オリジナルキャラ・バトルロワイアル2nd(ver.2)まとめwiki

蛮勇引力

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蛮勇引力 ◆BUgCrmZ/Lk


「…………そんな」

ポツリと葉桜加奈子が戸惑いの声を漏らした。
その原因はフィクションが手に入れた参加者候補名簿を見たことに起因する。

「知り合いでもいたのかい?」
「はい……えっと友達と、学校のクラスメイトや先輩が何人か」

そこには彼女の通う秋月高校の生徒の名前が多くあった。
そして、なにより彼女を戸惑わせたのは無鉄砲で無茶ばかりする幼馴染の名前である。

「…………何人か?
 加奈子ちゃん。その学校の人間が何人いるのか具体的にわかるかい?」

加奈子の心情を知ってか知らずか、フィクションは加奈子の心配とは別の質問を投げかけた。

「……えっと、私の知らない人もいるかもしれないですけど、知ってる人だけなら秋月の生徒は八人いますけど」
「ふーん。八人、ね」

ふむ、とフィクションは加奈子から得た情報を吟味する。
七十名弱のうち八人が同じ高校から選ばれている。
比率としては全体の1割程度だが、先ほど出会ったイリアム・ツェーンやフィクション自身のように候補は日本だけでなく世界中から選ばれているとなると、その数はさすがに異常だ。

「それよりも、フィクションさんはどうだったんですか?」
「ん? どうって?」

と、フィクションが思案しているところに、今度は加奈子が問いかけた。

「その……お知り合いの名前とかなかったんですか?」
「ああ、二人ほどあったね」

あまりにも平然と答えるフィクションに少しだけ加奈子は戸惑いを見せた。

「心配じゃないんですか?」
「そうだねぇ。まあ一人は放っておいても心配いらないだろうけど。
 イロハちゃんの方は危ないかもね。心配と言えば心配かな」

イロハちゃんという親しげな呼び方。
これまでのフィクションにない感情めいたものを感じられたように加奈子は思えた。

「そのイロハちゃんってひょっとして、ご家族ですか? 娘さんとか妹さん?」

加奈子からすれば、何でもないような問いだった。
だが、フィクションはこれまで見せたこともないような、ひどく驚いたような表情を見せた。

「家族? …………家族か。まあそうなるのかな?」

考えたこともなかったな、と誰に言うでもなく小さくつぶやいた。
その呟きの意味は加奈子には、いや、きっと彼にも理解できないものだった。

「ま、なんにせよあくまで候補だから、気にし過ぎてもしょうがないさ。
 一応、行動目標には含めておこうか。とはいえ、この広い会場で特定人物を探すのは骨が折れそうだけど。
 なにか人探しに便利な道具でもあればいいんだけどね」
「そういえばこんなのが私の支給品にあったんですけど…………望遠鏡か何かだと思うんですが」

そう言って加奈子が取り出したのは筒状の棒のようなものだった。

「ああ、それはライフルのスコープだね。
 それが支給品なら多分、他のパーツもあるはずだね」
「これですか? よくわからなかったんでそのまま放置しちゃってたんですけど」

そういって加奈子はケースにしまわれたバラバラのパーツを取り出した。

「ま、ライフルを隠して運ぶばないといけないような職業じゃない限りは使う機会もないし実用性も低いからね。
 知らなくてもしょうがないさ。貸してみてもらっていいかな?」
「あ、はい。いいですよ」

フィクションは加奈子から受け取ったパーツをまるでパズルを組み立てるようにスラスラと組みたててゆいった。
銃を扱う姿が似合う外見ではない、それどころか、和服にライフルなどミスマッチもいいところだ。
だというのにライフルを扱う姿は自然体、違和感など感じられない。
違和感があるはずなのに違和感を感じないことに違和感を感じる。そんな奇妙な光景だった。

「これで完成だよ。はい加奈子ちゃん」
「い、いえ、いいですよ! そんな…………銃なんて」

慌てて両手を振って、手渡されようとした完成したライフルの受け取りを拒否する加奈子。

「いやいや、撃つ以外にも結構便利なんだよ、ちょっと重いけどこうしてスコープを覗けば望遠鏡代わりになるし」

そういってフィクションはスコープを覗きこみ。

次の瞬間、躊躇いもなくその引き金を引いた。

■■■■■■■■

「そういやさ、お前スキルカードってなんだったの?」

藍葉水萌の襲撃を受け傷を負った魔王に、肩を貸しながら病院に向かう途中、思い出したかのように篠田勇がそう訪ねた。

「まだ確認しておらぬ、なんじゃいきなり?」
「いや、回復系のカードかもしれないじゃんか。そしたら病院まで行く手間省けるだろ?」
「おお。それもそうだな。さっそく確認してみるか」

そういって魔王は自らの荷を確認する。
基本的に二人ともファンタジー世界にどっぷりの人間なのでスキルカードという超常の道具に対して特に抵抗なく受け入れている。

「こ、これは…………!」
「どうした、当たりか?」

自らのカードを確認した魔王が驚愕の声をあげる。
何事かと篠田は、後ろから魔王のカードを覗きこんだ。

「…………プ。ガッハッハ! なんだそりゃ!?
 魔王が落とし穴って! 支給品の釣竿といい地味すぎだろお前!?」

魔王に配られたスキルカードは【落とし穴】。
効果もそのまま落とし穴を作る能力である。
魔王らしからぬ地味さであった。

「う、うるさい。そういう貴様はどうなのだ篠田よ!」
「オレ? オレはコレだよ」

ふふん。と上機嫌に笑うと篠田は見せつけるように指に挟んだスキルカードを突き出した。

「ぐぬぬ。【重力操作】か……なんかラスボスっぽい能力じゃのう」
「羨ましいか、へっへっへ」

回復系ではなかったものの、ひとまずスキルカードを宣言しておく二人。
そんなことをしながら足を進めるうちに、町の外観が見えてきた。

「お、町が見えてきたぜ」
「そうだな、って………………なんじゃあれは?」

その町の入り口。
傍らにある電柱の上に、なんか筋肉ムキムキの大男が立っていた。

「……まさかあれ、お前の元手下かなんかじゃねぇだろうな?」
「いやいや、そのようなわけなかろうが。あのような奴知らぬわ」
「あっそ。どっちにしてもまともな人間にはとても見えねぇけどな」

魔王にも引けを取らない巨体に遠目でもわかる威圧感。
威風堂々佇むさまは風格すら感じる。

「わが名は板垣退助! 自由を愛するものである!!
 汝らに問おう! 自由は何か!?」

唐突に電柱の上から男が叫んだ。

「おいおい、話しかけてきたぞ、どうするよ」
「決まっておろう」
「だな」

魔王と篠田は互いに頷きあうと、クルリと踵を返して進路を変更。

「無視じゃ」
「無視だな」

危ない人には関わらない、安全第一がもっとうの篠田と魔王である。

「――――自由!
 それは己が我侭を貫き通す事!
 すなわちそれを押し通す力こそ自由の象徴!」

「おい、なんか勝手に自分で答え言い始めたぞ」
「知らぬ知らぬ。無視無視」

振り返ることなく早歩きでその場から離れる二人。

「我らの自由を奪うヨグスの行為は赦されるものではない!!
 故に!! 我ら力を合わせ奴に自由を奪った代償を支払わせるべきだ!
 貴殿らもそうは思わぬか!?」

板垣の呼びかけに、二人は僅かに足を止めた。

板垣の目的は勧誘のようだ。
打倒ヨグスを掲げるその演説自体は共感に値する内容だ。
彼らも変人と関わるのは御免だが、協力者は少しでも欲しい状況だ。
我侭は言っていられないかもしれない。
そう思い直し、二人が少しだけ振り返る。

その瞬間、二人が見たのは、頭から血しぶきを上げて電柱から崩れ落ちる板垣の姿だった。

■■■■■■■■

「ちょ、ちょちょ、ちょっと何撃っちゃってるんですか!?」

突然の発砲に度肝を抜かれ加奈子は思わず叫んだ。

「ああ、ごめんごめん。手が滑った。
 でも大丈夫。今の弾丸で”死んだ人”はいないから」
「もう、当たり前です!」

あまりにも呑気なフィクションの様子に加奈子は大きくため息をついた。

「……やっぱりそれ預かっておきます、フィクションさんに持たせておくのも危なそうだし」
「そう、それは何より」

しぶしぶながら加奈子はフィクションからライフルを受け取る。
実弾の誤射など下手したら死人が出ていたミスをした直後だというのに、フィクションに悪びれる様子はない。
当然である。
先ほどの発砲は誤射で等ではなく狙って撃った弾丸なのだから。

フィクションからしてみれば、ターゲットと思しき相手をたまたまスコープの先に見つけたからとりあえず撃ってみただけの話だ。
なぜか思い切り狙いやすいところにいたわけだし、その好機を見逃す理由もない。
命中は確認した。
だが、仕留めきれたわけではない。

弾丸をぶち込んでも死なない相手とはなるほど確かに化け物に違いない。
だが、傷つけて傷つく相手なら、殺して殺せない道理はない。
弾丸を受けて血を流したのならそこまでの相手ではないだろう。

「ま。依頼続行かな、とりあえず」

加奈子のお小言を聞き流しながら、伝説の暗殺者はそう、小さくつぶやいた。

【一日目・黎明/D-5草原】
【葉桜加奈子】
【状態】健康
【装備】折り畳み式ライフル(5/6)
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品0~1
【思考】
基本:日常に帰る
1.加山圓や知り合いと合流したい
2.フィクションと協力して脱出方法を探す

【フィクション】
【状態】健康
【装備】日本刀
【スキル】『ブラックアウト』
【所持品】基本支給品、不明スキルカード(確認済)、候補者名簿、不明支給品1~3
【思考】
基本:脱出してヨグスを始末する
1.イロハと加奈子の知り合いを探して合流。オーヴァーはとりあえず放置
2.機会があれば板垣退助を殺す
3.正午に教会でイリアムと落ち合う
※板垣退助の外見的特徴を把握しています

■■■■■■■■

板垣退助に狙撃は通用しない。

どれほどの遠距離射撃であろうとも彼は殺気や機微と言ったものを本能的に感じ取り、回避することが可能だ。
故に狙撃など恐れるに足らない。

だが、その弾丸は違った。

弾丸に意志など込められて無いように。
それこそ当たり前のように放たれた弾丸に殺意などなく。
その弾丸は板垣の本能という防衛網を超え、彼の後頭部に直撃したのだ。

だが、あえてもう一度言おう。

板垣退助に狙撃は通用しない。

それは本能により回避能力という意味でもあり。
直撃すら耐えうる化物性という意味でもあった。

「ぐぬぬう……っ!!」

電柱から落下し、地に落ちた板垣が唸りを上げながら立ち上がる。
とはいえ、流石の板垣と言えど弾丸を頭部に受けて無傷とはいかない。
頭部から血液を垂れ流しながら、憤怒の表情で眼前の二人をにらみつける。

どこから弾丸が飛んできたのか。
誰が弾丸を放ったのか。
何故板垣を狙ったのか。
その真相をこの場にいる全員が知らない。

「…………よかろう。我に敵対するのであれば容赦はせぬ」

ただ、その攻撃はあまりにも完璧な不意打ち過ぎた。
板垣からすれば目の前にいる二人が何らかの方法で攻撃したとしか考えられない。
本能で周囲索敵ができる板垣だからこそ、確信をもってそう思った。

「ちょ、待て、誤解だ!」
「無駄だ。来るぞ!」

篠田の弁明も虚しく、板垣が動く。
踏み込まれた地面が砕ける。
弾丸のような加速。
小山のような巨体が駆け抜ける。
迫りくる様はまるで重戦車。

もっとも、その程度で怯む二人でもないのだが。

方や異世界の支配者たる魔王。
方やその魔王を相手取った勇者である。
その程度の相手、見慣れている!

二人は直線で迫る板垣を冷静に左右に展開し回避する。

「クソ、仕方ねぇ。その傷じゃ戦えねだろ、下がってろ魔王」
「いや、下がるのは貴様だ篠田!」
「うぉわ!?」

風切音と共に篠田の眼前を巨大な尻尾が通過した。
鞭のごとく振るわれた尾が板垣を打つ。
板垣は十字受けでコレを受けたものの、衝撃までは押し殺せず地面を削り後ずさる。

そこにいたのは、それまでの魔王ではなかった。

その外見は凶悪さを増していた。
頭部には角が突き出し、背に生える蝙蝠のような翼と鞭のようにしなる長い尻尾。
人と魔が入り乱れる、それは正しく―――魔王。

「第二形態!? いきなりかよ!」

かつて篠田も戦ったその姿。
その時は、一度追い詰めた上で奥の手として出されたものだった。
だというのに今回は魔王はいきなり本気だ。
それだけの相手ということか。

「があああああああああぁぁ!!」
「ふんぬうううううううぅぅ!!」

空気が炸裂するような衝突音。
超重量級の二人が互いに駆け出し、真正面から衝突する。

「…………なっ!?」

驚愕の声。
よもや人間に力負けするとは誰が思おう。
押し負けて吹き飛ばされたのは魔王だった。

「しゃーねーな。やっぱオレがいないとか!?」

篠田は自らに向かって飛んでくる魔王の体を、跳び箱のように跳んだ。
板垣からすれば、魔王の巨体に隠れた死角から突然篠田が現れたようにしか見えないだろう。

飛び上がった篠田が空中で縦に一回転し、その勢いのままエストックを振りおろした。
不意を付かれた形となった板垣はコレを躱せず、エストックの穂先が彼の胸元を薙いだ。
だが、

「な、に………?」

驚愕の声は篠田のものだった。
篠田の一撃は肌に僅かに跡を残したのみで、血を流すどころか皮膚すら切れていない。
いくらエストックが刺突用の剣であったとしても、これはあり得ない話だ。

「肌に粗塩を擦り込んである。古代の拳闘士はそうすることで切れにくい体を作り上げたという」
「いや、そういう次元じゃねぇだろこれ!」

篠田が突っ込みという名の叫びを上げるが、板垣は容赦なく鉄球のような拳を振りかぶる。
攻撃の直後。篠田の体制は崩れている。
なによりその身は今だ空中にある。

故にその一撃は、回避は不可能。

「篠田――――ッ!」

魔王の叫びも虚しく。剛。と唸りを上げて放たれた拳が篠田の脇腹に直撃した。
篠田の体が紙屑のように吹き飛ぶ。
はたして何メートル飛んだのか。
地面を何度かこすり、ゴムまりのように跳ね、勢いを弱めた後、やっとその体は停止した。

「ッ! 問題ねぇよ、クソッ!」

だが、篠田は跳ね上がるように起き上がり、すぐさま体勢を立て直す。
派手に吹き飛ばされたように見えたが、吹き飛ばされる直前に重力操作の能力により自身を無重力に設定していたのだ。
つまり吹き飛ばされたのはではなく自ら吹き飛んだ。

「…………それでもこのダメージってありえねぇだろ」

そういって篠田は脇腹をさする。
重力をなくすというほぼ完璧な消力であったはずなのに、内臓にはズシンと重い痛みが残っている。
何の工夫もなく直撃すればどうなっていたことか、想像に難くない。

「しかし、えらい飛ばされたな…………」

見れば、数百メートル先で魔王と板垣が衝突している。
無重力状態だったとはいえ人間のをここまで飛ばすとは尋常ではない。

見る限り魔王は劣勢。
篠田は一刻も早く援護に駆けつけようと足に力を籠めて。

前に進むのではなく、全力で横にその場から飛びのいた。
それとほぼ同時に篠田のいた場所を斬撃が掠めた。

「あははっ! こんな派手に戦ってたら見つけてくれって言ってるようなものだよね!」
「クソ、めんどくさいのが! それどころじゃねェってのに!」

現れたのは篠田とは違うもう一人の勇者、藍葉水萌。
水萌は立ちふさがるように篠田の道をふさぐ。

「どけよ。今はお前の相手をしてる場合じゃねぇんだよ」
「そんなに向こうが心配? 篠田のくせに魔王と仲良しだなんてホント、勇者の面汚しもいいとこねあなた」
「うるせぇよ」
「通りたいんなら力づくで通ってみれば?」
「言われなくても!」

水萌に向かって篠田が駆ける。
篠田も勇者の端くれだ、その動きは常人を凌駕するような加速だが、それでも水萌からすればまだ遅い。
このまま真正面から来るのならば、是非もない。
返す刃で一刀両断にしてお終いだ。

だが、その予測を裏切り、篠田は地面を強く蹴った。
自らを再度無重力に設定して跳びあがる。
自身の重力を操作したその跳躍は遥か高く、水萌の身体能力を持っても捕えきれない。
水萌の遥か頭上を越える軌跡を描き、篠田は跳ぶ。

「あはっ。すごいジャンプだね。けど、そんな程度で逃げられるとでも、」
「――――――――逃げるかよ」

言ってカクンと、ありえない軌道で篠田の体が落下を始めた。

「――――重力三倍」

篠田の体が上空から水萌に向かって一直線に落下する。
その勢いのまま、篠田は剣を振り下ろした。

「くっ!?」

咄嗟にフランベルジュで受ける水萌だったが、圧し掛かる重量は篠田の全体重×3。
その圧力に押し切られ水萌が膝をつく。
三倍近いレベル差を覆すには十分な威力だった。

「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

そのまま剣を振り切り水萌を吹き飛ばす。
代償としてその負荷を一身に受けたエストックが叩き折れたが、それを気にせず倒れこむ水萌の脇を篠田は走り抜けた。

■■■■■■■■

魔王と板垣の死闘は激戦を極めていた。

突き。防ぎ。打ち。捌き。叩く。
常人であれば一撃でも食らえば絶命するほどの超重量級の打撃戦。

押されているのは魔王である。
地力の差というより、水萌から受けた傷が大きく響いていた。

そしてついに板垣のバットどころか、大木すらへし折りそうなローキックにより魔王の体制が崩れた。
そこに迫る追撃のアッパーカット。

「五倍スタァ―――ンプ!」
「篠田!?」

そこに、ギリギリのタイミングで上空から篠田が介入する。
強化重力の加速落下を利用した蹴りにより、突き上げられた板垣の拳を撃ち落とす。
だが、五倍の重力を籠めたその蹴りを物ともせず、板垣の拳は止まらない。

「嘘ぉ!?」

その拳は直撃から若干軌道が逸れたものの、投げ捨てられるような形で篠田の体が吹き飛ばされる。
その先には魔王が。
重力強化によって篠田が重量を増していたことも相まって、体制の崩れていた魔王はこれを受け止めきれず、二人仲良くゴロゴロと地面を転がった。

「……よう、長旅だったな篠田。いらんお客さんまで引き連れて」
「そりゃどうも。で、どうするよこの状況?」

二人は立ち上がりながら現状を顧みる。
前門の板垣、後門の水萌。
見れば、先ほど振り切った水萌が追いついている。

「こいつ一人でも手に余るというのに、藍葉まで加わられたらさすがに無理だ。何とか逃げる事だけ考えろ」
「は、魔王からは逃げられないとは聞くが。まさか魔王から逃げる相談されるとはな。だが、同意見だ」

逃れる事すら困難な、正しく絶体絶命の状況である。
このままの流れならば確実にやられる。
何かこの危機的状況を変える流れがあれば。

「はーい。仲良く何の相談かしら。さっきはよくもやってくれたわねぇ。
 でも恨んでなんかないわ。ちゃんとあなたもそこの魔王も平等に殺してあげるから!」

たどり着いた水萌が楽しそうな笑顔で吠える。
だが、板垣は対照的に眉をひそめた。

「貴様――――今、平等といったか?」

流れが、変わった。

■■■■■■■■

「…………なんだあれは」

加山圓は強化された視力でその戦闘を見ていた。

四人の男女が入り乱れ殺し合うその様。
誰かが悪漢に襲われているのなら、助けたいと思う心はあるが。
誰が正義で悪なのか。
誰が被害者で加害者なのか。
その光景からは何一つわからない。

いや、ひょっとしたら全員が加害者で、全員が殺し合いに乗っているのかもしれない。

魔王としか形容し難い見た目をした化け物。
これまでの自分の常識の中ではありえない存在。
もはや存在が人類の範疇を超えている。

筋肉隆々の大男に関しても見た目からしておかしい。
正直日常生活なら絶対関わり合いになりたくない類の相手だ。

見た目だけで言うのなら、制服を着た女子高生が一番被害者然としているのだろうが。
実際、その少女が最も積極的に戦闘に及んでいるように見える。

なら残った最後の青年がまともかといえばそうでもない。
他と同じく明らかに戦い慣れた動きをしているし、動きからして魔王と協力体制にあるように見える。

全員が怪しく、全員が危険人物に見える。
だがそれ以前に、たとえ被害者が明確だったとしても、あの戦闘は介入できるレベルではない。
全員の動きの次元が違う。
加山は自らの弱さを認める。
剣術をかじった程度の自分などこの場においては弱者だろう。
そのうえで自らの身の振り方を決める。

無茶はできない。
なにせ彼は一人ではないのだ。
加山は傍らにいる少女を見る。
己の死は同時に少女の死に等しい。
綱渡りをするような慎重さが求められる。
無鉄砲のままではいられないのだ。

「イロハちゃん。進路を変えよう」

イロハは加山の言葉を疑問に思うでもなく、素直にコクリとうなずく。
加山はその戦闘に介入しないことを決める。

二人は知らず離れてゆく。
北に彼らを求める人物がいることも知らずに。
その決断がなにを意味するのか。

【一日目・黎明/F-5市街近く】
【加山圓】
【状態】健康、過剰感覚による若干の気持ち悪さ
【装備】小太刀
【スキル】『五感強化』
【所持品】基本支給品
【思考】
基本:徹底的に抗う
1.この場から離れる(北は避ける)
2.イロハを守る

【イロハ】
【状態】健康
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品×1~2
【思考】
1.マドカに付いていく

■■■■■■■■

「何かしら素敵なおじ様。
 安心して頂戴、あなたもちゃんと殺してあげるから」

板垣を舐めるような視線で見つめ、クスリと笑う水萌。
対する板垣が感情を抑えたような表情で水萌を問いただす。

「それが貴様の平等か?」
「ええ、私はすべての生命を平等に扱っているの。動物も虫も草木も全てね。
 だから全体の事を考えたらなら、人間を滅ぼした方が世界のためだと思わない?」

板垣の怒気が高まり、一触即発の空気が加速する。
そしてこの展開、水萌と板垣が争ってくれるなら篠田たちにとって好都合。
篠田と魔王の二人は無言で合図を起こり、その隙に逃れる算段を立てていた。

「そのような身勝手な理由で生命活動という基本的人権を損害するその行為。
 許すまじ―――――――!!」

板垣の怒号が響く。
瞬間、板垣の巨体が完全にその場から消失した。

あり得ない次元の爆発的加速。
その動きは、これまでとは完全に別物だった。
板垣は感情によってその戦闘力を大きく変動させるタイプのファイターだ。
今、板垣は怒りによってリミッターが完全に解除されている。

だが、水萌も伝説とまで呼ばれた勇者である。
この一撃に反応し、剣の腹に片手をそえ板垣の拳を受け止める。

ただ、そんな行為は無意味だ。
正面から正拳を叩き込む。
それだけのシンプルな攻撃もこの次元まで昇華すれば、必殺になりえる。

ペキリと、空き缶をつぶしたような嫌な音が鳴った。
板垣の巨大な拳はフランベルジュを根元からたたき折りその勢いのまま水萌の顔面にめり込んだ。

藍葉水萌の体はプロペラのように横回転しながら宙を舞い。
傍らを流れる川までたどり着いたかと思えば、回転しながら小石のように水の上を跳ね滑って行った。

「……ぁ…………ぁ………っ」

対岸で静止し、地面に転がる水萌の口から喘ぎのような声が漏れた。
生きている。
だが、それもかなり危うい。
プライドもあり、それには頼らなかったが、緊急事態だ。
最後の力を振り絞り、荷物の中に手を伸ばす。
かすかに指先に触れる感覚。

「…………………自……己さ、い…………生」

息も絶え絶えになりながらも、指先に触れたスキルカードを宣言する。
それと同時に彼女のプツンと意識は途絶えた。

■■■■■■■■

トーマス・A・エジソンとであった真琴真奈美御木魚師の二人だったが。
ひとまずエジソンと行動を共にすることにし、発電所に向かう途中だった。

「お。まなみん、誰か倒れるぜ」
「だからその呼び方は止めろと……ってなに?」

言われて、御木の指す方向を見てみれば、そこには制服姿の女子高生が倒れていた。
警察官である真琴はもとより、御木も下っ端とはいえ裏社会の人間だ。
怪我人や死体も、ある程度は見慣れてるため、警戒はあれど動揺はない。
だが、もう一人は違った。

「う、うああああああああ~~!!
 死体! 死体だ! 死んでる! 誰かが殺した! 誰だ! 人殺しはよくない!!」

途端にパニックに陥るエジソン。

「落ち着いて、まだ死んでると決まったわけじゃないから!」

真琴が一喝するがエジソンは止まらない。
分けのわからない言葉を喚き散らし続ける。
真琴は眉間にシワを寄せて頭を抱える。

「あーもう。ゴキ、私が見てくるから、お前はトーマスさんを落ち着かせておいてくれ」
「え。ちょっとまなみん、そりゃねぇって!」

ゴキの抗議を無視して真琴は周囲を警戒しつつ少女に近づいてゆく。
そして少女のもとにたどり着くと、そこは警官、迅速に脈拍をとり生死を確認。
生きているものの意識はなく、命に別状はないとは現段階では言い切れない、危険な状態だ。
外傷、特に顔の損傷がひどく、裂傷や腫れがひどい。

「かわいそうに女の子だろうに…………」

美しかったであろうその面影は見る影もない。
真琴は少女を慈しむようにそっと髪を撫ぜた。

「どうどうどう。落ち着こうぜ、ジンたん。
 あ、どうだったのまなみん、生きてた~?」

エジソンをなだめながら御木は戻ってきた真琴に問いかけた。

「ああ、まだ息はある、かなり危険な状態に違いないが」
「それで、どうするの?」
「このまま放っておくわけにもいかんだろ。運ぶぞ手伝えゴキ」
「えぇっ、マジっすか?」
「どうせ目的地は病院なんだ、いいから来いッ!」

嫌がる御木を引きずりながら真琴は少女へと近づいていった。
少女の状態は一刻を争う。
外傷は酷く、その顔はかつての面影などない。
それ故に真琴たちは気付けなかった。
自分たちの抱えた少女が、世間をにぎわせた殺人鬼であることに。

知らず、爆弾を抱えてしまったことを彼女たちはまだ知らない。

【一日目・黎明 E-3川沿い】

【真琴真奈美】
【状態】健康
【装備】H&KMP5(30/30)
【スキル】不明スキルカード
【所持品】基本支給品、H&KMP5予備カートリッジ
【思考】
1.少女を病院に運ぶ
2.御木、トーマスと行動を共にし、守る。
3.オーヴァーが居る…?

【御木魚師】
【状態】健康
【装備】特殊手錠、ケブラー防弾ヘルメット
【スキル】『パブリックエネミー』(AM8時以降再使用可)
【所持品】基本支給品
【思考】
1.真琴と行動を共にし、なんとかこの状況から逃れる。

※特殊手錠
 一見ワイヤーのついたごく普通の手錠。
 何か特殊な仕掛けがあるらしいが、御木しか確認していない。

【トーマス・A・エジソン】
【状態】健康
【装備】
【スキル】不明スキルカード
【所持品】基本支給品、不明支給品1~2
【思考】
1.発電所で電気を使えるようにする。
2.その後病院へ行って首輪をレントゲンで調べる。

【藍葉水萌】
【状態】瀕死、再生中
【装備】なし
【スキル】『自己再生』
【所持品】基本支給品、手榴弾×4
【思考】
1.????

■■■■■■■■

それは、冗談のような光景だった。

「…………一撃かよ」

あの藍葉水萌が一撃でやられた。
生死は不明だが、ただではすんでいまい。
争っている隙に逃げ出す算段だったが、あまりにも一瞬でケリがついたせいでそれもおじゃんだ。

「さて、次は貴様らの番か」

板垣が篠田と魔王に向き直る。

「…………しかたねぇな、やるしかねぇか」
「とはいえ、真正面からいっても先ほどの焼き直しにしかならんぞ」
「お前はな。さっきは不意に一発もらっちまっただけさ、今度はそうはいかねぇよ」

そういって篠田はクラウチングスタートのような構えをとる。

「どうする気だ?」
「決まってんだろ、半端な攻撃が効かねぇんなら、デカイの一撃叩き込む!」

無重力の足取りで篠田が駆けた。
風に流されるような軽い動きで、板垣の眼前まで迫る。
その動きに対し板垣は撃退の一撃を放つが、拳圧に流される羽のように篠田が跳んだ。

「重力十倍!!」

板垣の真上を取った篠田が上空から重力を叩きつける。
だが、板垣は機敏なサイドステップでその効果範囲から抜け出し難を逃れる。

「ちぃ!」

篠田が舌を打つ。
この【重力操作】は強力なスキルではあるのだが、使用してみて、篠田はいくつかの弱点を認識していた。

一つは発動の遅さだ。
自身の重力を操作する場合は問題ないのだが、外部の重力を操作する場合はそうもいかない。
能力を発動させるのに座標指定と能力発動のツーステップが必要となり、若干のタイムラグが生じる。

並みの相手であればそれで問題ないだろうが、この板垣退助相手ではそうもいかない。
本能による危機察知能力。
そしてどのような状況でも反応できる身体能力。
当てることは困難と言える。

そしてもう一つは消耗の激しさ。
二倍、三倍程度であれば、大した消耗ではないのだが、五倍を超えたあたりからかなりの消耗になる。
最大の百倍など下手に使うことなどできないし、使ってはずしては目も当てられない。
使うにしても確実に当てられる状況を作れた場合のみだろう。

そして、自身にGをかける場合、Gが高ければ攻撃力は増すが当然かかる負荷も倍増する。
感覚としては自分にかけれる重力は五倍が限界だろう。
五倍での奇襲はすでに失敗している。

となると、やはりそれ以上のGを直接相手に圧しつけるしかない。

「なるほどな、ならば任せろ篠田!」

篠田の意図を察した魔王が板垣に突撃する。
突撃した魔王は、板垣に密着しがぶり寄つに組んだ。
腕力は互角。
確かに、これで動きは止まった。
重力操作の狙いを定めることも可能だろう。
だが、完全に密着した状態で魔王まで能力に巻き込んでしまう。
ならばどうするか。

「――――――――スキル【落とし穴】!」
「ぬぅ!?」

組みながら魔王が叫ぶと、板垣の足元に空洞が出現した。
足場を失った板垣はなすすべもなく穴に落ちた。
だが、穴の深さは1メートル程度、落ちたところでダメージにはならない。
つまり、これはただの足止めに過ぎないという事。

「ナイス魔王!
 ――――自重で潰れろデカブツ!!」

魔王が身を引き、その場から離れると同時に、待ってましたと篠田が叫ぶ。
二度とないチャンス。
ここで決めるしかない。
範囲を落とし穴の位置に固定。
そこに向けて能力を最大開放。
上空からたたきつけるように解放する。

「重力――――――百倍!!」

地球上ではあり得ない超重力が板垣の全身に圧し掛かった。
板垣の体が初めて完全に崩れ、蛙のように地面にへばりついた。

「オマケだ」

そういって魔王はその膂力をもって人間大の岩を持ち上げた。
放り投げられた岩石はその範囲に入った途端に強烈な重力に従い超加速を得て落下する。
爆発したような破裂音とともに砂埃が舞い上がる。

「……八ァ…………八ァ…………八ァ。やったか?」

最大出力である重力百倍を使った反動か、篠田は立っていることすらままならないほど体力を消耗していた。
バタリと仰向けに倒れこみながら、その成果を確認する。

辺りを舞う砂埃が風に流され薄まってゆく。

砂埃の晴れた先には、血濡れの鬼神が立っていた。

■■■■■■■■

板垣退助。
彼は己が意志を貫き通すために、ありとあらゆる力を身に着けてきた。

国内最高峰の大学を首席で卒業し若くして政界に革命をもたらした知力。
また、政治活動との二足のわらじながら一代で築きあげた財閥の財力。
そして、自由主義国日本の初代総理大臣としての権力。
一国を率いる指導者としてのカリスマ性を放つ魅力。
その身一つでロシア軍を殲滅した圧倒的な暴力。

故に彼は地上最自由。
繋ぎ止められぬアンチェイン。
何者であろうとも彼を縛ることなどできない。

「八ァ……八ァ……やべぇな、こりゃ……絶体絶命ってやつ?」

息も絶え絶えになりながら、篠田が立ち上がろうとするがもはや体力は底をつきそれすらもかないそうにない。
折れた剣を杖代わりにして何とか立ち上がれるという有様だ。

「さて、どうするよ魔王。…………魔王?」

返答がないので篠田が視線を向けると、魔王は何やら思案している顔だった。

「……おい、何考えてんだ」
「助かる方法に決まっておる。
 だが、二人とも助かるのはどう考えても無理だな」
「んじゃ一人が足止めでもして、その間に一人が逃げるか?
 ま、今のオレじゃ逃げ切るような体力はないがな」
「いや、そうでもないぞ?
 なにより逃げはお前の専売特許であろう?」

そう言って魔王が篠田の胸ぐらをつかむ。

「おい……ちょっとまて、何のつもりだ、魔王」

ここにきて篠田も魔王の意図を察した。
睨みつける篠田の眼光に魔王はふっと皮肉気な笑顔を返した。

「決まっておろう、自分で走れないなら、流されろ――――!!」

ブンと、魔王は膂力だけで篠田を放り投げる。
抵抗する体力は篠田にはない。
放り投げられた篠田はそのまま川に着水し、その勢いに流される。

「テメェ何かっこつけようとしてやがる! ふざけんなクソ魔王―――――――!! ガボッ、ガッ」

叫びも水に飲まれる。
かき分ける体力もない。
溺れるように篠田は水の流れに呑みこまれていった。

【一日目・黎明/E-3川中】
【篠田勇】
【状態】疲労(極大)
【装備】なし
【スキル】『重力操作』
【所持品】基本支給品、フラッシュグレネード×4
【思考】
0.……魔王
1.殺し合いを潰す為仲間を増やす

■■■■■■■■

「ほう。仲間を逃がし自らが我に討たれる道を選んだか。見上げた覚悟だ」

板垣は敵を称賛する。
おそらく板垣ならば、魔王を突破し篠田を追撃することも可能だっただろう。
だが、板垣は魔王の覚悟に敬意を払い無理に篠田を追うようなまねはしなかった。

「は。勘違いするなよ人間。奴を逃がしたのではない。
 貴様を殺すのに、奴が邪魔だっただけの話だ」
「ほう?」

だが、違う。
その板垣の勘違いを、魔王は嘲笑う。

魔王の言葉は嘘ではない。
魔王には第三の形態が存在する。

「――――見せてやろう。魔族の王の真の力というモノを」

その身が人外のそれに変貌していく。
それは伝説に存在するドラゴンそのもの。
その体躯は漆黒に染まり、全身から傷口の様な眼が開く。
禍々しさは筆舌に尽くしがたい。

『GAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!』

断末魔のような雄叫びが響く。
そこにはもうそれまでの魔王は存在していなかった。

そこにいたのはすべてを壊し。すべてを殺し。すべてを滅ぼす悪魔。
この姿になってしまったが最後。
彼は理性を完全に失い、敵も味方も判別なく周囲を破壊し尽くすまで止まらない、真の魔王と化す。

目の前の敵を殲滅すべく魔界の王が降臨した。

【一日目・黎明/E-4平地】
【板垣退助】
【状態】頭部にダメージ(中)、全身にダメージ(大)
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明カード1枚、不明支給品1~2
【思考】
基本:自由を愛し、平等に生きる
1.闘いを挑む者には容赦しない
2.自由を奪う男(主催)を粛清する

【魔王】
【状態】最終形態、ダメージ(大)疲労(大)、背中に火傷
【装備】なし
【スキル】『落とし穴』
【所持品】基本支給品、釣り竿
【思考】
1.GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA

21:少女観察記 時系列順 27:さよなら、私
21:少女観察記 投下順 23:ドーン・オブ・リビングデッドを夢見て
03:ボクと魔王 篠田勇 28:Don't think just feel!!
03:ボクと魔王 魔王 29:熱き血潮に
03:ボクと魔王 藍葉水萌 32:邂逅か、それとも
08:if... 板垣退助 29:熱き血潮に
16:許されざる者 真琴真奈美 32:邂逅か、それとも
16:許されざる者 御木魚師 32:邂逅か、それとも
16:許されざる者 トーマス・A・エジソン 32:邂逅か、それとも
18:思い出依頼 葉桜加奈子 30:転校生
18:思い出依頼 フィクション 30:転校生
13:Let's communication. 加山圓 31:なんだお前か
13:Let's communication. イロハ 31:なんだお前か

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