第三幕

(タンホイザーの巡礼行)前奏(ワルトブルクの前の谷、左手にヘルゼル山が見えて、すべて第一幕の後半部の舞台拵へ、ただ秋の景色に変っている。日ははや夕方となる。-右の方の小さい山の突出部には聖マリア像の前にエリーザベトが跪づいて祈祷に余念もない。樹の繁った左方の山よりヴォルフラム 下り来る。エリーザベトを見て中腹に立止る)

第ー場エリーザベト、ヴォルフラム 。年老いし巡礼の群。ヴォルフラム 果して姫は又ここで祈祷を上げて居られるのだなあ、おれが繁った山から寂しく一人此谷へ下りてさまよい来る毎に、必ず屹度逢ったものだ。彼より受けた死を胸に抱いて切ない悶々に身を投げ伏せて、日も夜も彼の幸福を姫は願っていられるのだ。-おお、聖なる愛の永久の力よ。巡礼群のローマより帰るを姫は待っている。はや木の葉は落ちて人々の帰りは近くなって来た。慈悲に浴した人達と彼も一〓に帰るか知ら?姫の問はこれである、姬の願いはこれである、-聖者の方々、かなえてやって下さい、その願い。姫の受けた胸の傷、まだ癒えないであるならば、ああ、その痛み、せめて軽くしてやって下さい。(それからなお谷の下の方へ行こうとして、巡礼群の歌声を耳にし、タンホイザー又立止る)八三
八四年老しい巡礼群の合唱(ずっと遠い方から次第に少しずつ近くなって来る) seeああ故〓よ、今はわれ神に幸得て汝を見ん、挨拶をせん、悦びて、汝が愛らしき野に原に、今は休めん旅の杖、神慮のままに虔みて巡礼したる我なれば。エリーザベト(右の歌に耳を傾けつつ立ち上る)あれがあの人々の歌なのよ、-あれが帰〓の人々よ。職務を今は私に、聖者の方々、お授け下さい、よく為し遂げてみましょうに。ヴォルフラム 巡礼達だ。-あの敬神な歌振りは受けた大慈の幸福を告げ知らせるのだ。おお、天上の霊よ、姫の生命の決定的な今である、強くしてやって下さい、姫の心を。年老しい巡礼群の合唱(次第に舞台に近づいて来る)悔い改めに償いに我身は神に赦されぬ、我が此胸の畏みて仕え奉れる大神に、我が悔恨に祝福を恵み給える大神に、響け我歌、大神に、捧げ奉らん大神に。(ここで巡礼群は舞台の右方より登場、前方に進み来り、次の歌を歌う間に山の突出部の前を徐々と横ぎり、谷に沿うて後部の方へ行く)償い人に大慈悲の幸こそ授けられにけれ、かくて宛ら天上の平和の国へ辿るなり、1死も地獄も怖るるに足らず、それ故、かくて我生ある間大神を讃えて行かん、大神を。(此の時ははや舞台の後方に向かって、次第に遠ざかりつつある)讃えまつらん、永久に、讃えまつらん、永久に。八五
八六(ますます遠ざかり、ついに谷の出口より右手の方へ消える)エリーザベト(高くなっている自分の位置から、通り過ぎ行く巡礼の群中にタンホイザーは混っていないかと気を張り詰めて物色していた彼女は、悲痛らしい併し静かな態度で)あの人は帰って来ない、年老いし巡礼の群の合唱ああ故〓よ、今はわれ、神に幸得て汝を見ん、挨拶をせん、悦びて、汝が愛らしき野に原に、今は休めん、旅の杖(歌の声も次第に消えて行く。-日は沈む) useエリーザベト(又とない肅とした態度で跪づき)全能の聖マリア様、私の願をお聞き下さい。讃美の的のあなた様、私はあなたに呼びかけます。私は御前で絶え入りたいと思います。おお、大地より私をお取り下さいまし、天使の様に純潔で私があなたの天国へ行かれますよう、して下さいまし。若しも愚かな狂気に駆られて私の心がいつかあなたに背きでも致しましょうなら、若しも罪ある欲情が、此世の望みがいつか私に萠しでもしましょうならば、私はどんな苦しみに逢いましょうとも、身を責めて心の中のそんなもの必ず殺して終ひます。-それでも私あらゆる悪を滅ぼす事が出来ないでしたら、それでは何卒憐れと思召し私にお手伝い下さいまし、めしつかい御心に適う下婢として、畏れつつしみ、八七
八八お傍へ参られまする様、あの人の為めに大慈悲の御恵みをば冀ふ事の出来ますよう。(少しの間祈祷三昧の余り茫とした様にして居たが、それから徐ろに立上ると、彼女はヴォルフラム が目につく、ヴォルフラム は何か話しかける為めらしく彼女の方に近づいて来るのであった。-彼女は自分にはどうぞ話しかけて呉れるなという身振をする。)ヴォルフラム 姫君、私はお供をする事出来ないでしょうか? (エリーザベトは又更に身振と顔つきで次の意味を示す、即ち自分はヴォルフラム に感謝する、その誠実な愛には心の底より礼を言いたい、併し自分の道は天へ行っている、自分はそれを辿って天に行って、そこで自分の崇高な職務を尽さねばならないのだから、自分は連れられて其処へ行ってはいけない、又従いて来てもらうのもいけない、とりそして彼女は山を半分許り登り、ワルトブルクの方へ通っている小径を辿って次第に向うへ消えて行くが、その行く姿はなお暫くの間は見られる。-それを暫く見送っていたヴォルフラム は、左手の谷の小丘の裾に腰打かけ、竪琴を弾きはじめる)

第二場ヴォルフラム 黄昏は死を予知させるかの様に大地を覆い、ころも谷は黒い衣に包まれている。大空へ憧れわたる魂に、夜と怖れを搔き分け昇る魂に、おれは心が休まない。お前は照るか、愛すべき第一の星、その柔かな光をば遠くの方へ送るのか、よその愛らしい輝きは軟らげるのか、夜の闇を。そしてお前は谷を出る道を示して呉れるのだ。おおお前、私の優美な夕ずつよ、タンホイザー八九
九〇私はいつも悦んでお前に挨拶をしている。姫がお前の前を通るなら、嘗て一度も姫に「心を持たなかった此の胸の為めに挨拶をしてお呉れ、-淨土の天使となるために姫が此世の谷を離れて天がけり飛び行くならば其挨拶をしてお呉れ。(竪琴をなお奏でながら、空を仰いで立止まつている)

第三場ヴォルフラム 。タンホイザー。後にヴェーヌス。同。騎士一同。年老いし、又年若き巡礼の群。領主。歌人一(すっかり夜になっている。タンホイザー登場。ぼろ〓〓になった巡礼服を着て、果て、変り果て、色は蒼白になっている、杖に縋って力無げによろめき来る)彼の額は実れタンホイザー(力ない声で)ね竪琴をおれは聞いたが、-何て悲しい音であったろう、-まさか彼女よりではなからうなあ。ヴォルフラム 誰だ、お前は、巡礼よ、其様に寂しう彷徨うて来たのは。タンホイザーおれが誰だと?- -ヴォルフラム ではないか、(嘲って)おれは君をばよく知ってる、か如何にも巧者な歌人様。ヴォルフラム (激しく愕き)ハインリッヒか、君か、さて?タンホイザーれ
九二何うして君は斯様な処へやって来た、言え、それを、罪の償い出来ないで此地へ君はよくもよくも、く足を入れたな、よくも彷徨して来たな?タンホイザー心配御無用、誠に芽出たい歌人様。おれが探すのは君でない、君のお仲間達でもない。(薄気味悪い肉的快楽の渴望を湛えて)おれが探すのは、おれに道をばよく〓へ知らせる人だ、-それは前かた不思議な位い雑作なくおれが見出した其道だ、-。ヴォルフラム で、その道とは?タンホイザーヴェーヌス山へ行く道さ。ヴォルフラム で、言語道断ーおれの耳をば穢して呉れるな。タンホイザー(低い声で)君は其方へ行くと言うのか?その道君が知ってるとでも言うのかい?ヴォルフラム 気が狂ったか。聞けばおれは悚然とする。何処に居たのだ?ではローマへは行かなかったのか?タンホイザー(憤然として)言うな、ローマの事なんぞ。ヴォルフラム 言うな、聖なる祭に臨んだのではなかったのか?タンホイザーそんな事を。ヴォルフラム タンホイザー言うな、九三
九四では彼処には居なかったのだな?-聞かして呉れ、どうぞ、おれは願うから。タンホイザータンホイザー(己れを省察するかのような、な心持)なる程おれもローマに居った。ヴォルフラム では話して聞かして呉れ、不幸な友人。君に対すればおれには深い同情が湧いて来るのだ。タンホイザー(長らくヴォルフラム を感動と驚異の目を瞑って眺め)何だと、ヴォルフラム ?だって君はおれの敵ではないのか?ヴォルフラム 君に信仰があると思っていた間、おれは決して君の敵ではなかったのだ。でも、まあ話せ、君はローマへ行ったのだね?タンホイザーそして痛憤に堪えぬかぬのよう何だと、よろしい、それでは、聞け、ヴォルフラム 、聞いて呉れ。(くつたりなって山の突出部の裾に腰をおろす。ヴォルフラム も其隣に並んで腰かけようとする)いけない、離れて居て呉れ。おれの休憩する場所は、呪われたてるのだ。(それでヴォルフラム はタンホイザーより少し離れて前に立っている)聞け、ヴォルフラム 、聞いて呉れ。償い人が今迄に一度も感じた事のない程の、熱誠を胸に抱いて、おれはローマへ行ったのだ。ああ罪悪の驕慢を天使は不遜のおれより除いて呉れたのだ、おれには拒絶されている幸をもおれはその天使の為め、願い度かった、身の罪も切に慎んで償いたかった、そして天使が罪悪のおれの為め嘗て泣いて呉れた九五
九涙にせめて慰めの匂いも沿へと思ったのだ。-罪の重荷に一番堪えかねているという巡礼がおれと一〓に街道を行ってる時も其男が軟い草生を踏むとすれば、おれは素足で石や荊棘の上を行き、又夫れしきの事はおれには何ともありはしなかったのだ、-。〓水に其男が口つけて元気をつけている時も、おれはかっかと照りつける太陽の火を吸い込んだ、祈祷を彼が慎ましう天に向かって上げる時、おれの血潮を至上者の讃美におれは注いだのだ。疲れて彼が休み場に力を回復させてる時、rおれは五体を氷と雪の寝床に投げて横えた。-イタリアの見事な風光も見ない様に、おれは目をつぶつてあの明媚な平野も過ぎたのだ。-そうしたともさ、-。悔恨自責の心切に、噴ひをして、おれのあの天使の涙にせめてもの慰めあれと思ったのだ。ローマに着いて霊場に行き、祈祷を上げつつおれは寺院の入口に身を投げ伏せた。-夜が明けて鐘鳴りわたり、天上の讃歌が響いて来た。慈悲祝福を群衆に〓げてもたらすそれらの音に、切ない歓呼の声が湧いた。そこでおれは見た、神意を伝える其人を、-群衆は皆その前に低頭平身したのであった。牧師は慈悲を幾千の人に伝えた、罪の消えた、幾千人をいそいそと立上らせた。それからおれも寄って行った、-頭も大地にすりつけて、おれの肉欲の享け味わった罪の快楽と、どんな償いにもまだ冷めかねた情欲とを九七
九八嘆き悲しむ心をば顔にも見せて哀訴した、そして其様な情熱の桎梏からの救済を叫んで願った、激烈な悲痛に胸もかき乱れて。すると牧師は、おれが願った其牧師は口をきった、『お前はそんな罪悪の快楽を味ったのならば、地獄の情火に熱狂したのならば、ヴェーヌス山にいたのならば。それではお前は永久に呪われたている。私のついてる此の杖が決して再び緑の芽をば吹かない通り。地獄の欲火から救い出される事は決してお前にありようがない。』と。おれはがっかりして打倒れ気も遠くなり、すっかり裏心してしまった。正気づいてみると、寂しい其処に来てるのはただ夜だけだ、-遠くの方から嬉しそうに大慈悲の歌は響いていた、-その芽出たい調べにおれは嘔吐を催した。おれの魂の底まで氷の様に冷かに沁みて行ったその神託めいた嘘っぱちの詠歌におれは悚然として其場を蹴って飛び出した。おれが行くのは愛欲と歓楽と無限におれが嘗て味わった処へだ、そのあたたかい胸へなんだ。(凄い様に内欲的に昂奮して)あなたの傍へ、ヴェーヌスの女神よ、私は帰るのだ、あなたの魔力の慕わしい夜へ。あなたの魅力が永久に今より私に微笑みかけるあなたの家へ。ヴォルフラム タンホイザー九九
一〇〇待て、待て、度し難い我友よ、あわれの友よ。タンホイザーああ、私に無駄に探させて下さるな。嘗ては私どんなに容易に見出したでしょう。聞いて下さい、私を世間の者が呪う所を。さあ、歓楽の女神よ、私を連れて行って下さい。(闇夜。舞台は漸次に軽い霧に包まれる)ヴォルフラム (激しい恐怖に慄えつつ)狂気の友よ、誰を呼ぶのだ?タンホイザーほう、此の軟かな微風を君は感じないのか。ヴォルフラム おれの所に来い。ああ君の運命は窮まつたなあ!タンホイザーあわれの友よ。ほう、又此の甘い香気をば嗅ぎえないのか。(霧は薔薇色の気体となって蒸し蒸しして来る。)あの歓楽の音が聞けないのか。ヴォルフラム おれの胸はぞっとして、どきどき慄える。タンホイザー(魔力が次第に近づき来るままに、あれがニンフの舞踏の群だ。此方へ、此方へ、歓楽に、又愛欲に…ど(入り乱れて踊り来る多くの者の姿形、はやそれと見分けられる)ヴォルフラム ああ浅ましい。罪悪の魔力の領となったのか。放縦無惨な勢で地獄がやって来るのだなあ。タンホイザーこの糢糊とした気を見ると、おれの官能は、いよいよ有頂天になる)おれの官能は、一〇一
一〇二歓喜に満ちて踊り立つ。これが恋の魔力の国なのだ。(己れを忘れて)ヴェーヌス山に我々は入って行くのだ。(薔薇色に明るくなった一団の朦気の中にヴェーヌスが現れる。ヴェーヌス好うてこそ来ました、不実な男。あなたを世間は放逐したの?とそして何処でもあなたは慈悲にはぶつからなかった?恋を探して私の胸に戾りましたの?タンホイザーああ、慈悲深いヴェーヌスの女神のあなた!あなたの傍へ、あなたへと私は引きつけられて来る。ヴォルフラム いつもの床の上に憩うている「〓自由にとはヴェーヌスの魔力を離れて自由にの意。」地獄の魔力、避けろ、避けろ。〓い男の官能を誘惑するな。ヴェーヌスあなたが又も私の許へ来るのなら、あなたの倨傲は許してやるわ。永久あなたへ歓びの泉よ流れよ、そしてあなたは決して私と離れる事はならないわ。タンホイザー(強く意を決して身を荒らかにヴォルフラム より振り放しながら)おれの祝福は失われたのだ、失われたのだ、今は選ぶは地獄の快楽。ヴォルフラム 全能の神よ、此男の良心にお力添えをして下さい。(更にタンホイザーを引止める)ハインリッヒ、一言聞き給え、それで自由になる君なのだ。全能の神よ、ハインリッヒ、タンホイザー一言聞き給え、一〇ヨ
一い四君の祝福はヴェーヌス(萠す心配を覚えつつ)おお、来らっしゃいな。タンホイザー(ヴォルフラム に)放して呉れ、行き給え。ヴェーヌスいおお、来らっしゃい。永久あなたは私のものだわ。ヴォルフラム まだ祝福は罪悪の君にも得られる筈だ(タンホイザーとヴォルフラム の二人は激しく争う)ヴェーヌスおお、来らっしゃい。タンホイザー決してそうでない、ヴォルフラム 、決してないのだ。おお、決してないのだ。おれは彼方へ行かねばならなヴォルフラム 地上の天使が君のため願ったでないか、はや君が上を天翔りつつ君の福祉を祈つて居るのだ、-ヴェーヌス来らっしゃい、おお来らっしゃい、私の傍へ、タンホイザー私の傍へ、私の許へ。放して呉れ。ヴォルフラム エリーザベトの姫君は!タンホイザー(身を捩ぎ放した所であったが、して)エリーザベトの-。その中を明るい松明の火が照して来る)急に其場に根が生えた様に佇立(霧は次第に暗くなる、一〇五
一〇六男の群の合唱(舞台の後ろで)信心深い殉〓の処女の身より今出て行った魂に宿れ祝福。ヴォルフラム (肅とした感激の態)君の天使は君が為め神の玉座で祈るのだ、それは聞かれる、-ハインリッヒ、君は救済されるのだ。ヴェーヌス(もはや見えずなって)ああ、悲しいわ、私は失くしてしまったのか。(彼女は沈み行く。霧は晴れる。夜の明け方。-ワルトブルクの方から松明をかざした葬列の一行、谷の下の方へやって来る)男の群の合唱(舞台の後ろで)天使の処女は酬いられ、天の歓喜を恵まれた。ヴォルフラム (タンホイザーを軟かに抱く様にして支へ) (タンホイザーを軟かに抱く様にして支へ)聞いてるか、君はあの歌を?タンホイザー聞いている。(ここで葬列は舞台の谷の中に入って来る。年老いし巡礼の群が先きになり、-歌人の群は棺の直ぐ前後に従う、彼等に昇がれて開け放してあるその棺の中にはエリーザベトの死骸が入っている。領主、騎士、貴人一同、棺の後より従う)男の群の合唱神聖な群と諸共に今は永遠の者の前に立っている純潔な彼女よ、尊いかな。(ここでヴォルフラム は歌人達に合図する、折からタンホイザーをそれと見て知った歌人等は、それによって棺を其処に据える)その罪人よ、祝福を受けよ、天上の幸福を、それを願ってあの姫は泣いて祈つて居られたのだ。タンホイザー(棺の傍ヘヴォルフラム に連れ行かれ、エリーザベトの死骸に被い折からタンホイザーをそれと見て知った歌人等は、そエリーザベトの死骸に被い一〇七
一〇八かかる様に身を屈め、次第に倒れ伏す)エリーザベトの我が聖者、願って下さい、私の為め。(死ぬる。-一同は松明を地に落し、そして消す。朝の光に舞台はすっかり明るくなる)年若い巡礼の群の合唱(前方の山の突出部に沿うて歩む、その隊の中程に牧師の杖の新たに緑の芽を吹いたのを捧げて来る)大なるかな御慈悲の奇蹟の福祉。救いは降りぬ、人の世に。尊き夜に大神は奇蹟を現じ、告げ給いけり、み心を。緑滴る芽を吹かせ、飾り給いぬ、枯れはてし牧師が持ちし杖をこそ。冥府の業火に苦しめる罪ある者も、かくて新たに救われよとの御心この奇蹟にて御恵みを受けたる彼に枯れはてし告げよ、その由、ありとある国原越えて。此の全世界の上に高く、神は臨みてましませり、いかで嘲り戯れと誰か言うべき、大慈悲を。讃えまつらん、御功徳。讃うべきかな、御功徳。ー同(感動の極の態度)。罪ある彼に大慈悲の福社は授けられにけり、かくて行くなり、彼ははや天の平和の食国へ。(おわり)一〇九

DRITTER AUFZUG

ERSTE SZENE
Tal vor der Wartburg, links der Hörselberg, - wie am Schlusse der ersten Aufzugs, nur in herbstlicher Färbung. Der Tag neigt neigt sich zum Abend. Auf dem kleinen Bergvorsprunge rechts, vor dem Marienbilde, liegt Elisabeth in brünstigem Gebete dahingestreckt. Wolfram kommt links von der waldigen Höhe herab. Auf halber Höhe hält er an, als er Elisabeth gewahrt

WOLFRAM
Wohl wusst' ich hier sie im Gebet zu finden,
wie ich so oft sie treffe, wenn ich einsam
aus wald'ger Höh' mich in das Tal verirre. -
Den Tod, den er ihr gab, im Herzen,
dahingestreckt in brünst'gen Schmerzen,
fleht für sein Heil sie Tag und Nacht: -
o heil'ger Liebe ew'ge Macht! -
Von Rom zurück erwartet sie die Pilger, -
schon fällt das Laub, die Heimkehr steht bevor: -
kehrt er mit den Begnadigten zurück?
Dies ist ihr Fragen, dies ihr Flehen, -
ihr Heil'gen, lasst erfüllt es sehen!
Bleibt auch die Wunde ungeheilt, -
o, würd' ihr Lindrung nur erteilt!

Als er weiter hinabsteigen will, vernimmt er aus der Ferne den Gesang der älteren Pilger sich nähern; er hält abermals an

ELISABETH
erhebt sich, dem Gesange lauschend
Dies ist ihr Sang, - sie sind's, sie kehren heim!
Ihr Heil'gen, zeigt mir jetzt mein Amt,
dass ich mit Würde es erfülle!

WOLFRAM
während der Gesang sich langsam nähert
Die Pilger sind's, - es ist die fromme Weise,
die der empfangnen Gnade Heil verkündet. -
O Himmel, stärke jetzt ihr Herz
für die Entscheidung ihres Lebens!

GESANG DER ÄLTEREN PILGER
mit welchem diese anfangs aus der Ferne sich nähern, dann von dem Vordergrunde rechts her die Bühne erreichen, und das Tal entlang der Wartburg zu ziehen, bis sie hinter dem Bergvorsprunge im Hintergrunde verschwinden
Beglückt darf nun dich, o Heimat, ich schauen,
und grüssen froh deine lieblichen Auen;
nun lass' ich ruhn den Wanderstab,
weil Gott getreu ich gepilgert hab'.
Durch Sühn' und Buss' hab' ich versöhnt
den Herren, dem mein Herze frönt,
der meine Reu' mit Segen krönt,
den Herren, dem mein Lied ertönt.
Der Gnade Heil ist dem Büsser beschieden,
er geht einst ein in der Seligen Frieden!
Vor Höll' und Tod ist ihm nicht bang,
drum preis' ich Gott mein Lebelang.
Halleluja in Ewigkeit!
Halleluja in Ewigkeit!

Elisabeth hat von ihrem erhöhten Standpunkte herab mit grosser Aufregung unter dem Zuge der Pilger nach Tannhäuser geforscht. - Der Gesang verhallt allmählich; - die Sonne geht unter

ELISABETH
in schmerzlicher, aber ruhiger Fassung
Er kehret nicht zurück!
Sie senkt sich mit grosser Feierlichkeit auf die Knie
Allmächt'ge Jungfrau, hör mein Flehen!
Zu dir, Gepriesne, rufe ich!
Lass mich im Staub vor dir vergehen,
o, nimm von dieser Erde mich!
Mach, dass ich rein und engelgleich
eingehe in dein selig Reich! -
Wenn je, in tör'gem Wahn befangen,
mein Herz sich abgewandt von dir -
wenn je ein sündiges Verlangen,
ein weltlich Sehnen keimt' in mir -
so rang ich unter tausend Schmerzen,
dass ich es töt' in meinem Herzen!
Doch, konnt'ich jeden Fehl nicht büssen,
so nimm dich gnädig meiner an,
dass ich mit demutsvollem Grüssen
als würd'ge Magd dir nahen kann:
um deiner Gnaden reichste Huld
nur anzuflehn für seine Schuld! -

Sie verbleibt eine Zeitlang mit verklärtem Gesicht gen Himmel gewendet; als sie sich dann langsam erhebt, erblickt sie Wolfram, welcher sich genähert und sie mit inniger Rührung beobachtet hat. - Als er sie anreden zu wollen scheint, macht sie ihm eine Gebärde, dass er nicht sprechen möge

WOLFRAM
Elisabeth, dürft' ich dich nicht geleiten?

Elisabeth drückt ihm abermals durch Gebärden aus, - sie danke ihm und seiner treuen Liebe aus vollem Herzen; ihr Weg führe sie aber gen Himmel, wo sie ein hohes Amt zu verrichten habe; er solle sie daher ungeleitet gehen lassen, ihr auch nicht folgen. - Sie geht langsam auf dem Bergwege, auf welchem sie noch lange in der Entfernung gesehen wird, der Wartburg zu


ZWEITE SZENE

WOLFRAM
ist zurückgeblieben; er hat Elisabeth lange nachgesehen, setzt sich links am Fusse des Talhügels nieder, ergreift die Harfe, und beginnt nach einem Vorspiele

Wie Todesahnung Dämmrung deckt die Lande,
umhüllt das Tal mit schwärzlichem Gewande;
der Seele, die nach jenen Höhn verlangt,
vor ihrem Flug durch Nacht und Grausen bangt: -
da scheinest du, o lieblichster der Sterne,
dein sanftes Licht entsendest du der Ferne;
die nächt'ge Dämmrung teilt dein lieber Strahl,
und freundlich zeigst den Weg du aus dem Tal. -

O du, mein holder Abendstern,
wohl grüsst' ich immer dich so gern:
vom Herzen, das sie nie verriet,
grüss sie, wenn sie vorbei dir zieht,
wenn sie entschwebt dem Tal der Erden,
ein sel'ger Engel dort zu werden!


DRITTE SZENE
Es ist Nacht geworden. - Tannhäuser tritt auf. Er trägt zerrissene Pilgerkleidung, sein Antlizt ist bleich und entstellt; er wankt matten Schrittes an seinem Stabe

TANNHÄUSER
Ich hörte Harfenschlag - wie klang er traurig!
Der kam wohl nicht von ihr. -

WOLFRAM
Wer bist du, Pilger, der du so einsam wanderst?

TANNHÄUSER
Wer ich bin?
Kenn' ich doch dich recht gut; - Wolfram bist du,
der wohlgeübte Sänger.

WOLFRAM
Heinrich! Du?
Was bringt dich her in diese Nähe? Sprich!
Wagst du es, unentsündigt wohl den Fuss
nach dieser Gegend herzulenken?

TANNHÄUSER
Sei ausser Sorg', mein guter Sänger! -
Nicht such' ich dich noch deiner Sippschaft einen.
Doch such' ich wen, der mir den Weg wohl zeige,
den Weg, den einst so wunderleicht ich fand --

WOLFRAM
Und welchen Weg?

TANNHÄUSER
mit unheimlicher Lüsternheit
Den Weg zum Venusberg!

WOLFRAM
Entsetzlicher! Entweihe nicht mein Ohr!
Treibt es dich dahin?

TANNHÄUSER
Kennst du wohl den Weg?

WOLFRAM
Wahnsinn'ger! Grauen fasst mich, hör' ich dich!
Wo warst du? Sag, zogst du denn nicht nach Rom?

TANNHÄUSER
wütend
Schweig mir von Rom!

WOLFRAM
Warst nicht beim heil'gen Feste?

TANNHÄUSER
Schweig mir von ihm!

WOLFRAM
So warst du nicht? - Sag, ich beschwöre dich!

TANNHÄUSER
nach einer Pause, wie sich besinnend, mit schmerzlichem Ingrimm
Wohl war auch ich in Rom. -

WOLFRAM
So sprich! Erzähle mir, Unglücklicher!
Mich fasst ein tiefes Mitleid für dich an.

TANNHÄUSER
nachdem er Wolfram lange mit gerührter Verwunderung betrachtet hat
Wie sagst du, Wolfram? Bist du nicht mein Feind?

WOLFRAM
Nie war ich es, so lang' ich fromm dich wähnte! -
Doch sprich! Du pilgertest nach Rom?

TANNHÄUSER
Wohl denn!
Hör an! Du,Wolfram, du sollst es erfahren.
Er lässt sich erschöpft am Fusse des vorderen Bergvorsprunges nieder. Wolfram will sich an seiner Seite niedersetzen
Bleib fern von mir! Die Stätte, wo ich raste,
ist verflucht. - Hör an, Wolfram, hör an!
Wolfram bleibt in geringer Entfernung vor Tannhäuser stehen
Inbrunst im Herzen, wie kein Büsser noch
sie je gefühlt, sucht' ich den Weg nach Rom.
Ein Engel hatte, ach! der Sünde Stolz
dem Übermütigen entwunden: -
für ihn wollt' ich in Demut büssen,
das Heil erflehn, das mir verneint,
um ihm die Träne zu versüssen,
die er mir Sünder einst geweint! -
Wie neben mir der schwerstbedrückte Pilger
die Strasse wallt', erschien mir allzuleicht: -
betrat sein Fuss den weichen Grund der Wiesen,
der nackten Sohle sucht' ich Dorn und Stein;
liess Labung er am Quell den Mund geniessen,
sog ich der Sonne heisses Glühen ein; -
wenn fromm zum Himmel er Gebete schickte,
vergoss mein Blut ich zu des Höchsten Preis; -
als das Hospiz die Wanderer erquickte,
die Glieder bettet' ich in Schnee und Eis: -
verschlossnen Aug's, ihr Wunder nicht zu schauen,
durchzog ich blind Italiens holde Auen: -
ich tat's, - denn in Zerknirschung wollt' ich büssen,
um meines Engels Tränen zu versüssen! - -
Nach Rom gelangt' ich so zur heil'gen Stelle,
lag betend auf des Heiligtumes Schwelle; -
der Tag brach an: - da läuteten die Glocken,
hernieder tönten himmlische Gesänge;
da jauchzt' es auf in brünstigem Frohlocken,
denn Gnad' und Heil verhiessen sie der Menge.
Da sah ich ihn, durch den sich Gott verkündigt,
vor ihm all Volk im Staub sich niederliess;
und Tausenden er Gnade gab, entsündigt
er Tausende sich froh erheben hiess. -
Da naht' auch ich; das Haupt gebeugt zur Erde,
klagt' ich mich an mit jammernder Gebärde
der bösen Lust, die meine Sinn' empfanden,
des Sehnens, das kein Büssen noch gekühlt;
und um Erlösung aus den heissen Banden
rief ich ihn an, von wildem Schmerz durchwühlt. -
Und er, den so ich bat, hub an: -
«Hast du so böse Lust geteilt,
dich an der Hölle Glut entflammt,
hast du im Venusberg geweilt:
so bist nun ewig du verdammt!
Wie dieser Stab in meiner Hand
nie mehr sich schmückt mit frischem Grün,
kann aus der Hölle heissem Brand
Erlösung nimmer dir erblühn!» - -
Da sank ich in Vernichtung dumpf darnieder,
die Sinne schwanden mir. - Als ich erwacht,
auf ödem Platze lagerte die Nacht, -
von fern her tönten frohe Gnadenlieder. -
Da ekelte mich der holde Sang, -
von der Verheissung lügnerischem Klang,
der eiseskalt mir durch die Seele schnitt,
trieb Grausen mich hinweg mit wildem Schritt. -
Dahin zog's mich, wo ich der Wonn' und Lust
so viel genoss an ihrer warmen Brust! -
Zu dir, Frau Venus, kehr' ich wieder,
in deiner Zauber holde Nacht;
zu deinem Hof steig' ich darnieder,
wo nun dein Reiz mir ewig lacht!

WOLFRAM
Halt ein! Halt ein, Unseliger!

TANNHÄUSER
Ach, lass mich nicht vergebens suchen, -
wie leicht fand ich doch einstens dich!
Du hörst, dass mir die Menschen fluchen, -
nun, süsse Göttin, leite mich!

WOLFRAM
Wahnsinniger, wen rufst du an?
Leichte Nebel hüllen allmählich die Szene ein.

TANNHÄUSER
Ha! fühlest du nicht milde Lüfte?

WOLFRAM
Zu mir! Es ist um dich getan!

TANNHÄUSER
Und atmest du nicht holde Düfte?
Hörst du nicht die jubelnde Klänge?

WOLFRAM
In wildem Schauer bebt die Brust!

TANNHÄUSER
Das ist der Nymphen tanzende Menge! -
Herbei, herbei zu Wonn' und Lust!

Eine rosige Dämmerung beginnt die Nebel zu durchleuchten; durch sie gewahrt man wirre Bewegungen tanzender Nymphen

WOLFRAM
Weh, böser Zauber tut sich auf!
Die Hölle naht in wildem Lauf.

TANNHÄUSER
Entzücken dringt durch meine Sinne,
gewahr' ich diesen Dämmerschein;
dies ist das Zauberreich der Minne,
im Venusberg drangen wir ein!

In heller, rosiger Beleuchtung wird Venus, auf einem Lager ruhend, sichtbar

VENUS
Willkommen, ungetreuer Mann!
Schlug dich die Welt mit Acht und Bann?
Und findest nirgends du Erbarmen,
suchst Liebe nun in meinen Armen?

TANNHÄUSER
Frau Venus, o, Erbarmungsreiche
Zu dir, zu dir zieht es mich hin!

WOLFRAM
Du Höllenzauber, weiche, weiche!
Berücke nicht des Reinen Sinn!

VENUS
Nahst du dich wieder meiner Schwelle,
sei dir dein Übermut verziehn;
ewig fliesst dir der Freuden Quelle,
und nimmer sollst du von mir fliehn!

TANNHÄUSER
Mein Heil, mein Heil hab'ich verloren,
nun sei der Hölle Lust erkoren!

WOLFRAM
ihn heftig zurückhaltend
Allmächt'ger, steh dem Frommen bei!
Heinrich, - ein Wort, es macht dich frei -:
dein Heil -!

VENUS
Zu mir!

TANNHÄUSER
zu Wolfram
Lass ab von mir!

VENUS
O komm! Auf ewig sei nun mein!

WOLFRAM
Noch soll das Heil dir Sünder werden!

TANNHÄUSER
Nie, Wolfram, nie! Ich muss dahin!

WOLFRAM
Ein Engel bat für dich auf Erden -
bald schwebt er segnend über dir:
Elisabeth!

TANNHÄUSER
der sich soeben von Wolfram losgerissen, bleibt, wie von einem heftigen Schlage gelähmt, an die Stelle geheftet
Elisabeth!

MÄNNERGESANG
aus dem Hintergrunde
Der Seele Heil, die nun entflohn
dem Leib der frommen Dulderin!

WOLFRAM
nach dem ersten Eintritt des Gesanges
Dein Engel fleht für dich an Gottes Thron, -
er wird erhört! Heinrich, du bist erlöst!

VENUS
Weh! Mir verloren!

Sie verschwindet, und mit ihr die ganze zauberische Erscheinung. Das Tal, vom Morgenrot erleuchtet, wird wieder sichtbar; von der Wartburg her geleitet ein Trauerzug einen offenen Sarg

MÄNNERGESANG
Ihr ward der Engel sel'ger Lohn,
himmlischer Freuden Hochgewinn.

WOLFRAM
Tannhäuser in den Armen sanft umschlossen haltend
Und hörst du diesen Gesang?

TANNHÄUSER
Ich höre!

Von hier an betritt der Trauerzug die Tiefe des Tales, die älteren Pilger voran; den offenen Sarg mit der Leiche Elisabeths tragen Edle, der Landgraf und die Sänger geleiten ihn zur Seite, Grafen und Edle folgen

MÄNNERGESANG
Heilig die Reine, die nun vereint
göttlicher Schar vor dem Ewigen steht!
Selig der Sünder, dem sie geweint,
dem sie des Himmels Heil erfleht!

Auf Wolframs Bedeuten ist der Sarg in der Mitte der Bühne niedergesetzt worden. Wolfram geleitet Tannhäuser zu der Leiche, an welcher dieser niedersinkt

TANNHÄUSER
Heilige Elisabeth, bitte für mich!
Er stirbt

DIE JÜNGEREN PILGER
auf dem vorderen Bergvorsprung einherziehend
Heil! Heil! Der Gnade Wunder Heil!
Erlösung ward der Welt zuteil!
Es tat in nächtlich heil'ger Stund'
der Herr sich durch ein Wunder kund:
den dürren Stab in Priesters Hand
hat er geschmückt mit frischem Grün:
dem Sünder in der Hölle Brand
soll so Erlösung neu erblühn!
Ruft ihm es zu durch alle Land',
der durch dies Wunder Gnade fand!
Hoch über aller Welt ist Gott,
und sein Erbarmen ist kein Spott!
Halleluja! Halleluja!
Halleluja!

ALLE
in höchster Ergriffenheit
Der Gnade Heil ist dem Büsser beschieden,
er geht nun ein in der Seligen Frieden!

Der Vorhang fällt
最終更新:2025年08月09日 05:53