対訳
あらすじ
- 架空の国ジャパンのとある都市ティティプーに暮らす政府高官ココの屋敷。この街の貴人たちが花瓶や水差しに描かれているような姿そのままで登場する。そこにやって来たのは一人の見知らぬ吟遊詩人。彼の名はナンキ・プー。このココの屋敷で後見を受けている美しい少女ヤム・ヤムに逢いに来たのである。自分の歌のレパートリーはとても幅広く、恋のララバイから愛国歌、更には Sea Chanty(海の男の労働歌)まで次々と披露するのであった。貴人たちもノリが良く彼の歌に応える。彼は昔このティティプ―のタウンバンドでヤム・ヤムと知り合い恋に落ちたのだが、ヤム・ヤムは後見人であるココと婚約していることを知り、絶望して街を離れていたのだった。ところが風の便りでそのココが死刑に処せられたのではないかという。こりゃもうワンチャンスあるかと期待して戻って来たナンキ・プーに対面した下っ端の貴族ピシュ・タシュは驚くべき状況の変化を語るのであった。
訳者より
- 劇の始まりの序曲から「宮様 宮様」のメロディーが物々しく鳴ることから、オペレッタの中でもキワモノ扱いされてか、そのクオリティの高さにも関わらず日本ではほとんど取り上げられることのないイギリスの誇るオペレッタ名コンビ、台本ウィリアム・ギルバート、作曲アーサー・サリヴァンの最大のヒット作「ミカド」。ブリティッシュ・コメディの宝石のような台本の面白さもピカ一ですが、何より音楽が美しい。序曲でも「宮様 宮様」のあとにオーボエソロで流れる第2幕冒頭のヒロインの歌う歌などはオペラアリアの中でも指折りの旋律の魅力を持った曲だと思いますし、この曲ばかりでなく、コミカルなものからリリカルなものまで次から次へと流れて出て来るおもちゃ箱のような構成は聴く者を飽きさせません。とはいえドイツやフランスの「文化」に対する教養を涵養することを目的とした日本のクラシック受容の歴史の中ではやはり彼らの作品は一段下にどうしても見られてしまいますし、他方音楽や劇にエンターテイメントを求める人たちにはお堅いクラシックの出来損ないという先入観があるのでしょう。結局どちらの層にも見向きもされず、この珠玉のG&Sの作品群が日本で知られることなく埋もれているのはとても惜しいことです。
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最終更新:2025年09月05日 07:37