<ブラックペンタゴン北西エリア 物置部屋>

PM 13:20


それは青天の霹靂だった。

空間が、低く唸る。
壁が鳴り、ランプがびりびりと振動する。
重い鉄の塊を叩きつけたような轟音が壁面を伝い、内部にまで突き抜けていた。


――近い。


ディビットは聴力を四倍にして周囲の微細な音をひとつずつ拾い上げる。
ジェイは未来に意識を集中し、周囲に絶対の警戒網を張り巡らせる。
エンダは黒蝿を生み出し、音の聞こえた方向へと飛ばしていく。
仁成は無言で腰を上げ、筋肉がきしむように身体を締め直す。
エネリットはうろたえる安理に寄り添うように、柔らかく微笑んだ。


「音の出所は、集荷エリアだな」
「誰かが近づいてる気配はねぇ。被験体も反応なしだ」
「金属の塊を叩きつけるような音でした。衝撃波でも精密機械でも、爆発物でもない」
「集荷エリアには誰もいない。荒れ放題で見通しが悪いけど……新しい破壊痕もなさそうだ」
「内側に痕跡がない? 外の誰かが、壁を叩き割ろうとしてるってことか?」


それぞれが役割を意識して動き出し、各々の視点で意見を出す。
個性の集団は、訓練された小隊のように呼吸を合わせる。


「誰の仕業か、絞り込むだけなら簡単じゃねえか? ここにいない連中を順に潰せば済むだろ?」
「"聖女"に"死神"。"シャイニング・ホープ"に"リトル・ターザン"。ヤツらはない。そういう類の超力ではない」
「氷月さんもそういう派手な音は出しませんね。彼の超力は騒がしさとは無縁です」
「ああ~……、まあすぐにわかると思うけど、ヤミナもそういうのは無理だと思うよ」
「……そうだな。彼女は一目散に逃げるタイプだろう」


ブラックペンタゴンにいない人間、行方知れずの連中を一人一人除外していく。
たった十人未満の未知など、あっという間に絞り込まれる。


「鑑 日月、氷藤 叶苗、ルーサー・キング、バルタザール・デリージュ。この四人に絞られたわけだ」
「……金属といえばキングだ。だが、あのジジイがこんな派手なやり方をするとは思えん」
「確かに、あの御老人はポイントを必要としない。居場所を明かす愚を冒さないでしょうね」
「返り討ちにする実力があるにしてもだ、わざわざ準備時間をほかに与える意味が私には理解できないね」
「別のヤツじゃないか? バルタザールはデカい鎖付きの鉄球を振り回してたぜ?」


バルタザール・デリージュ。
その名前に反応を示したのは二人。
エネリットがまぶたを細め、安理の瞳がわずかに陰を帯びた。


「無策で注目を浴びれば、狩られるのは自分の首だ。バルタザールという囚人は、それをおこなうだけの動機と強さが?」
「恩赦狙いなんて、死刑待ちか無期のどん詰まりばっかだぜ? 俺らが出てこねぇから、焦ったんじゃねえか?」
「あるいは、"同業者"を狩る方向に転身したか、だ。ジェイ、君から見たバルタザールの強さはどうだったのかな?」
「すれ違っただけで、掴みきれねえ。ま、強いんじゃねえか? 奴さん、深夜帯の間、ずっと超力の研鑽に励んでたからよ」

ジェイとバルタザールの邂逅は夜明け前の一瞬。
破壊力も防御も申し分ないが、あれがすべてだとは思えない。
ポリポリと頭をかいて煮え切らない返事を返すジェイの姿に、もどかしさがのしかかる。

それを断ち切ったのは、議論においていかれた一人だった。


「――強いです。間違いなく強い」

安理が、確信を持った一言を放つ。
控えめな彼の声が、その瞬間だけは鋭さに満ちていた。


「君は荒事の素人だろう。そう言い切れる根拠が?」
「フレスノさん、呼延さん。
 バルタザールは彼らを一対一で下しています」
「"鉄塔"に、"災害"か……」
ディビットが唸る。その声は重い。
"鉄塔"、呼延 光。
あのエルビスとも真正面から殴り合える絶世の武人である。


「そして、フレスノさんから聞きました。
 彼は『ハイ・オールド』なのだと」
「"災害"は、南米では有名な裏の探偵だな。
 麻薬の密輸ルートを調べるため、『アイアン』が雇っていたと聞いている。
 なるほど、『ハイ・オールド』であれば、突飛な行動も一応の納得がいく」

ディビットはエネリットに視線を向けるも、彼は木箱にもたれかかり、無言で思考を凝らしている。
「いずれにせよ、外の様子は分からんのだろう?
 ならば、これ以上考えていても埒は明かんな」
「私はもう少し調べるよ。どうせ、脱獄王待ちだ」

再び、物置部屋に静寂が訪れる。
七人は、新たな状況の変化を待ち続ける。


<ブラックペンタゴン北西エリア 物置部屋~図書室>
PM 13:30

「安理さん、ちょっとよいですか?」
落ち着かない様子で物置の隅に佇む安理に声をかけたのは、褐色肌に切れ長の目を持つ若者だ。
エネリット・サンス・ハルトナ。
幼いころからアビスで育ち、アビスの王子と呼ばれる男である。

「二人だけで、お話したいことがあります」
「二人だけ……?
 大丈夫ですか? 誰か帰ってくるのを待ってるんじゃ?」
「エンダさんに確認しました。三階で脱獄王に接触したばかりだと。
 多少は時間があるでしょう」
「それなら、分かりました」
「では少し場所を移しましょうか」
エネリットは頷くと、ディビットに視線で合図を送り、静かに歩き出した。
安理も後を追うように、図書室へ入室する。


「それで、話とは?」
エネリットと安理は会ったばかりだ。
特段親しいわけでもなく、あずかり知らないところで関係があったとも思えない。
用事があるとすれば――それは一つだ。

「とある受刑囚について、安理さんの温度感を知っておきたかったんですよ」
やはり。安理は納得する。
エネリットの容姿が記憶とリンクする。
鉄仮面の裏に隠された鋭い目。褐色の肌。
それを若返らせたような容貌が目の前にある。


「あなたは、大切な人を手にかけられている」
仁成の忠告を参考に、弱みは見せないように注意したつもりだが。
図星を突かれた安理の表情に、エネリットは苦笑する。

「その人の名は聞きません。
 他人のプライバシーに土足で踏み入る趣味はないので。
 僕が知りたいのは、彼に対して、どう向き合いたいか。その一点です」
柔和な物腰とは裏腹に、そこには何か重い感情が含まれているように映った。

僅かな沈黙の期間を経て。
安理の答えは、ひどく穏やかなものだった。

「ボクは、あの人が恩赦を得て、何がしたいのか。
 外に出て、どうしたいのか。それを知りたい」

その答えは、復讐心を燃やす王子からは意外な答えである。
安理は視線を伏せ、壊れた机の縁に手を置いた。


「未だに恐ろしいとは思います。けれど、許せないと思ってはいない」
「それはまた、どうして?」
「心の整理がついたから、でしょうか。
 あの時、何よりも許せなかったのは弱いボク自身でした。
 ですが、様々な人と出会ったことで、ボク自身を見つめ直す機会を得られました」

彼がローズを殺したのだと、怒りに我を失ったこともあった。
だが、それは本当にバルタザールへの怒りだったのか。
今にして思えば、自分自身へのやるせない怒りを、他者に向けていたのではないかと思ってしまう。

エネリットはわずかに目を細める。
刑務が始まる少し前、蓮との問答を思い返す。
復讐は目的ではなく、人が自分の存在を問い直すための道程なのだと。
ならば、目の前の青年は復讐ではない別の手段で自分の存在を問い直したのだ。

「なるほど。貴重なお話、ありがとうございます」

もし、同類であるのなら彼を引き込めないかとも考えていたが。
安理はエネリットとは決定的に違う。
安理は復讐の同志たり得ない。


「最後に……もし、彼と正面から相対することがあれば、どうしますか?」

「できることなら、一度言葉をかわしたい。
 場合によっては、彼を止めることも考えています」
その言葉には、どこか強い決意が秘められていた。
外に出る理由を知らず、しかしバルタザールを止めなければならないと決意する。
その答えが導き出される理由に、エネリットは心当たりがあった。

「視たんですね?」
「先ほど、彼の名が出た時。
 ボクは彼が何故恩赦を求めていたのか、知ろうとしたんです」

「――何が視えたのですか?」
「渦巻く憎悪。とめどない復讐心。そして、……あなたへの執着」

エネリットがどんな表情を浮かべていたのか。
安理は覚えていない。

図書室に入室したエンダが声をかけ、振り向いたからだ。


集荷エリアの出入り口に隙間が空いており、すぐ外に客人が訪れている。中の人間との接触を望んでいる。
ディビットと仁成からは、安理とエネリットを拾い、接触してほしい、と。
ならばと三人は集荷エリアへ向かう。
途中、ふと気になって安理はエネリットに視線を向けるも、そこには柔和な表情が在るだけだった。


<ブラックペンタゴン北西門>
PM 13:30

ブラックペンタゴン北西門外。
三人の少女は、その惨状に唖然としていた。

「これが、看守長の言っていた封鎖ですか……?」
「いや、絶対違うよ。
 これじゃ、封鎖じゃなくて崩落でしょ」
「何者かが、放送よりも先に門を破壊していたのでしょうね」


封鎖と聞いてりんかたちが想像していたのは、丈夫な鉄柵や電子制御の分厚い門扉であった。
実際に目の前に現れたのは崩れた出入り口と、積みあがった瓦礫である。
よく見ると、本来の門扉は瓦礫に噛み込み、歪な角度で停止していることが分かる。
まさかキングが腹いせに壊したなどということもないだろう。


「瓦礫を溶かし尽せば、進入できるのでは?」

ジャンヌの提案を聞いた紗奈は、手から光のリボンを構築して、門扉に巻き付ける。
触れた途端にリボンは消失し、音もなく霧散した。

「たぶん、システムAが取り付けられてる。
 瓦礫を溶かした途端に門が閉じて、完全に閉じちゃうよ」
「あ、でも下の方、少しだけ空いてるみたいですよ。
 通るのは無理ですけど……中、ちょっとだけ、見える、か、な?」

りんかが、んっとかがみ込む。紗奈とジャンヌも身を寄せる。
こぶし大の瓦礫の間からは、暗がりを照らすわずかな光が見えた。


「先ほどの轟音。間違いなくキングが関わっているでしょう。
 中にいる者も異変を察知しているはず。
 接触を試みませんか?」
「どうやって?」
「光のリボンに私の炎を載せていただけませんか?
 そして、それを建物の中に通し、人の背丈ほどの高さで固定してほしいのです」

紗奈は言われたとおりに光を練り上げ、先端に炎を灯す。
内部へ通したリボンの先で、炎がちかちかと光りだす。
明滅の間隔は一定。
点滅信号のように規則的だ。

アヴェンジャーズも他の組織と同じく、構成員にしか読み取れない暗号が存在する。
ある程度裏に通じている者なら、その文章は読み取れなくとも、意図には気付く。


異変を偵察しに来た内部の者と連絡を試みる。
偶然頼みではあるが、確度は高いだろう。

果たして、数十秒か数分か。
くすくすと、老若男女の声が入り混じった冒涜的な嗤いが三人の耳に届いた。


<ブラックペンタゴン北西エリア 物置部屋>
PM 13:40

薄明りの下、三人の男が腰を下ろしている。
ジェイ・ハリック。只野 仁成。ディビット・マルティーニ。
神一郎は未だ目覚めぬまま。
木製の台に布を引いた簡易ベッドに横たわっている。


「なあ、アンタ、何を考えてた?」
「何のことだ?」
仁成が、訝しむようにディビットに疑問を投げかけた。

「エネリットは、被験体:O突破の中核だろう。
 脱獄王が来るのに、彼がいない、じゃ締まらないんじゃないのか?」
「ふん、邪推は止せ」
ディビットは短く言い捨てた。

「ただの除外方式だ。
 ジャンヌという女は俺のような悪党は好かんだろうよ」
僅かに苛立ちが混じったような声は、ウソだとも思えない。

「それに、俺は便利屋と面識がある。神父との橋渡しができる。
 俺が行って、目の届かないところでヤツらが揉めでもしたら面倒だ。
 アンリとかいう小僧がいるなら、なおさらな」
「おいおい、俺も神父には恩義があるんだが?」
「お前は耐えられる側だろう。
 あの怪物女の威圧に耐えきって、トドメを刺したその忍耐力を俺は評価する」
「お、おう、そうか……」
冗談交じりで問い詰めた矢先に、思わぬ評価を下されてジェイは面食らう。
高い評価を得たのに、どこか居心地が悪そうだった。

仁成は静かにディビットの回答を聞き、頷いた。
理由としては不自然さはないが。


仁成は考える。
安理の超力は過去に共鳴できる。
エネリットの超力は"信頼"を介してその精度が上下する。
エネリットに安理の超力を譲渡させ、又貸しして被験体:Oの情報を絞り取る。
彼が考え付かないはずがない。
もっとも、糾弾したところで栓なきことであるのも確かだが。


「アンタはどうなんだ?
 てっきり、あの若ぇのについていくもんだと思ってたぜ?」
ジェイがパイプ椅子にもたれ、仁成を顎で指す。

「まさか、アンタも神父様に因縁があるとか言ってくれるなよ?
 一応、神父様は俺の恩人でもあんだからよ?」
信頼とは時に脆いものだとジェイは知っている。
だが、それは通すべき筋を投げ出す言い訳にはなり得ない。
これほど分かりやすい恩義すら仇で返すようであれば、己もまた容易く斬り捨てられるだろう。

ジェイの疑問に、仁成はゆっくりと首を振った。
「僕が用があるのは、ジョニーさ。
 正確にいえば、ジョニーとエンダに、一方的な"繋がり"がある」
「便利屋を名乗るだけあってヤツの仕事は手広い。
 相応に恨みを買う。裏稼業の宿命だ」
ディビットはふん、と鼻を鳴らす。

「ここ数十分の様子を見るに、エンダも思うところがあったようでね。
 私怨を振り回す娘じゃないが、無意識に影響しても困る。
 だから、先に向こうに話を通しておきたいのさ」

仁成の所感に、ジェイもディビットも眉をひそめた。
尤もな反応だ。仁成とて、エンダの振舞いから気付いたのではない。
人の有無を調べる程度が限界だったはずの黒蝿が、はっきりと被験体の情報を送り伝えていた。
恨みによって強化される超力が、明らかに午前中よりも研ぎ澄まされている。
そして仁成はジョニーとの因縁を、他ならぬ本人から聞いている。

「遠くまではいかない、少し場を外させてもらう」
仁成は椅子から立ち上がり、軽く頭を下げた。


エンダの超力の詳細を明かすつもりはなかった。
明かせば、ディビットは確実にエンダの感情を利用するだろう。

被験体に優位を取るなら、それが合理的だということは分かっている。
そして、それは仁成にとっては見過ごせない行いだ。
それを見過ごすことは、人類の発展のために仁成を実験体として使った面々と変わりはない。
彼女の感情は、彼女だけのもの。
決して他人によって左右されてよいものではないのだ。


一見した限り、ジョニーは話の分からない男ではなかった。
一部を伏せて話しても、誠実に応じてくれるだろう。

その後、エンダはジョニーを赦すのか、恨みを募らせるのか。
それとも、合理的に謝罪を突っぱねるのか。
すべては彼女の選択に委ねられなければならない。

ふと、仁成は思い出したように肩をすくめる。
ヤミナにも、エンダにダルい絡みをする前に、ワンクッション置いてやったほうがいいだろう。

仁成は一人離れ、いずれ来る脱獄王一行を真っ先に迎えに上がることにした。


<ブラックペンタゴン 北西門~集荷エリア>
PM 13:40

――ぞわり。
空気が反転する。


本能が拒絶するような、悍ましさを孕んだ嗤い声。
この世のものとは思えぬそれが、瓦礫の向こうから響き渡った。
光のリボンはいつの間にか混沌の霧に包まれ、その先の炎は視界に届かない。

紗奈はびくりと身をこわばらせた。
りんかは、即座に身を硬くし、感覚を総動員して警戒態勢に入る。

それが近づいてくる。
それが嗤いかける。
人の理の外にあるナニカが、ゆっくりと浸食してくる。

だが、ジャンヌは堂々と立っている。
異界の侵食のような異常の中で、怯むことなく、立っている。


「お久しぶりです、エンダさん。
 またしても、仕切り越しになってしまいましたが……」

ジャンヌの声は驚くほど穏やかであった。
なぜなら、彼女はその闇黒の正体を知っているから。
瓦礫の向こうで、少女がくすくすと喉を鳴らした。


「こちらこそ、久しぶりだね、ジャンヌ。
 また、幼気な少女たちを――破滅に導いているのかな?」

敬意と嘲りが入り混じる。
エンダの挨拶には、ジャンヌへの怨恨が込められていた。




ジャンヌ・ストラスブールが表社会から消えてしばらく経った頃。
裏のマーケットに、とある依頼が舞い込んだ。

『――ジャンヌ・ストラスブールとの三十分の面会を望む』


異質であった。

目的は、不明。
報酬は、破格。


ジャンヌは、異常性愛者にのみ貸し出される極秘商品。
講演や面会といった依頼は、原則弾いている。
だが、差出人の名を見た瞬間に、空気が変わった。


欧州最大の異端宗教組織。通称――ヤマオリ・カルト。


上層部からの指令は一つ。

『――この依頼を受けろ』

当時、まだ表沙汰にはしていなかったが、ヤマオリ・カルトは既に最警戒対象。
そこへ、ヤマオリ・カルト側から声をかけてきた。
利用しない手はなかった。


移送費はすべてカルト側が負担し。
ジャンヌの目は布で覆われ。
面会は御簾越しで、直接の接触の一切を禁止。
対峙するのは、声のみ。
そして、組織が信を置く見届け人を二人、随行させる。


果たして、何が中で話されたのか。
それは彼らの知るところではなかったが。

見届け人によれば、その場の空気はたいそう熱の籠ったものであったという。
商品を発注した側が、どこか緊張した様子で。
熱気に浮かされ、陶酔したような雰囲気を漂わせていたとのことだった。




御簾の向こうに座っていた人間こそが、エンダであった。
彼女は既に、"夢"を抱いていた。
人を導くとは何か、救済とは、正義とは、覚悟とは。
彼女は、探っていた。
たとえ、ジャンヌと出会わなくとも、いつかエンダは革命を試みていただろう。
だが、ジャンヌと繋がったたった数十分が、その想いを加速させたのは事実である。

「そこの女に誑かされてしまった一人として、忠告するよ。
 破滅に誘われる前に、さっさと離れたほうがいい」

ジャンヌとは人を狂わせ、破滅に導く魔性の者だとエンダは考えている。
それは、世間的には逆恨みに属するものだろう。
エンダ自身も頭では理解しているのだが、その口から吐き出される辛辣は抑えきれない。

そして、紗奈は彼女にどこか自らと通じるものを感じ取る。

人々を救いたいと願う大切な存在。
その一人を守りたい。
そんな、どこか歪な関係性を彼女は知る由もないが。
瓦礫の向こうにいる彼女に、どこか親近感を覚えつつ、はっきりと言葉を告げる。

「ジャンヌが劇薬だなんてこと、とっくに知ってる」

紗奈は重々承知の上だ。
りんかとて、思い当たる節はある。

「全部納得してここに立ってる。
 私たちは話をしに来たの。余計な探りは、いらない!」

彼女らは、ジャンヌを狂信した者の末路を見ている。
ジャンヌが人を狂わせた成れの果てを見ている。
全てを知って、ジャンヌに協力を仰いでいるのだ。


「そう、大きなお世話だったみたいだね。
 では、用件はなにかな?」

余計な前置きの一切を省き、核心に切り込む。
ジャンヌは一呼吸置き、言葉を選ぶ。


「単刀直入に言います。"牧師"ルーサー・キングを倒すため、中の方々と提携をおこないたい」

「――――。」
沈黙。そして、困惑。
二つ返事で承れない、リスクも影響も大きすぎる事案が持ち込まれた。


「これはまた、直球にきたね。そういうの、嫌いじゃないけど……」
この局面で重大な選択が持ち込まれることにエンダは閉口する想いであったが、ゆっくりと口を開く。

「確認をしておこう。
 ここにいるのは君が軽蔑するような悪党どもだ。
 私たちと手を結ぶということは、彼らと手を結ぶも同義」
エンダの声色に、相手を測るような感触が差し込まれる。

これは、その場にいるエネリットも同じ思いを共有している。
頭の固い聖女殿が、いったいどれほどの覚悟を携えてこの話を通しに来たのかが読めない。

「いざというときに、『やっぱりやめます』は通用しない。
 そのことは、重々承知の上で声をかけているんだろうね?」

ルーサー・キングに挑むとはそういうことだ。
善悪をえり好みする余裕などどこにもない。
それでは、あの男の喉元に刃を突きつけることはできない。


「その悪党とは、ディビット・マルティーニですか。それとも、ネイ・ローマンですか」
果たして、エンダたちの懸念はジャンヌにも十二分に伝わっていたようだ。
どうやら、聖女殿は自分が他人に持たれているイメージを正確に把握しているらしい。

「同行の彼女らからも釘を刺されました。
 問題ない、むしろ望ましい。
 彼らがいると踏んだからこそ、我々はここに来たのです」

聖女は悪党と絶対に組むことはない。
かつてそう言い切ったディビットの確信をも飛び越えて、ジャンヌはそれこそが望みだとすら言う。
悪を呑み込み、巨悪と対峙する強い意志が垣間見える。
何かを得るために何かを棄てる。
今のジャンヌは、表にいたころの余分を大きく削ぎ落している。


「なるほど、覚悟も十分、と。
 なら、これ以上のお節介は必要ないな」
人を惑わす様な含み笑いが、感心と呆れの色の入り混じったものに変わる。
妖しい雰囲気は薄れ行き、代わりに理知的な声へと変わる。


「初めまして、エネリット・サンス・ハルトナと申します。
 扉越しで失礼しますが、ここからは僕が担当させていただきますね」

頭の固い聖女によるえり好み。
懸念していたそれがなくなったことで、交渉に入る姿勢と相成ったのだ。

「あなた方の希望は承りました。
 ですが、僕らがその提携を受ける"旨味"が見えない。
 僕らの利益、あるいは、回避できる不利益は何でしょうか?」

ジャンヌ・ストラスブールという人物は、直球なものの言い方を好むのだろう。
呼応するように、エネリットも直球の言い方を心掛ける。
実際のところ、ディビットと組んでいるエネリットにとっては確かな利益たるのだが、それはまだ伏せておくべき事柄だ。


だが、その後ジャンヌの口から出たのは、驚くべき事実だった。

「ルーサー・キングが、ブラックペンタゴンに向かっています」
耳を疑ったが、ジャンヌは確かにそう言ったのだ。


まさに、寝耳に水。
誰もが自然と外していた可能性。
なぜ? なんのために?
疑問符が駆け巡る。

「彼は妨害により、先の放送を聞き逃しました。
 その遅れを取り戻すため、ブラックペンタゴンに足を向けたのです」


キングが放送を聞き逃す。
およそ、誰もが想定していない出来事だ。
――ディビットも、エネリットも、おそらくはキング自身も。


妨害とやらを仕掛けたのは、ジャンヌ本人だろうということは容易に想像できたが。
これをあげつらったところでキングの行動が変わるわけではない。
何かの譲歩に繋がるとも思えない。

むしろ、先刻の外部情勢の分析が効いてくる。
キングに情報を収奪されうるのは誰か?
キングと取引をおこなうのは誰か?

現時点で、瓦礫の向こうにいる三人と、廃墟にいる氷月 蓮は除外される。


「確かな回答を返すために、接触状況を教えてください。
 牧師殿と確実に接触する、あるいは確実に接触しそうにない者。
 心当たりはありますか?」
「別行動をしている人物が三人。彼女らはあの男と接触することはないでしょう。
 刑務が始まって数時間、エネリットさんと会っているとも聞いています。
 事情はご存じかと」

思わぬカウンターに沈黙が落ちる。

刑務が始まってすぐに接触し、ブラックペンタゴンにいなさそうな人物。
確かに、それに当てはまる受刑者には心当たりがある。
キングとの交渉から逃れるために利用した、アイとユキヒョウの二人組だ。

並行して導き出されるのは、ディビットがキングから殺しの依頼を持ちかけられたことをジャンヌは知っているという事実である。

情報が多いほうが、当然手札も多い。
ルーサー・キングとの接触を抑えられていたのは痛い。
エンダはキングが直々に殺害を依頼したターゲットだ。
被験体攻略に不要なために情報を共有していなかったが、手痛い一撃となって返ってきた。


「刑務が始まってしばらくして、僕は牧師殿に交渉を持ちかけられました。
 結果的に流れましたが、彼女らがそれを引き継いだと推測します。
 そこは、ジャンヌさんたちのほうが詳しいでしょう」
突如、別方向に逸れた話に、エンダと安理が怪訝な目を向ける。

「そして、その殺しのターゲットの中に、エンダさんの名があったことも事実です」
エンダの視線の温度が急激に下がった。
黒い霞が濃度を増している。

「キングは、私に刺客を送り込んできた。
 柄まで鉄でできた斧を持った受刑者を、私に差し向けてきた。
 心当たりはある?」
エンダの手に握られた首輪。
それは事実であり、牽制だった。
誤魔化しは許さない、と。
お前はキングと通じていないだろうなと、暗に問うているのだ。


「その後、僕らは牧師殿とは一切の接触はありません。
 被験体攻略にあたり、牧師殿は関係がなかったため話題にも出しませんでした。
 いらぬ不安を招いたようで申し訳ない」
「……まあ、そういうことにしておこう。
 私個人としては、ジャンヌと組むことに賛成だ」

エンダが意見を表明する。
元々エネリットとしても受諾のほうに寄っていたが、ここに来て交渉の幅が大きく狭まった。


瓦礫越しでは、向こうの表情を読めず、
さらに旗色の悪いことに、この場にいる誰もが、ジャンヌ・ストラスブールの最新の情報を持っていない。
悪党とすら手を携えるというのは、誰もが抱くジャンヌのイメージから外れたものだ。
初手でこれを持ってきたために、相手の手が読めない。

交渉にあたり、間違いなく準備をしていることが伺える。


「内部のゴタゴタにつき、失礼。
 ちなみに、その三人の中に男性は?」
「全員女性です。男性はいません」
「であれば、牧師殿が接触する可能性が高いのは、バルタザール・デリージュということですか……」


声色こそ保っているが、エネリットは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。
ハイ・オールドがキングと組む――考え得る限り、最悪のシナリオだ。

キングの首輪は10ポイント、恩赦のために狙うにはあまりにリスキー。
むしろ、キングと組んで"殺しの依頼"を遂行することこそ、絶対的な利益となる。
戦力とポイント、そして出所後の外における金銭や"足"。
互いの欲しいものが見事に噛み合っている。


だが、まだ結論は出せない。
キングとバルタザールが出会わない可能性も十二分にある。
そうなれば、キングと戦わせられるリスクだけを負うことになるメンバーが出る。
後々破棄を選ぼうとも、それ自体がキングに対する巨大な"借り"となるだろう。


エンダは、受諾に肯定的だ。
一方で安理は眉をひそめており、否定的――というよりも、判断に困っているのだろう。

エネリットはキングとの対決も覚悟の上だ。
その前提でディビットと同盟を結んでいる。
だが、これ以上その他のメンバーからの信頼を損ねるのは非常に痛い。
このリスクを呑み込めるだけの一押しを引き出したい。


「概況は理解しました。
 では、牧師殿に対する、勝算は?」
「私たちだけじゃ勝てない。だから、メンバー次第。
 でも、あいつにも通用する切り札がある。
 "奥の手"ごと、封じられる切り札がある」

声が変わった。ジャンヌではない、別の同行者の声だ。
そして、彼女が自信を持って宣言する切り札があるという。


「それを、僕らに言ってしまっても?」
「いい。だって、その切り札はみんな使えるからね。
 キングに使うべきだと思うけど……キング以外にも通用する」

交渉の主導権自体はジャンヌらに傾いている。
されど、彼女らは交渉を確実に締結させようとする気概を感じた。
ならば、あると思っていた。
その"切り札"こそが、こちらに利を与えてくれる奥の手だ。

「私の手錠についたシステムAを、私は一回だけ起動できる」
「僕らが使うとすれば、その条件は?」
「手錠をハメて、私に合図をすればいい。
 ああ、大人はタダが怖いんだっけ? 100ポイントの首輪と交換はどうかな?
 前払いでも後払いでもいいけど、手錠だけ持って逃げるなんてのは、ナシだからね?」


エネリットは、熟考する。
100ポイントは用意できる。ディビットに話を通せば、通る可能性は高い。
それとは別口に、ここに来る途中にもう一つ首輪を拾っている。
条件自体は難しくない。

キングを倒すという制約は課せられるが、システムAが使えるというのは戦術の幅も選択肢も大幅に広がる。
被験体ならびにバルタザールにも通用する、まさに切り札だ。

ただ、このような感情の波は、交渉におけるノイズであることも、エネリットは知っている。
それに、どちらにしろ知らぬところでキングとの対決が決まるのは、他のメンバーの信用を棄する。


「一度、持ち帰らせてもらえますか。
 僕らだけで決定をするには、あまりに事態が大きい。
 話を通す必要があります」
「そうだよね。私もそう思うよ。
 ねえ、20ポイントの恩赦ポイントはあるかな?」
「20ポイント?
 ――なるほど、通信機ですか。
 これで、内と外で連絡を取り合うことができる、と」

20ポイントを消費して購入する通信機。
一台では効力を発揮できず、二台用意してはじめて意味を持つ特殊な器具。


「首輪なら、ここにありますが……」
安理の差し出したそれは、図書室から集荷エリアに来る途中に見つけた首輪であった。
ルクレツィア・ファルネーゼの100ポイントの首輪。
すべての生命力を使い果たし、灰のように朽ち果てた彼女の遺骸に埋まっていたそれを、安理が拾いあげたのだ。

「いえ、それには及びません」
その首輪を使おうとする安理を押しとどめる。

100ポイントの首輪は使い道がある。
向こうが首輪を要求してきたというのは、彼女らの中に恩赦を狙っている人間がいるということだ。

エネリットは隠し持っていた宮本 麻衣の首輪を利用し、20Pを取得して通信機を購入した。
瓦礫の向こうから届くのと同じ声が、通信機の向こうから聞こえてくる。

エネリットとしては、賛同の人数はともあれ、提携自体は成立すると考えている。
それに今、外とつながりを持てるのは大きい。
ブラックペンタゴンの入り口で確実に待ち構えているであろう男、バルタザールに、先手を打つことができるからだ。
あとの問題は、こちらの調整次第だろう。


「最後に……。念のために、あなた方に二心がないかを確かめさせていただきたい。
 安理さん、お願いできますか?」
「ええ、分かりました。
 ――北鈴 安理です。ボクの超力は、過去を知ることができる。
 そちら三人で合意をした瞬間。その記憶を見せていただけますか?」
「構いません。おおよそ1時間前をご覧いただければ」
「分かりました。それでは、失礼して――」



PM 14:00 <ブラックペンタゴン北西エリア 集荷エリア>


「……さん? 安理さん?」
どこか遠くから自分を呼ぶ声が、霧の中のようにぼやけて届いた。
エネリットが困ったような表情を浮かべ、エンダは呆れたように眉をひそめている。

「へっ、あれ? 気絶していた? 何分!?」
「落ち着いてください。まだほんの五分程度です。
 ……安理さん、もしかして、一度も食事を摂っていなかったのでは?」

確かに、喉が異様に渇いている。
腹がきゅっと締め付けられるようで、頭の奥がどこか痛む。
バツが悪そうな表情をする安理に、エネリットは困ったような笑顔を浮かべて、懐を探り出す。
現れたのは、僅かばかりの携帯食料だった。

「食べてください。あなたの超力は、おそらく脳への負担が極端に大きい。
 無理をすれば、被験体以前にあなたが倒れます」
「遠慮せずにもらったほうがいいよ。
 私はたくさんもらったから」
「肝心な情報を伝え忘れていたことへの、僅かばかりのお詫びだと思っていただければ」

よく見れば、エンダの手は小麦の粉でまみれていた。


「というか、話は終わったんですか?」
「覚えてない? 『問題なさそうです』って言った直後に、膝を付いたんだけど。
 向こうも、慌てて瓦礫越しに超力で君を治療しようとして、騒がしかったね。
 ジャンヌ、だいぶ詰められてたんじゃないかな? なかなか見ものだったよ」
「会話自体はつつがなく終え、後は返事のみです。
 ですので、僕はこれから、向こうに話を持って行きます。
 安理さんは、ここで少し休んだほうがいい」
「例の手錠の受け渡しのこともある。私もここにしばらく留まるから、変な気遣いはいらないよ」
そういって、エンダは未使用の100Ptの首輪をひらひらと振る。

「それでは、急いで話を通してきます」
「次は、密約の内容を忘れるのはナシでお願いするよ」
エンダの皮肉に、エネリットは苦笑を返す。
そのまま速やかに、部屋の出口へと足を向けた。


安理は床に寝転び、少しだけ目を閉じる。
床を伝って、どこか遠くで何かが揺れて響いているような気がしたが、
それが振動なのか頭痛なのかはよく分からなかった。


十人の受刑者は、各々の思惑に従って動いていく。
同時刻、エントランスホールで起こっている死闘について。
彼らの誰もが考えもしなかった出来事について、今の彼らが知る由もなかった。


【D-4/ブラックペンタゴン北西門外側/一日目・午後】
【葉月 りんか】
[状態]:疲労(小)、紗奈に対する信頼と不安
[道具]:治療キット
[恩赦P]:20pt (ジルドレイの首輪から取得、治療キット -50pt 通信機 -20pt 食料 -10pt)
[方針]
基本.――――姉のように、救って、護って、死にたい。その為に、償い続ける。
0.自分を救い、命を奪われたハヤトとセレナの分まで戦い抜く覚悟。
1.紗奈のような子や、救いを必要とする者を探したい。
2.紗奈やジャンヌと協力してルーサーを討つ。
3.紗奈が道を踏み外さないように目を外さない
4.この刑務の真相も見極めたい。
※羽間美火と面識がありました。
※超力が進化し、新たな能力を得ました。
 現状確認出来る力は『身体能力強化』、『回復能力』、『毒への完全耐性』です。その他にも力を得たかもしれません。
※超力の効力により新たに『精神強化』が追加されました。

【交尾 紗奈】
[状態]:気疲れ(大)、強い決意、りんかへの依存、ヒーローへの迷い
[道具]:紗奈の手錠&鍵、ハヤトの手錠、紗奈のシステムAの手錠、通信機
[方針]
基本.りんかを守る。りんかを支える。りんかを信じたい。
0.りんかのために戦う。でも、それだけでよくなかった、何もかもが足りなかった。
1.ブラックペンタゴン内部の人間と結託し、何としてもルーサーを殺害する。
2.りんかの恩赦のためにポイントを集める。
3.ジャンヌのためにりんかが犠牲にならないか警戒。

※手錠×2とその鍵を密かに持ち込んでいます。
※葉月りんかの超力、 『希望は永遠に不滅(エターナル・ホープ)』の効果で肉体面、精神面に大幅な強化を受けています。
※葉月りんかの過去を知りました。

※新たな超力『繋いで結ぶ希望の光(シャイニング・コネクト・スタイル)』を会得しました。
現在、紗奈の判明してる技は光のリボンを用いた拘束です。
紗奈へ向ける加害性が強いほど拘束力が増し、拘束された箇所は超力が封じられるデバフを受けます。
紗奈との距離が離れるほど拘束力は下がります。
変身時の肉体年齢は17歳で身長は167cmです。

【ジャンヌ・ストラスブール】
[状態]:疲労(小)、全身にダメージ(中)、超力成長中
[道具]:流れ星のアクセサリー
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.正義を貫く。
1.ブラックペンタゴン内部の人間と結託し、ルーサー・キングを討つ。
2.日月やりんかを次代のホープとして守りたい。
3.刑務の是非、受刑者達の意志と向き合いたい。

※ジャンヌが対立していた『欧州一帯に根を張る巨大犯罪組織』の総元締めがルーサー・キングです。
※ジャンヌの刑罰は『終身刑』ですが、アビスでは『無期懲役』と同等の扱いです。

※流れ星のアクセサリーには他人の超力を吸収して保存する機能があるようです。
 吸収条件や吸収した後の用途は不明です。
※流れ星のアクセサリーに保存されていた『フレゼア・フランベルジェ』の超力を取り込みました。
 フレゼアの超力が上乗せされ、ジャンヌの超力が強化されています。
 完全に肉体に馴染んだ時、更なる進化を遂げる可能性があります。


【D-4/ブラックペンタゴン北西エリア・集荷エリア/一日目・午後】
【エンダ・Y・カクレヤマ】
[状態]:ダメージ(微小)
[道具]:デジタルウォッチ、探偵風衣装、ドンの首輪(使用済み)、ドンのデジタルウォッチ、図書室の本数冊、ルクレツィア・ファルネーゼの首輪(未使用)
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.脱出し、『エンダの願い』を果たす。
0.囚人共は勝手に殺し合っていればいいが、ブラックペンタゴン脱出までは協力する
1.ルーサー・キングには警戒。ジャンヌとの提携について考える
2.仁成と共に首輪やケンザキ係官を無力化するための準備を整える。
3.ヤミナ・ハイドは、まあいいか。
4.今の世界も『ヤマオリ』も本当にどうしようもないな……。
※エンダの超力は対象への〝恨み〟によって強化されます。
※エンダの肉体は既に死亡しており、カクレヤマの土地神の魂が宿っています。この状態でもう一度死亡した場合、カクレヤマの魂も消滅します。
※黒靄による超力干渉でエルビスの腐敗毒をある程度遮断できます。
ただし〝恨み〟による強化が発揮しない限り、完全な無効化は出来ないようです。


【エネリット・サンス・ハルトナ】
[状態]:全身にダメージ(微小)
[道具]:デジタルウォッチ、宮本麻衣の首輪(使用済)、通信機
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.復讐を成し遂げる
1.ジャンヌとの提携についてディビットと相談する
2.安理との信頼を深め、被験体やバルタザールについての情報を得る
3.門番を超える策を練る
4.ディビットの信頼を強める
5.…命を懸ける理由、か。
※現在の超力対象は以下の通りです。
【徴収】などが対象に発覚した場合、信頼度の変動がある可能性があります。

①マーガレット・ステイン(刑務官)
信頼度:80%(超力再現率40%)
効果上限:徴収(相手の同意なしの超力借り受け。再現度は信頼度の半分)
超力:『鉄の女』

②ディビット・マルティーニ
信頼度:60%(超力再現率同値)
効果上限:献上(双方の同意による超力の一時譲渡。再現度は信頼や忠誠心に比例)
超力:『4倍賭け』

③~⑤ジョニー・ハイドアウト、メリリン・"メカーニカ"・ミリアン、只野仁成
信頼度:全て10%前後
効果上限:献上(双方の同意による超力の一時譲渡。再現度は信頼や忠誠心に比例)
超力:『鉄の騎士(アイアン・デューク)』、『補え、私の愛する人工物質(モルデオ・アルティフィシアル)』、『人類の到達点(ヒトナル)』

⑥サリヤ・"キルショット"・レストマン
信頼度:5%未満
効果上限:献上(双方の同意による超力の一時譲渡。再現度は信頼や忠誠心に比例)
超力:『楽園の切符』(我喰いによって倍率低下)

【北鈴 安理】
[状態]:上半身インナー姿、右腕に打撲、疲労(中)、気疲れ(中)、脳への負担(中)
[道具]:デジタルウォッチ
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本:自分の罪滅ぼしになる行動がしたい。自分なりに、調査を進め弱い人を助ける探偵として動きたい。
0.ブラックペンタゴン内の他の受刑囚と接触し、被検体:Oの情報を伝える。
1.自分の意思で、この刑務作業の真実を知りたい。
2.バルタザールがまだ破壊の限りを尽くすようなら、被害をできるだけ抑えたい。
3.本当に恩赦が必要な人間がいるなら、最後に殺されてポイントを渡してもいい。けれど、今はもう少し考えたい。
※イグナシオの過去、大金卸とのあらましについて断片的に知りました。少なくとも回想で書かれた全てを聞いているわけではありません。
 まだ聞いていない部分について、今後間違った妄想や考察をする可能性もあります。

※超力が変化し、常時発動型の竜人となりました。
 氷龍と比べ冷気の攻撃性能が著しく落ちる代わりに、安定した身体能力の向上を獲得しました。
※他人の記憶を追体験する力を得ました。
 追体験出来るのは自身と直接会話をした事がある人物に限られます。
 記憶の中では五感全てが再現されるため脳への負担が大きく、無茶な使用は精神の崩壊に繋がります。
 また、記憶の持ち主が死亡する場面まで追体験を続けた場合、安理自身も廃人となります。


【E-4/ブラックペンタゴン南西エリア・階段部屋入り口/一日目・午後】
【只野 仁成】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(微小)、服の全面が溶けている、精神汚染:侮り状態、強い覚悟
[道具]:デジタルウォッチ、図書室の本数冊
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.生き残り、家族の安否を確かめたい。
0.協力してブラックペンタゴンの脱出を目指す。今のところはまだ、殺し合いに乗るつもりはない。
1.エンダのいないところで、ジョニーと話をする
2.エンダに協力して脱出手段を探す。
3.ルーサー・キングとギャル・ギュネス・ギョローレンには警戒する。
※エンダが自分と似た境遇にいることを知りました。
※ヤミナの超力の影響を受け、彼女を侮っています。
※ルクレツィアの超力譲渡によって骨折がおおむね治癒しています。

【D-4/ブラックペンタゴン北西エリア・物置/一日目・午後】
【ジェイ・ハリック】
[状態]:全身にダメージ(微小)
[道具]:デジタルウォッチ
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.生き延びる。チャンスがあれば恩赦Pを稼ぎたい。
0.ブラックペンタゴン脱出に協力する
1.各所の同盟者の用事が終わるのを待つ
2.バルタザール・デリージュに対する警戒。

【ディビット・マルティーニ】
[状態]:全身にダメージ(微小)
[道具]:デジタルウォッチ、ドミニカ・マリノフスキの首輪(未使用)、メアリー・エバンスの首輪(未使用)、携帯食料
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.ルーサー・キングを殺す、その為の準備を進める。
0.ブラックペンタゴンからの脱出を果たす
1.各所の同盟者の用事が終わるのを待つ
2.ネイ・ローマンと提携を結ぶ
3.エネリットの取引は受けるが、警戒は忘れない。とはいえ少しは信頼が増した。
4.タバコは……どうするか。


【夜上 神一郎】
[状態]:意識不明、右足欠損(応急処置済み)
[道具]:デジタルウォッチ
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本:救われるべき者に救いを。救われざるべき者に死を。
0.気絶中。
1.同行する安理を最大の観察対象として、彼の「審判」に集中する。
2.なるべく多くの人と対話し審判を下す。
3.できれば恩赦を受けて、もう一度娑婆で審判を下したい。
4.あの巡礼者に試練は与えられ、あれは神の試練となりました。乗り越えられるかは試練を受けたもの次第ですね。誰であろうと。
5.“鉄の騎士”は、いずれ裁く。
6.バルタザールの動向に興味。いずれ対話し審判を下したい。
※刑務官からの懺悔を聞く機会もあり色々と便宜を図ってもらっているようです。
 ポケットガンの他にも何か持ち込めているかもしれません。

129.覚悟 投下順で読む 130.会議は踊る、されど
時系列順で読む
覚悟 ジャンヌ・ストラスブール 会議は踊る、されど
葉月 りんか
交尾 紗奈
黄金の七人 只野 仁成
エンダ・Y・カクレヤマ
ジェイ・ハリック
ディビット・マルティーニ
エネリット・サンス・ハルトナ
北鈴 安理
夜上 神一郎

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最終更新:2025年10月26日 12:15