戦姫絶唱シンフォギアの第1話 (漫画版)

#.01

山梨県・北富士演習場

?『状況終了を確認・・・』
自衛隊員「旧式とはいえこうも易易と・・・」
特異災害対策機動部二課(以下台詞内以外では「二課」とする)・司令 風鳴弦十郎
弦十朗「よくやった二人とも―――帰投準備だ」

多数の戦車の残骸の中に、2人の少女、
風鳴翼と天羽奏が立っていた。
自衛隊員「あれが特異災害対策機動部二課保有のFG式回天特機装束―――」
「シンフォギア―――」

普通の服に着替えた奏と翼は、一人の自衛隊員と施設の一室にいた。
奏「ふぁ・・・ねぇ!ここってさもっと時間をつぶすのにマシな場所ってないの?」
「カラオケとかさ?」
翼「奏!任務中よ!」
奏「固ぇこと言いっこなしだって。だいたい司令(ダンナ)と了子さんいったいどんだけ待たせるのさ?」
津山一等陸士「あの・・・お二人のことはこの場所にて待機警護するよう任を受けております。勝手な移動はお控えいただきたく・・・
それにここでの娯楽施設ですとシアタールームはありますがカラオケはちょっと・・・」
奏「ぷっ。あははははっ!悪ぃ悪い。冗談だって!」
津山「え・・・」
奏「あんたもマジメだねぇ。あたしの相方みたいだ」
翼「奏!」
奏「けどさあたしらのプレゼン見といてまだ会議だなんて何をそんなに話すことがるのやら・・・」
翼「風鳴司令がおっしゃるにはまだ二課のプロジェクトの重要性については懐疑的な声が多いとか・・・承認を得るにも時間がかかうのよ」
奏「ふん!時間なんてかけるだけムダだね。ノイズをやれるのはあたし達だけだ!」
翼「・・・そうね」

自衛隊特別総合幕僚幹部/重要戦略会議室
?「天羽奏17歳、風鳴翼15歳か・・・少女の「歌」によって力を得る兵器ねぇ・・・」
了子「これがシンフォギアシステムを形成する核」
二課の技術主任・櫻井了子が指に下げているのは2つのペンダントだ。
矢薙内閣情報官「あの戦闘力がこんな小さな物に集約されているとはとても信じられん」
了子「既知の技術体系にそっては測れません。」
「シンフォギアは異端技術(ブラックアート)の結晶ゆえに未知の脅威である特異災害「ノイズ」に唯一対抗しうる牙なのです!ノイズの駆逐にはさらなる異端技術の研究が必要不可欠。人類の未来のためにも今日の実験は――」
矢薙「むぅうう・・・答えが出ましたな」
広木防衛大臣「矢薙くんのこのポーズはNOのサインだね。計画書は後日再提出すうより他ないな」
了子「なっ!」
弦十朗「・・・反対理由をお聞かせいただけますか?」
広木「我々は反対しているわけではない。シンフォギアが日本政府の保有する多くの現代兵器を凌駕する事は認めよう、
そして報告書を見る限りノイズに対する唯一無二の決定打である事も―――だからこそ慎重であるべきだと言っているのだ」
「こと提案されている実験! 決して人道的にほめられたものではないのだからな」

自衛隊特別統合幕僚監部820区画東通路
一人の自衛隊員が部屋に入ると、中には人間の形をした炭素の塊が散乱していた。
自衛隊員「うっ・・・・!? !!」
その隊員の背後に、異形の怪物ノイズが近寄っていた。

多数のノイズが自衛隊員達を襲い出す。

奏達のいる部屋にサイレンが響いた。
津山「!?」
翼は会議室の弦十朗と通信している。
翼「風鳴司令」
弦十朗「翼か!騒動の原因はこちらで特定している、聞いて驚くなよ・・・・・・」
「基地施設内にノイズ大量発生!当たるを幸いの大暴れ中だ・・・!!」
翼「そんな・・・!」
奏「・・・・であたしらはどうすればいい?」
弦十朗「お前らは――ッ」
了子が弦十朗の持っていた通信機を奪いとる。
弦十朗「了子くん!」
了子「魔王を討てる伝説の武器はこちらで預かったまま・・・D300区画まで来られる?」
奏「あたしらがいなければそれこそ宝の持ち腐れだ!」
翼も頷く。
翼「行きます」
津山「何をする気ですか!?〝行きます”って・・・」
翼「それが防人の使命です!」
翼と奏は部屋から出ていった。
津山「・・・君たち!・・・・・・」

自衛隊員「撃てぇ!」
迫るノイズに自衛隊員達は一斉射撃するも、ノイズには全く通用しない。
自衛隊員「ダメだ」 「逃げろ!」

武中陸将補「あ・・・ああ」
矢薙「何という事だ。本当にこちらの装備ではまるで効果がないとは・・・」
了子「これが我々人類の天敵。認定特異災害〝ノイズ"の驚異です」
「ノイズに接触した人体は即座に炭素へと換えられ分解されます。そして恐るべきは我々の行使する兵器、
通常物理法則下にある破壊力の大部分を無効化する特性――」
矢薙「君は・・・何を悠長に解説などしとるのかね!?会議は終わりだ!」
武中「大臣、我々も急ぎ避難の準備を――」
了子「お待ちください――」
弦十朗「シンフォギアシステム装者二名こちらに向かって移動中。合流後反撃に転じます!」
広木・矢薙・武中「「「!!」」」
了子「間もなくプレゼンテーション第二幕が始まりますわ」

奏「くそっ。ダメだ、ここも動かない」
翼「基地の防衛システムが働いているんだわ・・・どこか別のルートを探さないと」
奏「別のつったってどこもかしこも似たような通路ばかり。他の道なんてわからないだろ」
翼「こういう施設は侵入者を迷わせるためにあえて構造を複雑にしていると聞くけど・・・」
奏「急いでいるってのに・・・」
津山「君たち!」
奏「あんたさっきの・・・」
津山「D300区画はこちらです!案内します」

奏「モニタールーム?」
津山「ここからなら安全なルートを検索できます。今から隔壁を操作して直接
エレベーターまでの道を作ります。俺の誘導に従ってくれれば迷う心配もありません」
翼「ここも安全ではないわ。あなたを残すわけには・・・ハッ」
津山は左足に傷を負っていた。
津山「これ以上は足出まといです・・・これでも自衛官の端くれ!覚悟はできてます。命を盾にしても君たちを――」
奏「そんなの願い下げだね!あたしらは一人でも多くの命を助ける!そん中にあんたの命も入ってる!!自分から諦めるような口ぶりはやめてくれ!!・・・簡単に諦めてなってくれるなよ」
津山が奏の言葉に頷いた。
奏「頼んだからな!あんたみたいなクソまじめのお守り、こっちは一人だけで充分なんだ」

翼「奏・・・」
奏「ああ・・・こんな防人稼業を続ける限りいつおっ死んでもおかしくないだろ?」
翼「・・・ッ」
奏「だけどな、助けた人間が残ってるならあたしらの〝歌”もまた記憶だったり心だったりに残ると思ってね」
翼「歌・・・・・」
奏は取り出した薬剤を口にしていた。
奏「見えた!D300区画直通!」
2人が扉を開ける。
奏「ダンナァ――ッ!」
翼「司令!」
弦十朗「奏、翼ァ!」
弦十朗が2人にシンフォギアのペンダントを投げ渡す。
2人がペンダントを受け取る。
奏「行こう!翼――」
翼「奏!」

津山はノイズに追い詰められていた。
津山「ぐっ」
(ここまでか・・・)
「・・・?」
(!?これは―――・・・)
津山の前に、シンフォギアを纏った奏と翼が駆けつけた。
津山(歌!?)
奏「助けるって言っただろ?だからあんたもあたしらの歌を忘れないでくれよな」

奏の槍、ガングニールと翼の剣、天刃々斬はノイズを蹴散らしていく。
武中「あれだけの攻撃が効かなかったノイズをああも簡単に・・・」
了子「通常攻撃では超える事のかなわないノイズの防御特性。それを解析し突破したのがシンフォギアシステムによる攻撃です」
奏がノイズの触手に絡め取られるも、そのままノイズの上に上がり、
ガングニールでノイズを貫いた。
了子「同時に装者の身体表面にフィールドコーディングを施す事で接触による人体の炭素転換を阻止し、
ノイズを天敵たらしめる盾と矛を奪い取ることに成功しています。そしてこれら全ての機能を実現させている源こそ――」
広木「゛歌゛か」
了子「そうです。"歌"こそがシンフォギアを流れる血――」
翼と奏の同時攻撃「双星ノ鉄槌(DIASTER BLAST)」がノイズを一掃した。
了子「これが彼女たちの"歌"の力です」

弦十朗「計画提案を受理していただけると!?」
矢薙「いいだろう。「Project:N」の承認に向けて私から総理に働きかけよう」
了子「二人のお手柄よ~~~♡」
広木「――いいのか?事を性急に運びすぎていやしないかい?」
矢薙「ノイズの驚異を目の当たりにしたのだ。あれに対抗するためながらどんなに急ぎすぎても急ぎ過ぎではあるまい」

弦十朗の持つ携帯電話が鳴り出す。
弦十朗「失礼」
矢薙「ま・・・まだ何かあるのかね?」
弦十朗「何だと!?緊急事態だお前ら、だたちに現場に急行せよ」
矢薙「いったいどうしたというのだ!」
翼「東京のスタジオでこれからリハーサルが控えているのです」
奏「こう見えてあたしらアーティストなんでね!」
弦十朗「ぜひ一度こちらの歌も聞いてやってください」
弦十朗が矢薙にCDを渡す。
矢薙「"ツヴァイウイング"・・・?」

弦十朗「お前ら急げ――!」
弦十朗達は駆け出していく。
松葉杖をついた津山が、奏と翼に声をかける。
津山「! 君たちの歌忘れません!!」
翼が口元に笑みを浮かべ、奏が手を振った。

響「"ツヴァイウイング"?」
未来「そう。すっごくかっこいいしきっと響も気に入ると思うんだけど・・・」
響「ふーん」
響の祖母「響――、さっさとお風呂に入りなさい」
響「わかってるって、おばあちゃん」
「私 ライブとかって行った事ないんだよねぇ・・・」
「うんっ、いいよ。未来が行くなら一緒に行く」
未来「ほんと?良かった――!普通はなかなかチケットとれないんだから!」
響「なんかちょっと楽しみかも」
響のいる部屋のTVでは、そのツヴァイウイングが、
奏と翼が歌っていた。





続く

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最終更新:2016年04月04日 14:36