噴火により溶岩流に満ちている。

リョウ「あっ……! そ そんな…… 弥勒岩が溶岩流にのみこまれてる!」
シュウ「まさか…… 鎧ギアは溶岩でとけちまったのか……」

そこに朱天童子が姿を現す。

朱天「ふっふっふ こいつはけっさくだ 鎧ギアのないサムライトルーパーなど はねのないハエとおなじよ」
リョウ「朱天童子!
朱天「あのふたりともども ここがおまえたちの墓場だ」

ナスティと純が、妖邪兵士たちに捕えられている。

シュウ「ナスティ…… 純……」
朱天「妖邪魔技(まぎ) 鎖蜘蛛!

朱天童子の放った無数の鎖が、クモの巣のようにリョウとシュウの全身に絡みつく。

リョウ「鎖がからみつく!」
朱天「おまえたちは蜘蛛の巣にかかった虫けらとおなじよ 鎖がおまえたちの体をおおったとき…… おまえたちの命はつぶされるのだ 虫けらのように死ね!
リョウ「お……おのれ…… 俺は人間だーっ!! 人の心“仁”の心をもつサムライだ! 虫けらみたいに殺されてたまるか!」

リョウが鎖に絡め捕られたまま、朱天童子目がけて突撃。

朱天「おれに体あたりする気か 人間とはおろかなものよ……」
リョウ「うぉっ!」

朱天童子が鎖を引くと、リョウはバランスを失って溶岩流の中へ──

シュウたち「リョウ──っ!
朱天「ぐははは みすみす自分から死にいそぎおったわ! 金剛のシュウ おまえはじっくり殺してやるぜ」

シュウ (アンダーギアさえくだかれていなければ…… 鎧ギアに武装できるのに……)

先ほどの鎖鎌攻撃で、シュウは致命傷を免れたものの、アンダーギアには惨い傷が刻まれている。
そのとき、地面に満ちた溶岩流の表面に、「仁」の文字が浮かび上がる。

シュウ (えっ!? 溶岩流の底から…… 仁の字がうかんでくる……)

溶岩流の中から火の玉が飛び出す。
そして一筋の炎が走り、シュウを縛り付けていた鎖を断ち切る。

シュウ「うぉっ!? 炎が鎖をたちきったーっ!」
ナスティ「あ あれは……!?」
朱天「ば ばかな!」

炎の中から、真っ赤な鎧を装着したリョウが姿を現す。

リョウ「いま よみがえりし烈火の鎧! 烈火のリョウ 参上!
朱天「よ 溶岩にとけたのではなかったのか!」
リョウ「烈火の鎧は溶岩流よりも熱い!」
シュウ「こ……これが烈火の鎧ギア…… おれのなかまのサムライトルーパーか!」
リョウ「シュウ!」

リョウがシュウのアンダーギアの傷に触れると、高熱で傷口が融けて傷穴が塞がる。

シュウ「アンダーギアの傷が…… ……とけてふさがった」
リョウ「シュウ! 鎧ギアで戦え!」

シュウも一瞬にして鎧を装着する。

シュウ「金剛のシュウ見参! おれは“義”の心で悪をうつ!
朱天「“烈火”“金剛”の鎧が…… 復活した!」
リョウ「シュウ! ナスティと純をたすけろ!」
シュウ「おぅ!」
リョウ「おれは妖邪の鬼魔将 朱天をたおす!
朱天「くらえ!」

朱天童子がまたもや鎖で攻撃をしかけるものの、今度はリョウには通用しない。

リョウ「烈火の鎧に鎖は通用しないぜ! 山よいかれ! マグマよ ふきあげろ! “仁”の心を熱くしろ! 烈火双炎斬(そうえんざん)!

リョウの必殺剣が、朱天童子目がけて炸裂──!


阿羅醐の声「おのれ~っ サムライトルーパーがあらわれおった! 烈火のリョウ 金剛のシュウ…… サムライトルーパーは五人いる」

「あと三人はどこにいるんだ!?」


(続く)

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最終更新:2014年12月14日 07:19