目次
登場人物
- アントニオット・アドルノ公爵(高いバス):ジェノヴァの有力者
- アンドラーエ・ヴィテロッツォ・タマーレ伯爵(バリトン):若い貴族で色男
- ロドヴィーコ・ナルディ(バス):ジェノヴァの市長
- カルロッタ・ナルディ(ソプラノ):その娘、画家
- アルヴィアーノ・サルヴァーゴ(テノール):ジェノヴァの貴族
- グイドバルド・ウーゾディマーレ(テノール):ジェノヴァの貴族
- メナルド・ネグローニ(テノール):ジェノヴァの貴族
- ミケロット・チーボ(バリトン):ジェノヴァの貴族
- ゴンザルヴォ・フィエスキ(バリトン):ジェノヴァの貴族
- ユリアン・ピネッリ(バス):ジェノヴァの貴族
- パオロ・カルヴィ(バス):ジェノヴァの貴族
- 司法警察の隊長(バス)
- ジネーブラ・スコッティ(ソプラノ):誘拐された娘
- マルトゥッチア(アルト):サルヴァーゴ家の女中
- ピエトロ(テノール):刺客
- 若者(テノール)
- 若い娘(ソプラノ)
- 参事会員1(テノール)
- 参事会員2(バリトン)
- 参事会員3(バス)
第1幕 アルヴィアーノの館
- 若い貴族アルヴィアーノの館に、貴族のグイドバルド、メナルド、ミケロット、ゴンザルヴォ、ユリアン、パオロが集まっている。
- アルヴィアーノは背が曲がった醜い男で、現実を逃避して、エリジウムという島に理想の美を求めて、仲間たちと理想郷を創り出す。だが、仲間の貴族たちは、美の空間だけでは物足りず、町の美しい娘たちを攫っては、島に作った洞窟で享楽的な日々を送っており、町では少女誘拐に市民が怯えていた。アルヴィアーノはそんなこととは露知らず、自分が創った理想郷のエリジウムを、ジェノヴァの市民にも開放して楽しんでもらいたいと、市に寄贈を申し出たのである。
- 舞台はここから始まる。仲間の貴族たちは、自分たちの悪事がばれるのを恐れて、アルヴィアーノに寄贈を思いとどまらせようとする。が、アルヴィアーノは公証人を呼んで、寄贈の手続きを進めている。
- 遅れてやって来た、色男のタマーレは町で見かけた美女に夢中で、仲間の訴えに耳を貸さない。
- そこに市長が娘のカルロッタを伴い、アルヴィアーノを訪ねてやって来る。市長がアルヴィアーノに感謝の意を表する傍ら、タマーレは町で見かけた美女が目の前にいるのを見て早速口説きにかかるが、カルロッタは意に介さない。
- その場を去ろうとするタマーレに、仲間の貴族は、アドルノ公爵にとりなしを頼んでくれと頼む。アドルノ公爵はかつて町を救ったことで、市民から絶大な人気と権力があり、市長といえどもアドルノ公爵の了解がないと実行に移せない。だからアドルノ公爵と親しいタマーレを通じて、アルヴィアーノのエリジウムの寄贈に関し、アドルノ公爵に待ったをかけて貰おうというのである。
- 食事の用意が整い、皆、広間に移る。途中でカルロッタとアルヴィアーノは広間を抜け出し、カルロッタは、自分は画家でアルヴィアーノを描きたいと持ち掛ける。アルヴィアーノは、カルロッタが自分をからかっているのかと戸惑いながらも、カルロッタが前々から自分を見ていたことを知って、彼女の申し出に応じることにする。
- その間に、アルヴィアーノの館の女中のマルトゥッチアをピエトロが訪ねて来て、誘拐してきたジネーブラを預かってほしいと言って、去って行った。
第2幕 アドルノ公爵の館
- エリジウムの寄贈に関し、アドルノ公爵の了解を得ようと市の参事会員がやって来るが、市民にも貴族にもいい顔をしようとするアドルノ公爵から、よい返事は得られない。
- タマーレはアドルノ公爵に、市長の娘カルロッタとのとりなしを願い出る。アドルノ公爵は力になろうと言い、「だが、それでもダメな場合はあきらめなさい」と釘をさすが、タマーレは「恋人がダメなら愛人にする」と強気に出るので、アドルノ公爵は、タマーレが昨今の少女誘拐と関係あるのではと疑い始める。そこでタマーレはエリジウムのことを打ち明け、アドルノ公爵は当面、寄贈を阻止すると約束する。
- 場面変わって、カルロッタのアトリエ。カルロッタはアルヴィアーノを描きながら、手ばかり描く、心臓の弱い女性画家の話をする。そして自分がアルヴィアーノに惹かれていることを告白する。
- カルロッタがよろめいた時に絵に掛かっていた布が外れ、手が描かれた絵が見える。手ばかり描く、心臓の弱い画家とはカルロッタ自身のことだとアルヴィアーノは分かり、彼女を抱きしめようとする。しかし臆病なアルヴィアーノの抱擁は控え目で、彼女の額にキスするだけだった。
第3幕 エリジウム島
- 地上の楽園エリジウムが市民に開放され、市民はこぞって島にやって来る。島は、ギリシャ神話の登場人物たちの彫刻で飾られ、噴水が出ている。牧神やニンフに扮した姿も見える中を、市民は感嘆の声をあげながら、歩いている。
- マルトッゥチアは、ジネーブラ誘拐の事実を知り、主人のアルヴィアーノに注意を促そうと探しに来て、その最中にピエトロに捕まってしまう。
- アルヴィアーノは、カルロッタを探し回っている。
- カルロッタはアドルノ公爵と話をしていたが、アルヴィアーノの絵を描き上げるや否や、彼への情熱が冷めてしまったことに当惑し、熱に浮かされたように、夏の夜に島を彷徨っている。
- 仮面の行列が始まり、カルロッタは仮面を被ったタマーレに誘われて、ついて行く。
- 司法警察の隊長が現われ、アルヴィアーノを少女誘拐の犯人として逮捕すると告げると、市民はアルヴィアーノを庇って立ちはだかる。
- 逃げ出したジネーブラは、自分を誘拐したピエトロのことをメナルドだと思っていて、メナルドが犯人だと言うと、ジネーブラに恋い焦がれているユリアンは、怒ってメナルドと決闘する。
- アルヴィアーノはだんだん気がへんになってきて、市長や市民を引き連れて、秘密の洞窟に向かう。そこではカルロッタが気を失って、死んだように寝ている。そこにタマーレがいて、彼女が自分を求めたから応じたのだと、アルヴィアーノの弱さを揶揄すると、アルヴィアーノはナイフでタマーレを刺し殺す。
最終更新:2017年08月10日 22:13