「え？誰ですか？
・・・・あぁ、彼女ですか。
確かに私は彼女の事を知っています。
何せ同じ孤児院で育ちましたからね。
え？あぁ、はい。中学を出るまでの１５年間です。
「どんな人間かと言われると難しいですが。
とても変わった思想の持ち主で恐ろしく頭が良かった。
小学２年だったかな、どこだかの大学の偉い先生を言い負かした事もありました。どんな話だったかは覚えてませんが・・・
それに凄く美しかった。
少しパーマがかった黒髪に褐色の肌、少しだけ緑がかったような瞳。たぶんハーフかなんかだったんじゃないですかね。
あなたもそう思うでしょ？
え？思想？
すいません、昔を思い出したら話がずれちゃいましたね。
「彼女は【世界が自分と共に生まれ、自分と共に消える】と本気で信じていたんです。
まぁ、分からなくもないですがね。
私たちは生まれる前の事は分からないし、死んだ後のことも分かりませんから。
彼女曰く、学校で習う歴史やなんかは全て作り話だそうですよ。
「それで、彼女がどうかしたんですか？
「へぇ～!そうですか!国防省に!？
しかも結構偉いとこにいて世界中を飛び回ってるんですかぁ・・・流石だなぁ～。
頭も良くて、更に努力家でしたからねぇ～。
あ、写真ですか。
うん、やっぱり美人だ・・・
へぇ～、こりゃ凄いな。
ホワイトハウス、コロッセオ、エアーズロックに万里の長城・・・イースター島まで!
２００以上の写真が全部違う場所ですね。
あぁ、この写真はここから１０km程離れた場所ですよ!
ふふ・・・いや、失礼。何か彼女が旅行してるみたいに見えたので。
「え？名前？
えーっと、何だったかな。
なにぶん２０年も前ですからね・・・
あなたも知らんのですか？
ん？
知らんのですか？
知らんの・・・？
知らん・・・ぬ？
あ。そうだそうだ!
『シラーヌ』ですよ、『シラーヌ』!!
思い出しました!
「それで、彼女がどうかし
―――ＴＨＥ ＥＮＤ
当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用、AI学習の使用を禁止します。
