この醜く残酷で、美しく優しい世界(前編)

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この醜く残酷で、美しく優しい世界(前編)◆Z9iNYeY9a2



オートバシン。
本来ファイズを護衛するために存在するそのバイクは、確かにファイズに変身する者の手元にあった。

しかし、変身するのは乾巧ではない。
本来ならばカイザに変身する草加雅人。オルフェノクを憎み抹殺を目的とした、乾巧とは程遠い人間性の男だった。
現状カイザギアの代用としているだけとはいえ、それらが草加雅人という男の元に揃っているのは何かの皮肉か、あるいは因果か。

ともあれ、オートバシンを走らせ病院へとたどり着いた草加。
そこには守るべき者が、例え他の何かを失おうとも守らなければならない女がいるはずの場所。

――――真理……!

脳裏をよぎるのは、かつて彼女を守れずみすみす死なせてしまった、思い出すにはあまりに苦く辛い記憶。
あの時のような苦しみはもう味わいたくはなかった。

「待っていてくれ、真理。俺が絶対、守ってやる……」

病院に辿り着いた草加。
その中心に大きく入った亀裂に驚きつつも、オートバシンをそのまま乗り捨て病院内に駆け込んでいった。





海堂の判断は早かった。
目の前に現れた木場勇治、ホースオルフェノクに対して、自身もスネークオルフェノクへと変身して掴みかかっていった。

「木場ァ!てめえ…!」
「海堂…!」

剣を振るうことができない懐に潜り込み、その武器を封じる。
しかしスネークオルフェノクの腕力ではホースオルフェノクを抑えきることはできない。
すぐさま振りほどかれ、体を掴み壁に叩きつけられた。

轟音と共に壁を砕き、その向こう側へと吹き飛ばされる海堂。
海堂から視線を外した木場は、視線を真理へと移す。

感情の見えない、馬を模した仮面にも見えるオルフェノク特有の瞳。
しかし真理はその奥に激しい憎悪を感じていた。

一歩ずつ静かに、まるで処刑人のごとく剣を携え迫る木場。
後ろが壁で逃げることができない真理。

灰色の剣は真理の体を切り裂かんと振り下ろされ―――

「木場ぁ!止めろぉ!!」

崩れた壁の向こうから飛び出してきた海堂が、咄嗟にその間に入り込んだ。
振り下ろされた大剣を、両手に構えた円形の刃で受け止める。
しかし、素の筋力において大きく差をつけられている海堂の刃は少しずつ下に押しやられている。

このままだと時間の問題で押し負けるだろう。その事実にいち早く気付いた海堂は咄嗟に木場の体を思い切り蹴り飛ばした。
不意打ちに近い一撃に、思わず木場は一歩後ろに下がる。


「行けお前ら!木場のやつは俺が何とかする!」
「で、でも、だったらあんたは―――」
「早く!そこにいる怪我人もさっさと連れて行け!邪魔だ!」

もうこの言葉を聞くのは一体何度目だろうか、と真理は思いながらも、しかしタケシが身動きの取れぬ今彼の命を守るために取れる選択肢など限られている。
見ると、Nは既にタケシの体を担いでいる。

もはやそうするしかないのか、と真理は部屋の出口に走り始めたNの後ろについて駈け出し。

「―――――!」

そんな真理達を見た木場はまるで逃がすかとでも言わんばかりに、彼女達へと注意を向け剣を振り上げる。
ホースオルフェノクの頭頂部に備わった一本の角が、まるでエネルギーを集める避雷針のごとく光とエネルギーを放ち始め。

次の瞬間振り下ろされた剣は地面を、壁を抉る三叉の衝撃波となって真理達へと襲いかかった。
海堂のすぐ目の前で分かれたその閃光は、海堂の後ろの真理へと向かって走る。

一つは海堂が体を張って受け止め。
残り一つは牽制だったのか反れた方へと走り。。
最後の一つが真理に向けて真っ直ぐと向かっていく。

それをNは真理を押し倒すことで、ギリギリのところで回避。
しかし衝撃でバッグの持ち手部分が切れ、バッグは地面に落ちてしまう。
素早く起き上がったNは、その事実に気づかずに真理を連れて去っていく。

そんな二人を更に追おうとした木場の前に、海堂が立ちふさがる。


「おい、木場。どういうことだよおい。一から全部説明しやがれ!」
「どうもこうもない。俺は人間であることを捨て、オルフェノクとして生きることを決めた。
 そのためにも、園田真理だけはこの手で殺さなければならない」
「―――――っ、お前、本当に木場なのか?!」

木場の口から放たれたそのあまりに激しい言葉に思わず誰かが化けているのではないかとも疑う海堂。

「ああ、俺だ。かつて君と結花と一緒に人間と共存する道を理想として、しかしその理想に裏切られた、愚かなオルフェノクだよ」
「裏切られた…?お前何言ってんだよおい」
「君はあの戦いの記憶を持っていないんだな。なら教えてやる。
 俺が見た裏切りを、人間から――園田真理から受けた絶望を、全部」

剣を下ろした木場は、静かに語り始めた。
自身を変えたもの、そして全てを失った先に見たものを。


Nは階段を駆け下りながら自身の手に握ったリザードンのモンスターボールを握りしめていた。

もしあそこでリザードンを出していれば、果たして海堂は逃げられただろうか。
少なくとも、足手まといとしてこうして逃げまわるようなことだけはなかったはずだ。
肩の上で心配そうに見つめるピカチュウにあるいは攻撃をお願いすることもできたかもしれない。

なのに、できなかった。何故か。


あの時、病室に現れたあの木場勇治なる人物を見た時。
まるでポケモンの声を聞く時のように、うっすらと彼の心にある想いを感じ取ったように思ったのだ。

そこにあったのは深い悲しみ。
信じていた理想を裏切られた深い失望、そしてその空洞を埋める大きな憎しみ。

何故彼の心を感じ取れたのかは分からない。
人間ではないからだろうか?オルフェノクがポケモンと近い存在だとでもいうのだろうか?
それとも、人から離れてしまった存在であるからだろうか?
ミュウツーやニャースのように、人語を介し人へと歩み寄った存在とは異なるからだと?

分からない。
ただ、あの時Nがその深い感情の中から感じたもの。
それは、かつてあの城の部屋の中で過ごしたポケモン達が抱いていた人間に対する想いにとても近かったのだ。

だから、戦うことを躊躇ってしまった。
ポケモンでもない、むしろ人間に近い存在であったにも関わらず。

その結果が、今のこの状態だ。
果たしてこれで良かったのだろうか?

答えは出ず、迷いと後悔が募っていく。
あの時、ゾロアークが様子を見に行くと言って傷ついて帰ってきた時も、もしゾロアークを無理やりにでも引き止めていればこんなことにはならなかったのでは?

と、ゾロアークのことを考え始めて気付いた。

(…!バッグがない…!?)

ずっと肩に掛けていたはずのバッグがなくなっていた。
病室にいた時に持っていたことは確かだ。だとすると逃げる途中で落としてしまったというのだろうか。
あの中にはゾロアークや各種回復アイテムを始め、タケシのピンプクの残した石や双眼鏡などの道具も入っていた。
中でもゾロアーク、自身のトモダチ。
彼は何としても探さなければならない――――

「N、どうしたの?」
「………」

しかし、そのためには真理やタケシを危険に晒すことになってしまう。
今戻れば、残って戦っている海堂の覚悟を無駄にすることになる。

「ピカ!」

そんなNの思いを察したのか、肩に乗ったピカチュウが答えた。自分が戻りモンスターボールだけでも取ってくる、と。
一瞬お願いしそうになった後すぐに思い返す。
さっきもそうやって見送っていった結果、ゾロアークは大きなダメージを負ってしまったのだ。あの時と同じ轍を踏むわけにはいかない。

「くっ…。ゾロアーク……」

最善と思える答えが最悪の結果をもたらす未来しか見えない。
だから、Nは最悪の選択だとしても、少しでも最善の道を選ぶために。
ゾロアークを、トモダチの元に戻ることを諦めた。


コンクリートの破砕音が響く病院内を焦ったように走る草加雅人。

もしかしたら手遅れだったのかと焦りつつも院内に入った彼を出迎えたのは仮面をつけた怪しい大男だった。
あまりに怪しい風貌に一瞬警戒するも、彼の話を聞いてそれどころではいられなくなっていた。
その男、ゲーチスは病院の中で人探しをしていたところでいきなり大きな音と共に病院を切り裂く光の刃が見えたという。
そしてその刃の切れ目を駆け上がっていく灰色の影を見たと同時に、その先に探し人とボロボロの少女がいたと言っていた。

ボロボロの少女、それがきっと園田真理だろうと草加は直感した。

「彼女を見たのはどこか分かりますか!?」
「もう少し先の、切断面付近の上の階です。しかしあそこには一人のオルフェノクがいます。とても危険ですよ」
「大丈夫だ!俺には戦う力がある!早く行かないと真理が…!」

そのオルフェノクが誰であるのかまでは考えていない。そもそも考える余裕などない。
木場勇治か、北崎か、村上峡児か、あるいはそれ以外の誰かか。
誰でもいい。そんなことは真理と合流するまでは重要じゃない。

決して狭くはない病院内、構造も若干自分の知識の中にあるものとは異なっていてやりづらくもあった。
その中を、草加は走っていた。

美国織莉子から聞いた未来、憔悴した真理の顔。
そう、真理にはそんな顔は似合わないのだ。もっと彼女は笑顔でいなければいけないのだから。





この時の草加雅人は、焦りから冷静さを失っていたのだろう。
もし彼がもう少しでも慎重に行動していれば。そして後ろを歩く男から感じていたその怪しさから同行を拒否していれば。
あるいはもう少し違う未来を見られたのかもしれない。



「これが、俺が人間を見限った理由の全てだ」

木場は全てを話した。

私欲のためだけにファイズギアを求める人間。
オルフェノクが罪を犯したというだけで理由も聞かずに悪と決めつける人間。

そして、決定的だった、親しくしていた園田真理の裏切り、そしてその結果失ったものを。
そこから見た絶望を。

「だから悪いことは言わない。海堂、君も俺と一緒にこい。
 人間として生きていては、オルフェノクである俺たちに幸せなんてない」
「木場…、それ本当なのか?」

思いを押し込めたような声で問いかける海堂。
それは木場の言葉を疑うというよりはむしろ確かめようとしているようだった。

「ああ、本当だ。俺達が守ろうとしたものには守る価値なんてなかったんだ」
「…それで、お前は啓太郎のやつも殺したってのか?」
「彼も人間であることには変わりなかった。
 それに、彼はオルフェノクにはならなかった。俺達と一緒には行く資格を持たなかった。それだけのことだ」
「………」

押し黙る海堂。
そんな彼を見ながら、木場は最後の問いかけを投げかけた。

「君の答えを聞かせてくれ。俺も君を進んで殺したくはない」
「つまりお前はよ。
 ここでお前に殺されるか、それとも俺もお前の仲間になってオルフェノクとして人間を殺すかを選べっつーんだよな?」
「その通りだ」
「そうかい」

はぁ、と手を下ろし力を抜く海堂。





「こぉんのバカヤロウ!!!!」

叫ぶと同時に、その下ろされたはずの拳は真っ直ぐに木場の顔へと飛びかかっていた。
本来ならばそんな一撃にびくともすることのないはずのホースオルフェノクの顔面を、その身では踏みとどまれないほどの強い衝撃が捉え体ごと吹き飛ばした。

倒れこんだ木場の上にマウントをとるように乗りかかった海堂は、そのまま襟首に当たる部分を掴み、顔を正面から近づけて叫ぶ。

「木場、俺はなぁ…、お前のように生きてみたいと思ってたんだよ。
 俺みたいに根無し草でその日その日を精一杯生きるように生きてるやつにはなぁ、お前の大きな理想に生きる顔ってのはすげえって思ってたんだよ、ずっと尊敬もしてたんだよ。
 なのによぉ、何でそんなに簡単にその理想を捨てられるんだよ!」
「君は!君達を失って信頼してたものにも裏切られた俺が見た絶望を知らないからそんなことが言えるんだ!だから俺はそんなものを見せられる前に一緒に行こうと―――」
「お前の理想は俺の命より軽かったのかよ!」

その言葉に、木場の言葉が思わず止まる。
叫ぶ海堂の手は震え、真っ直ぐに見つめるその瞳には怒りと悲しみの混じったものが渦を撒いているようでもあった。


「お前の理想は、そりゃバカみてえに果てしないし俺からしちゃできっこねえってずっと思ってたよ。
 だけど、お前ならそれでもやってくれるんじゃねえかって感じさせてくれるものがあったんだよ。
 だからもしそれに付き合った俺が死ぬようなことがあっても、お前なら乗り越えてくれるって思ってたんだよ!」

真理が木場を裏切ったということ、その真意に関しては今の海堂には問題ではなかった。
真理を見る限りそのような素振りはなかったが、しかしそれが木場の嘘とも思えなかった。
今真実であるのは、木場がそういったことを経験し、その結果理想を捨てたのだということ。

だというのに、それに対する木場の反応は。


「―――…くだらない」

たった一言。
それだけで海堂の信じていたもの、それまで自分が信じていたはずのもの。
それらを全て切り捨てていた。

その一言は海堂の木場に対する思いを怒りで占めるに十分なものだった。

「てめえええええええええええええええええ!!!」

怒りに任せて拳を下ろした海堂に対し。
木場は驚くほど冷静に、その手に魔剣を生成。迫る海堂の体をカウンターのように剣で突いた。

胸部を突かれ弾き飛ばされる海堂。
そこに木場は、容赦なく剣を振り上げ、先に放った衝撃波と同じものを海堂に向けて放った。

病院のコンクリート製の地面を、壁を抉り、閃光が海堂へと衝突。
その衝撃は海堂のみならず、病院の床を、壁を破壊しその一角に巨大な穴を開けていた。

海堂の姿はない。きっと下の階に落ちたのだろう。
追って彼の生死を確かめトドメを刺すべきか。一瞬考えた後、結局追わないことにした。

迷いか、情けか。それとも今の一撃で海堂の命を奪ったと確信してるからか。
思うところはあったが、それ以上深く考えることはしなかった。


踵を返し園田真理が逃げ去った方を向く。
まだ病院の中にいるだろうか。それとももうここの外に出てしまっているだろうか。
どちらにしても、怪我人を背負った彼らがそう遠くまで逃げられるとは思えない。追いつくのにそう時間はかからないだろう。

上の階と下の階、どっちに逃げたか。
耳を澄ますと、オルフェノクの高まった聴覚は幾つかの足音を拾った。
逃した彼らのものと思われるものの他にもう何人かのもの。

だが彼らの逃げた方向を考えればどっちが追うべきものなのかは想定がつく。

そのまま木場勇治は、抹殺すべき者がいるであろう方に向かって駆け始めた。


意識がはっきりしない。視界もかなりぼやけている。
ただ、今自分は誰かに背負われており、その人も走っているのだろうということは分かった。

一緒にいるのは真理さんとNだろう。
そして追っている者は……誰なのだろう。
俺が気絶している間に何があったのだろうか。

分からないが、今はかなり切羽詰まった状況らしいということだけは分かる。

ふと記憶をよぎったのは、意識を失う直前に見た最後の光景。
青い光に拘束された自分の体、体を貫こうと飛び上がった黒い存在。
そして、その間に割り込んだピンプク。

思い出して気付く。
そうか、ピンプクはもういないんだな、と。

ピンプクが命を張って守ったというのに、結局またこんな危険に陥っている。
ピンプクが死んだのは、俺がキチンとしていなかったせいではないのか。
俺が寝てさえいなければ、もっとマシな状況になったのではないのか。

自責と後悔の念が心を埋め尽くした時、薄く開いた視界がぼんやりとクリアになっていった。


「真理…さん…」
「タケシ!?目が覚めたの!」
「今…どうなって……」
「喋っちゃダメ!あんた怪我がまだ治ってないんだから!」

意識を取り戻したタケシを気遣い、真理とNは一旦足を止める。
思い返せば、重症の人間を抱えた状態で走り回るというのはその傷の状態を悪化させるのではないかと気付くのが少し遅かった。
止むを得ない状況だったといえばそれまでではあるが。


「ピカピ…」

病院に置かれたソファの上にタケシを横たえる。
あくまでもタケシの状態を確認するだけ、ほんの数分だけ立ち止まるだけのつもりだ。

「真理さん……、水を…」
「水ね、ちょっと待って!」

と、タケシの頼みにバッグを弄りペットボトルを取り出す真理。
開封し、ほんの一口ほど口に水を含ませた。

同時にNはタケシの傷の状態を確かめる。

「…大丈夫だ、少なくとも逃げる際の衝撃で傷が悪くなっている様子はない」
「良かった…、じゃあタケシ、もう少しだけ我慢して。すぐに楽にできる場所まで連れて行ってあげるから」

と、真理の言葉に合わせてゆっくりとタケシの体を持ち上げたN。

すると、その時遠くから激しい轟音が鳴り響いた。それはさっき自分たちに向けて放たれた衝撃波のものと同じようにも聞こえる。
同時にコンクリートの砕ける音が聞こえ、その後は病院内を静寂が包んでいた。

「…急ごう、きっとあの木場勇治という人物が、海堂を……」
「……っ」

顔を伏せる真理。
海堂でも木場を止めることはできなかった。
きっと、海堂はよりにもよって彼の手にかかったということになる。

「…真理さん、Nさん、俺を連れて、…追ってくる人から逃げることはできますか?」

ふと、タケシが呟いた。
顔色も悪く、息も絶え絶えの様子で呻くような小声だったが二人はそれを聞き逃すことはない。

「何言ってるのよ!できるかできないかじゃなくて、逃げるのよ!
 大体私なんて一万人の敵に囲まれた状態で生き残ったことあるのよ、これぐらいのことだって乗り越えてみせるわよ!」
「………」
「大丈夫よ、黒い巨人に襲われた時も桜ちゃんがおかしくなった時も逃げられたんだから。
 だから、みんなで生き延びるのよ。私も、タケシも、Nも、みんなで」

みんなで生き延び、誰も死なせない。
啓太郎、ナナリー、そしてもしかすると海堂。
多くの友人を、仲間の死を経てきた真理の、強い思いだった。

「……そうですね、じゃあ、もしここから逃げたら、俺とデートとかしてくれませんか?
 遊園地みたいな、みんなでワイワイ遊べるようなところで。別に二人じゃなくてもいいです、真理さんのお友達とか、N君とか、ポケモンのみんなも連れて」
「こんなときに何言っ――――いいわよ、ここから出られたらデートでも何でも行ってあげるわよ、だから―――」
「それじゃあ、…真理さん。グレッグルのボールを、ください。ここから安全に出られる方法があります」
「ボールならあんたのポケットに……あった、これね」

と、タケシの服のポケットからモンスターボールを取り出す真理。
そしてグレッグルを呼び出したタケシは、心配そうな顔でこちらを見るグレッグルを静かに引き寄せる。
そしてそのまま、おそらくはグレッグルにしか聞こえないような小声で何かを呟いた。
ゲッ、とまるで驚くかのような鳴き声を上げるグレッグル。

「さあ、行くんだ」
「…タケシ?」

怪訝そうな顔でタケシに近付く真理。

それとは対照的に、タケシの元から離れるグレッグル。
そして、スタスタと真理の元に近付いたグレッグルは。

―――ーその手を紫色に光らせ、真理の腹に思いっきり拳を叩き込んだ。



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