カマキリの様な姿をした怪人が、仮面の戦士を殴りつけるも、
仮面の戦士は全く反撃しようとしない。
怪人「シャ・・・ッ!!なんだオマエは・・・なぜ反撃して来ない!?」
電車の中にある親子がいた。
母親「どこ行くの、待ちなさい。ほらコッチ!」
子供「や!」
母親「嫌じゃないでしょ、ホラ!」
子供「や―――あ―――!!」
「アアアアアアアアアアアアアン」
母親「どうしてママの言うこと聞けないの!?」
「まったくあんたは!いい加減にしないと怒るよ!」
電車で乗り合わせた小学生のヤシオは冷ややかな態度で、母親の言葉を聞いていた。
ヤシオ(もう怒ってんじゃん・・・)
母親「ほらァ静かにしなさい!」
子供「アアアアアアアアアアアアアン!」
アナウンス「大宮―大宮―」
電車が駅につき、ヤシオと親子が降りた。
母親「ほらあ、行くよ!」
子供「やああああ」
母親「ちゃんと歩きな!」
ヤシオ(あーあ、まだやってら)
走って来た青年がヤシオにぶつかった。
「!?ってーな、気ぃつけろ!」
青年は、振り返り、ヤシオを睨みつけてから去っていった。
ヤシオ「・・・・なんだ?アイツ・・・」
子供「アアアアアアアアン、アアアアアアアアン」
母親「ホラァ、いつまでそうしてんの!」
子供「びええええ」
母親「ついて来ないなら置いてくよ!もう知らないからね!」
母親「・・・?」
母親が振り返ると、子供の前に謎の男が立っていた。
母親「!!」
?「うるさいガギだ・・・」
母親が子供のもとに駆け寄る。
謎の男の姿が怪人のものに変わっていく。
?「親のいうことが聞けないというのなら、俺が変わって躾けをしてやる・・・!」
小学校の教室。
小学生1「ウッソ、まじで?」
小学生2「ギャハハハ、バッカで――・・・おい見ろよ、アレ?」
小学生1「あん?」
2人の小学生が、ヤシオの方を見る。
小学生1「あーあー、ヤシオのやつまたかよ」
小学生2「いまだにふたば仮面とかマジありえねぇ」」
ヤシオ「うっせーな、文句あっか!」
小学生2「・・・へっ、ヤシオよう、おめーマジガキな」
小学生1「俺らそんなもん、とっくに卒業したぜ?」
小学生2「いまどきヒーローなんて・・・流行んねえんだよ!」
太めの方の小学生が、ヤシオの帽子に手を置いた。
ヤシオ「てめ・・・ッ、触んな!」
ヤシオと2人の小学生はケンカを始めた。
女子「キャ―ッ!」
「ケンカだ」「ケンカだ」
担任が入ってきた。
担任「なにやってるんだ!こら、やめなさい!」
ヤシオと2人の小学生は、廊下に立たされた。
担任「・・・またヤシオか。放課後、職員室に来るように。ほら、おまえらは片付けだ」
ヤシオ「・・・・・」
放課後、ヤシオは学校から帰ってしまう。
ヤシオ「・・・フン、オレは悪くねーし、誰が行くかよ」
その時、駅でぶつかったあの青年とすれ違った。
ヤシオが鍵を開けるも、家の中には誰もいなかった。
ヤシオがTVを点ける。
ふたば仮面「正義のヒーロー・・・ふたば仮面!」
「おのれ、大地を汚す怪人め、今ここに正義の鉄槌が下される!」
「ゆくぞ、必殺のふたばパーンチ!」
ナレーション「今日もまた世界の平和が守られた。来週も正義の心が芽生えるぞ!」
「この番組の提供は――」
ヤシオ「ふう・・・やっぱふたば仮面はサイコーだよな・・・!」
ヤシオがチャンネルを変える。
キャスター「・・・それでは次のニュース、先日より街を騒がせている連続傷害事件に新たな展開です。児童ばかりが狙われ、刃物で切りつけられるというこの事件、今回は現場に居合わせた母親が事件を目撃していました」
ヤシオ「・・・・」
母親「・・・そうなんです。この子が、ちょっと目を離した隙に」
子供「アアアアアアアン!」
母親「ええ・・・気が付いたら交番の前で、私もう何がなんだか・・・」
ヤシオ(!これって昨日の親子・・・!?)
レポーター「では何か・・・犯人の特徴のようなものは?」
母親「ええ・・・はい、そうです。背が高くて・・・なんだかとても目つきが怖い男の人でした」
ヤシオ「・・・・!!」
(あいつだ、昨日駅で見た男、アイツが犯人だ・・・!!)
ヤシオ「本当だって!オレ見たんだ、昨日。駅んところで犯人を!」
小学生1「まさかあ」
小学生2「またいつものアレだろ?ヒーローごっこ、ぶひゃは!」
担任「ヤシオ!昨日はどうして来なかった。先生、職員室で待ってたんだぞ」
ヤシオ「先生、オレ犯人を・・・!」
担任「いい加減にしろ!・・・これ以上問題を起こさないでくれ、今日こそ職員室に来るんだぞ・・・いいな!」
「まったく、いつまでもヒーローなどと・・・」
ヤシオ「・・・ッ!」
ヤシオ(くそ!くそ!みんなバカにしやがって、だったらオレが何とかしてやる・・・!)
(・・・だけど、そう簡単に見つかるワケねぇし、もし見つけたとしてもどうすりゃいんだ・・・?)
ヤシオは駅の売店で、別の親子とそれを遠くから見ているあの青年を見つけた。
子供「チョコビ買ってくれよ~チョコビ~」
母親「ダメよ、わがまま言わないの」
子供「えーケチ~、ケチケチオババ~」
母親「あんたねぇ・・・!」
ヤシオ(い・・いた!まさかアイツ、次の獲物を探してんのか・・・!!)
青年がその場から離れる。
ヤシオ「!」
ヤシオは青年の後を付ける。
青年「・・・・・・おいボーズ、なんでつけて来る?」
ヤシオ(やばっ・・・っ!!)
ヤシオが青年から逃げ出す。
青年「!おい待て!」
ヤシオ「ハァっ!ハアっ!」
(そうだ、警察に電話・・・)
ヤシオが取り出した携帯を担任が掴んだ。
ヤシオ「!・・・・!!せ・・・先生!」
「ちょうどよかった!オレ、そこでさっき言った犯人を・・・!」
担任「・・・言ったはずだ、ヤシオ。今日こそ職員室に来いと」
「やはり・・・おまえは、はじめから俺の話など聞いていなかったんだな」
ヤシオ「先生・・・?」
担任「何故だ!?何故ガキは言うことを聞かない。何故ドイツもコイツも生意気なことばかり言うんだ・・・・!」
担任がヤシオの携帯を握り砕いた。そして、冒頭の怪人の姿になった。
担任「ああ・・・憎い、憎い、憎いィッ!」
「ヤシオ、おまえは俺が躾けなおしてやる・・・!」
ヤシオ「う・・・うわあああ!ば・・っ、バケモノ・・・ッ」
担任「シャ・・ッ」
担任が鎌をヤシオ目がけて振り下ろす。
ヤシオ「ひ・・・ッ」
(誰か・・・!!)
あの青年が飛び込み、ヤシオを助けた。
担任「なに・・・!」
ヤシオ「――ッ、お・・・オマエは!」
青年「・・・・下がってろ、ボーズ。こいつの相手は俺がする」
「・・・ゆくぞ!」
ABKに連絡が入る。
ミミ子隊員「ターゲットとの接触を確認!これよりバックアップ体制に移行します!」
吹上隊員「了解、バックアップ開始します!」
北春日部博士「周囲の状況は?」
吹上「既に現場の隊員が通行人のブロックを始めています!」
北春日部「うむ・・・こんな後手後手の対処しか出来んのは歯痒いが、人類の未来のため抗い続けることを止めるわけにはいかん。頼んだぞ、郷!」
ミミ子「それじゃ郷!アクション仮面に変身よ!」
青年「――了解」
ミミ「ゴー・アクション!」
隊員「ゴー・アクション!」「ゴー・アクション!」
青年――郷の肩に謎の生物が乗っていた。
?「デハ、ボクラモ行コウカ、ゴウ」
郷「ああ・・・パル」
「変身(ゴー・アクション)!」
郷は光に包まれ、あの仮面の戦士に変身した。
郷(=アクション仮面)「アクション仮面見参!」
ヤシオ「・・・・!」(変身した・・・ッ!?)
担任「ぬう・・・!誰かと思えばまたおまえか・・・!」
ミミ「ふふん、一昨日は不意を突かれて取り逃したけど・・・今日は逃がさないわよ、連続傷害犯!」
ヤシオ「・・・ッ」
アクション仮面「――これ以上、オマエの好きにはさせん」
アクション仮面が構える。
アクション仮面「来い!」
担任「ほざけ、まずはおまえから血祭りに上げてくれるわ!」
担任が鎌でアクション仮面に斬りかかる。
担任「シャッ」
アクション仮面は、担任の鎌を受け止める。
担任「ぐぬぬぬぬぬ・・・ッ」
アクション仮面「なんだ、その程度か?」
担任「キサマぁ!俺の邪魔を・・・するな!!」
担任はアクション仮面を後ろへ弾き飛ばす。
アクション仮面「まだまだ!」
担任「おおおおオオオッ!!」
ヤシオ(すげえ、ホンモノだ・・・!ホンモノのヒーローが目の前に・・・!)
「行け!アクション仮面!悪いやつなんかぶっ飛ばせ―っ!!」
担任「チイッ!ガキが!!黙れ!!」
担任がヤシオの方に向かうも、アクション仮面が止める。
アクション仮面「よせ!そんなに憎いか!子供が!」
担任「‘憎いか‘だと!?ああ、憎いとも!!そうさ俺は子供が憎い、憎い、憎い、憎い!」
「我が侭で奔放な奴らが憎い、横暴で傍若無人なあいつらが憎い!!」
「アレは獣だ、野に放たれた野獣そのものだ!」
アクション仮面「!」
担任「秩序無きケダモノは・・・矯正してやらねばならん・・・ッ」
担任の鎌で弾かれ、アクション仮面が壁に叩きつけられる。
アクション仮面「がは・・・ッ」
ヤシオ「・・・!!おい・・・何やってんだよ、しっかりしろよ、おまえヒーローだんだろ?」
アクション仮面「どうした?もっと来い!」
ヤシオ(・・・・!?)
担任「は・・・ッ!減らず口を!ならば望みどおり、微塵に刻んでやる・・・!」
アクション仮面「グッ、ぬぅ・・・ッ!」
ヤシオ(な・・・なんだ・・・アイツ、なんで反撃もせずに一方的にやられて・・・)
担任「おおおおおおオアアッ!!」
担任が上空へ飛ぶ、
アクション仮面「ぬ・・・ッ」
担任「くらえ・・・ッ!」
担任がアクション仮面に鎌をふり下ろす。
アクション仮面は鎌を腕で受け止めるも、よろける。
アクション仮面(あ、やば・・・)
ヤシオ「・・・・!!」
アクション仮面が倒れた。
ヤシオ「ああ・・・ッ!!」
ミミ子「郷!?」
北春日部「むう、いかん!郷・・・!!」
担任「――まったくワケがわからん・・・なんだったんだ?おまえは・・」
ヤシオ(う・・・うそだろ・・・ヒーローが・・・)
担任「まあいい」
ヤシオ「!!」
担任「次はおまえの番だ、ヤシオ」
ヤシオ「ひ・・・っ!」
(こ、このままやられるくらいなら・・・!!)
ヤシオが角材を持って担任に殴りかかろとする。
ヤシオ「うわあああああ!!」
しかし、担任の一撃で角材は斬り飛ばされる。
ヤシオ「・・・!あ・・・」
担任がヤシオ目がけて鎌を振り下ろす。
ヤシオ「・・・・ッ!!」(やられる・・・!!)
「―――・・・アクション仮面・・・!?」
アクション仮面は、背中で担任の鎌を受け止めていた。
ヤシオ「ぐ・・・!おい!大丈夫か!?今のうちに行け!ボーズ・・・!」
ヤシオ「・・・・・!」
ヤシオがその場から離れた。
担任「グギギギ、キサマ。まだそいちをかばうか・・・!」
「おのれ、おのれェッ!!何故理解せん!」
「これは教育だ、ガキどもには必要なことなのだッ!!」
担任の鎌をアクション仮面は受け止める。
担任「このまま押し潰してやる・・・ッ!」
アクション仮面「ふん・・・おまえの憎しみは理解した。だがそれは、本当におまえの憎しみなのか?」
担任「―――・・・なんだと?」
アクション仮面「オマエは子供らが何でも言うことを聞けば満足か。そんなものがおまえの求めた理想なのか?」
担任「ぐ・・・ッ!」
アクション仮面「自らの無能さを棚にあげ、命令を聞かなければ力で従わせるか・・・それで満足か。最低の教師だな!」
担任「黙れ黙れだまれぇええッ!!おまえに何がわかる・・・!!」
担任がアクション仮面を弾き飛ばす。
担任「俺だって、俺だって本当は立派な教師に・・・・ッ!!」
担任の体が光り出し、種の様な物が出てきた。
パル「見エタ!今だ、ゴウ!」
アクション仮面「ああ!アクションビーム!」
担任「ガ、ア・・・!?ぬおおおおおおお!」
アクション仮面が放ったアクションビームの中で、担任が人間の姿に戻っていく。
担任(なんだ、この光は。ああ・・・そうだ、俺は・・・生徒が自ら考え行動するための手助けをする、そんな立派な教師に――)
種の様な物が消滅した。
ヤシオ「おい・・・先生!大丈夫かよ!?」
担任「俺は・・・ここで何を・・・?」
担任が倒れた。
ヤシオ「センセ・・・!」
ミミ「ハーイ、ちょっとごめんね――!」
「それじゃ、回収おねがいしま―す!」
医療班「ウイース!」
担任が医療班に搬送されていった。
アクション仮面「結局・・・彼はよき教師であろうとしていただけだった」
「どこかで心の隙間に付け入られただけで・・・はじめから悪いやつなんていなかったのさ」
「今日もまた世界の平和が守られた。これにて任務完了!」
「わーはっはっはっは!」
ヤシオ「だけとさ、やっぱナットクいかね―、なんでオマエ、戦いのとき、攻撃しなかった?」
「別にそこまで弱っちいわけじゃねぇんだろ?」
郷「そうだな――俺にはコレしか出来ない――というか、これが俺のやり方なのさ」
ヤシオ「はあ?なにそれ、ヒーローのくせにかっこワルッ!」
郷「はは、そうか・・・カッコワルイか。ま、大きくなったらボーズにもわかるさ」
郷がヤシオの帽子に手を置く。
ヤシオ「!」
「き・・・ッ、気安く触んな!!」
ヤシオが帽子を取ると、「彼女」の長い髪が出てきた。
ヤシオ「それとオレはボーズじゃねえ!オレの名前は八潮ミサト、れっきとした女だ―――ッ!!ばーかばーか!」
ヤシオ、もとい八潮ミサトは郷の元から去っていった。
ミミ「あはは、なんだか面白い子だね」
郷「お・・・おまえは気付いてたのか?」
ミミ「さーて、どうでしょう?それで身体は大丈夫?」
郷「ああ・・・これくらい問題ない」
ミミ「ならいいけど、帰ったら念のため検査するから」
「よし・・・それじゃ行きましょ。研究所で博士も待ってるわ!あ、ちょうどお迎えが来たみたい。おーい!」
郷とミミの元にABKのヘリコプターが来た。
正義のヒーローアクション仮面――その拳は憎しみの心だけを砕く!
{続く
最終更新:2016年03月09日 21:45