超獣戦隊ライブマンの第44話


ギルドスは、宇宙人ではなかった。
巧妙に作られた、ロボットだったのだ!

ギルドスが宇宙人ではなかったことに
ショックを受けたブッチーは、自分の体を
検査していた。



ブッチーが自分の部屋で体を調べている。ケンプたちは、それを部屋の外から見ていた。

ブッチー「あっ! このデータは……」

モニターに機械仕掛けになったブッチーの体内が映された。

ブッチー「やっぱりダス…… わしも、わしもロボットダス。ギルドスと同じロボットだったのダスよ……」

頭を抱えて嘆くブッチー。
アシュラ、ケンプ、マゼンダが驚愕し、顔を見合わせる。

ブッチー「知らなかったダス、わしのこの美しいボデーラインの下が、こんなになっていたなんて……! いや、待てよ。そんなはずは…… わしは、わしは確かにチブチ星人、ブッチーなのダス!!」



ブッチー涙の大暴走!!



ブッチーがビアスに詰め寄る。

ブッチー「ビアス様! ビアス様、わしにはチブチ星に生まれ、学び育った過去があるのダス。それなのに…… ロボットだなんて、これは一体、どういうことダスか!」
ビアス「その過去の記憶も私が作ったのだ」
ブッチー「ええぇ!?」
ビアス「お前が、宇宙の天才・チブチ星人として、完璧に振る舞えるようにな」
ブッチー「あの、その、何故宇宙人でもないのに、宇宙人などと……」
ビアス「あれを見よ」

広間の壁面に、爆死したギルドスを除いた4人の点数が表示された。

ビアス「宇宙人の天才が出現したとなれば、地球人の天才も負けてはおれん。お前たちの出現が良い刺激となって、ケンプたちは成績を上げた」
ケンプ「やはり俺たちこそが、ビアス様の真の弟子だったんだ」
ブッチー「そんな…… わしらはただケンプたちの成績を上げるために利用されていただけだなんて!」
ビアス「たわけ!! お前の正体が何であろうと、お前がボルトのために働かねばならぬことに変わりはない! やるのか、やらんのか!?」
ブッチー「ひええぇ……」
ビアス「誰に作られたかを忘れるな。お前如きの命、私の胸先三寸でどうにでもなるのだ!」

ビアスがリモコンを操作すると、ブッチーの体が浮き上がった。

ブッチー「ビアス様、やりますダス! はい、やります!」

ビアスがブッチーを降ろす。

ブッチー「全力を尽くして、やりますダス!」


街中で人々が逃げ惑う。

ブッチー「のけのけぃ!」

ブッチーと頭脳獣ボーソーヅノーがローラースケートで暴走していた。

ブッチー「オラー、ジャマだジャマだ!」

ボーソーヅノーが出した槍をブッチーとボーソーヅノーが抱える。

ブッチー「ボーソーヅノー! 突撃だ-!」

車から人が逃げ出し、ブッチーとボーソーヅノーは車を破壊した。

ブッチー「見たか、これが『暴走破壊作戦』ダス!」

ブッチーとボーソーヅノーは飛び上がって、ビルを破壊していく。

ブッチー「行けー、ボーソーヅノー! 誰もわしらを止められんダス。片っ端からぶっ壊したるダスよ」

ブッチーとボーソーヅノーはビルの屋上に着地したが、屋上の縁に躓き、ビルから落下。しかし無傷で着地し、暴走を続ける。

ブッチー「思い知ったか人間ども!」

ライブマンの基地・グラントータスのモニターに、ブッチーの暴走が映される。

コロン「みんな大変、大変よ! 早く止めないと、町中大混乱だわ」
めぐみ「ブッチー……」


ブッチー「思い知れ人間ども! もっともっと走って走って、走りまくるダス。のけのけ~ぃ!」

ブッチーとボーソーヅノーの前に、ライブマンがチェーンを張った。

レッド「暴走を止めるんだ」
イエロー「よし!」
ブルー「OK!」
ブッチー「もうこうなったら、わしは暴走人生一直線ダス!」

ブッチーとボーソーヅノーがチェーンに引っかかるも、そのままレッドファルコンとイエローライオンを引きずっていく。

レッド「暴走族の真似なんて、許さないぞ!」
ブッチー「どけ! お前らに暴走族の気持ちが分かってたまるものダスか。わしは走らなくてはいられないのダス!」

ブッチーは涙を流していた。

レッド「くっ、ライブラスター!!」

レッドファルコンがライブラスターでブッチーを撃つ。

ブッチー「おわっ!」

ブッチーとボーソーヅノーが転倒。

ブルー「ファルコン、ライオン!」
レッド「ブッチー!」

ブッチーがパンチでライブマンをねじ伏せる。

イエロー「どうなってんだ? 今日のブッチーは、いつものブッチーと違うぞ!」
ブッチー「ひひひひ、分かるダスか? 破れかぶれは強いのダスよ。目ン玉リボルバー!!」

ブッチーは目から光線を撃とうとしたが、泣いている目からは発射できなかった。

ブッチー「見えない……? 皆が見えない、見えない……」
ブルー「泣いている…… 涙で、目ン玉リボルバーが効かないんだわ……」
ブッチー「……ボーソーヅノー!」

ボーソーヅノーが槍から光線を撃ち、ブルードルフィンと巻き込まれたブッチーが吹き飛んだ。


変身が解けためぐみがブッチーを見付けるも、爆発と共にブッチーの体が火花を吹き、皮膚が裂けて機械がはみ出てきた。

めぐみ「あっ!! やっぱり、ブッチーもギルドスと同じロボットだったんだわ」
ブッチー「あ~、嫌ダス、嫌ダス! こんな姿、見たくないダスよ!」

ブッチーは何かを聞いて、そちらへ向かった。

ブッチー「あ、この歌は……」

噴水の前で、アベックがラジカセで音楽を聴いていた。

ブッチー「いや~、思い出すダスなぁ。わしが初めて地球へやって来た時*1……」

出てきたブッチーを見て、アベックは逃げ出した。

ブッチー「……いや、今にして思えば、地球へ来たと思い込んでいたに過ぎなかったんダスけど…… その時、わしの歌を妨害した曲ですわ。だけど、なんでやろ? なんでこんなに惹かれるんダスか? あ~、ついついリズムに乗っちゃうな~……」

ブッチーが踊り始める。
ヅノーベースではブッチーのその様をビアスが見ていた。

ビアス「減点300点」

ブッチーの得点が減点され、350点となった。

ブッチー「ええ曲ダスな~、本当に」

アシュラが飛び蹴りでブッチーを蹴り飛ばし、音楽が止まった。

ブッチー「何をするダスか!?」
アシュラ「馬鹿め! お前はもう300点も減点されてしまったのだぞ」
ブッチー「何ダスって!? 300点も!? ひぇ~、大変ダス、そいつは大変ダスよ~! 大変だ~!!」

ブッチーが暴走を再開した。

コロン「早く止めないと、被害は広がるばかりよ!」
ブッチー「点数を稼ぐダス! それそれそれ~!」

ブッチーが不意に止まった。

ブッチー「何だ、あの音楽は? あっちだな」

ブッチーは音楽の聞こえてくる方に向かった。
そこで、めぐみがショルダーキーボードを弾いていた。

ブッチー「あっ、めぐみ!」
めぐみ「踊りましょう、ブッチー」
ブッチー「な、何だと?」

勇介たちは離れて、めぐみを見ていた。

めぐみ「歌は、切ない気持ちを慰めてくれるわ。踊りは、何もかも忘れてさせてくれる。今のあなたに、なんて言っていいかわかんないけど…… あたしに出来ることと言ったら、あなたと一緒に、何もかも忘れて音楽を楽しむだけ。暴走したり、破壊したりするより、あなたも本当は、歌って踊ってたいんでしょ?」

めぐみの暖かい言葉に号泣しながら何度もうなずくブッチー。
それを見て、ついにビアスの怒りが爆発した。

ビアス「ブッチー、0点!!」

めぐみが手を差し伸べる。

めぐみ「ブッチー。さ、踊りましょ」
ブッチー「め、めぐみさん」

ブッチーがめぐみの手を取ろうとした所でボーソーヅノーが突っ込んで、弾き飛ばした。

めぐみ「アシュラ!」
アシュラ「ブッチー、貴様はもう0点だ!」
ブッチー「ギェーッ、0点、0点!? 0点ダスか!?」
アシュラ「クズめ。貴様のような奴はクズに相応しく、この俺がスクラップにしてやるぜ!!」

勇介たちが飛び出して、アシュラの前に立ちふさがった。

勇介「アシュラ! ブッチーとめぐみには指一本触れさせないぞ!!」
丈「めぐみ、ここは任せろ!」
アシュラ「何ぃ?」
めぐみ「さぁ、急いで!」

ブッチーの手を引いてめぐみが逃げ出した。

アシュラ「待て!」
丈「イエローライオン!!

丈たちが変身し、追おうとするアシュラとボーソーヅノーを阻む。

アシュラ「逃がさんぞブッチー! サイバー分身!!」
シュラー三人衆「シュラー!!」

アシュラが分身体・シュラー三人衆を出現させてめぐみとブッチーを包囲する。

ブッチー「めぐみさん危ない!」
めぐみ「ブッチー!」

ブッチーがシュラー三人衆の攻撃からめぐみを庇う。
シュラー三人衆が追い打ちをかけようとするも、レッドファルコンが割り込んで防いだ。

めぐみ「さぁ、今のうちよ! 急いで」

めぐみはブッチーを連れて、海へと来た。

めぐみ「ほら、ブッチー、海よ」
ブッチー「めぐみさん、わしはもうダメダス……」
めぐみ「何言ってるの! まだ一緒に踊ってないでしょ? 元気出して、ほら、思い出の海で、一緒に踊ろう」
ブッチー「そうダスな…… 海はいいダスなぁ……」
ビアス「……愚か者め!」

すっかりほだされてしまったブッチーを見たビアスが吐き捨てるようにつぶやき、リモコンのスイッチを入れる──。

ブッチー「うわっ!!」
めぐみ「ブッチー!? どうしたの、ブッチー!!」
ブッチー「あ、危ないダス!!」

ブッチーがめぐみを突き飛ばした。
ブッチーの体が爆発を起こし始める。

めぐみ「ブッチー!!」
ブッチー「ワシは、ビアスに作られたことを呪ったダス。でも、めぐみさん……」

めぐみから逃げるように遠ざかるブッチー。

めぐみ「ブッチー……!!」
ブッチー「めぐみさん…… あなたに会えただけでも良かったダスよ……! さようなら~!!」

ブッチーが手を振りながら倒れ、大爆発──。

めぐみ「いやああああああ!! ブッチー…… ブッチー!!」

そこにアシュラたちも現れ、アシュラがはなむけの言葉を贈る。

アシュラ「さらば、哀れなライバルよ…… 劣等生は消え去るのみ。ボルトは我ら真の天才に任せておけ」
めぐみ「アシュラ!!」

去ろうとするアシュラをめぐみが呼び止めた。

めぐみ「一体、貴方たちの先には何があるっていうの!?」
アシュラ「真の天才としての名誉と、栄光!! それに決まってるではないか!!」
めぐみ「ブッチーの怒りと悲しみ、あたしが代わって晴らしてやるわ。ブルードルフィン!!

めぐみがブルードルフィンに変身。レッドファルコンたちも駆け付ける。

レッド「超獣戦隊!
ライブマン「ライブマン!!

戦闘員のジンマー兵も現れ、ライブマンとボルトの戦いが始まった。
ライブマンがボーソーヅノーとシュラー三人衆のコンビネーション攻撃を食らう。

イエロー「ジェットスケボー!」

イエローライオンがジェットスケボーに乗った。

イエロー「いくぞ、スケボーアタック!!」

イエローライオンのジェットスケボーでの体当たりがボーソーヅノーに炸裂。

ブルー「ドルフィンアロー!!」

さらにブルードルフィンのドルフィンアローの3連射がボーソーヅノーを射抜く。

レッド「バイモーションバスターだ!!」

グラントータスからバイモーションバスターが転送され、5人がそれをキャッチ。

ライブマン「バイモーションバスター!!

バイモーションバスターから撃ち出された3色のエネルギー波がボーソーヅノーに炸裂!
ボーソーヅノーがあおむけに倒れながら爆発する。
そこにガッシュが現れる。

ガッシュ「ギガ・ファントム」

ボーソーヅノーが巨大な姿となって蘇生される。
何も言わず引き上げるガッシュ。

ブラック「バイソンライナー!!」
グリーン「サイファイヤー!!」

バイソンライナーとサイファイヤーが出撃。

ブラック「行くぞ!」
ライブマン「OK!」

バイソンライナーにブラック・レッド・イエロー、サイファイヤーにグリーン・ブルーが乗り込む。

ブラック「合体!
ブラック、グリーン「ボクサーディメンション!!
レッド「完成!
ライブマン「ライブボクサー!!

バイソンライナーとサイファイヤーがライブボクサーへと合体した。
ボーソーヅノーは両肩のパトランプを光らせ、槍でライブボクサーを突くも、ライブボクサーは槍に飛び乗って、ボーソーヅノーを殴り飛ばす。

レッド「ライブボクサー、」
ライブマン「ミラクルビッグブロー!!

エネルギーを込めた必殺パンチが炸裂!
ボーソーヅノーが爆発四散し、最期を遂げる。


ブッチーとめぐみが海で歌って踊る──めぐみはそんな光景を思いながら、海を見ていた。

めぐみ「踊ってあげたかった。ブッチーと、心ゆくまで……」
丈「あいつのためにも、ビアスを倒そうぜ」
勇介「早く平和な世界を取り戻すのさ。ブッチーが願った、楽しく歌って踊り続けられるような世界をな」
鉄也「そうだよ。それがブッチーへの最大の供養になるさ」
純一「元気出して、めぐみさん!」



果たして、そんなに平和で楽しい日が地球に蘇るのは、
いつの日であろうか。
残る3人の天才──ドクター・ケンプ、ドクター・マゼンダ、
ドクター・アシュラの作戦の恐ろしさを想像して、
さらなる激しい戦いを予感するライブマンであった。




つづく

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最終更新:2022年03月13日 14:48

*1 第22話。