第2幕

第1場
(ドイツルネッサンス様式の壮麗な広間。重厚な天井は、浮き彫りが施された樫の木で造られている。壁は、半分ほどの高さまで木彫りの彫刻群で埋め尽くされ、上のほうでは、左右から、色あせたゴブラン織りの絨毯がぶらさがっている。舞台背後の上方には回廊があって、それが広間を仕切る形になっている。この回廊にはカーテンがかけられているが、この場の最初は、まだ半分開いたままである。豪壮な大階段が、舞台高の半分ぐらいの所にある回廊までつながっている。回廊の下の舞台中央には、らせん模様の柱と破風の付いた入口扉がある。舞台右側の壁には、丈の高い大きな暖炉。さらにずっと前方には、バルコニーにつながる窓があるが、分厚い生地のカーテンがつけられている。舞台左側の階段手前にもジェノヴァビロードのカーテンがあり、それも閉じられている。暖炉の前には、遮熱板として、中国風の屏風が置いてある。むき出しの階段手すりを支える支柱の前には、飾り付きのイーゼルが置かれてあり、その上にはピエロ姿のルルの絵が、古くさい金色の額縁の中におさまっている。舞台左手前方には、幅の広い寝椅子が置いてあり、その右手前にはソファーが置いてある。広間の中央部には、四角いテーブルが、やはり重厚なテーブルクロスに覆われており、その周りには、高い背もたれとクッションの付いた椅子が3つ置かれている。テーブルの上には、白いブーケが置いてある)

LULU
(バスローブにくるまれて、ソファーに腰掛けている)

DR. SCHÖN
(舞台左手前方に立ちながら)

GRÄFIN GESCHWITZ<ゲシュヴィッツ伯爵令嬢
(寝椅子に腰掛けている。襟を高く立て、とても男っぽい身なりをしている。顔はヴェールで覆っており、両手をマフの中で、もじもじさせている。ルルに向かって)
私達の催す「女流アーティストのパーティー」にあなたをお迎えできたら、どんなにうれしいかしら・・・

DR. SCHÖN
我々もこっそり忍びこむというわけには、いかないんですかね?

GRÄFIN GESCHWITZ
誰か一人でもそんな悪巧みに加担したとあれば、仲間を手ひどく裏切ることになりますわ。

DR. SCHÖN
(寝椅子の後ろから、中央のテーブルに歩み寄る)
とても綺麗な花だね!

LULU
ゲシュヴィッツ令嬢がくださったのよ。

GRÄFIN GESCHWITZ
どうぞ受け取って。
(戸惑いのあまり間を置いて)
やっぱり男の人の服を着てくれない?

LULU
あたしがそんな服を着ると思うの?

GRÄFIN GESCHWITZ
(ルルの絵を指して)
この絵のあなたったら、まるでおとぎ話に出てくるようだわ・・・

LULU
主人は、気に入ってくれないのよ。

GRÄFIN GESCHWITZ
これを描いたのは、当地の人なの?

LULU
もう会うことはないでしょうね。

GRÄFIN GESCHWITZ
生きてないの?

DR SCHÖN
(声を押し殺して)
十分生きたさ。

LULU
気を悪くしたかしら。

GRÄFIN GESCHWITZ
(気まずい雰囲気を察して立ち上がる)
行かねばなりません。博士夫人どの。

DR. SCHÖN
(やっとのことで自制して)

GRÄFIN GESCHWITZ
パーティーについては、まだまだ伝えたいことがあるんです。
(遠くからシェーンにあいさつする)
それでは・・・博士どの。
(ルルに連れられて退場)

DR. SCHÖN
(一人で辺りを見渡して)
こいつが俺の晩年だとは。家に蔓延するペスト。30年間仕事して・・・こんな家族付き合いなんて。これが俺の交際範囲なんて・・・
(突然びっくりして、辺りを見回す)
わからんぞ!またぞろ、どいつが聴き耳立ててるか!
(リボルバー式拳銃を抜いて)
明日の命もわからない。
(撃鉄を起こした拳銃を右手に持ちながら
舞台右手に歩いて行き、バルコニーへの窓を
覆っているカーテンに向けて話しかける)
こいつが俺の家族付き合い!
勇気があるな、この野郎!
(カーテンをつかむと横に引き開けるが、そこには誰もいない)
狂気が俺の理性を踏みにじりやがった。
くそったれ・・・くそったれ・・・
(ルルの近付く音が聞こえたので、拳銃をしまう)

LULU
(部屋に入って来て、シェーンと二人で舞台前方にやってくる)
今日の午後は休めないの?

DR. SCHÖN
あの伯爵令嬢は一体何だってんだ?

LULU
わからない・・・あたしの絵を描きたいんですって。・・・ねえ、あたし、あんたと車で出かけたいなあ。

DR. SCHÖN
今日は取引所に行く日だ。知ってるだろ。

LULU
ご機嫌が悪いのね。
(シェーンの首に抱きついて)
もう何か月も、あたしに何もプレゼントしてくれないわね。

DR. SCHÖN
お前の陽気さが、俺の晩年を明るくしてくれるはずだった。
(ルルの髪の毛をなでさする)

LULU
あなたは、私と結婚なんてしてないわよ。

DR. SCHÖN
じゃあ、俺は誰と結婚したと言うんだ?

LULU
あたしよ・・・あたしがあんたと結婚したんです。

DR. SCHÖN
どう違うと言うんだ?

LULU
いっぱい違うと思うけど・・・でも、ありがたいことに、一つのことだけは違わない!

DR. SCHÖN
何だ、それは?

LULU
あんたがあたしを愛してるってことよ。

DR. SCHÖN
(顔をピクッと引きつらせ、先に行くようルルに身振りで伝えると、物腰柔らかに舞台左手の寝室へ行くよう彼女を急きたてる。二人とも退場)

(舞台は空っぽになる)

GRÄFIN GESCHWITZ
(恐る恐る中央の扉を開けると、思い切って前方に進み、聞き耳を立てる。いったんびくっとするが、あらためて聴き耳を立てると、最後には、暖炉の遮熱板の陰に隠れる)

(舞台は再び空っぽになる)

SCHIGOLCH<シゴルヒ
(開いたカーテンの陰から出て来て、手すりにつかまりながら階段を下りて来る。ずっと息苦しそうに)
ありがてえ。やっと帰ってこれたぜ。
(足を滑らせそうになって)
何だ、この床板は!ここに暗礁とは!いったい何の罠だ!
(立ち止まって、呼吸を整える)

RODRIGO<ロドリーゴ
(学生を腕に抱え、階段をドシンドシン踏み鳴らしながら下りて来る)
このガキは、広い世間に出るにゃちっちゃ過ぎだ。自分の足じゃ、ろくに歩けもしねえ!

DER GYMNASIAST (Hosenrolle)<中学生(役は男だが役者は女)
(体操家ロドリーゴの手から脱け出そうともがいて)
ぼくは生死を賭けているんだ。
君らは今に思い知ることになるぞ。

RODRIGO
この坊っちゃんは、恋の悩みをひっくるめても、40キロもありゃしねえ。

DER GYMNASIAST
(両足をバタバタさせて)
学校を退学になっちゃうよ!

RODRIGO
まだ本当の学校なぞ知らんくせに。
(学生を床に下ろす)

SCHIGOLCH
(その間、繰り返し、深く息をつきながらも、やっと階段を下り終わって)
ここじゃあ、大勢が初手柄を立ててるからな。恥ずかしがるこたあねえぜ。

(続く対話の間、小箱からリキュールの瓶を2本取り出すと、グラスと一緒にテーブル上に置く)

DER GYMNASIAST
分からない・・・あの人に何て言ったらいいんだろう!

RODRIGO
(下品に笑いながら)
そんなこたあ、あの女の方が良く知ってるぜ。

SCHIGOLCH
(テーブルの上に両手をついて)
殿下、おタバコはどうです?

DER GYMNASIAST
(自分のシガレットケースを開いて)
ハバナ葉巻があるよ!

RODRIGO
(自分で葉巻を取りながら)
パパの警察署長から、くすねてきたな!

SCHIGOLCH
(しんどそうに腰掛けながら)
俺の家には、何でもそろっているぜ。さあ、ご注文を!

DER GYMNASIAST
昨日、詩を作ったんですよ・・・

RODRIGO
あの女に何を作ったって?

DER GYMNASIAST
詩です!

RODRIGO
詩だあ?

SCHIGOLCH
このガキ、あいつに引き合わせて二人っきりにしてくれたら、俺に2万円くれるってんだよ!

DER GYMNASIAST
一体ここに住んでいるのは誰なんです?

SCHIGOLCH
俺たちだよ。

RODRIGO
「固定日」にはな。つまり証券取引日は全部だ!

DER GYMNASIAST
まず詩の朗読から始めるべきかな?

SCHIGOLCH
(ロドリーゴに向かって)
何を言ってんだ?このガキは?

RODRIGO
自作の詩だとよ。まず、あの女を拷問にかける所から始めたいらしい。

SCHIGOLCH
(学生をまじまじと見る)
目が大事なのさ・・・目が!

RODRIGO
目だ・・・その通り!この目のせいで、1週間あの女は寝ちゃいない。

SCHIGOLCH
俺たちゃ、もうヘトヘトだ!

DER GYMNASIAST
なぜヘトヘトなの?

RODRIGO
へへっ、俺たちは二人ともヘトヘトさ。
(シゴルヒを小突きながら)
健康を祈念して乾杯!死神じじい!

SCHIGOLCH
乾杯だ!高跳び野郎!

LULU
(舞台左手から、胸元を大きく露わにした優雅な舞踏会用ドレス姿で現れる。胸には花を挿している)
あら、坊やたち。ようこそお越しを!

DER GYMNASIAST
(すでに立ち上がっている)

LULU
(中学生の椅子の肘掛けに座って) あんたも、
ずいぶんと気持ちいい人達の仲間入りをしたものね。

SCHIGOLCH
それ、何の花だい?

LULU
蘭の花よ!
(中学生の上に胸を近寄せて)
匂いをかいでみて!

SCHIGOLCH und RODRIGO
(二人いっしょに)
あの王子を待っているんだろ?

LULU
とんでもないわ!
(体を起こす)

DER GYMNASIAST
王子だって?

SCHIGOLCH und RODRIGO
(二人いっしょに)
それとも、また誰か他にできたのかい?

LULU
王子は旅に出ちゃったわ。
(独り言のようにハミングしながら階段を駆け上がって、回廊に足を踏み入れる)

DER GYMNASIAST
どこの王子だよ?

RODRIGO
そいつは、昔、あいつと結婚したかったのさ。

SCHIGOLCH
俺とて、昔、あいつと結婚したかったんだぜ。

RODRIGO
あんたも、昔、あいつと結婚したかっただと?

SCHIGOLCH
お前は、昔、あいつと結婚する気はなかったのか?

RODRIGO
そうさ、俺も昔、あいつと結婚したかったんだ。

SCHIGOLCH
そもそもいるのか?昔、あいつと結婚したくなかった奴が!

DER GYMNASIAST
(びっくり仰天して)
なんだって!?あんたたちが、昔、あの人と結婚したかったって!?

RODRIGO
(シゴルヒに)
でも、あいつ、あんたの子じゃないかよ?

SCHIGOLCH
あいつは夢にもそんなこと思っとらんよ!

DER GYMNASIAST
(相変わらず仰天したまま)
どういう意味だよ・・・「あんたの子」って?

RODRIGO
あいつの父ちゃんは、何て名なんだ?

SCHIGOLCH
父ちゃんなんて、いやしないのさ!

DER GYMNASIAST
い・な・い・・・

LULU
(つぶやくようにハミングしながら、また回廊から下へと下りて来る)
あたしに何がいないって?

ALLE DREI<三人全員
父さんだよ!

LULU
ふふっ、そりゃそうよ。あたしは、奇蹟の子ですもの・・・。

SCHIGOLCH
(ルルに向かって)
上の鍵は閉めたのかい?

LULU
(鍵を見せて)
これが鍵よ。

SCHIGOLCH
差し込んだままにしときゃいいのに。

LULU
それはなぜ?

SCHIGOLCH
外から開けられないようにするためさ。

RODRIGO
あの男は取引所に行ったんじゃないのかよ?

LULU
でも、それがね。あのひと、被害妄想気味なのよ!

RODRIGO
俺が足に乗せて、ひょいっとやれば、あの男、天井にひっついて離れなくなるぜ!

LULU
何よ?あの人がねずみの穴から覗いただけで退散しちゃうくせに!

RODRIGO
退散する?誰が退散だって?見てくださいよ、俺の力こぶを!


LULU
お見せなさいよ。

RODRIGO
(自分の腕を叩いて)
花崗岩だぜ!鍛えた鉄だ!鉄床(かなどこ)だ!

LULU
(自分とロドリーゴの二の腕を代わりばんこに触りながら)
そんな長い耳さえしていなければねえ・・・

DER KAMMERDIENER<給仕の男
(中央から入って来て)
シェーン博士です。

RODRIGO
(跳び上がって)
あのろくでなしめ。
(部屋を横切って駆けて行き、舞台右手前方のカーテンの陰に隠れる)

SCHIGOLCH
(ルルに)
鍵をくれ!

LULU
(冷静さを失わず、シゴルヒに鍵を渡す)

DER GYMNASIAST
(椅子からそのまま机の下に滑り落ちて、テーブルクロスをその前に引っ張る)

SCHIGOLCH
(ルルから鍵を受け取ると、階段を通って、ゆっくりと出て行き始める)


LULU
(給仕に)
ちゃんと、とりなしてね。

DER GYMNASIAST
(テーブルの下から顔をのぞかせながら)
あのおじさんが長居しなけりゃいいな。
そしたら二人っきりだ・・・

LULU
(中学生をつま先でつっつき、訪問者を待ちながら、きちんとした姿勢に座り直す)

DER GYMNASIAST
(また姿を隠す)

DER KAMMERDIENER
(アルヴァを部屋に入れてから退場)

ALWA
(タキシード姿で)
ぼくが思うに、今日はマチネーなのに、きっと灯りが必要な時間にやることになるな。ぼくはね・・・
(階段を、相変わらず、よっこいしょとばかりに登って行くシゴルヒの姿に気付く)
ありゃ、いったい何だい?

LULU
お父さんの昔のお友達よ。

ALWA
ぼくは全然知らないなあ。

LULU
戦争の時、一緒だったんですって。体の調子が悪いのよ。

ALWA
父さんは、ここにいないの?

LULU
あの友達と一杯やってたのよ!なのに、取引所に行く時間になったの。
(アルヴァがシゴルヒを目で追っているので)
今日のあたし、どうかしら?

SCHIGOLCH
(回廊を通って退場)

ALWA
(ルルに向き直って)
黙っていたほうがいいみたいだ・・・

LULU
聞きたいのは服のことだけよ。

ALWA
君のドレスデザイナーは・・・ぼくが君のことを知っているより、よほど君のことを良く知っているようだね。

LULU
あたし、鏡を見た時、自分が男だったらなあと思ったわ。あたしを奥さんにしている男だったらな・・・って!

ALWA
(おずおずと、しかし嬉しそうにルルを見つめながら)
まるで、君がその男に降り注ぐ幸せゆえに、そいつのことをうらやんでいるみたいじゃないか。

DER KAMMERDIENER
(舞台中央から食事の給仕に現れる。机にテーブルクロスをかけ、食器を2セット置く。さらに、ポメリー・シャンパンの瓶とオードブル)

ALWA
(給仕に)
いったいどうしたんだい?

LULU
何でもないわ!

DER KAMMERDIENER
博士どの・・・?

ALWA
何だか泣き出しそうだね。

LULU
(アルヴァに)
何でも無いってば!!

DER KAMMERDIENER
(歯のすき間から声を絞り出すように)
私だって人の子でございますよ・・・!
(退場)
ZWEITER AKT

ERSTE SZENE
Prachtvoller Saal in deutscher Renaissance mit schwerem Plafond in geschnitztem Eichenholz. - Die Wände bis zur halben Höhe in Holzskulpturen. Darüber an beiden Seiten verblasste Gobelins. Nach hinten oben ist der Saal durch eine Galerie abgeschlossen, die durch einen Vorhang verhängt ist, der aber zu Beginn der Szene halb offen steht. Von dieser Galerie führt links eine monumentale Treppe bis zur halben Tiefe der Bühne herab. In der Mitte unter der Galerie die Eingangstür mit gewundenen Säulen und Frontispiz. An der rechten Seitenwand ein geräumiger hoher Kamin. Weiter vorn ein Balkonfenster mit geschlossenen schweren Gardinen. An der linken Seite vor dem Treppenfusse eine geschlossene Portière in Genueser Samt. Vor dem Kamin steht als Schirm eine chinesische Klappwand. Vor dem Fusspfeiler des freien Treppengeländers, auf einer dekorativen Staffelei, Lulus Bild als Pierrot in antiquisiertem Goldrahmen. Links vorne eine breite Ottomane, rechts davor ein Fauteuil. In der Mitte des Saals ein vierkantiger Tisch mit schwerer Decke, um den drei hochlehnige Polstersessel stehen. Auf dem Tisch steht ein weisses Bukett.

LULU
in einem Morgenkleid, im Fauteuil

DR. SCHÖN
links vorne stehend

GRÄFIN GESCHWITZ
auf der Ottomane, in einem sehr männlich anmutenden Kostüm - hoher Stehkragen etc. - Schleier vor dem Gesicht, die Hände krampfhaft im Muff; zu Lulu
Sie glauben nicht, wie ich mich darauf freue, Sie auf unserm Künstlerinnenball zu sehn.

DR. SCHÖN
Sollte denn für unsereinen gar keine Möglichkeit besteh'n, sich einzuschmuggeln?

GRÄFIN GESCHWITZ
Es wäre Hochverrat, wenn jemand von uns einer solchen Intrigue Vorschub leistete.

DR. SCHÖN
geht hinter der Ottomane durch zum Mitteltisch
Die wundervollen Blumen!

LULU
Die hat mir Fräulein von Geschwitz gebracht.

GRÄFIN GESCHWITZ
O bitte.
Verlegenheitspause
Sie werden sich doch jedenfalls als Herr kostümieren?

LULU
Glauben Sie denn, dass mich das kleidet?

GRÄFIN GESCHWITZ
auf das Bild Lulus deutend
Hier sind Sie wie ein Märchen.

LULU
Mein Mann mag es nicht.

GRÄFIN GESCHWITZ
Ist es von einem Hiesigen?

LULU
Sie werden ihn kaum gekannt haben.

GRÄFIN GESCHWITZ
Er lebt nicht mehr?

DR SCHÖN
dumpf
Er hatte genug.

LULU
Du bist verstimmt.

GRÄFIN GESCHWITZ
die die unbehagliche Stimmung bemerkt, erhebt sich
Ich muss geh'n, Frau Doktor.

DR. SCHÖN
beherrscht sich

GRÄFIN GESCHWITZ
Ich habe noch so viel für unsern Ball zu richten.
Schön aus der Entfernung grüssend
Herr Doktor.
von Lulu geleitet, ab

DR. SCHÖN
allein, sich umsehend
Das mein Lebensabend. Die Pest im Haus. Dreissig Jahre Arbeit - und das mein Familienkreis, der Kreis der Meinen...
schrickt zusammen, sieht sich um
Gott weiss, wer mich jetzt wieder belauscht!
Zieht den Revolver
Man ist ja seines Lebens nicht sicher.
Er geht, den gespannten Revolver in der Rechten haltend, nach rechts und spricht an die geschlossene Fenstergardine hin
Das mein Familienkreis!
Der Kerl hat Mut!
Ergreift den Vorhang, reisst ihn zur Seite; da er niemand findet
Der Irrsinn hat sich meiner Vernunft schon bemächtigt. - Der Schmutz... der Schmutz...
Er steckt, da er Lulu kommen hört, den Revolver ein.

LULU
eintretend und mit Schön nach vorne kommend
Könntest Du Dich für heute Nachmittag nicht freimachen?

DR. SCHÖN
Was wollte diese Gräfin eigentlich?

LULU
Ich weiss nicht... Sie will mich malen. - Ich würde so gerne mit Dir ausfahren.

DR. SCHÖN
Du weisst, dass ich heute auf die Börse muss

LULU
Du bist schlecht gelaunt.
an seinem Hals
Seit Wochen und Monaten hab' ich nichts mehr von Dir.

DR. SCHÖN
Dein Frohsinn sollte meine alten Tage erheitern.
Streichelt ihr Haar

LULU
Du hast mich ja gar nicht geheiratet.

DR. SCHÖN
Wen hätte ich denn sonst geheiratet?

LULU
Ich, - ich habe Dich geheiratet.

DR. SCHÖN
Was ändert denn das daran?

LULU
Ich fürchte: Vieles - nur Gottlob eines nicht!


DR. SCHÖN
Und das wäre?

LULU
Deine Liebe zu mir.

DR. SCHÖN
zuckt mit dem Gesicht, winkt ihr, voranzugehen und drängt sie sachte nach links in ihr Schlafzimmer. Beide ab

Leere Bühne

GRÄFIN GESCHWITZ
öffnet vorsichtig die Mitteltür, wagt sich nach vorn und lauscht; schrickt zusammen, lauscht wieder und versteckt sich schliesslich hinter dem Kaminschirm.

Wieder leere Bühne

SCHIGOLCH
tritt über die Treppe aus der offenen Gardine, sich am Geländer haltend; immer kurzatmig
Gott sei Dank, dass wir endlich zuhause sind.
Fast ausgleitend
Diese Parketten! Nichts als Klippen, als Fallstricke!
Bleibt stehen, atemholend

RODRIGO
kommt, den Studenten am Arm tragend, polternd die Treppe herunter
Er ist noch zu klein für die grosse Welt und kann auch nicht so weit zu Fuss gehen!

DER GYMNASIAST (Hosenrolle)
indem er versucht, sich aus den Armen des Athleten zu befreien
Wenn es auf nichts als auf Leben und Tod ginge, dann solltet Ihr mich kennen lernen.

RODRIGO
Das Brüderchen wiegt samt seinem Liebeskummer nicht mehr als vierzig Kilo.

DER GYMNASIAST
mit den Beinen strampelnd
Ich werd' aus der Schule gejagt!

RODRIGO
Du bist noch auf gar keiner richtigen Schule gewesen.
Setzt den Studenten nieder

SCHIGOLCH
der allmählich - immer wieder tief atemholend - über die Treppe heruntergekommen ist
Hier hat sich schon mancher die ersten Sporen verdient. Nur ja keine Schüchternheit!

Holt im folgenden zwei Likörflaschen aus einem Kästchen und stellt sie mit Gläsern auf den Tisch.

DER GYMNASIAST
Wenn ich nur wüsste, was ich ihr sagen soll!

RODRIGO
grob lachend
Das weiss sie schon selber am besten.

SCHIGOLCH
sich mit beiden Händen auf die Tischplatte stützend
Rauchen die Herrn?

DER GYMNASIAST
sein Zigarettenetui öffnend
Hier sind Habanna!

RODRIGO
sich bedienend
Vom Papa Polizeidirektor!

SCHIGOLCH
sich mühsam setzend
Ich habe alles im Hause; braucht nur zu befehlen!

DER GYMNASIAST
Ich habe gestern ein Gedicht gemacht...

RODRIGO
Was hat er ihr gemacht?

DER GYMNASIAST
Ein Gedicht!

RODRIGO
Ein Gedicht?

SCHIGOLCH
Zwei Taler hat er mir versprochen, wenn ich sie zusammenbringe - und allein lasse!

DER GYMNASIAST
Wer wohnt denn eigentlich hier?

SCHIGOLCH
Hier wohnen wir.

RODRIGO
Jour fix, jeden Börsentag!

DER GYMNASIAST
Soll ich es ihr vielleicht zuerst vorlesen?

SCHIGOLCH
zu Rodrigo
Was meint er denn?

RODRIGO
Sein Gedicht; er will sie zuerst auf die Folter spannen.


SCHIGOLCH
den Studenten fixierend
Die Augen; die Augen!

RODRIGO
Die Augen, ja! Die haben sie seit acht Tagen um ihren Schlaf gebracht.

SCHIGOLCH
Wir sind erledigt!

DER GYMNASIAST
Wieso erledigt?

RODRIGO
Wir beide sind erledigt.
Mit Schigolch anstossend
Zum Wohl, Gevatter Tod!

SCHIGOLCH
Zum Wohl, Springfritze!

LULU
von links, in eleganter Balltoilette, weit decolletiert, mit Blumen vor der Brust
Aber Kinder, wir erwarten Besuch!

DER GYMNASIAST
hat sich erhoben

LULU
sich auf die Armlehne seines Sessels setzend
Sie sind in eine nette Gesellschaft geraten.

SCHIGOLCH
Was sind das für Blumen?

LULU
Orchideen!
Sich mit der Brust über den Gymnasiasten neigend
Riechen Sie!

SCHIGOLCH und RODRIGO
gleichzeitig
Sie erwarten wohl den Prinzen?

LULU
Gott bewahre!
erhebt sich

DER GYMNASIAST
Einen Prinzen?

SCHIGOLCH und RODRIGO
gleichzeitig
Also wieder wer andrer?

LULU
Der Prinz ist verreist.
Eilt - vor sich hinsummend - die Treppe hinauf und tritt in die Galerie ein.

DER GYMNASIAST
Was für ein Prinz?

RODRIGO
Er hat sie nämlich ursprünglich heiraten wollen.

SCHIGOLCH
Ich habe sie ursprünglich auch heiraten wollen.

RODRIGO
Du hast sie ursprünglich heiraten wollen?

SCHIGOLCH
Hast Du sie nicht auch ursprünglich heiraten wollen?

RODRIGO
Jawohl, ich habe sie ursprünglich heiraten wollen.

SCHIGOLCH
Wer hat sie nicht ursprünglich heiraten wollen!

DER GYMNASIAST
ganz erstaunt
Was?! - Ihr habt sie ursprünglich heiraten wollen?!


RODRIGO
zu Schigolch
Sie ist also nicht Ihr Kind?

SCHIGOLCH
Fällt ihr nicht ein!

DER GYMNASIAST
ebenso
Was heisst denn das "Ihr Kind"?

RODRIGO
Wie heisst denn ihr Vater?

SCHIGOLCH
Sie hat nie einen gehabt!

DER GYMNASIAST
Sie hat nie ei...

LULU
kommt wieder - vor sich hinsummend - von der Galerie herunter
Was habe ich nie gehabt?

ALLE DREI
Einen Vater!

LULU
Ja gewiss, ich bin ein Wunderkind. -

SCHIGOLCH
zu Lulu
Hast oben abgeschlossen?

LULU
zeigt den Schlüssel
Hier ist der Schlüssel.

SCHIGOLCH
Hättest ihn lieber stecken lassen.

LULU
Warum denn?

SCHIGOLCH
Damit man von aussen nicht aufschliessen kann.

RODRIGO
Ist er denn nicht auf der Börse?

LULU
O doch, aber er leidet an Verfolgungswahn!

RODRIGO
Ich nehme ihn auf die Füsse und - jupp -, dass er an der Decke kleben bleibt!

LULU
Sie jagt er mit einem Seitenblick durch ein Mausloch!


RODRIGO
Was jagt er? Wen jagt er? Seh'n Sie sich bitte den Biceps an!

LULU
Zeigen Sie.

RODRIGO
sich auf den Arm schlagend
Granit! Schmiedeeisen! Ein Amboss!!

LULU
befühlt abwechselnd ihren und Rodrigos Oberarm
Wenn Sie nur nicht so lange Ohren hätten...

DER KAMMERDIENER
durch die Mitte eintretend
Herr Doktor Schön.

RODRIGO
aufspringend
Der Lumpenkerl.
Rast durchs Zimmer und versteckt sich rechts vorne hinter der Gardine.

SCHIGOLCH
zu Lulu
Gib mir den Schlüssel her!

LULU
gibt Schigolch den Schlüssel, ohne die Ruhe zu verlieren

DER GYMNASIAST
gleitet vom Sessel unter den Tisch und zieht die Decke vor.

SCHIGOLCH
übernimmt den Schlüssel von Lulu und setzt sich langsam in Bewegung, den Weg über die Treppe nehmend

LULU
zum Diener
Ich lasse bitten.

DER GYMNASIAST
unter dem Tisch bervorblickend
Er bleibt hoffentlich nicht;
dann sind wir allein...

LULU
berührt den Gymnasiasten mit der Fusspitze und setzt sich, in Erwartung des Besuches, zurecht

DER GYMNASIAST
verschwindet wieder

DER KAMMERDIENER
lässt AIwa eintreten, dann ab

ALWA
im Smoking
Die Matinée wird, wie ich mir denke, bei elektrischem Licht stattfinden. Ich habe...
Schigolch bemerkend, der sich noch immer die Treppe hinaufschleppt
Was ist denn das?

LULU
Ein alter Freund Deines Vaters.

ALWA
Mir völlig unbekannt.

LULU
Sie waren im Kriege zusammen. Es geht ihm schlecht.

ALWA
Ist denn mein Vater hier?

LULU
Er hat ein Glas mit ihm getrunken! Er musste auf die Börse.
Da Alwa Schigolch mit dem Blick verfolgt
Wie findest Du mich?

SCHIGOLCH
über die Galerie ab

ALWA
sich ihr zuwendend
Sollte ich Dir das nicht lieber verschweigen?

LULU
Ich meine ja nur das Kleid.

ALWA
Deine Schneiderin kennt Dich offenbar besser, als ich - mir erlauben darf, Dich zu kennen.

LULU
Als ich mich im Spiegel sah, hätte ich ein Mann sein wollen.., mein Mann!

ALWA
sie mit scheuem Wohlgefallen betrachtend
Du scheinst Deinen Mann um das Glück zu beneiden, das Du ihm bietest.

DER KAMMERDIENER
durch die Mitte mit Service, deckt den Tisch und legt zwei Kuverts auf; Flasche Pommery, Hors d'Oeuvres


ALWA
zum Diener
Was haben Sie denn?

LULU
Nicht!

DER KAMMERDIENER
Herr Doktor...?

ALWA
Er erscheint mir heute so weinerlich.

LULU
zu Alwa
Nicht!!

DER KAMMERDIENER
durch die Zähne
Man ist auch nur ein Mensch! -
ab


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最終更新:2010年05月26日 23:46