スカイフォース極東基地。
部下「天堂主任 集計終わりました」
竜「よし さっそくランスルー 試してくれ ♪~」
部下「はい 主任…… 今日はやけに嬉しそうですね」
竜「ん? いや 実はね」
とたんに竜が、とろけそうな笑顔となる。
竜「今日は娘の綾の誕生日なんだよ──」
部下「はぁ── (きくんじゃなかった──)」
竜「写真見る? ホラ可愛いだろ 1才になるんだよ 可愛いだろ──」
部下「えっええ 可愛いっスね また始まった── 仕事ありますから」
あれから
バイラムを倒して地球に平和が戻った──
俺達の手で幸福の日々を取り戻して
もう5年になるんだ──
夜、竜が帰宅する。
ホワイトスワンこと鹿鳴館 香 改め、竜の妻・天堂 香、香に抱かれた1歳の愛娘・綾が迎える。
竜「ただいま── 香ー 綾ー 待たせたねー ほーら ケーキだよぉ」
香「おかえりなさ──い」
綾「あー あー」
竜「ほーら おいでぇ」
綾「あー」
竜「あ── 綾ぁいい子だなぁ──」
香「もう用意できてるわよ」
竜「わぁ ゴチソウだなぁ 綾ぁ──」
香「お誕生日おめでとう 綾ちゃん」
竜「綾ぁ── 今日で一才だぞぉ わかるかぁ?」
綾「だ──」
玄関のチャイムが鳴る。
竜「誰だろ 今頃? は──い どなた…… あ」
来客は、かつてのジェットマンの仲間たち、ブルースワロー・早坂アコ、イエローオウル・大石 雷太と妻のサツキ。
そして彼らの長官、小田切 綾。
竜「長官! アコ 雷太 サツキちゃん」
アコ「やっほ──」
竜「ど……どーして?」
アコ「竜と香の愛の結晶の誕生日だもん みんなでお祝いに来たんだよぉ 食べ物持参 エライでしょー」
一同「おめでとー 綾ちゃーん!」「おめでとー 竜! 香!」
竜「……ありがとう」
一同を加え、にぎやかな誕生パーティが始まる。
アコ「しかし『綾』なんて名前じゃ コワイ女になりそーね 婚期も逃してさ」
小田切「なんですってぇ~ いってくれるわね」
竜「いや この子は才色兼備 文武両道のレディになるよ なんたって俺達の娘だもーん えへえへ♡」
香「きゃあ♡ やだん 竜ったら」
小田切「好きにいってなさい あーあ」
香「雷ちゃんとこも もーすぐね──」
サツキ「えへへー 男の子なの」
雷太「名前はもう決めたんだ 『凱』
テレビの最終回で命を落とした、ブラックコンドル・結城 凱──
竜「そうか……」
アコ「『凱』じゃ女たらしになるよ 絶対」
一同「そーよぉ」「うんうん」「ありうる……」
雷太「大丈夫 フェミニストになるよーに しつけます」
一同「ははは」「あはは」「はは」
竜「──」
かつて手を取り合い 共に戦った仲間
今はもう それぞれの人生を歩んでいる仲間──
今再び こうして笑顔で語りあえる
なんて素晴らしいことなんだろう──
ところ変わって、城東脳神経外科病院の夜。
医師たちが、ある患者の病室を訪れる。
「あの患者の様子はどうかね」
「相変らずですよ 神経もやられたままで 機能回復のきざしもありません」
テレビ第47話にて廃人となったトランザが入院している。
ベッドの上で口から涎を垂らしつつ、虚ろな視線で外を眺めている。
「一日中 ボーッと窓の外をながめています 五年前から何も変わっちゃいませんよ」
「消灯の時間です」
「いったい…… 何を考えているんでしょうかね」
「何も考えていないんじゃないかね……」
「哀れなものですね……」
「それすら本人は自覚がないよ」
「かえって幸せかよしれませんね」
医師たちが去る。
誰かの声「……ろ」「……をいってみろ」「俺の名を言ってみろ!」
トランザ「あ ああ」
突如として空を引き裂き、ジェットマンに敗れたはずの裏次元伯爵ラディゲの顔が浮かび上がる。
ラディゲ「やっと…… やっと見つけたぞ トランザァ!」
トランザ「ラ…… ラディゲ」
ラディゲ「生かしておいてやったその器 俺にあけわたしてもらおう」
トランザ「ふっ がっ はぁ ひ あ」
叫び声を聞きつけ、医師たちが駆けつける。
「どうした! また発作か!?」「こ……これはいったい……!?」
彼らがそこで見たものは、トランザの肉体を得て甦ったラディゲの姿であった。
ラディゲ「この肉体…… 今までよく世話してくれた 礼をいうぞ」
最終更新:2016年08月08日 05:50