百神「お……おおお……おおおおおおおおおおおお……!我が……名……は……百神……。……百の世界を……統べる……もの……。
世界に……ゆらぎの歌を……響かせ……る。それが存在する……理由……逢魔……の……」
爆発する百神
小牟「やったか!?」
ケン「ああ、粉々に飛び散った。……終わった、な。」
零児「『逢魔』の計画……これで本当に止まったはずだ。みんな、『森羅』への協力に感謝する。」
バージル「……成り行きだ。」
シエル「あとは、ここからどう抜け出すか、ですね。」
春麗「それに、この島もこのままにしておくわけには……」
地震が発生する
リーンベル「え!? 何この揺れ! 地震!?」
ゼファー「浮遊している島に地震なんかないだろ!これは……崩れ始めてんのか!?」
平八「ぬうっ……!この揺れで、例の爆弾は落ちたりせんじゃろうな?」
ジル「それは確認済み。機能は停止しているわ。でも……私たちは普通に落ちる……!」
エステル「ど、どうすればいいんです!?」
マヨイ「か、神様っ……!」
魔界に着陸する龍亀一號
裏嶋「ふう。着陸成功ね。どうにか。」
零児「ここは……魔界か?」
モリガン「あら、家の前までなんて、気が利いてること。」
裏嶋「ここが一番"ゆらぎ"が安定してるから、ディメンジョン・ダイブもやりやすいのね。」
フィオルン「……それにしても助かったわ、博士。龍亀一號が落ちた時はどうしようかと思ったけど。」
キャプテン「空中で変形ができたんだな。派手に煙が上がっていたようだが?」
裏嶋「飛行形態に変形する直前、崩れ落ちてきた島の破片が当たっちゃったのよ。」
小牟「古来より、変形中の攻撃はご法度なんじゃが。まあ、それでよく立て直したのう。」
裏嶋「飛びながら応急修理して……なんとか間に合ったってわけ。」
零児「博士、脱出したあの空間……"百の極地"はどうなった?」
裏嶋「……消滅したそうよ。あの後。危なかったんだから。」
アキラ「おいおい……何から何までお手柄だな、博士。」
ワルキューレ「時の狭間に落ち込んでしまうところでした。裏嶋さん、ありがとうございました。」
裏嶋「もっと褒め称えていいのよ?過剰に。」
リュウ「だが……これですべてが終わったんだな。」
裏嶋「それがそうでもないのよ。残念ながら。」
飛竜「……何かあるのか?」
裏嶋「さっき、諜報部から通信が入ったのね。"ゆらぎ"が不安定になってるのよ。世界中の。渋谷を中心としてね。」
零児「さっき"百の極地"が消滅した影響か?」
裏嶋「そのようね。これが広がると、しばらくの間は"ゆらぎ"が、どこに繋がるかわからない。」
ケン「異世界や、別の時代から来ているメンツが、戻れなくなるってことか……!?」
裏嶋「ビンゴよ、ケンくん。……今のうちに、解散するべきね。」
ジューン「あわただしいわね。結構な人数がいるし……どうするの?」
零児「ここは神室町に通じているはずだ。歩いてでも戻れる。」
小牟「ふむ、ヤクザに弁護士、格闘家……この連中には、神室町に出てもらおうかの。」
影丸「承知、まかせよ。」
ワルキューレ「ユーリさんやクロムさん、アティさんたちは、私がマーベルランドからお送りしますね。」
アティ「ありがとうございます!やっと、生徒たちの所へ帰れます。」
零児「ああ、異世界の方は頼む、ワルキューレ。あとは別の時代から来たメンバーだが……。」
KOS-MOS「ここからなら、サイバースペースへの接続が可能です。」
エックス「よし、それなら俺たちは、自分の時代へ戻ることができるな。」
小牟「『The World』にも接続できるかの?KOS-MOSよ。」
KOS-MOS「可能だと思われます。」
ヴァシュロン「そりゃ助かるぜ。俺たちも『The World』経由でバーゼルに帰れそうだな。」
リーンベル「ハセヲくんたちも戻れるね!」
裏嶋「次の問題は、数年前の過去や未来……微妙に時間軸がズレた時代のコたちね。」
零児「そもそも、俺たちの歴史とは異なる時間軸……太正時代から来た大神たちの問題もあるな。」
イングリッド「ワシにまかせよ。紋章も戻ってきたことじゃし、それくらいの時間調整は朝メシ前じゃ。」
涼「そんなことができるのか?……そもそも、あんたは何者何だ?イングリッド。」
イングリッド「一緒に旅をしてきて、今さらじゃのう。涼よ、ま、謎の美少女じゃと思っておけばよい。」
小牟「……むう。謎の美少女では仕方がないのう。」
零児「何が仕方ないかわからんが……わかった。まかせよう。イングリッド。」
クリス「俺たちは本国へ帰らなければならんが……。」
裏嶋「アメリカ、中国の海外組は、この龍亀一號で送っておげようかしら。格安で。」
春麗「それはありがたいわね。空の旅を楽しませてもらうとするわ。」
アクセル「ゲームをしながら帰れるな。ラッキーだぜ。」
零児「あとは……ゴッドイーターたちも、龍亀一號で待機してもらって、渋谷に降ろす。」
小牟「ふむ、確かにあやつらの時代は、渋谷の"ゆらぎ"を使った方が確実じゃの。」
裏嶋「決まったようね。大体は。"ゆらぎ"の不安定化は、ゆっくりと進行中みたい。早くお別れした方がよさそうよ?」
ダンテ「打ち上げパーティーもなしか。ま、しょうがねえな。」
フェリシア「あ~あ、せっかく、たくさんトモダチができたのにな……。」
デミトリ「…………。ふん、慣れ合いなどして何になる。……さっさと幕を引け。」
アキラ「やれやれ、最近はこういうことに巻き込まれてばっかりだ。だが、すべてが無事に済んでよかった。俺の武道も貫けたしな。」
リュウ「拳を向けるべき敵、そして交えるべき友、か。答えはいつか見つかる。その時まで、歩き続けるだけだ。」
影丸「我が復讐、いまだならず。ゆえに我、いまだ抜き身なり。だが、いつかは納める時が来る。その時まで、さらばだ。」
秀真「俺は任務に戻る。・・・・・・もう、会うことはないかもしれん。俺たちの宿命が、交わらぬことを祈っている。さらばだ。」
仁「金の鎖、呼び戻された魂、か。俺の呪われた血までは消えない。だが……今はそれでいいさ。」
シャオユウ「もう、仁に関ろうとすると毎回こうなっちゃうんだよね……。逆に開き直って、がんばるしかないかも!」
平八「ここで仁やカズヤと決着を着けてもよいが……ふん、今はそういう気分ではない。見逃してやるか。がーはっはっはっはっは!」
カズヤ「馴れ合いなどするつもりはない。殺されたくなければ、さっさと消えるがいい。」
ナルホド「もうこんなのはこりごりだよ……いろいろ、勉強にはなったけど。次に会う時は法廷で!……そんな所で会わないのが一番いいけど。」
マヨイ「はあ、疲れた……。やっぱり大冒険はテレビだけでいいよ……。でも、ちょっと楽しかったよ!たまにはヒーローもいいかもね!」
真島「ガキどもに混ざって正義の味方ごっこ……ええトシしてしんどかったわ。……でもま、めっちゃオモロかったで?また誘うてや、ほな!」
桐生「やっと帰れるな。これで……また静かな生活に戻れる。だが、何かあれば……必ず駆けつける。ケジメをつけにな。」
涼「鳳凰鏡が戻って……やっと香港に旅立てる。またどこかで会えたらいいな。俺の旅が終わる頃に、また。」
せがた「さらばだ、若者よ。そして永遠のセガ戦士たちよ。世界の平和が乱れた時、真剣に遊ばなかった時……俺はまた現れる!」
立ち去るアキラ達
アティ「私、今回の冒険で色々なことを学びました。大切なこと、はぐれた者たちの島でも役立てます!では、さよならです!」
クロム「異なる世界、異なる時空……人と人同士でなくとも、絆がある。異界の友たちよ、この絆……決して忘れはしないぞ。」
ルキナ「どんな絶望の中にあっても……絆の強さが未来を変える……。それを知って安心しました。必ず未来を救います!では、またいつか!」
フィオルン「仲間とのキズナ、思いの強さ……すごく感じたよ。時間も世界も種族も……全部乗り越えて仲よくできるってね。」
エステル「お別れです。でも……また会えますよね?広い広い世界、たくさんの友人……楽しい旅でした!本当に!」
フレン「さまざまな世界に分かれて暮らす様々な人たち……でも、心はつながっている。そのことを僕は心から嬉しく思う。さようなら、異世界の友人たち。」
ユーリ「あちこち行かされて、まったく参ったぜ。今度はゆっくり遊びに来いよ。案内くらいはしてやるぜ。じゃな。」
ワルキューレ「今回の冒険もまた、無事に終わらせることができました。勇敢な若き戦士たちに……感謝します。それでは、またいつか。」
立ち去るワルキューレ達
キャプテン「これで、本当にミッションコンプリートだ。協力に感謝するよ。コマンドーチームは、いつでもキミたちの参加を待っている!」
飛竜「任務の途中だ。俺は戻る。……ストライダーズに用があるなら、俺に言え。」
ジューン「ハヤトは助かったし、シグマたちも倒せた。すべて、みんなのおかげよ。ありがとう。またいつか会いましょうね。時間を越えて、いつか。」
ヴァシュロン「小さな世界の外にある、大きな世界か。まったくよ。ま、銃と弾さえあれば、どうとでもなるさ。」
ゼファー「バーゼルの外の世界……やっぱり面白いな。でも、あそこもまた……俺たちの世界なんだ。俺たちの家なのさ。」
リーンベル「大切な物は、この手の中に。だから落とさないようにしなきゃ。それが守るっていうことだからだと思う。どんな時でも、ね。」
エックス「俺は、悩んで悩んで……そして答えを出そうと思う。いつかまた会う時があったら……見せられるといいな。」
ゼロ「任務完了だ。シグマの件は、もっと調査する必要があるな。サイバースペースで会うこともあるだろう。……その時は、声をかけろ。」
カイト「ネットとリアルの境界線……そんなもの、もう無いのかもしれない。でも、やっぱり世界を救うのは……ゲームの中でいいかな。」
ハセヲ「他人のことを背負い込む余裕、か。ヘッ、ガラじゃねえ。リビジョン・ツーに入るなら、声をかけろよ。……じゃな。」
うらら「逢魔の混沌大作戦を粉砕しました!これでまた我々に、ハッピーに満ちた日々が戻ってくることでしょう!」
KOS-MOS「すべての任務を完了したと判断します。さようなら。ロストエルサレムの子供たちに、幸(さち)多からんことを。」
転移するキャプテン達
レオン「タイムスリップして異世界旅行か。報告書を考えると、なけるぜ。だが、退屈はしなかった。世界も救えたなら、言うことはないさ。」
緋花「帰ったら、またあの忍務か。気が進まないわね。ただ、あたしがやるべきことはわかったわ。……じゃあね。」
ナツ「これも先生が通った道……アタシ、ちょっと嬉しいよ。さ~て、次は先生に会わなきゃ。……楽しかったよ。ほんじゃ、またね。」
エリカ「楽しかった……なんて言うと、怒られちゃいますかね?でも、エリカは……仲間っていいな、って思いました。本当に!」
ジェミニ「幸せなら、なんだってできる!師匠の言葉、今ならわかるよ!みんなが、それぞれのハッピーな道を進めるように!それじゃグッバイ!」
大神「たとえどんな相手でも、自分を信じてまっすぐにぶつかっていけばいい。それが……旅立つみんなに俺が贈る言葉だ。」
さくら「あたしたち華撃団は、どの世界、どの時代でも駆けつけます!さあ、大神さん、帝都へ帰りますよ。……いろいろとお話を、聞かせてもらいますからね。」
イングリッド「とんだ時間を食ったのう。早く本来の仕事に戻らねば。またいつかどこかで、ワシは陽炎のように現れるぞ?にょほ!」
クリス「やれやれ、毎回これでは体がもたんな。だが、この戦いには意味があった……そう信じるさ。」
ジル「長かったわ、ここまで。早く着替えたいところね。なにかあったら、BSAAまで連絡を。また、協力してあげるわ。」
ケン「格闘技大会から、とんだ大会に巻き込まれたもんだ。だが、これでやっと戻れるな。ただの格闘家、ただの父親によ。」
フェリシア「さーて、これでツアーに戻れそう。今回の旅自体がツアーっぽかったけど。今度は、あたしのツアーにみんなを呼ぶよ!お楽しみに!」
パイ「また映画何本分かのアクションをしちゃったわね……。今度からはカメラを回しながらの方がいいかも。じゃ、またね。」
春麗「今回の戦いで、シャドルーは大幅に弱体化したけど……まだまだね。というわけで、私は戻るわ。次の事件で……もし会ったなら、よろしくね。」
アクセル「悪いことを考える奴はどこにでもいる。だが、それを止める奴らもまた、いるってことだ。俺たちみたいにな。」
シエル「特殊部隊ブラッド、帰投します。皆さんのご協力に感謝します。信頼と仲間……。皆さんと出会えてよかった。またお会いしましょう。」
アリサ「ブラッドとの共同作戦、うまくいってよかったです!また、いい経験をさせてもらいました。頼まれているおみやげと一緒に……持ち帰ります!」
ナナ「はー、大変だったけど、楽しかったよ。平和も戻って一件落着だね!じゃあ、また遊びに来てね。新しい料理を考えとくから!」
龍亀一號に乗り込むレオン達
ダンテ「未来は数限りなくある。どんな未来が待っているかはわからないのさ、兄貴。」
バージル「お遊びはここまでだ。俺には、やらねばならんことがある。ダンテ、再び会うこともあるだろう。どのようなかたちであれ、な。」
ダンテ「俺たちの未来が、どこかで交わる時に……また会おうぜ。」
立ち去るダンテとバージル
モリガン「やっぱり人間界は退屈しないわ。今度は魔界にゆっくり案内してあげる。ゆっくりと、ね。」
デミトリ「このままモリガンと魔界をかけての戦いに興じてもよいが……今宵、それは無粋というもの。時間はある。終わらぬ夜の時間が。」
立ち去るデミトリとモリガン
小牟「それじゃ、わしらも帰るかのう。今回も盛大じゃったな。」
裏嶋「ふう、実践に出るのは疲れるのね。このトシになると。でも、貴重なデータは取れたし、めでたいから良しとしましょうか。今回は。」
零児「………。祭りの終わりは……いつも寂しいものさ。」
小牟「世界は大きな舞台みたいなもんじゃ。また共演することもあるじゃろ。」
零児「世界はやがて一つの舞台になっていく、か。……そいつは重畳。」
……こうして戦いは終わった。
『逢魔』の「百一胎計画」は阻止され、
大量に発生していた"ゆらぎ"は、
次第に消えていった。それは世界そのものが持つ、
自浄作用だったのかもしれない。様々な時代、様々な世界から集った
異邦人たちは、本来自分たちが
いるべき場所……
それぞれの日常、
それぞれの戦いの中へ戻っていった。
こうして、世界には束の間の平穏が訪れた。
そして…………
とある屋敷にて
小牟「お、やっとるようじゃのう。……ちゅうか、すごい人数じゃな。」
零児「時代や世界を超えて、これだけ呼び寄せたわけか。」
裏嶋「"ゆらぎ"を管理するこっちの身にもなってほしいけど。……まあ、タダ酒が飲めるというなら、勘弁してあげようかしら。ここは。」
小牟「これだから酒飲みは。酒が絡むと、とたんにハードルが下がりよる。」
零児「おまえのインターネットやゲームと同じだろ。」
小牟「むふふ、パソコン風雲児と呼ばれたわしじゃぞ?そんなん当たり前じゃろが。」
裏嶋「まあ、この前の別れはドタバタだったわけだし、ちゃんと挨拶ができるのはいいんじゃない?」
小牟「なんじゃ、殊勝じゃの、裏嶋。そういうキャラとちゃうじゃろ。」
裏嶋「龍亀一号で一緒に生活した仲なのね。みんなとは。それに、60人乗せての作戦行動なんて、テストしようにもできるものじゃないし。」
零児「ただでテストできてラッキーだったというわけか。」
小牟「いろいろ拾ったり、売ったりして儲けてもいたようじゃしの。」
裏嶋「むふふ、そういうこと。」
零児「やれやれ。それじゃ、近場から回っていくか。」
キャプテン達のテーブルに向かう三人
キャプテン「やあ、来たね。『森羅』のエージェント諸君。」
小牟「うむ、デミトリかに悪魔の招待状をもらっての。開けよゴマゴマ!と扉を通って来たわけじゃ。」
零児「パーティーは盛況のようだな。全員来てるのか?」
影丸「あく戦(いくさ)に関わりのある者ではおぬしらが最後なり。」
零児「ふう、よく全員集めたな。デミトリも慣れたもんだ。」
裏嶋「パーティーが似合わない人も含めてね。以外と付き合いがいいじゃない、ストライダー。」
飛竜「……ストライダーズは、一度は壊滅状態に陥った。人手はいまだ足りん。」
零児「人材不足だからここに来た?どういうことだ?」
小牟「誰かをスカウトにでも来たっちゅうんかい。」
ゼロ「イレギュラーハンターも、優れたハンターは何人でもほしいところだ。そこで、俺の第0特殊部隊……通称で"忍び部隊"とも言われているんだが。」
ナツ「シノビ……部隊?……それで?」
ゼロ「……そういうことだ。」
影丸「南無っ!そういうことか……!」
秀真「いや、影丸……意図が見えん。」
キャプテン「待ってもらおう。コマンドーチームにも、ニンジャは欲しい人材でね。」
飛竜「……コマンドーチームには、もう二人いるはずだ。」
ゼロ「バランスを考えるんだな、キャプテン。」
ナツ「マジで相談してるんだけど。……緋花姉さん、入ってやったら。」
緋花「あたしはShinobi機関の所属よ。遠慮しとくわ。……秀真、悪食を守れるかもしれないわよ。」
秀真「悪食を守る……?これはいずれ必要になる。それに、朧の当主が他の組織に入るわけにはゆくまい。」
裏嶋「忍者不足は深刻なようね。どこも。『森羅』にも諜報部にやっと一人、入ったわけだし。」
零児「スカウトできるほど目立つ忍者というのもどうなんだ、という話はあるがな。」
キャプテン「力がある者ほど、その片鱗は見えてしまうものさ。」
緋花「……隠す努力はするべきだけれど。」
小牟「まさか、しょっぱなから忍者会議が行われちょるとはのう。」
裏嶋「向こうの卓も、盛り上がってるみたいよ?かなり。」
アクセル達のテーブルに向かう三人
アクセル「ビデオゲームも新作が少なくてな。まあ、最近は復刻の流れがあるんだが……」
カイト「今は家庭用ゲーム機も高性能だし、スマートフォンで十分遊べるから……」
涼「いや、今のゲームには、昔のゲームにあった"熱さ"が……」
小牟「なんじゃ?面白そうな話しとるのう!ヘンなゲームならわしにまかせとけい!」
裏嶋「あら?カイトくんにハセヲくん、まだゲーム……PCボディのままなの?」
カイト「ぼくもハセヲも、『The World』にログインしている時に、招待状をもらったんです。」
零児「なるほど、そしてこんな所まで来て、ゲームの話をしてたわけか。何が面白いんだ。」
せがた「零児くんっ!刹那の快楽を追い続けても、虚しい余生が残るだけだぞっ!」
零児「そう言われてもな。ゲームなど、それこそ刹那的なものじゃないか?」
涼「なんか、零児さん……ずいぶんゲームに対して厳しいな。」
小牟「こやつは中学生の頃、わしがファミスタで泣かせて以来、ゲームに対して辛(から)いのじゃ。」
アクセル「多感な頃に、なんてことしやがるんだ。」
せがた「今からでも遅くはないっ!セガサターン、シロ!」
ハセヲ「あのなあ、せがたのオッサン。そんな古いハードで、何しようってんだ?」
せがた「心配無用!セガサターンモデムを接続すれば、通信速度14400bpsを叩き出すッ!」
カイト「え、ええと……それじゃあ『The World』はできないんじゃないかと……」
せがた「『The World』を巻き込んだ、"ネットワーク革命"始まるッ!」
ハセヲ「始まらねえよ。まったく、これだから旧型の愛好家ってやつは……」
せがた「脳天直撃!スイッチ・オンッ!」
アウラが現れる
アウラ「…………。」
カイト「ア……アウラ……ッ!?」
アウラ「今、一瞬だけ……『The World』につながった。だから、来た。」
アクセル「セガサターン、すげえ!」
ハセヲ「Aura……!セ、セガサターンに……そんな力が!?」
せがた「そうだ。そして、セガサターンはやがて伝説となり、その魂は夢を紡ぐものへと受け継がれていくのだ。」
涼「すごい……!すごいぜ、せがた三四郎……!」
小牟「なんか異常に盛り上がっちょるが……呼ばれて飛び出たアウラは、どうするんじゃ?」
アウラ「大丈夫。この魔界からなら、あたしの力で、『The World』に戻れるから。終わったら、カイトとハセヲを連れて戻る。」
零児「ふう……わけがわからないが、せっかく来たんだ。楽しんでいけ、アウラ。」
アウラ「そうする。」
裏嶋「あたくしも、飲んでいこうかしら。ここで。セガサターン……研究の価値がありそうだし。むふふ、龍亀三號のメインコンピュータに……」
小牟「あまり深入りするでないぞ、裏嶋。じゃ、そろそろわしらは向こうに行くぞ。」
ナナ達のテーブルに向かう二人
ナナ「あっ、零児さんに小牟ちゃん!いつ来たのー?」
零児「ついさっきだ。なかなかのパーティーだ。楽しんでいるか?」
アリサ「はい、お料理がたくさんで、すごいです。ボルシチまであって……久々に食べました!」
零児「デミトリはたしかルーマニアの出身だ。東欧の料理は揃えているわけか。」
ダンテ「いや、褒めすぎだぜ?ストロベリーサンデーがないからな。」
エステル「ダンテさん、いきなりデザートから食べるつもりなんです?」
ユーリ「イチゴ乗っけたフルーツパフェだよな。我流でよければ、作れないこともないぜ?」
ダンテ「ほう、そいつはありがたいな、ユーリ。だが、ここにあるもので作るのか?」
ユーリ「ま、そりゃどうしたって、現地調達できるものでってことにはなるのだろうな。」
エステル「わたし、牛乳を持ってます!いつも飲んでいる、特産品なんです!」
ユーリ「そういや、よく買ってもらったっけな。サンキュ、使わせてもらうぜ。」
ナナ「おでんの具に汁に、パンプキンコーヒーもあるよー!」
ユーリ「なかなか独創的なもんまで出してきたな……ま、この際だ、隠し味にでもしてみっか。」
アリサ「ハーブとスメタナも加えましょう。ボルシチの味が、すごく整うんですよ?」
ユーリ「スタメナってのはヨーグルトの一種か?悪くないかもな。試させてもらうぜ。」
ダンテ「おい、待て。何ができ上がるんだ!」
小牟「スペシャルメニューというか、リトルグルメというか……イカれたパーティーの始まりじゃ、ダンテよ。」
零児「ほどほどにしておかないと、料理を用意した主催者に怒られるぞ。」
?「もう一度言ってみろ、三島一八……!」
?「ふん、貴様の辛気臭い顔を見るのはもう飽きたと言ったのだ。風間仁。」
?「がっはっはっは!始めおったか、馬鹿どもが!」
小牟「な、なんじゃなんじゃ?ケンカか?トラブルかの?」
零児「まあ、すぐにわかるが。……名前を言ってるしな。」
カズヤ「ふん、あの女が何だというのだ?終わったことをいつまでも。」
仁「こだわっているのは貴様だろう……!奴の正体、貴様は……!」
カズヤ「くだらん。いい加減黙るがいい。」
ナナ「もー!せっかくのパーティーなんだよ!?ケンカするなら外でやってよー!」
リュウ「…………。いや、中でやる。……という手もあるんじゃないのか?」
アリサ「え?な、ないと思いますけど。」
ケン「チームバトルってのはどうだ?三人一組で闘う……スリー・オン・スリーってやつだ。」
ジル「なるほど、三島の二人と風間仁……この三人で三チームを作るわけね。」
平八「ほほう、いいではないか!宴(うたげ)のちょうどよい余興よ!」
アキラ「なら俺は……仁と組むかな。リュウ、おまえもどうだ?相手は三島親子だぜ。」
リュウ「ああ、相手にとって不足はない。腕が鳴るな。」
仁「アキラ、リュウ……。フッ、いいだろう。おまえたちなら文句はない。」
ケン「なら、俺はこっちだな。全米格闘王じゃ不服か?鉄拳王さんよ。」
平八「貴様はリュウと闘(や)りたいだけじゃろう。フッ、好きにせい。」
クリス「三島平八にケン・マスターズ……これはチャンスだな。俺も加わえらせてもらう。」
ジル「クリス?あなたは格闘家じゃないでしょ?」
クリス「格闘にさらなる磨きをかけたい。素手で強くなれば、弾薬も節約できる。」
ジル「……手から稲妻や炎を出し始めたら、コンビを解消させてもらうわよ。クリス。」
カズヤ「ふん、群れる相手は決まったか。……始めるぞ。」
マヨイ「あれ?一八さんは一人なの?」
カズヤ「必要ない。俺一人で六人叩き潰せばいいだけのことだ。」
桐生「はぐれ者を気取るのは結構だが……どんなことにも、ルールってもんがあるぜ、三島一八。俺が入ろう。かまわねえな?」
アキラ「冷血頭首と呼ばれた男に、堂島の龍か。こいつは油断ならないな。あとは……」
カズヤ「あとは適当で構わん。机を下げさせろ。」
机を下げ、リング状になる
零児「これは……おあつらえ向きの舞台だな。まったく、格闘家ってやつは。」
小牟「裏嶋も加えて、わしらも出るか!チーム名は、トリオ・ザ・森羅で決まりじゃ!」
裏嶋「何をしてるのかと思えば、出ないから。そんなの。……このメンツを相手に殴り合いなんて。」
仁「準備はできている。いつでもかまわん。」
アキラ「やっぱり、強い奴を目の前にすると……気持ちが昂(たか)ぶるぜ。」
リュウ「ああ、いい修行ができそうだな。……楽しみだ。」
平八「ふん、若造どもが。思い出させてやる必要があるようじゃ。ワシの力を。」
ケン「ベガに操られて闘いはしたが、やっぱり、自分の意思でやらねえとな。」
クリス「(どうすれば、拳から炎が出せるようになるんだろうか)」
カズヤ「ごたくはいい。とっとと始めろ。」
桐生「焦るなよ、三島一八。足元をすくわれるぜ。……なあ、先生。」
ナルホド「ええ、そうですね。……っていやいやいや!なんでぼくがここに入ってるんだ!?」
マヨイ「え?やっぱり人数は合わせなきゃ、かっこつかないって話になったじゃない。」
ナルホド「え?」
緋花「髪型が三島一八に似てるし、いいんじゃない?」
ナルホド「え?え?」
秀真「背広は桐生一馬と同じだな。」
ナルホド「え?え?え?」
影丸「案ずるな。おぬしの出番はないかもしれぬ。」
ナルホド「え?え?え?え?」
ナツ「出番が来てもさ、ちょっと痛い目に遭うくらいじゃん?マジ死にやしないって。」
ナルホド「…………。(あまりにも特殊な状況だけど……やっぱりぼくは、叫んでおくべきなのか……?)」
飛竜「……それを開始に合図にすればいい。」
ナルホド「言わないと収拾がつかなそうだ。じゃあ……そういうことで……意議あり!」
小牟「それでは、スリー・オン・スリー格闘大会!いぃってみましょお~~~~~っ!」
マヨイ「お願いしまーーす!」
エステル「お、お願いしまーす!」
零児「ケガと器物破損には気を付けろよ。……さて、俺たちは行くぞ、小牟。」
階段を上がる二人
ミツルギ「…………。」
小牟「おろ?こやつは、成歩堂の一味の……」
零児「検事局の御剣検事か。海底の"龍宮裁判"以来だな。」
ミツルギ「ム……?キミたちは……あの時の特務機関の隊員か。いつぞやは世話になった。」
小牟「こんなとこで何をしとるんじゃ?下ではぬしの相棒が「意議あり!」言うとったぞ?」
ミツルギ「うむ……。それが先ほど、女子会なるものの立会人を依頼されたのだ。そこで議論の決着を、「徒競走にてつける」という話に落ち着いたのだよ。」
零児「……意味がわからないんだが。」
ミツルギ「私もだ。依頼人は向こうにいる。」
シャオユウ「じゃあ、この先の御剣検事がいる所がゴールだからね!」
ルキナ「ジョシカイ……異界の会合は変わっていますね。徒競走に勝利する必要があるなんて……」
パイ「シャオユウが勝手に言ってるだけでしょ?この長い廊下を見て、テンション上がってたから。」
シャオユウ「あ、一番になった人は、二位以下の人から、どんな秘密を訊いてもいいってことにしよっか!」
リーンベル「ええっ!?どうしてそんなことを!?」
ルキナ「面白いですね!異界の人のこと、知りたいことはたくさんあります!」
ワルキューレ「親しき仲にも礼儀あり……人の秘密はそっとしておくべきです。」
リーンベル「それもそうよね……。」
シャオユウ「ワルキューレさん、謎めいてるから色々訊きたいんだよね。」
パイ「現役の天使だものね。……確かに、少し興味があるわ。」
ワルキューレ「そ、そう言われましても……。」
ルキナ「とにかく、やってみましょう!私、体を動かしたいです!」
パイ「じゃあ、行くわよ!用意…………!」
シャオユウ「ドーーーン!」
徒競走をする四人
ミツルギ「ワ、ワルキューレくんの勝利だ。踏み潰されるかと思ったが……。」
小牟「ムチャしよる。必死すぎるじゃろ!」
シャオユウ「ちょっと~!反則だよ、反則!進路妨害にもほどがあるんだから!」
ワルキューレ「秘密を守るためには、仕方がなかったのです……。」
ルキナ「ワルキューレさん……どれだけ心の闇を抱えているんですか……。」
ワルキューレ「そ、そうではないのです!天界やマーベルランドには、数多くの秘密が……」
リーンベル「そんな、本当に危険な秘密は訊きませんって!」
パイ「何を訊かれると思ったのかが、逆に気になるわね……。」
ワルキューレ「……秘密です。」
零児「まったく、子供の頃、廊下を走るなと言われなかったか?」
小牟「今後は「巨大化もするな」と付け加えねばならんの。」
フィオルン達のテーブルに向かう二人
零児「格闘大会に徒競走と来て……ここはずいぶんとおとなしいな。」
フィオルン「ふう、こっちの世界が平和になったのはいいけど……お兄ちゃん、どうしてるかな……。」
チキ「お兄ちゃん、ね。フレンを見てると、少し思い出すわ。……ねえ、呼んでもいい?」
フレン「かまいませんが……思い出の中の人は、大切にすべきかと思いますよ、チキさん。」
チキ「ふふ、そうね。あなたはあなた、あの人はあの人だもの、ね。」
真島「モテるのォ、フレンちゃん。若いウチからそんなんやと、悪いオンナに引っかかるで。」
春麗「生臭い話はやめなさい、真島。ほら、飲んで飲んで。」
ジューン「春麗さん、なんか貫禄あるわね……。」
ジェミニ「一郎叔父(おじ)さん、ステーキサンドもあるから。はい、あ~ん!」
大神「ジェ、ジェミニ、大丈夫だ。一人で食べられるよ!」
さくら「……ジェミニ。どういうこと?エリカさんがいなくてホッとしたら、今度はあなた?」
ジェミニ「あ、いや、しばらく新次郎と会っていないから、その代わりというか……えへっ!」
クロム「この異界の形式にも、だんだんと慣れてきたな。……次に軍議を開く時の参考にしよう。」
シエル「確かに、相互理解を深め、連携を取るためには効果的かもしれませんね。」
イングリッド「逆にギクシャクする関係が生まれるかもしれぬがのう。にょほほ。」
小牟「おとなしいにはおとなしいが……殴り合いや、かけっこの方が健全な感じもするのう。」
零児「それにしても……ここだけずいぶん豪華だな。他のテーブルにない料理や酒が並んでいるぞ。」
イングリッド「せっかくのパーティーなんじゃ。あるならあるだけ、飲まなきゃソンじゃろ?」
春麗「でも、どれもかなり高い酒よね。……魔界で手に入るものなのかしら?」
零児「モリガンを始め、人間界を行き来している連中は多い。入手は難しくないだろう。」
真島「おーーい、酒が切れたで!一番高いの持ってこいや!」
ジューン「あ、療養中の同僚に持っていくから、お料理、いくつか包んでくださーい!」
シルフィー「かしこまりました!少々お待ちを!」
チキ「な、なに?ここ、城の中でしょう!?」
シエル「SHOPにシルフィーさん……!まさか、パーティーの飲食物は……」
シルフィー「はい、毎度ありがとうございます!私はシルフィー、このパーティーの幹事です!」
さくら「シルフィーさん、幹事って……ここの料理やお酒は、あなたが用意したんですか?」
シルフィー「左様でございます!さらに仕入れに関しては、この方にもご協力いただきました!」
零児「……オチが見えてきたな。」
みゆき「はいっ、そうです!この私、みゆきがご用意させていただきました!最高級品ばかりを取り揃えましたので、必ずや!満足していただけていると思います!」
フレン「ええ、料理も飲み物も本当にすばらしいです。」
シルフィー「そこで、次のご注文の前に、ここまでの飲食代をいただこうと思いまして。」
大神「いいっ!?俺たちが払うのかい!?い、いくら!?」
シルフィー「この時代の貨幣価値に換算いたしますと、999900GOLDでございます。」
フィオルン「99万!?シルフィーの服と同じ値段じゃない!?」
みゆき「飲んで食べて、女性とおしゃべりを楽しんで……お金はない、では通りません……。」
真島「女はツレやっちゃうねん!自前や!」
シルフィー「……少し、事務所の方でお話をいたしましょうか。」
真島「アカン!こりゃやられたで……!ハメられたんや……!」
クロム「くっ、異界の会合……こんなことが起きるのか!?」
小牟「店は選ばなければならんということじゃのう。気をつけるんじゃぞ?零児。」
零児「……俺たちも巻き込まれる前に、次に行くぞ。」
レオン達のテーブルに向かう二人
零児「ん?こっちでは何をやっているんだ?」
エイダ「あら、あなたたちは……『森羅』のエージェントさんね。」
小牟「ぬしは確か、トールオークス教会におったの?沙夜と仲良くしとったの、覚えとるぞ?」
エイダ「エイダ・ウォンよ。……忘れてくれていいわ。」
零児「どうして彼女が?」
レオン「協力者さ。今回の事件……彼女の情報がなければ、危なかった。」
エックス「新宿にシャドルーがいたという件か。でも、どうして助けてくれたんだ?」
エイダ「ただの気まぐれよ。それとも、レオンのため……って言ったら、信じる?」
レオン「本当にそうなら、なけるぜ。」
バージル「……そういう女の言うことは、真に受けるな。」
小牟「おろ?デビル兄貴の方はこっちにおるのか。弟の相手はしなくていいのかの?」
バージル「……馬鹿騒ぎに付き合う趣味はない。」
小牟「それで隅っこの方に来たわけじゃな?じゃが……とても静かとは言えんのう。」
エックス「そうなんだ。ここだけ空気が違うというか……」
うらら「グッドイブニング、みなさん!今晩のうららのリポートショウは、パーティー会場と化した吸血鬼のお城からお送りします!」
フェリシア「おー!お送りしちゃオー!」
エリカ「エリカ、張り切っていきます!」
KOS-MOS「了解しました、うらら。」
たろすけ「いいよ~!お姉ちゃんたち!もっと足上げて~!」
アティ「たろすけくん?みんな一生懸命なんです!そういう目で見るのはいけないと思います!」
たろすけ「先生さあ、そんな格好でぶるんぶるん踊っておいて、それはないんじゃないの?」
アティ「こ、これは、マネマネ師匠のものまねダンスバトルを勝ち抜いた、まじめな踊りなんですよ!」
たろすけ「なんだって、オイラはかまわないけどさあ~!ウェヘヘヘヘヘエ~!」
小牟「これ、何が行われてるんじゃ?もう異常事態じゃろ……。」
零児「たろすけと同じポジションのヴァシュロンが踊っているのも妙だな。」
ヴァシュロン「誰が同じポジションだ!俺たちは仕事!PMFに依頼が来たんだよ!」
ゼファー「……やってられねえっての、まったくさ。」
レオン「依頼だと?誰からなんだ?」
乙姫「それは私です。龍宮の騒動では、お世話になりました。」
零児「龍宮城の乙姫か。なるほど、たろすけがここにいるのも合点がいく。」
小牟「依頼って、こやつらを躍らせて、どうするつもりじゃ?」
乙姫「実は先日、畜生界(ちくしょうかい)から、龍宮城の土地をめぐり、戦いを申し込まれたのです。」
バージル「戦いだと?まさか……」
乙姫「はい、踊りの美しさを競う、というものです。」
うらら「それを聞いては、黙ってはいられません!スペーイチャンネル5が総力を挙げて、お手伝いします!」
零児「だが、畜生界ということは、相手は動物だろ?こっちは、フェリシア以外はどう見ても人間だぞ。」
エックス「そのフェリシアも、ほとんど人と変わらないし……アンドロイドのKOS-MOSも、完全な人型だな。」
乙姫「そこはご心配なく。KOS-MOSさん、照明をお願いします。」
KOS-MOS「了解です、乙姫。」
小牟「ヒルベルト・エフェクトを照明代わりにすな!……って、ゲェーッ!?メタモルフォーゼしとる!」
ゼファー「…………。」
ヴァシュロン「…………。」
フェリシア「それじゃ猫耳ダンサーズ、集合~!」
アティ「私はこれでいいのでしょうか……?」
エリカ「バッチグーです、アティ先生!フェリシアさんと並んで、立派な白猫です!」
KOS-MOS「戦術舞踏の記録を開始します、にゃ。」
うらら「ケモノです!ご覧ください!みんな、見事にケモノの姿になっています!」
零児「最後のKOS-MOSは無理があるだろ。」
乙姫「いえ、確信しました……!これなら、私たち龍宮側が勝ちます……!」
小牟「ま、まあ、ぬしがそう言うなら、別にかまわんが……」
乙姫「では、うららさん!踊りをもう少し詰めていきましょう!」
うらら「了解!私の踊りで、龍宮城を勝たせてみせるわ!」
零児「むやみにやる気だな。このニセ動物軍団は……」
小牟「うむ……とんだ動物ランドじゃ。わしも一応、キツネなんじゃがのう。」
デミトリとモリガンの元に向かう二人
モリガン「あら、『森羅』のお二人さん。パーティーの様子はどう?いい感じでしょ?」
零児「見ての通り、重畳だ。みんな楽しんでる。」
小牟「忍者にゲームにメシと酒、格闘大会にイカサマかけっこ、ダンスにぼったくり……まあ大騒ぎじゃ。」
デミトリ「ふん、はしゃぎすぎな連中もいるが……騒がしい夜会も、たまにはよかろう。」
零児「夜を統べるヴァンパイアが、ずいぶんと気が利くことだな、デミトリ。」
デミトリ「こんな連中でも、魔界をはじめとした全世界を救った者たちだ。これくらいのことができんのでは、マキシモフ家の沽券に関わる。」
モリガン「もう少し夜が更けたら、知り合いのダークストーカーたちも来るわ。リリスやガロン、レイレイも戻って来るし……ふふ、もっと盛り上がるでしょうね。」
零児「やれやれ、このパーティー……いつまでやるつもりだ?」
デミトリ「夜が更け、夜が明けるまで。それが我々の時間だ。」
小牟「今夜も朝までパワフル夜会……っちゅうことか。みんな、体力がもつかのう?」
モリガン「力尽きてそのまま眠ってしまうのも、こういうパーティーの醍醐味じゃない?うふふ。」
零児「フッ、そんな祭りもありか。…………。デミトリ、奥のバルコニーに出てもいいか?」
デミトリ「む……?勝手にするがいい。カギはかけておらん。」
モリガン「今夜はいい月が出てるわ。夜風にあたるのもまた、気持ちいいでしょうね。」
小牟「ふむ、そうじゃな。旅の終わりに、月光はふさわしいもんじゃ。」
モリガン「男と女が、何か大切なことをささやく時にも、ね。」
零児「…………。……ああ、そうだな。その通りだ。」
屋敷のバルコニーにて
小牟「前と同じじゃの。下は盛り上がっているようじゃ。」
零児「大きな祭りが終わったんだ。少し騒ぐくらいは、神様が許してくれるさ。」
小牟「神か。またえらい相手じゃったのう。今回はさすがにキモが冷えたぞ。」
零児「だが、逢魔とはとりあえずの決着はついた。しばらくは大丈夫だろう。」
小牟「もうあんなムチャはごめんじゃ。命がいくつあっても足りんぞ?」
零児「うまくいった……今はそれでいい。俺がいなくなっても、おまえさえ生き残れば……」
小牟「零児!またそういうことを言う!わしがいる限り、ぬしは死にはせんわ!有栖家は狐の妖魔と緑があるんじゃ。狐は取り憑いたらしつこいんじゃぞ?」
零児「現時点で、それは十分にわかっているさ。」
小牟「わかっとらん!そのしつこさは、ちょっと度が過ぎておるんじゃ!ぬしが死ぬまで……ず~~っと一緒なんじゃぞ?仕事でも、プライベートでものう!当然、浮気も許さんのじゃ!」
零児「面倒な話だ。だが、それもおまえにとっては、長くはないだろ?おまえのずっとと、俺のずっとは……同じ長さじゃない。」
小牟「…………そうとも限らんぞ?たとえばじゃな、任務中にわしが……」
零児「……怒るぞ、小牟。」
小牟「零児……」
零児「俺が死ぬまでは一緒にいるんだろう?さっき言ったことはウソか?この先……任務で死ぬことになっても、必ず俺が死ぬ。俺や親父の分まで、おまえは生きろ。俺が死んだら……おまえの浮気は許してやる。」
小牟「おお、お許しが出た!そりゃ楽しみじゃのう。じゃが、それまではお預けかの?それも寂しいのう。その寂しさをどう埋めればよいか……名案はないかの?零児。」
零児「…………」
小牟「ほれほれ、名案はないのかの?ほれ、ほれ。」
零児「……そうだな。結婚しよう、小牟。」
小牟「…………いいよ、零児。」
零児「いつか……必ず訪れる死が、俺たちを別つまで。ずっと一緒だ。」
小牟「……うん。じゃが、死ぬ時は、ちゃんとわしの前でじゃぞ?勝手にいなくなったりしたら、怒るからの!」
零児「努力はするさ。気の利いた別れの言葉も考えておく。」
小牟「ふっふ~ん、さすがはロマンチスト。じゃが、わしはもう決めておるぞ?」
零児「気の早い話だな。」
小牟「その時はじゃな……あばよ、わしの零児……と言っちゃるんじゃ。」
零児「おい、今聞かせるな。縁起でもない。」
小牟「む?そりゃそうじゃな。じゃあ今のはナシじゃ!確かに縁起が悪い!もっと門出にふさわしい言葉を選ばんとな。すんごくイイ言葉があるんじゃ。」
零児「なんだ?思いつかないが。」
小牟「…………愛してる、零児。」
零児「フッ…………そいつは……重畳。」
最終更新:2016年10月23日 15:23