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"アブ・ハッサン"

目次

全1幕

  • 「アラビアン・ナイト」の時代のバグダッド カリフお気に入りの家来のアブ・ハッサンは美人の女房ファーティーメと仲睦まじく暮しておりましたが、金銭運の方には全く恵まれておらず、いつもパンと水だけの粗末な食事にうんざりしておりました(Nr. 1 - Duett アブ・ハッサンとファーティーメ)、借金で首が回らなくなった今の暮らしを何とかできないかと彼に閃いたのは、自分が死んだことにして妻のファーティーメがカリフの奥方からたんまりと葬儀代を頂こうという作戦、しかも時間差で次は妻が死んだことにして自分もカリフから葬儀代をせしめようというものです。こんな作戦すぐにばれるかと思うのですが、妻のファーティーメもノリノリでカリフの奥方ゾーベイデのところへと出かけて行きます。残ったアブ・ハッサンはこれで金が手に入ったら妻を主役に宴会でも開くか、と取らぬ狸の皮算用(Nr. 2 - Arie アブ・ハッサン)。こんなお気楽だからあんたたち金が貯まらず貧乏なんだよ、と突っ込む間もなく留守番している彼のもとに借金取りの一団が現われます(Nr. 3 - Chor der Gläubiger 借金取りたち アブ・ハッサン オーマール)、金返せ、もう待てねえと騒ぐ彼らを率いるのはカリフお付きの金持ちの両替商オーマール。この男年甲斐もなくアブ・ハッサンの妻ファーティーメに横恋慕しているものですから、アブ・ハッサン、そこに付け込んで彼に全員の借金を肩代わりさせて追い返すことに成功します。そんな中意気揚々と帰って来たのは妻のファーティーメ。カリフの奥さんの同情を惹いてたんまり葬儀代をせしめて来たのです。二人は作戦の成功を喜び合い、そして互いの愛を確かめ合う二重唱を歌うのでした(Nr. 4 - Duett アブ・ハッサンとファーティーメ)。しかしノンビリもしては居られません。カリフの奥方から先にカリフに自分が死んだことを伝えられる前に今度はカリフに自分の妻が死んだと伝えてこちらからも香典を頂戴しなくてはなりません。急いで出て行くアブ・ハッサンを見送って今度はファーティーメが夫への愛を歌います(Nr. 5 - Arie ファーティーメ)。
  • 出て行ったアブ・ハッサンと入れ違いに、先ほどアブ・ハッサンの借金をすべて肩代わりした両替商オーマールがまたやって来ました。ファーティーメに横恋慕しているオーマールは、自分への愛を受け入れてくれればこの借金の証文の束は帳消しにすると餌をちらつかせファーティーメの心を得ようとします。心奪われたフリをして証文をひったくるファーティーメ。コミカルなこのふたりのデュエット(Nr. 6 - Duett ファーティーメとオーマール)はしかし、突然の亭主アブ・ハッサンの帰宅によって中断。あわてて傍のキャビネットの中にオーマールが隠れるようにと指示するファーティーメ。首尾よくカリフからも葬儀の大金をせしめたアブ・ハッサンはゴキゲンですが、留守の間にまたオーマールがやってきて妻に言い寄っていたというのを聞いて怒り心頭、夫婦で一芝居打ってキャビネットを開けろ開けないの大騒ぎ。オーマールを震え上がらせます(Nr. 7 - Terzett  アブ・ハッサン、ファーティーメとオーマール)。さて、いよいよキャビネットを開けようとしたまさにそのとき、カリフの召使いのメスルールがやってくるのが見えました。カリフからの命令で本当にファーティーメが死んだのかを確かめに来たようです。オーマールをしばくのは一時中断して、死んだフリをするファーティーメ。召使はすっかり騙されて帰って行きました。ところが今度はカリフの奥方からの使いの侍女ツェームルートが、本当にアブ・ハッサンが死んだのかどうか確かめにやってくるのでした。今度はアブ・ハッサンが死んだフリをしてファーティーメがその死を嘆くフリをします(Nr. 8 - Arie ファーティーメ これはのちに作曲者によって追加されたものだそうです)。なんとかこっちの侍女も誤魔化して死んだのはアブ・ハッサンの方だと信じ込ませますが、そろそろインチキはバレそうな雲行き。これからどうなるのか心配でたまらないファーティーメとオーマールに、こちとら一度死んだんだ。怖いもんなんてあるかい、と妙に楽天的なアブ・ハッサンの3重唱。しかし使いの者に確かめさせたのでは埒が明かないとカリフとその奥方が大勢の召使いたちを連れてやってきたコーラスにかき消されてしまいます(Nr. 9 Terzett und Chor  アブ・ハッサン、ファーティーメとオーマール あとからカリフの親衛隊)。あわてて死んだフリをするアブ・ハッサン夫妻。召使メスルールと侍女ツェームルートの目撃証言も食い違っている中、カリフは「この二人のどちらが先に死んだのか知っている者には金貨千枚の褒美を遣わす」と宣言。すると死んでいたはずのアブ・ハッサン、金貨が貰えると聞きつけてガバと起き上がり「先に死んだのは自分であり、カリフ様のお慈悲によって生き返りました」と答えます。ファーティーメは実は死んでいなかったのですが、彼女に横恋慕する悪徳両替商に言い寄られ、やむなく死んだフリをせざるを得なかったのです、と居合わせたオーマールを悪者にして話の辻褄を合わせるというちょっと狡いオチ。まあ自分の愛欲を金の力で満たそうとしたのですからそれくらいの報いはあっても良いというところでしょうか、オーマールはキャビネットの中に閉じ込められたままです。カリフは自分が騙されていたことに腹を立てるでもなく、真相を明かした者に金貨千枚をやるという約束を果たすことを告げ、一同がカリフとその奥方ゾーベイデを讃える中で幕となります。(Nr. 10 - Schlusschor 全員)

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@ 藤井宏行
最終更新:2026年06月10日 05:54