アクション仮面の第1話

カマキリの様な姿をした怪人が、仮面の戦士を殴りつけるも、
仮面の戦士は全く反撃しようとしない。
怪人「シャ・・・ッ!!なんだオマエは・・・なぜ反撃して来ない!?」

第1話 不闘の拳

電車の中にある親子がいた。
母親「どこ行くの、待ちなさい。ほらコッチ!」
子供「や!」
母親「嫌じゃないでしょ、ホラ!」
子供「や―――あ―――!!」
「アアアアアアアアアアアアアン」
母親「どうしてママの言うこと聞けないの!?」
「まったくあんたは!いい加減にしないと怒るよ!」
電車で乗り合わせた小学生のヤシオは冷ややかな態度で、母親の言葉を聞いていた。
ヤシオ(もう怒ってんじゃん・・・)
母親「ほらァ静かにしなさい!」
子供「アアアアアアアアアアアアアン!」

アナウンス「大宮―大宮―」
電車が駅につき、ヤシオと親子が降りた。
母親「ほらあ、行くよ!」
子供「やああああ」
母親「ちゃんと歩きな!」
ヤシオ(あーあ、まだやってら)
走って来た青年がヤシオにぶつかった。
「!?ってーな、気ぃつけろ!」
青年は、振り返り、ヤシオを睨みつけてから去っていった。
ヤシオ「・・・・なんだ?アイツ・・・」


子供「アアアアアアアアン、アアアアアアアアン」
母親「ホラァ、いつまでそうしてんの!」
子供「びええええ」
母親「ついて来ないなら置いてくよ!もう知らないからね!」

母親「・・・?」
母親が振り返ると、子供の前に謎の男が立っていた。
母親「!!」
?「うるさいガギだ・・・」
母親が子供のもとに駆け寄る。
謎の男の姿が怪人のものに変わっていく。
?「親のいうことが聞けないというのなら、俺が変わって躾けをしてやる・・・!」


小学校の教室。
小学生1「ウッソ、まじで?」 
小学生2「ギャハハハ、バッカで――・・・おい見ろよ、アレ?」
小学生1「あん?」
2人の小学生が、ヤシオの方を見る。
小学生1「あーあー、ヤシオのやつまたかよ」
小学生2「いまだにふたば仮面とかマジありえねぇ」」
ヤシオ「うっせーな、文句あっか!」
小学生2「・・・へっ、ヤシオよう、おめーマジガキな」
小学生1「俺らそんなもん、とっくに卒業したぜ?」
小学生2「いまどきヒーローなんて・・・流行んねえんだよ!」
太めの方の小学生が、ヤシオの帽子に手を置いた。
ヤシオ「てめ・・・ッ、触んな!」

ヤシオと2人の小学生はケンカを始めた。
女子「キャ―ッ!」
「ケンカだ」「ケンカだ」
担任が入ってきた。
担任「なにやってるんだ!こら、やめなさい!」
ヤシオと2人の小学生は、廊下に立たされた。
担任「・・・またヤシオか。放課後、職員室に来るように。ほら、おまえらは片付けだ」
ヤシオ「・・・・・」

放課後、ヤシオは学校から帰ってしまう。
ヤシオ「・・・フン、オレは悪くねーし、誰が行くかよ」
その時、駅でぶつかったあの青年とすれ違った。

ヤシオが鍵を開けるも、家の中には誰もいなかった。
ヤシオがTVを点ける。

ふたば仮面「正義のヒーロー・・・ふたば仮面!」
「おのれ、大地を汚す怪人め、今ここに正義の鉄槌が下される!」
「ゆくぞ、必殺のふたばパーンチ!」
ナレーション「今日もまた世界の平和が守られた。来週も正義の心が芽生えるぞ!」
「この番組の提供は――」

ヤシオ「ふう・・・やっぱふたば仮面はサイコーだよな・・・!」
ヤシオがチャンネルを変える。
キャスター「・・・それでは次のニュース、先日より街を騒がせている連続傷害事件に新たな展開です。児童ばかりが狙われ、刃物で切りつけられるというこの事件、今回は現場に居合わせた母親が事件を目撃していました」
ヤシオ「・・・・」

母親「・・・そうなんです。この子が、ちょっと目を離した隙に」
子供「アアアアアアアン!」
母親「ええ・・・気が付いたら交番の前で、私もう何がなんだか・・・」
ヤシオ(!これって昨日の親子・・・!?)
レポーター「では何か・・・犯人の特徴のようなものは?」
母親「ええ・・・はい、そうです。背が高くて・・・なんだかとても目つきが怖い男の人でした」
ヤシオ「・・・・!!」
(あいつだ、昨日駅で見た男、アイツが犯人だ・・・!!)

ヤシオ「本当だって!オレ見たんだ、昨日。駅んところで犯人を!」
小学生1「まさかあ」
小学生2「またいつものアレだろ?ヒーローごっこ、ぶひゃは!」
担任「ヤシオ!昨日はどうして来なかった。先生、職員室で待ってたんだぞ」
ヤシオ「先生、オレ犯人を・・・!」
担任「いい加減にしろ!・・・これ以上問題を起こさないでくれ、今日こそ職員室に来るんだぞ・・・いいな!」
「まったく、いつまでもヒーローなどと・・・」
ヤシオ「・・・ッ!」

ヤシオ(くそ!くそ!みんなバカにしやがって、だったらオレが何とかしてやる・・・!)
(・・・だけど、そう簡単に見つかるワケねぇし、もし見つけたとしてもどうすりゃいんだ・・・?)
ヤシオは駅の売店で、別の親子とそれを遠くから見ているあの青年を見つけた。
子供「チョコビ買ってくれよ~チョコビ~」
母親「ダメよ、わがまま言わないの」
子供「えーケチ~、ケチケチオババ~」
母親「あんたねぇ・・・!」
ヤシオ(い・・いた!まさかアイツ、次の獲物を探してんのか・・・!!)
青年がその場から離れる。
ヤシオ「!」
ヤシオは青年の後を付ける。
青年「・・・・・・おいボーズ、なんでつけて来る?」
ヤシオ(やばっ・・・っ!!)
ヤシオが青年から逃げ出す。
青年「!おい待て!」
ヤシオ「ハァっ!ハアっ!」
(そうだ、警察に電話・・・)
ヤシオが取り出した携帯を担任が掴んだ。
ヤシオ「!・・・・!!せ・・・先生!」
「ちょうどよかった!オレ、そこでさっき言った犯人を・・・!」
担任「・・・言ったはずだ、ヤシオ。今日こそ職員室に来いと」
「やはり・・・おまえは、はじめから俺の話など聞いていなかったんだな」
ヤシオ「先生・・・?」
担任「何故だ!?何故ガキは言うことを聞かない。何故ドイツもコイツも生意気なことばかり言うんだ・・・・!」
担任がヤシオの携帯を握り砕いた。そして、冒頭の怪人の姿になった。
担任「ああ・・・憎い、憎い、憎いィッ!」
「ヤシオ、おまえは俺が躾けなおしてやる・・・!」
ヤシオ「う・・・うわあああ!ば・・っ、バケモノ・・・ッ」
担任「シャ・・ッ」
担任が鎌をヤシオ目がけて振り下ろす。
ヤシオ「ひ・・・ッ」
(誰か・・・!!)
あの青年が飛び込み、ヤシオを助けた。
担任「なに・・・!」
ヤシオ「――ッ、お・・・オマエは!」
青年「・・・・下がってろ、ボーズ。こいつの相手は俺がする」
「・・・ゆくぞ!」

ABKに連絡が入る。
ミミ子隊員「ターゲットとの接触を確認!これよりバックアップ体制に移行します!」
吹上隊員「了解、バックアップ開始します!」
北春日部博士「周囲の状況は?」
吹上「既に現場の隊員が通行人のブロックを始めています!」
北春日部「うむ・・・こんな後手後手の対処しか出来んのは歯痒いが、人類の未来のため抗い続けることを止めるわけにはいかん。頼んだぞ、郷!」
ミミ子「それじゃ郷!アクション仮面に変身よ!」
青年「――了解」
ミミ「ゴー・アクション!」
隊員「ゴー・アクション!」「ゴー・アクション!」

青年――郷の肩に謎の生物が乗っていた。
?「デハ、ボクラモ行コウカ、ゴウ」
郷「ああ・・・パル」
「変身(ゴー・アクション)!」
郷は光に包まれ、あの仮面の戦士に変身した。
郷(=アクション仮面)「アクション仮面見参!」

ヤシオ「・・・・!」(変身した・・・ッ!?)
担任「ぬう・・・!誰かと思えばまたおまえか・・・!」

ミミ「ふふん、一昨日は不意を突かれて取り逃したけど・・・今日は逃がさないわよ、連続傷害犯!」

ヤシオ「・・・ッ」

アクション仮面「――これ以上、オマエの好きにはさせん」
アクション仮面が構える。
アクション仮面「来い!」
担任「ほざけ、まずはおまえから血祭りに上げてくれるわ!」
担任が鎌でアクション仮面に斬りかかる。
担任「シャッ」
アクション仮面は、担任の鎌を受け止める。
担任「ぐぬぬぬぬぬ・・・ッ」
アクション仮面「なんだ、その程度か?」
担任「キサマぁ!俺の邪魔を・・・するな!!」
担任はアクション仮面を後ろへ弾き飛ばす。
アクション仮面「まだまだ!」
担任「おおおおオオオッ!!」

ヤシオ(すげえ、ホンモノだ・・・!ホンモノのヒーローが目の前に・・・!)
「行け!アクション仮面!悪いやつなんかぶっ飛ばせ―っ!!」
担任「チイッ!ガキが!!黙れ!!」
担任がヤシオの方に向かうも、アクション仮面が止める。
アクション仮面「よせ!そんなに憎いか!子供が!」
担任「‘憎いか‘だと!?ああ、憎いとも!!そうさ俺は子供が憎い、憎い、憎い、憎い!」
「我が侭で奔放な奴らが憎い、横暴で傍若無人なあいつらが憎い!!」
「アレは獣だ、野に放たれた野獣そのものだ!」
アクション仮面「!」
担任「秩序無きケダモノは・・・矯正してやらねばならん・・・ッ」
担任の鎌で弾かれ、アクション仮面が壁に叩きつけられる。
アクション仮面「がは・・・ッ」
ヤシオ「・・・!!おい・・・何やってんだよ、しっかりしろよ、おまえヒーローだんだろ?」
アクション仮面「どうした?もっと来い!」
ヤシオ(・・・・!?)
担任「は・・・ッ!減らず口を!ならば望みどおり、微塵に刻んでやる・・・!」
アクション仮面「グッ、ぬぅ・・・ッ!」

ヤシオ(な・・・なんだ・・・アイツ、なんで反撃もせずに一方的にやられて・・・)

担任「おおおおおおオアアッ!!」
担任が上空へ飛ぶ、
アクション仮面「ぬ・・・ッ」
担任「くらえ・・・ッ!」
担任がアクション仮面に鎌をふり下ろす。
アクション仮面は鎌を腕で受け止めるも、よろける。
アクション仮面(あ、やば・・・)
ヤシオ「・・・・!!」
アクション仮面が倒れた。
ヤシオ「ああ・・・ッ!!」

ミミ子「郷!?」
北春日部「むう、いかん!郷・・・!!」

担任「――まったくワケがわからん・・・なんだったんだ?おまえは・・」
ヤシオ(う・・・うそだろ・・・ヒーローが・・・)
担任「まあいい」
ヤシオ「!!」
担任「次はおまえの番だ、ヤシオ」
ヤシオ「ひ・・・っ!」
(こ、このままやられるくらいなら・・・!!)
ヤシオが角材を持って担任に殴りかかろとする。
ヤシオ「うわあああああ!!」
しかし、担任の一撃で角材は斬り飛ばされる。
ヤシオ「・・・!あ・・・」
担任がヤシオ目がけて鎌を振り下ろす。
ヤシオ「・・・・ッ!!」(やられる・・・!!)
「―――・・・アクション仮面・・・!?」
アクション仮面は、背中で担任の鎌を受け止めていた。
ヤシオ「ぐ・・・!おい!大丈夫か!?今のうちに行け!ボーズ・・・!」
ヤシオ「・・・・・!」
ヤシオがその場から離れた。
担任「グギギギ、キサマ。まだそいちをかばうか・・・!」
「おのれ、おのれェッ!!何故理解せん!」
「これは教育だ、ガキどもには必要なことなのだッ!!」
担任の鎌をアクション仮面は受け止める。
担任「このまま押し潰してやる・・・ッ!」
アクション仮面「ふん・・・おまえの憎しみは理解した。だがそれは、本当におまえの憎しみなのか?」
担任「―――・・・なんだと?」
アクション仮面「オマエは子供らが何でも言うことを聞けば満足か。そんなものがおまえの求めた理想なのか?」
担任「ぐ・・・ッ!」
アクション仮面「自らの無能さを棚にあげ、命令を聞かなければ力で従わせるか・・・それで満足か。最低の教師だな!」
担任「黙れ黙れだまれぇええッ!!おまえに何がわかる・・・!!」
担任がアクション仮面を弾き飛ばす。
担任「俺だって、俺だって本当は立派な教師に・・・・ッ!!」
担任の体が光り出し、種の様な物が出てきた。
パル「見エタ!今だ、ゴウ!」
アクション仮面「ああ!アクションビーム!」
担任「ガ、ア・・・!?ぬおおおおおおお!」
アクション仮面が放ったアクションビームの中で、担任が人間の姿に戻っていく。
担任(なんだ、この光は。ああ・・・そうだ、俺は・・・生徒が自ら考え行動するための手助けをする、そんな立派な教師に――)
種の様な物が消滅した。

ヤシオ「おい・・・先生!大丈夫かよ!?」
担任「俺は・・・ここで何を・・・?」
担任が倒れた。
ヤシオ「センセ・・・!」
ミミ「ハーイ、ちょっとごめんね――!」
「それじゃ、回収おねがいしま―す!」
医療班「ウイース!」
担任が医療班に搬送されていった。

アクション仮面「結局・・・彼はよき教師であろうとしていただけだった」
「どこかで心の隙間に付け入られただけで・・・はじめから悪いやつなんていなかったのさ」
「今日もまた世界の平和が守られた。これにて任務完了!」
「わーはっはっはっは!」

ヤシオ「だけとさ、やっぱナットクいかね―、なんでオマエ、戦いのとき、攻撃しなかった?」
「別にそこまで弱っちいわけじゃねぇんだろ?」
郷「そうだな――俺にはコレしか出来ない――というか、これが俺のやり方なのさ」
ヤシオ「はあ?なにそれ、ヒーローのくせにかっこワルッ!」
郷「はは、そうか・・・カッコワルイか。ま、大きくなったらボーズにもわかるさ」
郷がヤシオの帽子に手を置く。
ヤシオ「!」
「き・・・ッ、気安く触んな!!」
ヤシオが帽子を取ると、「彼女」の長い髪が出てきた。
ヤシオ「それとオレはボーズじゃねえ!オレの名前は八潮ミサト、れっきとした女だ―――ッ!!ばーかばーか!」
ヤシオ、もとい八潮ミサトは郷の元から去っていった。
ミミ「あはは、なんだか面白い子だね」
郷「お・・・おまえは気付いてたのか?」
ミミ「さーて、どうでしょう?それで身体は大丈夫?」
郷「ああ・・・これくらい問題ない」
ミミ「ならいいけど、帰ったら念のため検査するから」
「よし・・・それじゃ行きましょ。研究所で博士も待ってるわ!あ、ちょうどお迎えが来たみたい。おーい!」
郷とミミの元にABKのヘリコプターが来た。


正義のヒーローアクション仮面――その拳は憎しみの心だけを砕く!


{続く

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最終更新:2016年03月09日 21:45