――良かった……この旅は無駄ではなかった。
北樺太の氷上にて、キロランケは死にかけていた。
『さっき全部思い出した』
己にすがりつく青い目の少女の一言で、ふっとキロランケの身体から力が抜ける。
やりきったのだ。少女…アシリパを連れて旅してきたのは無駄ではなかった。
キロランケの脳裏を旅の思い出が駆け巡り、それはやがて過去へ。日本の妻子や、同胞であるウイルクとソフィアへとスライドする。
やりきったのだ。少女…アシリパを連れて旅してきたのは無駄ではなかった。
キロランケの脳裏を旅の思い出が駆け巡り、それはやがて過去へ。日本の妻子や、同胞であるウイルクとソフィアへとスライドする。
息を引き取ったキロランケの身体に、アムール川の流氷が積まれる。
ここで一つの怪事が起こった。氷を積まれたキロランケの身体が、音もなく姿を消したのだ。
使っていたマキリをキロランケの墓標とするべく氷を取り除けたソフィアは、唖然とした様子でしばし凍り付いた。
彼女がいくら考えようと、何が起こったかは分からない。
ここで一つの怪事が起こった。氷を積まれたキロランケの身体が、音もなく姿を消したのだ。
使っていたマキリをキロランケの墓標とするべく氷を取り除けたソフィアは、唖然とした様子でしばし凍り付いた。
彼女がいくら考えようと、何が起こったかは分からない。
意識の喪失。そして覚醒。
目を覚ましたキロランケは自らの身体を確かめる。絶命したはずだが、怪我どころか痛みすらない。
眠りから覚めた、としか思えないが、この場に招かれるまでの戦いが夢であったと思うほど彼は愚かではなかった。
眠りから覚めた、としか思えないが、この場に招かれるまでの戦いが夢であったと思うほど彼は愚かではなかった。
「ようこそ、常ならぬ願望を抱く者よ」
星々が煌めく中で、男の声が響いた。
星々が煌めく中で、男の声が響いた。
◇ ◇ ◇
予選を突破後、奇妙な神父に解説を受ける。キロランケは聖杯戦争なる奇怪な催しに巻き込まれたらしい。
過去の英雄と組んで殺し合いを勝ち抜いた者には、万能の願望機が与えられる、というもの。
教会を出、異様な文化と人々にひとしきり驚いた後、キロランケは着ていたアイヌの服と身体を確かめる。
体調は万全。祖国の事はアシリパ達に任せ、そろそろ自分の心配をしようか、と考えを巡らせた時、キロランケに声を掛ける者がいた。
サーヴァントだ。キロランケが共に戦う事になる男だ。青々とした髭で顔を覆った、眼差しの鋭い東洋人。
過去の英雄と組んで殺し合いを勝ち抜いた者には、万能の願望機が与えられる、というもの。
教会を出、異様な文化と人々にひとしきり驚いた後、キロランケは着ていたアイヌの服と身体を確かめる。
体調は万全。祖国の事はアシリパ達に任せ、そろそろ自分の心配をしようか、と考えを巡らせた時、キロランケに声を掛ける者がいた。
サーヴァントだ。キロランケが共に戦う事になる男だ。青々とした髭で顔を覆った、眼差しの鋭い東洋人。
「俺は此度、お主と共に戦うことになる。よろしく頼む」
サーヴァントの礼に対し、キロランケは苦い顔をした。神父の説明だと元の世界に戻っても、死んだ事実は変わらない。
キロランケは不本意であるが、どうやらこの殺し合いに乗るしかないようだ。そのことをサーヴァントに告げる。
キロランケは不本意であるが、どうやらこの殺し合いに乗るしかないようだ。そのことをサーヴァントに告げる。
「此度の戦は本意ではないのか」
「まあな。だがまぁ、素人じゃないんでね。足手まといにはならないようにするさ」
「…どういう意味だ?」
「まあな。だがまぁ、素人じゃないんでね。足手まといにはならないようにするさ」
「…どういう意味だ?」
男は眉根を寄せる。
キロランケは自らの身の上について、かいつまんで話す事にした。
見たところ和人のようだし、身に付けた装束から判断するに、明治政府やロシアと関わりはないだろう。明かして困る秘密でもなさそうだ。
願いにも関わる為、話しておいた方が後々都合がいいはず。
その前にキロランケは自己紹介をしていなかった事に思い至り、男に己の名を伝えた。
男は境井仁、クラスは暗殺者と名乗った。その途端、キロランケの懐に入れていたサーヴァントカードが光り、取り出すとそこにはクラスと真名が刻印されていた。
キロランケは自らの身の上について、かいつまんで話す事にした。
見たところ和人のようだし、身に付けた装束から判断するに、明治政府やロシアと関わりはないだろう。明かして困る秘密でもなさそうだ。
願いにも関わる為、話しておいた方が後々都合がいいはず。
その前にキロランケは自己紹介をしていなかった事に思い至り、男に己の名を伝えた。
男は境井仁、クラスは暗殺者と名乗った。その途端、キロランケの懐に入れていたサーヴァントカードが光り、取り出すとそこにはクラスと真名が刻印されていた。
「……と、俺の身の上については、だいたいこんなところだ」
「…大国が小さな営みを踏みにじり、やがて信仰すら奪っていくか。主の祖国も変わらぬな」
「心当たりがあるようだな」
「…大国が小さな営みを踏みにじり、やがて信仰すら奪っていくか。主の祖国も変わらぬな」
「心当たりがあるようだな」
夜のバルコニーで、仁は感じ入る様子でキロランケを見た。
君主制の打倒を目指す、少数民族の闘士。仁はキロランケのサーヴァントとして招かれた理由を悟った。
君主制の打倒を目指す、少数民族の闘士。仁はキロランケのサーヴァントとして招かれた理由を悟った。
「…主は、聖杯に如何なる望みを託す?」
「俺は、俺の国をぶっ壊す。同志たちと共に」
「家族のもとに帰ろうとは思わぬのか?」
「俺は、俺の国をぶっ壊す。同志たちと共に」
「家族のもとに帰ろうとは思わぬのか?」
仁は痛々しそうにキロランケを見つめる。
「そりゃ思うさ、けどな、革命も捨てられない。勝ち残れば両方手に入る」
この街は、本来自分が生きた時代から随分と未来の技術が使われているらしい。
しかし、キロランケにとってはさほど関係ない。帝政ロシアとの闘争に持ち込めるわけでもないのだ。
勝ち残り、もう一度ソフィア達と共に戦うのだ。戦わなければ、自分達は呑み込まれてしまう。
しかし、キロランケにとってはさほど関係ない。帝政ロシアとの闘争に持ち込めるわけでもないのだ。
勝ち残り、もう一度ソフィア達と共に戦うのだ。戦わなければ、自分達は呑み込まれてしまう。
「俺の話はそろそろいいだろ、境井は何を願うんだ?」
「俺は聖杯を求めぬ。お主を家族と同胞のもとに帰すことが、俺の望みだ。聖杯は持っていけ」
「おいおい、そりゃ通らない。戦うのはアンタだ、使う権利はむしろそっちにある」
「いや、俺は日本がいまだに日本として存続している、それだけで満足だ。お主を死なせたくないのだ…」
「俺は聖杯を求めぬ。お主を家族と同胞のもとに帰すことが、俺の望みだ。聖杯は持っていけ」
「おいおい、そりゃ通らない。戦うのはアンタだ、使う権利はむしろそっちにある」
「いや、俺は日本がいまだに日本として存続している、それだけで満足だ。お主を死なせたくないのだ…」
この男もまた、大国による侵略という憂き目にあい、厳しい戦いを始めている。共に渡って助けとなれれば幸いだが、それが出来ぬならせめて聖杯を託す。
「主よ、これより先、俺の事はアサシンと呼べ。癖をつけろ。それからどのように動く?」
「参加者を捕捉する。同盟を組んでもいいが、数は少ない方がいい。明日から探索に出てくれ」
「承った」
「参加者を捕捉する。同盟を組んでもいいが、数は少ない方がいい。明日から探索に出てくれ」
「承った」
キロランケは仁と共に、万華鏡のようにきらめく街へと身を躍らせた。
【サーヴァント】
【クラス】
アサシン
【クラス】
アサシン
【真名】
境井仁
境井仁
【出典】
Ghost of Tsushima
Ghost of Tsushima
【性別】
男性
男性
【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷B 魔力E 幸運D 宝具B+
【属性】
中立・中庸
中立・中庸
【クラス別能力】
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。
【保有スキル】
千里眼:C
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
仁は遠方から攻略する野営や砦を探り、練った策により陥落させてきた。
千里眼:C
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
仁は遠方から攻略する野営や砦を探り、練った策により陥落させてきた。
単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。
破壊工作:D
戦闘を行う前、準備段階で相手の戦力をそぎ落とす才能。
毒を盛る、罠を仕掛ける、闇に紛れて忍び込むなどゲリラ戦に長ける。
ただし、このスキルが高ければ高いほど、英雄としての霊格は低下していく。
戦闘を行う前、準備段階で相手の戦力をそぎ落とす才能。
毒を盛る、罠を仕掛ける、闇に紛れて忍び込むなどゲリラ戦に長ける。
ただし、このスキルが高ければ高いほど、英雄としての霊格は低下していく。
心眼(真):C
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
対毒:C+
毒物に対する耐性。ランク分、毒効果を軽減する。
毒を受けてなお、行動を可能とし、また生存した逸話に由来。
生前はトリカブトの毒を武器として用いており、英霊となってからは植物に由来する毒性に強い抵抗力を発揮する。
毒物に対する耐性。ランク分、毒効果を軽減する。
毒を受けてなお、行動を可能とし、また生存した逸話に由来。
生前はトリカブトの毒を武器として用いており、英霊となってからは植物に由来する毒性に強い抵抗力を発揮する。
【宝具】
『闇より来る冥人(ゴースト・オブ・ツシマ)』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
蒙古が対馬を侵略した時、希望と嫌悪と共に人々が噂した伝説と、暗殺者としての戦いぶりが宝具に昇華されたもの。
展開中はストーキング、気配感知、啓示などの知覚系スキルや探知宝具・ならびに同等の礼装の威力を宝具ランク分、削減する。
相手の五感による判定を封じる事こそできないが、気配遮断スキルと併用すれば、極めて高い隠密性を発揮する。
『闇より来る冥人(ゴースト・オブ・ツシマ)』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
蒙古が対馬を侵略した時、希望と嫌悪と共に人々が噂した伝説と、暗殺者としての戦いぶりが宝具に昇華されたもの。
展開中はストーキング、気配感知、啓示などの知覚系スキルや探知宝具・ならびに同等の礼装の威力を宝具ランク分、削減する。
相手の五感による判定を封じる事こそできないが、気配遮断スキルと併用すれば、極めて高い隠密性を発揮する。
加えて、相手が侵略者、征服者としての属性を持つ英霊だった場合は追加効果が発生。
保有する吹き針に毒を付加する事が可能になり、これは魔術抵抗によって威力を減衰させることはできない。
さらに対象となる英霊に対して与える格闘ダメージに、有利な補正が与えられる。
保有する吹き針に毒を付加する事が可能になり、これは魔術抵抗によって威力を減衰させることはできない。
さらに対象となる英霊に対して与える格闘ダメージに、有利な補正が与えられる。
『冥人奇譚(レジェンド・オブ・ツシマ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
蹂躙されし民には希望を、征服者に恐怖をもたらした冥人の伝説。
仁はアサシンでありながら、存在を把握されることで力を増す。存在を把握されるほど行動による魔力消費が減少。
仮に聖杯戦争に参加している主従すべてが仁の存在を知った場合、魔力消費がおよそ半分にまで減る。自分の意思で発動できない代わりに、発動・維持にかかる魔力負担が存在しない。
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
蹂躙されし民には希望を、征服者に恐怖をもたらした冥人の伝説。
仁はアサシンでありながら、存在を把握されることで力を増す。存在を把握されるほど行動による魔力消費が減少。
仮に聖杯戦争に参加している主従すべてが仁の存在を知った場合、魔力消費がおよそ半分にまで減る。自分の意思で発動できない代わりに、発動・維持にかかる魔力負担が存在しない。
【weapon】
境井家の太刀、境井家の短刀。吹き針、くない。
境井家の太刀、境井家の短刀。吹き針、くない。
仁は飛び道具を使いこなすが、クラス補正、知名度補正により吹き針とくないしか持ってこられなかった。
アーチャークラスでの召喚の場合、吹き針に加えて弓矢を所持している。
加えて開催場所が対馬に近い場所であった場合、てつはうや煙玉、爆竹といった武器を所有していた。
アーチャークラスでの召喚の場合、吹き針に加えて弓矢を所持している。
加えて開催場所が対馬に近い場所であった場合、てつはうや煙玉、爆竹といった武器を所有していた。
【人物背景】
十三世紀後半、モンゴル帝国が送り込んだコトゥン・ハーン率いる軍団が対馬に上陸。
現地の武士団がこれを防ぐべく、志村家当主指揮の下、モンゴル軍と激突するも敗退。武士団は全滅したが、志村家当主の甥、境井仁は辛くも生き延びる。
目を覚ました仁は囚われた叔父を助け出すべく、ハーンに挑むも敗北した彼は、やがて武士の道から外れた「冥人」として対馬を覆うモンゴル軍と戦っていく。
十三世紀後半、モンゴル帝国が送り込んだコトゥン・ハーン率いる軍団が対馬に上陸。
現地の武士団がこれを防ぐべく、志村家当主指揮の下、モンゴル軍と激突するも敗退。武士団は全滅したが、志村家当主の甥、境井仁は辛くも生き延びる。
目を覚ました仁は囚われた叔父を助け出すべく、ハーンに挑むも敗北した彼は、やがて武士の道から外れた「冥人」として対馬を覆うモンゴル軍と戦っていく。
【聖杯にかける願い】
戦いの中で喪われた人々を惜しむ気持ち、キロランケの故郷を思う心が、自分を彼に宛がったのだろうと思っている。
召喚当初の時点で聖杯を狙う気はなく、キロランケを生還させるために動くつもりだ。
戦いの中で喪われた人々を惜しむ気持ち、キロランケの故郷を思う心が、自分を彼に宛がったのだろうと思っている。
召喚当初の時点で聖杯を狙う気はなく、キロランケを生還させるために動くつもりだ。
【方針】
マスターの方針通り、まずは偵察から始める。
マスターの方針通り、まずは偵察から始める。
【把握媒体】
Ghost of TsushimaはPlayStation 4およびPlayStation 5用ソフトです。
某動画サイトにプレイ動画が投下されています。
Ghost of TsushimaはPlayStation 4およびPlayStation 5用ソフトです。
某動画サイトにプレイ動画が投下されています。
【マスター名】
キロランケ
キロランケ
【出典】
ゴールデンカムイ
ゴールデンカムイ
【性別】
男性
男性
【Weapon】
なし。
なし。
【能力・技能】
爆弾の扱いに長けており、若い頃に皇帝アレクサンドル2世を爆殺した筋金入りのテロリスト。
ロシア語やアイヌ語、日本語など様々な言語が堪能。さらに子供のころから馬に親しんでいたことから、優れた騎乗技術を持つ。
爆弾の扱いに長けており、若い頃に皇帝アレクサンドル2世を爆殺した筋金入りのテロリスト。
ロシア語やアイヌ語、日本語など様々な言語が堪能。さらに子供のころから馬に親しんでいたことから、優れた騎乗技術を持つ。
【人物背景】
10代半ばで皇帝暗殺を実行した、パルチザンの一員であるタタール人の男。
皇帝殺害後、リーダー格であるソフィアらと共に逃亡生活を続けた彼は、やがて日本に渡る。
現地で所帯を持ったキロランケだったが、旧友ウイルクの娘であるアシリパの周囲に湧いた金塊争奪に加わると、アシリパを網走にて杉元一行から引き離し、脱獄囚の白石らを伴ってロシアを目指す。
10代半ばで皇帝暗殺を実行した、パルチザンの一員であるタタール人の男。
皇帝殺害後、リーダー格であるソフィアらと共に逃亡生活を続けた彼は、やがて日本に渡る。
現地で所帯を持ったキロランケだったが、旧友ウイルクの娘であるアシリパの周囲に湧いた金塊争奪に加わると、アシリパを網走にて杉元一行から引き離し、脱獄囚の白石らを伴ってロシアを目指す。
【聖杯にかける願い】
帝政ロシアの打倒、および日本に残してきた家族の幸福。
帝政ロシアの打倒、および日本に残してきた家族の幸福。
【方針】
参加者を把握し、少数なら同盟を組むことも考える。
参加者を把握し、少数なら同盟を組むことも考える。
【ロール】
自然区域で狩りや野草の収集をし、都市でそれを売っている。
自然区域で狩りや野草の収集をし、都市でそれを売っている。
【把握媒体】
漫画「ゴールデンカムイ」既刊27巻中、キロランケは5巻から19巻まで登場しています。
漫画「ゴールデンカムイ」既刊27巻中、キロランケは5巻から19巻まで登場しています。