第一幕

第ー場
(舞台はヴェーヌス山たるアイゼナハ東方のヘヨルゼルベルクの巌窟内を見せている。広い巌窟で、その後方は右の方へ曲がって見極められない。岩が鋸の歯の様に裂けている所からは弱い日の光がさし込み、又縁を帯びた瀑が厳窟の高さ全部に沿うて落ち、石に砕けて盛に沫を飛ばしている。水は瀑壺からずっと後方へ小川となって走り、其処に湖を湛え、湖には若干のナイアードの泳いでいる姿や、岸に寝たり座ったりしているシレーネの恰好などが見える。巌窟の左右には突兀峨々 ( とっこつがが )たる岩が突き出ていて、それに珊瑚の様な不思議な熱帯性の植物などが幾らも生え繁つている。左手の上の方へ延びた穴からは、柔かい薔薇色の光が流れ入り、その前即ち舞台の前方にヴェーヌスは贅沢華麗な臥床に身を横たえ、ヴェーヌスの前にはタンホイザーが頭は彼女の膝に載せ竪琴は傍に置いて半ば跪づいている。臥床の周囲には三人のグラツィアが、婀娜っぽく手を取り合ったり腕を組み合わしたりして横たわり、臥床の横と後ろには無数のアモレットが、ふざけちらした揚句に疲れて眠った子供の様に乱れ純れて重り合って雑魚寝をしている。前方一帯は人を恍惚させる様な下からさしている淡紅色の光に照らされ、白い水煙を散らしている緑玉の色の瀑も、其為めに鮮かに途切られている。湖水の岸になっているずっと後方は碧く澄んだ一種の靄に明るくなって、月夜の様な情景である。)


幕が開く時高く突出ている岩の上で酒を汲みかわしていた少年の数人は、やがてニンフの群の手招きに応じて其方へ急いで下りて行く。ニンフの群は水煙白い瀑壺の囲りに陽気な舞踏を始めたので、少年の群は其相手をしに行ったのである。二人ずつの組が出来るのもあれば、入り混るのもあり、探すのもあり逃げるのもある、からかい合ったり戯れたりして舞踏は次第に賑わって来るのである。ずっと奥の方からバッカイの一団が練って来て、恋の舞踏の組の間を激しい歓楽に挑みつつどよめき廻り、酩酊三昧の感激的な顔つき手つきをして、恋人達を次第次第に放胆無碍の遊蕩に誘い行く。サチュロスやファウヌスの群が又其処彼処の岩の間などから出て来て、バッカイや恋人達の間に分け入り、ニンフを追い廻したりして、混雑をいよいよ大きくする。そして巌窟内全体の熱狂は其頂点に達するのである。すると其騒々しさに三人のグラツィアは愕いて起き上り、熱狂の連中一同を制しようとし、退散させようとする。けれども力足らずグラアツィエ等自身が其渦中に引摺り込まれようとするので、彼女等は眠っているアモレットの方に行って搖り起し彼等を空に高く翔らせる。起された彼等は一群の鳥の様にばら〓〓と舞い上り、戦いの陣を敷く様な恰好に上空一ばいに位置を占め、其処から下の騒擾の巷へ雨霰と矢を射かける。愛の矢傷を受けた者は切ない恋の悩みに堪えかねて、熱狂の舞踏より退って深い疲れの淵に沈む。それを打負かした三人のグラアツィエは酩酊の年若い男女の群を二人ずつにして、軟かい温かい力で舞台の奧の方へ退散させる事に努める。バッカンティンの群、ファウンの群、サチュロスの群、ニンフや少年の群、一部は上空よりのアモレットの群に駆り立てられもして、散り散りばら〓〓に逃げて行く。淡紅色の靄は次第に濃く密に立ち籠め、先ずアモレットの群が其裡に消え、次に背景一体が隠れてしまい、後にはヴェーヌスとタンホイザーの外には三人のグラアツィエだけが見える事になたる。彼女等は前方へ歩んで来て、妙に優しく手を組み合いつつヴェーヌスの前に近づき、ヴェーヌスの領国内の臣下等の放縱度なき熱狂を取鎮めた由を報告するかの姿である。-ヴェーヌスは感謝するらしく彼女等を見る。舞台後方の濃密な靄は四散し、エウロペ誘拐の姿が霧の形に見える、草花を多く飾られた白い牡牛の背に載せられて、トリトンとネレイデに導かれつつ青海を渡って行く所なのである。タンホイザー
一シレーネの合唱(姿は見えない)来給え、岸に、来給え、陸に、燃ゆる思のだ腕に抱かれ、歓喜の熱に身を浸し、満足させよ、その愛欲を。蓄薇色の靄は再び立ち籠め、エウロペの姿隠れ、三人のグラアツィエは一種の優雅な舞いを舞って、今のエウロペの姿の秘密深い意味を恋の或る仕草として解き示す。靄は又四散する。柔か白鳥が一い月明の下にして森中の池の汀にレダが手足も延び延びとして座っているのが見える。羽彼女の方へ游いで来て、その首を彼女の胸に甘える様に媚びる様に隠す。シレーネの合唱来給え、岸に、来給え、陸に(姿は見えない)レダの姿も次第に薄れ消え行く。ついに靄はすっかり晴れて、巌窟の全部がひつそりと静かに寂しく現れる。三人のグラアツィエはちらりと横目使いをしながら笑みを含みつつヴェーヌスに礼をして自分達の愛の洞穴の方へと徐かに行く。深い静寂。変らないでいるのはヴェーヌスとタンホイザーの姿である。








第二場ヴェーヌス。タンホイザー(タンホイザーは夢の覚めた様にはっとして頭を擡げる。-ヴェーヌスは媚び親しみつつ彼を又引き寄せる。-タンホイザーは夢の姿を確と振らると有なかの様に片手を双の日かざす。)ヴェーヌス(極めて平静に)仰っしゃいな、どこに今あなたの心はお在りなの?タンホイザー(速く)あんまりの快楽です。恋人よ、あんまりです、(次第に徐々に又低く)おお、いまわたしは目が覚一二
めたのかヴェーヌス(静かに穩かに媚びつこ仰っしゃいな、何を気にして居らしって?タンホイザー夢に見ましたのは丁度、それは私の耳には斯うも長らく他所事となって居たのか、丁度嬉しい鐘の音を聞いた様な心地がしました。おお、さても、如何に長らく鐘の音を私は聞かずに居たのでしょう?ヴェーヌス(前と同じく)何に心を取られてますの?何をぼんやり思ってますの? (手を挙げて彼の額を軟かに撫でる)タンホイザー(鬱憂の心)此処に私が居た年月、どれだけだろう、計りも出来ない。日月ももはや私には仰っしゃいな、無くなりました、日輪ももはや見ず、もう〓〓空に優しい諸々の星をも見なくなりました。瑞々しくも緑して新たの夏を連れて来る草の茎をももはや見ず、春を告げ来る鶯の声をも聞かず。-さても私はもはや彼等を聞く事はないのだろうか、ヴェーヌス(穩かに訝りつつ)まあ、何を私は聞くのだろう、何てくだらないよまい言なのだろう。あなたの為めに私の恋がしてあげる此のめでたい奇蹟にあなたはもうはや倦み疲れて?それとも神である事をあなたは悔ゆる?そんなに切に?今こう悦ぶ身となっては、昔の悩み苦しみはもはやすっかりお忘れになって?-見る事は決してないのだろうか? (立上り)一五
六六起きなさいまし、我が歌人。そしてあなたの竪琴をお取りなさいな。(自分で彼の竪琴を取り彼の前にさし出す。)恋を讃えて下さいな、それを見事に讃え歌って恋の女神を御自分の所有とさえしたあなたじゃないの?恋を讃えて下さいな、その最高の寵愛はあなたの所有となったのだもの。タンホイザー(急に意を決して奮い立ち、竪琴を取り、粛としてヴェーヌスの前に讃美の姿勢を構え)あなたの為めに響け、此の讃美。幸福な私にあなたの力が見せて呉れた此の奇蹟よ、讃えられてあれ。あなたの寵愛より出た快楽の甘美さよ、高き歓呼の声となれ、わが歌。悦びを追うて我胸、ああ、類なき享楽を追うて我胸、憧れて行った。我官能は渴いた、喘いだ。嘗てはあなたがただ神々のみに与えた恵みをば死ぬる運命の人間の私に呉れました。併し死ぬる運命、ああ、私は矢っ張りそれなんです。そしてあなたの恋は私には余りに大きい。神だったら永久に快楽に浸っても居られるでしょう、私は事物の有為転変に従う運命。私の心にあるものは快楽のみではありません、ニ悦びの裡より私は悲しみの方へと憧れています。あなたの国より私は逃れねばなりません、おお、女王よ、女神よ、私を行かして下さい。ヴェーヌス(夢より覚めたかの様に)何を私は聞くのだろう?何て歌だろ!何という悲しい調子に落ちましたの、あなたの歌はさ?快楽の歌ばかりこそ促した筈の-
一八あの感激は何処へ行って?何なの、それは?私の恋のどういう点が微温でしたの〓恋人よ、どうしてあなたは私に嘆き訴えるの?タンホイザー感謝します、あなたの寵愛に、あなたの恋は讃美されてあれ。あなたの傍に居た者は永久に幸福です、あなたに抱かれ暖かい愛欲を交え、神の情けの焰をば共に味うた者は羨まるべきです、永久に。あなたの国の奇蹟は歓喜に充ち、あらゆる快楽の魅力を私はここに吸っている。広い地上に比ぶべきもの又とはない、世間にあるもの、あなたに取っては何であろう。しかし私は薔薇色の靄の此処より、行きたいのです、微風わたる森の方へ、我等の国の青空の澄みたる方へ、我等の国の野の緑したたる方へ、我等の国の諸島の愛らしい歌ある方へ、我等の国の鐘の音の懷しくも響く方へ。-あなたの国より私は逃れねばなりません、おお、女王よ、女神よ、私を行かして下さい。ヴェーヌス(臥床より跳り上り)不実者、ああ辛い。何を私に聞かせるの?私の恋をよくもあなたは嘲るのね?口では讃めて、そして其身は逃げて行こうと思うのね?私の魅力はもうあなたには沢山なの?タンホイザー13.美しい女神よ、怒らないでいて下さい。ヴェーヌスああ、一九
二〇私の魅力はもうあなたには沢山なの?タンホイザー余りに大きいあなたの魅力、それを私は逃れるのです。ヴェーヌスまあ、気の毒な。裏切人、偽善者、恩知らず。私はあなたを帰しはしないわ、あなたは此処より行けやしないわ。タンホイザー永久にあなたより逃れて行かねばならない今よりもより大きなより真実な私の恋はまだ一度もありませんでした。(ヴェーヌスは一種の叫び声を上げ、両手に顔を被いて彼方へ向く。長い間沈黙。ヴェーヌスは再びタンホイザーの視線を求め、それから急に誘惑の微笑を浮べて又彼の方へ向きかえる。彼女の合図に応じて其指した方に迷わしの洞穴が現れる)ヴェーヌス(低い声で又話しかける)来らっしゃい、恋人よ、御覧なさいな、あの洞穴を、それを私は逃れるのです。薔薇色の靄がこめて軟らかに漂うているわ。彼処にあれば神の身にさえ又とない甘美の極の楽しみが与えられてよ。此上なく軟い褥の上に身を休めるがいいわ、そしてあなたの身の節々の痛みはすべて消えて行け、あなたの熱している頭を風は凉しく冷ましてやれ、歓楽の焰はあなたの胸に湧いて漲れ。(タンホイザーを柔かに搔き抱き引き寄せようとしつつ)恋しい恋の友達、さあ、彼方へ、ねえ。シレーネの合唱(姿は見えない)来らっしゃい、来給え、岸に。ヴェーヌス幽妙な遠い方から響き来る歌の調べもあなたを深く抱きしめて可愛ゆがる様に促すのよ。タンホイザーニ
二二そしてあなたの頰には輝くがい神の美酒、私の唇より、私の眼より啜るがいいわ、い。恋の感謝。-二人の仲には歓楽の宴がなくてはいけないね、恋の祭りをやりましょう、さあ悦びに。それに躊躇と恐怖の犠牲を捧げてはいけないことよ。恋の女神と契りを交し、溺れよ耽れ、歓楽に、思うがままの娯みに。二なき友達、これで如何、仰っしゃいな恋人、まだ逃れようと考えて〓タンホイザー(感激に駆られ又もや竪琴を手にする)ただあなたに、ただあなたにのみ、我歌よ、絶えず響け、私はただあなたをのみ讃えて行く、高く、高く。あなたの強い魅力が一切の美の源泉だ、あらゆる美妙な奇蹟は悉くあなたが元。私の胸にあなたが注ぎ入れた熱よ、火よ、焰となって燃えるがいい、ただあなたの為めのみに。私の眼より啜るがいいわ、そうだ、私は今日より全世界を敵としても、あなたの為めに戦おう、猛く雄々しく、倦まず挫まず。しかし私は人の世へ行かねばならない、あなたの傍では私はただ奴隷に過ぎない。私は自由が慕わしい、自由へ、自由へ、そこが私はなつかしい。戦いにこそ私は行こう、死も滅亡もあらばあれ、-だから私はあなたの国より逃れねばならない。おお、女王よ、女神よ、私を行かして下さい。ヴェーヌス(激しい憤怒に駆られる)行くがいいわ、心の昏んだ人、行くがいい、行くがいい、行くがいい、裏切人をどうして私引止めよう。逃げるがいいわ、思うままに。-逃げるがいいわ、タンホイザーsa心の昏んだ人。二三
二四行くがいい、-お願い通りの運命に落ちて行くがいい、行くがいい、冷い人の群へ行くがいい、そんな人間達の愚鈍な陰気な心には、歓喜の神の私達は真平御免だわ、暖い地の懷へ私達こそ逃げて行くわ。行くがいい、心の昏んだ人、行ってお探し、その幸福を、その幸福をお探しよ、-そして探し当てる気遣なしさ。以前に自分が笑ってやった人達に、勝誇って嘲ってやった人達に、今度はお慈悲を下といと縋るがいいわ、自分が賤しみはてた国に憐れを乞いに行くがいいわ。そして恥をば曝すがいい、笑った人達に笑われてみるがいい。呪われたて、追放されて、まあ、何という態でしょう、行くがいい、頂垂れ萎れて又私の許へ……ふん、その態が今からありありと目に見えるわ。『以前其方に微笑みかけた女神を再び探すがいいや。快楽の門を女神は又其方に開けて呉れるだろう。』とね。どうだろう、閾の上に打倒れ、横はってる人のざまは、以前は其処で其男にはただ歓楽があったのさ。今は恋でなく憐みを乞食の様に乞うのだとさ。行くがいい、汚らわしいわ、乞食なんか。下郞なんぞを一寸でも私の国が入れるものか、入れるのはただますらおだけよ。タンホイザーいや、その御心配は御無用です、私には自負心がある、いや、私には自負心がある、二五
二六無恥厚顔にあなたの許へ戾りはしない。今日あなたより別れ行く此の私は、女神よ、決して、決してあなたの許に帰っては来ません。ヴェーヌス(叫びをあげる)まあ、決して帰って来ないんだって。-何と私は言ったのだろう?まあ、この人は何と言ったのだろう?決して帰って来ないんだって!そんな事、私何と思ったらいいのだろう?何と解していいのだろう?我が恋人が私を永久に捨てて行く? (暖かき心になり、躊躇しながら)恋人を責めずに許す筈の楽しみを私自身で奪い去った此の過ちは決して、まあ、どうして私に来たのか知ら、どうして私こんな事と思っていたろう。恋の女王に、一切の幸福の女神に、友を慰める事だけが許されないであるだろうか。-辺りも暫く寂りなった位い、誇りかなあなたの歌に聞きしれて微笑の目には涙さえ流し憧れ酔うてた日もあったわ。嘗てあなたの訴えを聞き、あなたの嘆きを私が身に受けて、それでも私が無感無覚であった日のあるとでもあなたに思われて?適
あなたに抱かれて得たばかりの慰めをば安価に思わしてはいけないわ、私があげた慰めも、貶しめてはいけないわ。(絶望に駆られ)あなたが帰って来ないなら、全世界に呪いよかかれ、そして女神の居なくなった世は荒れはててあれ、永久に。(絶望的哀願)ああ、帰って、ねえ、帰って!私の情けに頼つて、ねえ、私の恋に!タンホイザーあなたより別れて行く此の私は、一切の情けに離れて行くのです、女神よ、永久に。ヴェーヌス私の方へ再びあなたの心が惹かれる時、それを自負心で抑え止めない様に、ねえ。タンホイザー私の憧憬は戦いへ、愛欲と快楽は私はもはや願わない。ああ、女神、此の心あなたには分かって貰えないかなあ。私が行くのは死の方へです、死をこそ私は求めて行くのです、ただ死の方へ。ヴェーヌス死その物があなたを避けるわ、その時はお帰りなさいな、墳墓自身があなたを拒むわ、その時はお帰りなさいな。タンホイザー死も墳墓も私は身内に持っている。タンホイザー二九
ヨ〇悔いと償い、それで私は私の安息を見出します。ヴェーヌス決してあなたに安息はありはしないわ、決してあなたに平和はありはしないわ。帰ってらっしゃい、私の許に、そしてあなたの幸福を得るがいいわ。タンホイザー愛欲と快楽の女神、いや、あなたには、ああ、私の幸福の所在はマリア。(ヴェーヌス、姿見えずなる。舞台は急に一変する。)安息も平和も私は見出さない、舞台は急に一変する。)





第三場タンホイザー。若い一人の牧人。巡礼の群。(タンホイザーは其場を去らないでいるが、急にとある美しい谷の中に居る事になる。空は青々と晴れ、日は輝やかに照っている。-右手後方にはワルトブルク見え、谷の峡より左手を望めばヘルゼル山である。-右手、谷の傾斜面の中程には一条の山径がワルトブルクの方から舞台の前面の方へ来て、其処から脇へ曲がっている。そこには又聖母の像が安置してあって、稍低い山の突角が其処に達している。左手の小高い丘の方から、家畜の首の鈴の音が聞え来る。シャルマイ高い山の鼻に一人の牧人が牧笛を持って谷の方へ向いて座っている。)牧人(牧笛を吹き鳴らす)でホルダの姫は山を出て、野越え森こえ廻り来た。よ好き音たのしや、我が耳に、タンホイザー三一三一
三ニ眺めやりたや、眺めやりたや、わしが目で。(又牧笛を吹く)楽しい夢をわしは見た、さて目をあけるそうそうに、日は暖かに輝いて、時は五月よ、五月となった。わしは嬉しく牧笛を吹く、時は五月よ、楽しい五月。(彼は牧笛を吹き鳴らす。つ歌う声聞える)年老いし巡礼の群君が方へぞ我は行く、わが救い主、基督よ。巡礼人の念願の頼みの的の基督よ。我等は讃えん、美しき〓き処女の聖マリア、を吹く)年老いし巡礼の群ワルトブルクの方より山径を此方へ近づき来つ基督よ。御恵みをば垂れ給え、憐み給え、廻国に。(巡礼達の歌を聞いた牧人は笛を中途にやめ、ああ、罪の重荷のさても苦しさよ、もはや此上堪えがたし。されば憩いも安らいも我は求めず、選ぶは疲れ、又苦しみ。や神の御恵み御情の崇き祭の場に行き、畏れ度み我が罪を償わむとぞ思うなる。信心堅き人の子に幸は降りて、償いに、悔いに赦され救われん。牧人信心深げに謹聴する)牧人(巡礼達が向合いの丘の上に来た時、かける)無事で行かしやれ、ローマの旅路。俺の貧しい魂のお祈り上げて下されよ。帽を脱いで振りつつ高く呼び三三
三四タンホイザー(舞台の中程に、地に根が生えた様にじっとして佇立していた彼は、烈しい感激に打たれ、倒れる様にどうと跪まづく)全能の神よ、受け給え、此の讃美。大なるかな、御慈悲の此の奇蹟。(巡礼の一行は左手の聖母の像の傍を過ぎて、山径を曲り舞台より遠ざかり行く。牧人シャルマイも牧笛を持って丘の上より右手へ去る。家畜の鈴の音次第に遠くなり行く)巡礼の群も君が方へぞ我は行く、わが救い主、基督よ。ねんぐわん巡礼人の念願の頼みの的の基督よ。我等は讃えん、美しき〓き処女の聖マリア、御恵みをば垂れ給え、憐み給え、廻国に。(そして巡礼の群は全く舞台より去る)タンホイザー(心の底よりの痛切な祈祷を捧げる姿、跪づいて)ああ罪の重荷のさても苦しさよ、タンホイザー牧人基督よ。跪づいて)ああもはや此上堪えがたし。されば憩いも安息も我は求めず、選ぶは疲れ、又苦しみ。(涙にむせんで夫れ以上言う事が出来ない。地にすり附ける位に頭を垂れ、血を絞る様に泣いているらしい)巡礼の群(はやずっと遠くなっている)神の御恵みみ情けの崇き祭の場に行き、畏れ虔み我が罪を償わむとぞ思うなる。信心堅き人の子に幸は降りて、償いに、(舞台のずっと奥の方、アイゼナハの方向から、鐘の音が遠く〓〓警いて来る、それは又、猟角を吹き鳴らす音が次第に近くなるままに薄れて行く。左手の山の方より猟の紛装をしたテューリンゲンの領主と歌人の一団が森の道を踏んで登場)地にすり附ける位に頭を垂れ、血を絞る様にタンホイザー三五
三六













第四場タンホイザー。領主。歌人の群。領主(山の半腹よリタンホイザーを見やり)誰だ、彼処に跪づいて、切ない祈祷に沈んで居るは。ヴァルター 罪償いの者でしょう。ビーテロルフ もののふ武夫らしい扮装だなあ。ヴォルフラム (先ずタンホイザーの方へ急ぎ行き、誰だ、確かにそれと見分けて)あれ彼だ。やあ、歌人の群*ハインリヒ!ハインリヒ! *タンホイザーに呼びかけるのである。ハインリヒとは男子に対する美称、の「いらつこ」「彥」などの類。但し我国のは語尾のみの様になっている。我古代本当か、本当か、さても?おのれかへ(タンホイザーははっとして起き上り、己に戻って気を鎮め、らと見やってから、黙って領主に礼をする)領主まったく其方か。〓然として蔑しみ捨てた群に又帰つに来たのか。ビーテロルフ 語れ、どういう意味だ、君が我等に帰って来たのは?歌人一同(ヴォルフラム を除く)語れ、話せ。ビーテロルフ いくさ仲直りか、それとも戦のし直しか?ヴァルター 友人として帰ったのか、但しは敵としてなのか?タンホイザー領主を始め歌人一同をち語れ、仲直りか、三七
三八歌人一同(ヴォルフラム を除き)敵としてか?ヴォルフラム 問うな、友達。これが昂然たる様子だろうか?挨拶をするよ、勇敢な歌人の君、長いこと君は我々の群から欠けていたのだね。ヴァルター 好う帰って呉れたねえ、平和で帰って来たのなら。ビーテロルフ 挨拶をするよ、我々を友人と言うのなら。歌人一同(ヴォルフラム を除き)挨拶をする、挨拶をする、君に挨拶をするよ。領主それでは私も歓迎する。(タンホイザーの前に行き)挨拶をするよ、挨拶をする、でもまあ何処に今迄も居たのだね?タンホイザーずっと遠くへ行きました、-休憩も安息も決して決して無い国へです。聞かずに下さい。戦うために私は戻ったではありません。-仲直りをしましょうよ、-そして私をなおと行かして貰います。領主いけない。そなたは新規に我等の一人になったのだ。ヴァルター 君は行ってはいかぬ。ビーテロルフ 我等は君を行かせはしない。領主、歌人一同(ビーテロルフ を除く)我々と一〓に居り給え、ねえ。いけない。三九
四タンホイザー行かして呉れ。居ってもおれは無駄なのだ、おれは一寸も立止まって休めない。おれの道はおれをただ向うへと急がせる許りだ、おれは一寸も後振り返るわけにも行かない。領主、歌人一同行くなと言うにさ。我々と一〓に居給えよ、我等は君を行かせはしない。我等を尋ねて戻った君ではないか、どうして斯様に、逢って間もなく行くというのだ?タンホイザー(身を振り放す様にして)行くのだ。歌人一同此処に居給え、居給え。ヴォルフラム (タンホイザーの正面に立塞がり高い声で)どうして斯様に、(行くのだ、エリーザベトの居られる処にさ。タンホイザー(電気に打たれたかの様に激しくはっとして悦びの色が強く現れる、催眠にかかった様に凝と佇立して)エリーザベト!ああ、天の力だ、又とない美しい其名を若は言ったのか。ヴォルフラム その名を言ったとて、おれを敵とは罵るな-。(領主に向かって)この友人の幸福を私が此友人に告げる事を許して下さい。領主その友人が人の心を捕へた魔力を言うがよい。そして神が其友人に道徳を持たしてくださるよう、その魔力を払いのけるよう、武士らしくなる様に。ヴォルフラム (領主に向かって)四
四二君が大胆な歌で我々と戦った時、又勝ち誇って我々の歌に逆らい歌つた時、又我々の技巧に打負けた時、その時しかし君だけが栄誉を得たのだ。節操高いあの姫が思い悩んで君の歌をば恋い慕い、身も魂も奪われて憧れた程の奇蹟をば君が見せたは、あれは魔法であったのか、それとも純な力でか、ああ君が昂然として我等を捨てて行ってから、我等の歌にはあの姫の胸は開けず、我々は姫の頰の色褪せて行くのを見る許り、姫は我等を避けて許り居られたのだ。ああ帰って居たまえ、勇敢な歌人、君が歌をば我等のより遠ざからせる事勿れ。今日以後の宴会は姫も欠かさず見えるよう、彼女の星が我々の上に新たに輝くよう。歌人一同同僚となれ、ハインリヒ、昔の友になり給え。心違いも争論も疾うに終って過ぎてあれ。我等が歌は共々に一つ心の音に響け、今日以来我々を兄弟として呼んでくれ。領主帰って居たまえ、勇敢な歌人の其方。心違いも争論も疾うに終って過ぎてあれ。タンホイザー(激しく感動して身をヴォルフラム の腕に投げかけ、それから歌人残らずに順々に切実な挨拶を述べ、領主の前に進んで心の底より感謝に堪えない様子で礼をする)行きたい、連れて行って呉れ。姫の許へ行きたい、タンホイザー四三
四四

ああ今おれは再び夫れと見分けるのか、自分で棄てた美しい世界なのだな。天はおれをば見おろして居り、野は豊麗に輝いて居る。千の美妙の音を連れて我が魂の奧へと春は歓呼して入って行くのだ。切なく湧いて溢れ来る甘美の思、高らかに、おれの心は呼んでいる、姫の処へ、処へと。(その間に領主の猟隊の全部は鷹匠等をも混じえて次第と舞台に集って来る。猟師等は猟角を吹き鳴らす)領主、歌人一同我等の失くしていたものが帰って来たぞ。奇蹟が帰って来さしたのだ。彼の倨傲を追いのけた美妙の力に讃美あれ。二人の我等の讃歌に耳を貸せ、思われ人の聞け又更に、讃美を得たる)その耳よ。誰が胸からも響き出でよ歓喜の命漲って調子も高い歌の節。(絶えずますます集り来る猟隊に、今は谷一ばいうよ〓〓している。領主と歌人一同は猟隊の方へ向き直り、領主は自分の猟角を吹き鳴らす。猟角の高い反響と猟犬等の吠声がそれに答える。領主と歌人一同が自分達の為めにワルトブルクから曳いて来て貰った馬に乗ろうとする所で幕が下りる)聞け又更に、四五
同大
ERSTER AUFZUG

ERSTE SZENE
Die Bühne stellt das Innere des Venusberges Hörselberges bei Eisenach dar. Weite Grotte, welche sich im Hintergrunde durch eine Biegung nach rechts wie unabsehbar dahin zieht. Aus einer zerklüfteten Öffnung, durch welche mattes Tageslicht hereinscheint, stürzt sich die Höhe der Grotte entlang ein grünlicher Wasserfall herab, wild über Gestein schäumend; aus dem Becken, welches das Wasser auffängt, fliesst nach dem ferneren Hintergrunde der Bach hin, welcher dort sich zu einem See sammelt, in welchem man die Gestalten badender Najaden, und an dessen Ufern gelagerte Sirenen gewahrt. Zu beiden Seiten der Grotte Felsenvorsprünge von unregelmässiger Form, mit wunderbaren, korallenartigen tropischen Gewächsen bewachsen. Vor einer nach links aufwärts sich dehnenden Grottenöffnung, aus welcher ein zarter, rosiger Dämmer herausscheint, liegt im Vordergrunde Venus auf einem reichen Lager, vor ihr das Haupt in ihrem Schosse, die Harfe zur Seite, Tannhäuser halb kniend. Das Lager umgeben, in reizender Verschlingung gelagert, die drei Grazien. Zur Seite und hinter dem Lager zahlreiche schlafende Amoretten, wild über und neben einander gelagert, einen verworrenen Knäuel bildend, wie Kinder, die, von einer Balgerei ermattet, eingeschlafen sind. Der ganze Vordergrund ist von einem zauberhaften, von unten her dringenden, rötlichen Lichte beleuchtet, durch welches das Smaragdgrün des Wasserfalles, mit dem Weiss seiner schäumenden Wellen, stark durchbricht; der ferne Hintergrund mit den Seeufern ist von einem verklärt baluen Dufte mondscheinartig erhellt

Beim Aufzuge des Vorhanges sind, auf den erhöhten Vorsprüngen, bei Bechern noch die Jünglinge gelagert, welche jetzt sofort den verlockenden Winken der Nymphen folgen, und zu diesen hinabeilen; die Nymphen hatten um das schäumende Bekken des Wasserfalles den auffordernden Reigen begonnen, welcher die Jünglinge zu ihnen führen sollte; die Paare finden und mischen sich; Suchen, Fliehen und reizendes Nekken beleben den Tanz. Aus dem ferneren Hintergrunde naht ein Zug von Bacchantinnen, welcher durch die Reihen der liebenden Paare, zu wilder Lust auffordernd, daherbraust. Durch Gebärden begeisterter Trunkenheit reissen die Bacchantinnen die Liebenden zu wachsender Ausgelassenheit hin. Satyre und Faune sind aus den Klüften erschienen, und drängen sich zur höchsten Wut. Hier, beim Ausbruche der höchsten Raserei, erheben sich entsetzt die drei Grazien. Sie suchen den Wütenden Einhalt zu tun und sie zu entfernen. Machtlos fürchten sie selbst mit fortgerissen zu werden: sie wenden sich zu den schlafenden Amoretten, rütteln sie auf, und jagen sie in die Höhe. Diese flattern wie eine Schar Vögel aufwärts auseinander, nehmen in der Höhe, wie in Schlachtordnung, den ganzen Raum der Höhle ein, und schiessen von da herab einen unaufhörlichen Hagel von Pfeilen auf das Getümmel in der Tiefe. Die Verwundeten, von mächtigem Liebessehnen ergriffen, lassen vom rasenden Tanze ab und sinken in Ermattung. Die Grazien bemächtigen sich der Verwundeten und suchen, indem sie die Trunkenen zu Paaren fügen, sie mit sanfter Gewalt nach dem Hintergrund zu zu zerstreuen. Dort nach den verschiedensten Richtungen hin entfernen sich zum Teil auch von der Höhe herab durch die Amoretten verfolgt die Bacchanten, Faunen, Satyren, Nymphen und Jünglinge. Ein immer dichterer rosiger Duft senkt sich herab; in ihm verschwinden zunächst die Amoretten; dann bedeckt er den ganzen Hintergrund, so dass endlich, ausser Venus und Tannhäuser, nur noch die drei Grazien sichtbar zurückbleiben. Diese wenden sich jetzt nach dem Vordergrunde zurück; in anmutigen Verschlingungen nahen sie sich Venus, ihr gleichsam von dem Siege berichtend, den sie über die wilden Leidenschaften der Untertanen ihres Reiches gewonnen

Venus blickt dankend zu ihnen

GESANG DER SIRENEN
Naht euch dem Strande,
naht euch dem Lande,
wo in den Armen
glühender Liebe
selig Erbarmen
still' eure Triebe!

Der dichte Duft im Hintergrunde zerteilt sich; ein Nebelbild zeigt die Entführung der Europa, welche auf dem Rücken des mit Blumen geschmückten weissen Stieres, von Tritonen und Nereiden geleitet, durch das blaue Meer dahinfährt. Der rosige Duft schliesst sich wieder, das Bild verschwindet, und die Grazien deuten nun durch einen anmutigen Tanz den geheimnisvollen Inhalt des Bildes, als ein Werk der Liebe, an. Von neuem teilt sich der Duft. Man erblickt in sanfter Mondesdämmerung Leda, am Waldteiche ausgestreckt; der Schwan schwimmt auf sie zu und birgt schmeichelnd seinen Hals an ihrem Busen. Allmählich verbleicht auch dieses Bild. Der Duft verzieht sich endlich ganz, und zeigt die ganze Grotte einsam und still. Die Grazien neigen sich lächelnd vor Venus, und entfernen sich langsam nach der Seiten-Grotte. Tiefste Ruhe. Unveränderte Gruppe der Venus und Tannhäusers


ZWEITE SZENE
Tannhäuser zuckt mit dem Haupte empor, als fahre er aus einem Traume auf. - Venus zieht ihn schmeichelnd zurück. - Tannhäuser führt die Hand über die Augen, als ob er ein Traumbild festzuhalten suche

VENUS
Geliebter, sag, wo weilt dein Sinn?

TANNHÄUSER
Zu viel! Zu viel! O, dass ich nun erwachte!

VENUS
Sprich, was kümmert dich?

TANNHÄUSER
Im Traum war mir's als hörte ich -
was meinem Ohr so lange fremd!
als hörte ich der Glocken froh Geläute; -
O, sag! Wie lange hört' ich's doch nicht mehr?


VENUS
Wohin verlierst du dich? Was ficht dich an?

TANNHÄUSER
Die Zeit, die hier ich weil',
ich kann sie nicht ermessen: -
Tage, Monde - gibt's für mich nicht mehr,
denn nicht mehr sehe ich die Sonne,
nicht mehr des Himmels freundliche Gestirne; -
den Halm seh' ich nicht mehr, der frisch ergrünend
den neuen Sommer bringt; - die Nachtigall
nicht hör' ich mehr, die mir den Lenz verkünde: -
hör'ich sie nie, seh' ich sie niemals mehr?

VENUS
Ha! Was vernehm ich? Welche tör'ge Klagen!
Bist du so bald der holden Wunder müde,
die meine Liebe dir bereitet? - Oder
wie? Reut es dich so sehr, ein Gott zu sein?
Hast du so bald vergessen, wie du einst
gelitten, während jetzt du dich erfreust? -
Mein Sänger, auf! Ergreife deine Harfe!
Die Liebe feire, die so herrlich du besingst,
dass du der Liebe Göttin selber dir gewannst!
Die Liebe feire, da ihr höchster Preis dir ward!

TANNHÄUSER
zu einem plötzlichen Entschlusse ermannt, nimmt die Harfe und stellt sich feierlich vor Venus hin
Dir töne Lob! Die Wunder sei'n gepriesen,
die deine Macht mir Glücklichem erschuf!
Die Wonnen süss,die deiner Huld entspriessen,
erheb' mein Lied in lautem Jubelruf!
Nach Freude, ach! nach herrlichem Geniessen
verlangt' mein Herz, es dürstete mein Sinn:
da, was nur Göttern einstens du erwiesen,
gab deine Gunst mir Sterblichem dahin. -
Doch sterblich, ach! bin ich geblieben,
und übergross ist mir dein Lieben;
wenn stets ein Gott geniessen kann,
bin ich dem Wechsel untertan;
nicht Lust allein liegt mir am Herzen,
aus Freuden sehn' ich mich nach Schmerzen:
aus deinem Reiche muss ich fliehn, -
o Königin, Göttin! Lass mich ziehn!

VENUS
noch auf ihrem Lager
Was muss ich hören! Welch ein Sang!
Welch trübem Ton verfällt dein Lied!
Wohin floh die Begeistrung dir,
die Wonnesang dir nur gebot?
Was ist's? Worin war meine Liebe lässig?
Geliebter, wessen klagest du mich an?

TANNHÄUSER
zur Harfe
Dank deiner Huld! Gepriesen sei dein Lieben!
Beglückt für immer, wer bei dir geweilt!
Beneidet ewig, wer mit warmen Trieben
in deinen Armen Götterglut geteilt!
Entzückend sind die Wunder deines Reiches,
den Zauber aller Wonnen atm' ich hier;
kein Land der weiten Erde bietet Gleiches,
was sie besitzt, scheint leicht entbehrlich dir.
Doch ich aus diesen ros'gen Düften
verlange nach des Waldes Lüften,
nach unsres Himmels klarem Blau,
nach unsrem frischen Grün der Au,
nach unsrer Vöglein liebem Sange,
nach unsrer Glocken trautem Klange: -
Aus deinem Reiche muss ich fliehn, -
O Königin, Göttin! Lass mich ziehn!

VENUS
leidenschaftlich aufspringend
Treuloser! Weh! Was lässest du mich hören?
Du wagest meine Liebe zu verhöhnen?
Du preisest sie und willst sie dennoch fliehn?
Zum Überdruss ist mir mein Reiz gediehn?

TANNHÄUSER
O schöne Göttin! Wolle mir nicht zürnen!
Dein übergrosser Reiz ist's, den ich meide.

VENUS
Weh dir! Verräter! Heuchler! Undankbarer!
Ich lass' dich nicht! Du darfst von mir nicht ziehn!

TANNHÄUSER
Nie war mein Lieben grösser, niemals wahrer,
als jetzt, da ich für ewig dich muss fliehn!

Venus hat mit heftiger Gebärde ihr Gesicht, von ihren Händen bedeckt, abgewandt. Nach einem Schweigen wendet sie es lächelnd und mit verführerischem Ausdrucke Tannhäuser wieder zu

VENUS
mit leiser Stimme beginnend
Geliebter, komm! Sieh dort die Grotte,
von ros'gen Düften mild durchwallt!
Entzücken böt selbst einem Gotte
der süss'sten Freuden Aufenthalt:
besänftigt auf dem weichsten Pfühle
flieh' deine Glieder jeder Schmerz,
dein brennend Haupt umwehe Kühle,
wonnige Glut durchschwell' dein Herz.
Aus holder Ferne mahnen süsse Klänge,
dass dich mein Arm in trauter Näh' umschlänge:
von meinen Lippen schlürfst du Göttertrank,
aus meinen Augen strahlt dir Liebesdank: -
ein Freudenfest soll unsrem Bund entstehen,
der Liebe Feier lass uns froh begehen!
Nicht sollst du ihr ein scheues Opfer weihn, -
nein! - mit der Liebe Göttin schwelge im Verein.

SIRENEN
aus weiter Ferne, unsichtbar
Naht euch dem Strande,
naht euch dem Lande!

VENUS
Tannhäuser sanft nach sich ziehend
Mein Ritter! Mein Geliebter! Willst du fliehn?

TANNHÄUSER
auf das Äusserste hingerissen, greift mit trunkener Gebärde in die Harfe
Stets soll nur dir, nur dir mein Lied ertönen!
Gesungen laut sei nur dein Preis von mir!
Dein süsser Reiz ist Quelle alles Schönen,
und jedes holde Wunder stammt von dir.
Die Glut, die du mir in das Herz gegossen,
als Flamme lodre hell sie dir allein!
Ja, gegen alle Welt will unverdrossen
fortan ich nun dein kühner Streiter sein. -
Doch hin muss ich zur Welt der Erden,
bei dir kann ich nur Sklave werden;
nach Freiheit doch verlange ich,
nach Freiheit, Freiheit dürstet's mich;
zu Kampf und Streite will ich stehen,
sei's auch auf Tod und Untergehen: -
drum muss aus deinem Reich ich fliehn, -
O Königin, Göttin! Lass mich ziehn!

VENUS
im heftigstem Zorne
Zieh hin, Wahnsinniger, zieh hin!
Verräter, sieh, nicht halt' ich dich!
Ich geb' dich frei, - zieh hin! zieh hin!
Was du verlangst, das sei dein Los!
Hin zu den kalten Menschen flieh,
vor deren blödem, trübem Wahn
der Freude Götter wir entflohn
tief in der Erde wärmenden Schoss.
Zieh hin, Betörter! Suche dein Heil,
suche dein Heil - und find es nie!
Bald weicht der Stolz aus deiner Seel',
demütig seh' ich dich mir nahn, -
zerknirscht, zertreten suchst du mich auf,
flehst um die Zauber meiner Macht.

TANNHÄUSER
Ach, schöne Göttin, lebe wohl!
Nie kehre ich zu dir zurück.

VENUS
verzweiflungsvoll
Ha, kehrtest du mir nie zurück! . . .
Kehrst du nicht wieder, ha! so sei verfluchet
von mir das ganze menschliche Geschlecht!
Nach meinen Wundern dann vergebens suchet!
Die Welt sei öde, und ihr Held ein Knecht! -
Kehr wieder! Kehre mir zurück!

TANNHÄUSER
Nie mehr erfreu' mich Liebesglück!

VENUS
Kehr wieder, wenn dein Herz dich zieht!

TANNHÄUSER
Für ewig dein Geliebter flieht!

VENUS
Wenn alle Welt dich von sich stösst? -

TANNHÄUSER
Vom Bann werd' ich durch Buss' erlöst.

VENUS
Nie wird Vergebung dir zuteil, -
Kehr wieder, schliesst sich dir das Heil!

TANNHÄUSER
Mein Heil! mein Heil ruht in Maria!

Furchtbarer Schlag. Venus ist verschwunden


DRITTE SZENE
Tannhäuser steht plötzlich in einem schönen Tale, über ihm blauer Himmel. Rechts im Hintergrunde die Wartburg, links in grösserer Ferne der Hörselberg. Rechter Hand führt auf der halben Höhe des Tales ein Bergweg nach dem Vordergrunde zu, wo er dann seitwärts abbiegt; in demselben Vordergrunde ist ein Muttergottesbild, zu welchem ein niedriger Bergvorsprung hinaufführt. Von der Höhe links vernimmt man das Geläute von Herdenglocken; auf einem hohen Vorsprunge sitzt ein junger Hirt mit der Schalmei und singt

HIRT
Frau Holda kam aus dem Berg hervor,
zu ziehen durch Flur und Auen;
gar süssen Klang vernahm da mein Ohr,
mein Auge begehrte zu schauen: -
da träumt' ich manchen holden Traum,
und als mein Aug' erschlossen kaum,
da strahlte warm die Sonnen,
der Mai, der Mai war kommen.
Nun spiel' ich lustig die Schalmei: -
der Mai ist da, der liebe Mai!

Er spielt auf der Schalmei. Man hört den Gesang der älteren Pilger, welche, von der Richtung der Wartburg her kommend, den Bergweg rechts entlang ziehen

GESANG DER ÄLTEREN PILGER
Zu dir wall' ich, mein Jesus Christ,
der du des Sünders Hoffnung bist!
Gelobt sei, Jungfrau süss und rein,
der Wallfahrt wolle günstig sein! -
Ach, schwer drückt mich der Sünden Last,
kann länger sie nicht mehr ertragen;
drum will ich auch nicht Ruh noch Rast,
und wähle gern mir Müh' und Plagen.
Am hohen Fest der Gnadenhuld
in Demut sühn' ich meine Schuld;
gesegnet, wer im Glauben treu:
er wird erlöst durch Buss' und Reu'.

Der Hirt, der fortwährend auf der Schalmei gespielt hat, hält ein, als der Zug der Pilger auf der Höhe ihm gegenüber ankommt

HIRT
den Hut schwenkend und den Pilgern laut zurufend
Glück auf! Glück auf nach Rom!
Betet für meine arme Seele!

TANNHÄUSER
tief ergriffen auf die Knie sinkend
Allmächt'ger, dir sei Preis!
Hehr sind die Wunder deiner Gnade.

Der Zug der Pilger entfernt sich immer weiter von der Bühne, so dass der Gesang allmählich verhallt

PILGERGESANG
Zu dir wall' ich, mein Jesus Christ,
der du des Pilgers Hoffnung bist!
Gelobt sei, Jungfrau süss und rein,
der Wallfahrt wolle günstig sein!

TANNHÄUSER
als der Gesang der Pilger sich hier etwas verliert, singt, auf den Knien, wie in brünstiges Gebet versunken, weiter
Ach,schwer drückt mich der Sünden Last,
kann länger sie nicht mehr ertragen;
drum will ich auch nicht Ruh noch Rast
und wähle gern mir Müh' und Plagen.

Tränen ersticken seine Stimme; man hört in weiter Ferne den Pilgergesang fortsetzen bis zum letzten Verhallen, während sich aus dem tiefsten Hintergrunde, wie von Eisenach herkommend, das Geläute von Kirchglocken vernehmen lässt. Als auch dieses schweigt, hört man von links immer näher kommende Hornrufe


VIERTE SZENE
Von der Anhöhe links herab aus einem Waldwege treten der Landgraf und die Sänger in Jägertracht einzeln auf. Im Verlaufe der Szene findet sich der ganze Jagdtross des Landgrafen nach und nach auf der Bühne ein

ANDGRAF
Wer ist der dort im brünstigen Gebete?

WALTHER
Ein Büsser wohl.

BITEROLF
Nach seiner Tracht ein Ritter.

WOLFRAM
der auf Tannhäuser zugegangen ist und ihn erkannt hat
Er ist es!

Die SÄNGER und der LANDGRAF
Heinrich! Heinrich! Seh' ich recht?

Tannhäuser, der überrascht schnell aufgefahren ist, ermannt sich und verneigt sich stumm gegen den Landgrafen, nachdem er einen flüchtigen Blick auf ihn und die Sänger geworfen

LANDGRAF
Du bist es wirklich? Kehrest in den Kreis
zurück, den du in Hochmut stolz verliessest?

BITEROLF
Sag, was uns deine Wiederkunft bedeutet?
Versöhnung? Oder gilt's erneutem Kampf?

WALTHER
Nahst du als Freund uns oder Feind?

DIE ANDEREN SÄNGER ausser Wolfram
Als Feind?

WOLFRAM
O fraget nicht! Ist dies des Hochmuts Miene? -
Gegrüsst sei uns, du kühner Sänger,
der, ach! so lang' in unsrer Mitte fehlt!

WALTHER
Willkommen, wenn du friedlich nahst!

BITEROLF
Gegrüsst, wenn du uns Freunde nennst!

ALLE SÄNGER
Gegrüsst! Gegrüsst! Gegrüsst sei uns!

LANDGRAF
So sei willkommen denn auch mir!
Sag an, wo weiltest du so lang?

TANNHÄUSER
Ich wanderte in weiter, weiter Fern', -
da, wo ich nimmer Rast noch Ruhe fand.
Fragt nicht! Zum Kampf mit euch nicht kam ich her.
Seid mir versöhnt, und lasst mich weiterziehn!

LANDGRAF
Nicht doch! Der Unsre bist du neu geworden.

WALTHER
Du darfst nicht ziehn.

BITEROLF
Wir lassen dich nicht fort.

TANNHÄUSER
Lasst mich! Mir frommet kein Verweilen,
und nimmer kann ich rastend stehn;
mein Weg heisst mich nurvorwärts eilen,
denn rückwärts darf ich niemals sehn.

Der LANDGRAF und die SÄNGER
O bleib, bei uns sollst du verweilen,
wir lassen dich nicht von uns gehn.
Du suchtest uns, warum enteilen
nach solchem kurzen Wiedersehn?

TANNHÄUSER
sich losreissend
Fort! Fort von hier!

Die SÄNGER
Bleib! Bleib bei uns!

WOLFRAM
Tannhäuser in den Weg tretend, mit erhobener Stimme
Bleib bei Elisabeth!

TANNHÄUSER
heftig und freudig ergriffen
Elisabeth! O Macht des Himmels,
rufst du den süssen Namen mir?

WOLFRAM
Nicht sollst du Feind mich schelten, dass ich ihn genannt! -
Erlaubest du mir, Herr, dass ich
Verkünder seines Glücks ihm sei?

LANDGRAF
Nenn ihm den Zauber, den er ausgeübt, -
und Gott verleih ihm Tugend,
dass würdig er ihn löse!

WOLFRAM
Als du in kühnem Sange uns bestrittest,
bald siegreich gegen unsre Lieder sangst,
durch unsre Kunst Besiegung bald erlittest:
ein Preis doch war's, den du allein errangst.
War's Zauber, war es reine Macht,
durch die solch Wunder du vollbracht,
an deinen Sang voll Wonn' und Leid
gebannt die tugendreichste Maid?
Denn, ach! als du uns stolz verlassen,
verschloss ihr Herz sich unsrem Lied;
wir sahen ihre Wang' erblassen,
für immer unsren Kreis sie mied. -
O kehr zurück, du kühner Sänger,
dem unsren sei dein Lied nicht fern. -
Den Festen fehle sie nicht länger,
aufs neue leuchte uns ihr Stern!

Die SÄNGER
Sei unser, Heinrich! Kehr uns wieder!
Zwietracht und Streit sei abgetan!
Vereint ertönen unsre Lieder,
und Brüder nenne uns fortan!

TANNHÄUSER
innig gerührt, umarmt Wolfram und die Sänger mit Heftigkeit
Zu ihr! Zu ihr! O, führet mich zu ihr!
Ha, jetzt erkenne ich sie wieder,
die schöne Welt, der ich entrückt!
Der Himmel blickt auf mich hernieder,
die Fluren prangen reich geschmückt.
Der Lenz mit tausend holden Klängen
zog jubelnd in die Seele mir;
in süssem, ungestümem Drängen
ruft laut mein Herz: zu ihr, zu ihr!

LANDGRAF und die SÄNGER
Er kehrt zurück, den wir verloren!
Ein Wunder hat ihn hergebracht.
Die ihm den Uebermut beschworen,
gepriesen sei die holde Macht!
Nun lausche unsren Hochgesängen
von neuem der Gepries'nen Ohr'!
Es tön in frohbelebten Klängen
das Lied aus jeder Brust hervor!

Der ganze Jagdtross hat sich im Tale versammelt. Der Landgraf stösst in sein Horn: laute Hornrufe der Jäger antworten ihm. Der Landgraf und die Sänger besteigen Pferde, welche man ihnen von der Wartburg her entgegengeführt hat. Der Vorhang fällt
最終更新:2025年08月09日 06:05