GEAR戦士電童の最終回

GEAR戦士(ギアファイター)電童(デンドー)の最終回



星の伝説

── そして、始まりの日 ──



ガルファ本星アルクトスでの最終決戦。
絶体絶命に陥りながらも希望を捨てない銀河と北斗の前に、ついに最後のデータウェポン、フェニックスが現れた。
ベガの幼い頃の姿、緑の髪の少女の姿を借り、フェニックスが銀河と北斗に語りかける。

フェニックス「我を捕えし絶望の檻、消える── 我、ようやくここに真の姿を現さん」

銀河「こ、これって……」
北斗「フェニックス……」
ベガ「これが……!」
エリス「7体目!? どうして? 一体、どこに?」

電童と凰牙(オーガ)の胸のコクピットが開き、凰牙のコクピットから、北斗がひとりでに外へ飛び出す。

北斗「わ、わぁっ!?」
フェニックス「すべての人々の想いのもと──」
北斗「銀河ぁ!」
銀河「北斗ぉ!」

北斗が電童のコクピットへと引き込まれ、銀河と北斗は電童のコクピットに収まる。

フェニックス「我、今ここに、新たなる戦士との契約を結ばん──」

銀河と北斗、そしてアルテアのギアコマンダーに光が灯る。

アルテア「これは……!」
フェニックス「我の求むるは希望──」
銀河「希望?」
フェニックス「()は無限の力──」
北斗「無限の力?」
フェニックス「契約を望むか? 新たなる戦士たちよ──」
銀河「北斗……」
北斗「銀河!」
銀河「うん!」
アルテア「この私に再び……!」
銀河・北斗「ファイルセーブ! フェニックス!
アルテア「ファイルセーブ! フェニックス!

フェニックスが3つの光と化し、3人のギアコマンダーに収まる。

ゼロ「おのれ、電童!」

アルテア「来い、凰牙!」
銀河「北斗!」
北斗「うん、銀河!」
2人「フェニックスドライブ・インストール!

電童の背に、巨大なフェニックスの翼が開く。

ガルファ「フェニックス──」
ゼロ「フェニックスを持ったとて!」
ガルファ「我のもと──」
ゼロ「通しはせぬ!」

ゼロが突進し、電童と組み合う。

ベガの乗るセルブースター2号機ヴァルハラの前には、自機を撃墜された吉良国が、宇宙空間を漂っている。

ベガ「吉良国くん!?」
吉良国「副指令──!」

電童が次々に撃破する。

銀河たち「閃光! (らい)(じん)・撃!!

電童の必殺攻撃で、群がる機獣たちが一掃される。

愛子「電童の、エネルギーが……?」

電童のエネルギーはまったく尽きず、ゲージに「INFINITY」の文字が浮かび上がっている。

北斗「これが、フェニックスの力!」
銀河「無限の力か!」

ゼロ「我は負けん! 負けはせんぞぉ!」

愛子「電童、衛星主砲の射線軸に入ります!」
アルテア「電童!」

ゼロが電童を羽交い絞めにし、そのまま惑星破壊砲の目の前に捕える。

ゼロ「砕け散れ、電童!」
北斗「銀河!」
銀河「うん!」

電童が全身にデータウェポンを装着し、ゼロを跳ね飛ばす。
ついに惑星破壊砲が、電童目がけて火を吹き、ゼロが砕け散る。

エリス「きゃあっ!」
ベガ「北斗!?」
アルテア「銀河!?」
銀河たち「データウェポン・スパイラルアタック!!

惑星破壊砲の砲撃と、全データウェポンの攻撃が衝突。

銀河たち「うぉぉ──っっ!!」

データウェポンの攻撃が惑星破壊砲の砲撃を押し戻し、惑星破壊砲が木っ端微塵となる。

被弾したヴァルハラが、宇宙船メテオ艦内へ着艦する。

『ヴァルハラ、第3ハッチへ着艦します』『レスキュー隊は格納庫へ!』
『吉良国さん!』『整備班、スタンバイOK!』『消火続行せよ。整備班はヴァルハラの整備を!』

ヴァルハラから降りたベガのもとに、アルテアが。

ベガ「兄上!?」
アルテア「お前の幼き日の姿をお借りしたフェニックス」
ベガ「えぇ……」
アルテア「この私にも、最後の機会をくださる」
ベガ「あ、兄上!?」

ゼロ「ベクター! フォーム・アップ!」

砕け散ったはずのゼロが再生し、重機獣ベクターと合体、強化形態のベクターゼロとなる。

北斗「あぁっ!?」
銀河「合体しやがった!?」

フェニックス「あれは命の半身── (つい)の者、共に討たずば、消し去ること叶わぬ者──」

北斗「えっ!?」
銀河「北斗!」
ゼロ「させぬわ、これ以上!」

パワーアップしたゼロの猛攻が、電童を襲う。

銀河たち「わぁぁ──っ!」
ゼロ「7体目を持ったとて、我は負けぬわ!」
アルテア「電童──!」

アルテアの乗った凰牙が飛来し、電童のピンチを救う。

北斗「アルテアさん!?」
アルテア「フェニックスドライブ・インストール!

凰牙の手に、アルテア自身の愛刀を模した二振りの剣が現れる。

銀河「剣が!?」
アルテア「これが私に与えられし力……!」

凰牙が剣を振るい、二刀流でゼロと切り結ぶ。
電童も攻撃を放つが、ゼロはその攻撃をかわす。

銀河「チッ、このぉ!」

(『あれは命の半身── 対の者、共に討たずば、消し去ること叶わぬ者──』)

北斗「銀河、このままじゃこいつは倒せない!」
銀河「えっ?」
北斗「さっきの声、聞いたろ? いくらやっても、これじゃ同じだよ!」
アルテア「北斗、銀河、本星へ向かえ! 声は私も聞いた。奴の半身というのは……」
銀河「……はっ、皇帝か!?」
北斗「皇帝なんだ!」
アルテア「行け! 北斗、銀河! お前たちは皇帝を!」
銀河「けど……」
アルテア「共に討たねばならぬのだ。ゆえの凰牙! ゆえにフェニックスは私を!」
北斗「アルテアさん……!」
アルテア「それぞれの使命、気遣いは無用!」
銀河「……わかった!」
北斗「わかりました!」

ゼロ「行かせぬわ、電童!」
アルテア「貴様の相手は私だ、ゼロ!」
ゼロ「むぅっ、アルテア如きがぁ!」


ベガ「主砲、撃て! 全門、機獣を掃射!」

群がる機獣たちの攻撃で、メテオ艦内が激しく揺らぐ。

『第3・第7エネルギー回路損傷。コノママデハ、艦ノ推力ヲ維持デキマセン』

ベガ「メテオ、アルクトスへ降下!」


地球。
テレビ局にいる北斗の父・圭介。

圭介「螺旋城の地球射程圏まで、あと2時間…… 北斗…… 織絵(おりえ)……」


北斗の祖父・西園寺実が、SPの黒崎と松田たちと共に、邸宅で海を見つめている。

黒埼「ずっと、こちらにおいでになりますか?」
西園寺「未来を待つは、ここで良い……」


銀河の家・出雲家では、妹の乙女が花壇に水をやる様を、母・乙女と祖父・源太郎が微笑ましく見守っている。


ガルファ本星アルクトスのスバルたち。
彼らの頭上、空から電童が降下し、さらに宮殿を通じて地下へと降りていく。

スバル「電童……!」


北斗「封印の部屋だ。ガルファはこの奥に!」
銀河「うん!」
2人「封印を! フェニックス!」
フェニックス「新たなる契約者の願いによりて、我ここに、古き戒めを解かん──」
2人「輝刃(キバ)ドライブ・インストール!!」「キバストライカー・ファイナルアタック!!


凰牙とゼロが、アルクトスの重力圏に引き込まれつつ、戦い続ける。

アルテア「最早、悪あがきは貴様のほうぞ!」
ゼロ「えぇい! お前に、お前になど!」


機獣たちの攻撃が続き、メテオ艦内に警報が鳴り響く。

『第2・第3リアクター、出力ダウン。艦ノ姿勢、維持デキマセン』

ベガ「総員、衝撃に備えて!」

メテオがアルクトスの海に着水する。
凰牙とゼロも、赤熱化しつつ地表へ降下、戦いの場は本星地上へと移る。

地底、電童が封印の扉をぶち破り、地下回廊を突き進む。
機獣たちが行く手を阻むものの、電童はそれらをまとめてぶち破る。
そして目前に、中枢部へと通じる入口。

北斗「あれが!」
銀河「あれか!」

中枢部の広間、皇帝の間へと降下する電童。
そこは、巨大な基盤で埋め尽くされた広間であった。

ゼロ「人間ども!」
アルテア「終わりぞ、ゼロ!」
ゼロ「お前たちになど、お前たちになど!」

ガルファ「我は王── 星の王── 宇宙の王ぞ──」
北斗「宇宙に王なんていない!」
銀河「そんなものはいねぇ!」
2人「フェニックスドライブ・インストール!」「フェニックスエール・ファイナルアタック!!

7色の光線が炸裂する。
しかし床を叩き割り、7つの首の巨大な機械竜となったガルファが出現する。

北斗「こ、こいつが本当の……」
銀河「親玉か!?」

メテオから本星大地に降り立ったエリスたちのもとに、スバルたちが駆けつける。

スバル「エリス──!」
エリス「スバル!」

愛子「螺旋城群、月軌道上を突破! 数分で地球が、射程圏に入ります!」

ベガ「兄上!」

メテオから、ベガが愛車ワルキューレで飛び出し、ゼロ目がけてワルキューレのミサイル攻撃を放つ。

ガルファの7つの首が、執拗に電童を狙う。

北斗「くそぉ!」
銀河「でけぇ……」
北斗「けど、僕たちは負けない! ここまで来たんだ! ユニコーンドリル!
銀河「レオサークル!
2人「ファイナルアタック!

ユニコーンドリルとレオサークルの同時攻撃。
しかしガルファはそれを跳ね返し、逆に電童を吹き飛ばす。

北斗「うわぁぁ!」
銀河「ここで負けて…… たまるかよぉぉ!!」
2人「バッカ野郎ぉ──っっ!!

2人の叫びに呼応するかのように、すべてのデータウェポンが出現する。

フェニックス「我ら常には、星を守りし者と共にあり── 危機あるときは契約のもと、憑坐(よりまし)の力となりて、これを討たん──」

データウェポンたちがフェニックスに融合し、電童の数倍の大きさの剣となる。
電童が剣を手にし、力強く大地を蹴り、ガルファ目がけて剣を突き立てる。

フェニックス「さぁ── 新たなる契約の戦士よ!!」
銀河たち「おりゃあぁぁ!!」

ゼロ「我は倒せぬ! 我は倒せぬ! 我はそのように造られし者ぉ!!」
アルテア「その過ち、この身をもって!!」

ゼロの振るう槍に叩き斬られ、凰牙の左腕がちぎれ飛ぶ。

ベガ「兄上!?」


電童の振るう剣が、襲い来るガルファの竜の首を次々に叩き斬る。


地球に接近する無数の螺旋城が、地球に狙いを定めて砲門を開く。


ゼロの繰り出す槍が、凰牙の胸を貫き、コクピット内のアルテアの肩をかすめる。

アルテア「ぐぅっ!?」
ベガ「兄上ぇぇ!!」

ワルキューレが凰牙の機体を駆け昇り、ベガが飛び降る。
そのままワルキューレがゼロの顔面目がけて特攻し、大爆発。

ゼロ「ぐはぁっ!?」
ベガ「今です!」
銀河たち「アルテアさん!!」
アルテア「北斗! 銀河! うおぉぉ──っ!!」

胸を貫かれたままの凰牙が突進し、渾身の剣をゼロの顔面に突き立てる。

銀河たち「うおおぉぉ──っっ!!」

電童が宙を舞い、大上段に振り上げた剣が、ガルファの最後の首を真っ二つに叩き斬る。

ガルファ「おのれ──…… 人──間──……」

電童の剣が消え、ガルファが跡形も無く消滅してゆく。
ガルファの暴走によって汚されていた皇帝の間が、本来の美しい姿へと塗り変えられる。

そして、凰牙の剣に貫かれたゼロも大爆発。

銀河「北斗……!」
北斗「銀河……!」


地球上。

『り、臨時ニュースをお伝えします。螺旋城、そして、ガルファ本星はともに、その侵攻を停止しました! 繰り返してお伝えします。螺旋城、そして、ガルファ本星ともに、侵攻を停止! 電童、凰牙、そしてメテオは、ガルファの侵攻阻止に成功いたしました!』

ニュースを聞いた人々が沸き返る。

『勝利です! 長きにわたる戦いと…… そして最後の戦いの!』

銀河の家・出雲家では、みどりが源太郎と乙女を抱きしめる。

みどり「じっちゃん! 乙女ぇ~!」

ニュースを読み終えた圭介が、スタジオの面々からの拍手を浴びつつ、一筋の涙を流す。

圭介 (北斗……! 織絵……!)


ベガが、凰牙のボロボロのコクピットをこじ開ける。
肩口に傷を負ったアルテアが、うっすらと目を開く。

ベガ「兄上!」
アルテア「なぜ…… 私はまた……」
ベガ「……まだ、なさるべきことがあるからですわ。きっと」

電童が彼らのもとへ、降りて来る。

スバル「北斗!」
エリス「銀河!」
北斗「アルテアさん!」
銀河「やったじゃん!」
ベガ「北斗……! 銀河くん……!」

一同のギアコマンダーから光が空中へと立ち昇り、7つのデータウェポンの姿となる。

フェニックス「我ら弱く── 且つ、失われやすき者。然れど集えばその力、何物をも叶えん── 我ら常にあるは、星を守る者。其は命の守り── 守り手よ、再び分かつことなきよう歩みて── 行け、未来へ!!」

再びデータウェポンが光となり、ギアコマンダーの中へと姿を消す。

銀河と北斗が見つめ合い、力強く腕を重ねる。

2人「行こう!!」


番組エンディングテーマと共に、地球の夕焼けの空から、電童が降りて来る。

笑顔の北斗、涙目の銀河。

地上で大勢の人々が、ある者は笑顔で、ある者は涙を浮かべ、電童の帰還を迎える。
乙女を抱いたみどりと源太郎、エリスの両親のボリスとアリス。
C-DRIVEの3人、学校のみんな、圭介。
電童に同乗しているエリスが、笑顔で手を振る。


アルクトス上。
海上のメテオを、スバルが母たちと共に見つめ、想いを馳せる。


螺旋城の先遣隊であったアブゾルート、グルメイ、ウィッターの3人がDr.井上にこき使われつつ、メテオの修理に精を出している。

仲睦まじそうな様子の、吉良国と愛子。

ベッドの上のアルテアの手を、神官アルゴが握り、それを見つめるベガが涙ぐむ。


地球に降り立った銀河と北斗に、人々が押し寄せる。

真っ先に銀河を抱きしめる、みどり。
エリスにボリスとアリスが抱きつく。
北斗を圭介が抱き上げる。


そして、何年かがたった光景。

緑の大地を、すっかり成長した学生服姿の銀河、北斗、エリスの3人が駆ける。

その頭上の青空を、電童がどこまでも飛翔して行く。


お わ り

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最終更新:2013年12月28日 05:55