ある時。
ビルが立ち並ぶ街の中、建物の屋上、人気のない場所に人知れずオーロラの壁のようなものが現れ。
そこから一人の男が姿を表した。
そこから一人の男が姿を表した。
「ここがプリズマイリヤの世界か」
首からカメラを下げた男は、そう呟いた。
◇
「はぁ、はぁ…」
イリヤは走っていた。
後ろから追ってくるものがある。
走れども走れども、距離は離せない。相手の足が速すぎるのだ。
走れども走れども、距離は離せない。相手の足が速すぎるのだ。
ルビーはいない。転身して迎え撃つことができない。
カードも今は手元にない。ただ学校に行くだけだと思い家に置いてきた。
カードも今は手元にない。ただ学校に行くだけだと思い家に置いてきた。
(なんで、こんなことに…)
◇
イリヤが帰還した時、行方不明となって一週間ほどの時間が経っていたという。
セラやリズ、兄や両親は方方を探し回っており、帰った時は涙を流して喜ばれた。
どこに行っていたのか。何をしていたのか。
両親には全てを話した。お供のルビーと共に。
ちょうど兄とセラ、リズが安堵からの夕食の買い出しに出ている間だ。あるいはセラが空気を読んでくれたのかもしれない。
両親には全てを話した。お供のルビーと共に。
ちょうど兄とセラ、リズが安堵からの夕食の買い出しに出ている間だ。あるいはセラが空気を読んでくれたのかもしれない。
信じてもらえるかは分からなかった。もしかしたらおかしくなったと思われるかもしれないと怖かった。
だけどママは、ただ一言、「頑張ったわね」と言ってくれた。
それからはママに縋り付いて、出掛けた3人が帰ってくるまで泣いた。
だけどママは、ただ一言、「頑張ったわね」と言ってくれた。
それからはママに縋り付いて、出掛けた3人が帰ってくるまで泣いた。
こうして取り戻した日常。だけどそれはどこか違う風景だった。
家が広くなった。一緒の部屋で寝ていた存在がいなくなって日常が静かだった。
正面の家にあったルヴィアさんの家がなくなった。片付けを見守っていた執事のオーギュストさん曰く、家主がいなくなったので引き上げることになったのだと。
オーギュストさんにも本当のことを話した。その上でオーギュストさんは「あなたが悪いわけではない。あまり抱え込まないで」と言ってくれた。
オーギュストさんにも本当のことを話した。その上でオーギュストさんは「あなたが悪いわけではない。あまり抱え込まないで」と言ってくれた。
そういえばルビーは私と一緒にいてもいいのか、帰らなくてもいいのかと聞いてみた。
返答が怖かったが 『呼び出しでも受けない限りはイリヤさんとずっと一緒にいますよ。そして今の所は呼ばれる気配はないですし』と言ってくれた。
それだけは有難かった。
返答が怖かったが 『呼び出しでも受けない限りはイリヤさんとずっと一緒にいますよ。そして今の所は呼ばれる気配はないですし』と言ってくれた。
それだけは有難かった。
時期はちょうど夏休みだった。だから行方不明になった期間の学校の出席がどうとかは特に影響がなくて。
その後は普通通りの日々に戻った。
学校のみんなには、美遊とクロは急な事情で転校・引っ越しとなったと説明しておいた。みんな悲しんでいたけど、仕方のないことだと受け入れ、一週間も経つ頃には元に戻っていた。
その後は普通通りの日々に戻った。
学校のみんなには、美遊とクロは急な事情で転校・引っ越しとなったと説明しておいた。みんな悲しんでいたけど、仕方のないことだと受け入れ、一週間も経つ頃には元に戻っていた。
私だけが、そんなみんなから置いていかれるような感じがした。
今でもたまにいなくなったみんなのことを幻視する。
朝起きると隣にクロがいる気がするし、遊んでいる最中に美遊のことを探したりする。
朝起きると隣にクロがいる気がするし、遊んでいる最中に美遊のことを探したりする。
美遊、クロ、凛さん、ルヴィアさん、バゼットさん、それにサファイア。
偶然か、いなくなったみんなは数ヶ月前の、かつての日常にはいなかった人達。
だから、ただこれまで通りの日常に戻っただけ。
偶然か、いなくなったみんなは数ヶ月前の、かつての日常にはいなかった人達。
だから、ただこれまで通りの日常に戻っただけ。
それだけ。
夏休みはひたすら楽しんだ。
友達と遊びに出るとたくさん騒いで。
家族で旅行に行ったらとにかくはしゃいで。
友達と遊びに出るとたくさん騒いで。
家族で旅行に行ったらとにかくはしゃいで。
ああ、これが日常なんダ。
これガ、わタしの日常ナンダ。
これガ、わタしの日常ナンダ。
………
たまに吐いたりもした。
眠れないこともあった。
眠れないこともあった。
みんなには無理をしてるって気付かれていたと思う。
忘れたい。忘れたくない。
この気持ちを振り払うためにとにかく楽しむ。でも楽しむとそれだけみんなの記憶が遠ざかっていく。
忘れたい。忘れたくない。
この気持ちを振り払うためにとにかく楽しむ。でも楽しむとそれだけみんなの記憶が遠ざかっていく。
どうしたらいいんだろう。
悩んでいるうちに、夏休みは終わった。
殺し合いに巻き込まれてた時の方が長く感じるくらいに、時が流れていった。
殺し合いに巻き込まれてた時の方が長く感じるくらいに、時が流れていった。
そして夏休みが終わっての始業式の日。
自分の中の時間が動き出す出来事があった。
◇
出口が見つからない。
まるでどこかに閉じ込められているかのような感覚。
ルビーがいれば出口を探せたかもしれない。
まるでどこかに閉じ込められているかのような感覚。
ルビーがいれば出口を探せたかもしれない。
『待ってくださいイリヤさん!!』
『早くこないと置いていくよー!』
『早くこないと置いていくよー!』
一人で先走っておいてきた自分をぶん殴りたい。
足場のよくない路地裏だ。道幅はそれなりに広いが、逃げ道は一つの方向にしかない。
地面に転がるゴミを踏みつけた。バランスを崩して躓き転ぶイリヤ。
地面に転がるゴミを踏みつけた。バランスを崩して躓き転ぶイリヤ。
後ろから追ってくる足音が聞こえる。
一人の男の影が見えた。
一人の男の影が見えた。
「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、だな。追われる理由は分かっているか?」
「…っ、誰なの…?!」
「…っ、誰なの…?!」
男の声に問いかけるイリヤ。
しかし男は名乗ることもなく、手をかざした。
しかし男は名乗ることもなく、手をかざした。
◇
「行ってきまーす!!」
夏休みが終わった始業式の朝。
空元気を続けるイリヤは、その複雑な心中を振り払おうとするように家を飛び出した。
空元気を続けるイリヤは、その複雑な心中を振り払おうとするように家を飛び出した。
『待ってくださいイリヤさん!!
そんな前後不覚で走ると危ないですよ!』
「もー別に気を付けてるってば!ルビーも、早くこないと置いていくよー!」
そんな前後不覚で走ると危ないですよ!』
「もー別に気を付けてるってば!ルビーも、早くこないと置いていくよー!」
走るイリヤに振り払われてしまったルビーはイリヤに注意を促すがイリヤは気にせず走る。
学校に行けば何かが変わると信じているように、走り続ける。
学校に行けば何かが変わると信じているように、走り続ける。
ルビーが離れ、ついでに少し注意が散漫になっていたのだろう。
足が急ぐ中、ふと路地裏の暗い通りが気にかかった。
足が急ぐ中、ふと路地裏の暗い通りが気にかかった。
ここを通れば、学校への近道になる。
初めて意識した道だったのに、何故かそんな風に思った。
初めて意識した道だったのに、何故かそんな風に思った。
『え?!ちょ、イリヤさん?!そっちは通学路じゃないですよ!?』
ルビーの静止も聞かず、イリヤはその通りに飛び込む。
慌てて後を追うルビー。
しかしそこにイリヤの姿はなかった。
しかしそこにイリヤの姿はなかった。
『イリヤさん?イリヤさーん?
……イリヤさん?!』
……イリヤさん?!』
見失うはずがない道で、イリヤの姿が見えない。
時間が経って冷静になってきたルビーは周囲を魔力探索し、焦るように飛び回った。
時間が経って冷静になってきたルビーは周囲を魔力探索し、焦るように飛び回った。
◇
イリヤを追っていた二人の男。
一人はスーツ姿、もう一人はローブのような服を纏っていて顔が見えない。
一人はスーツ姿、もう一人はローブのような服を纏っていて顔が見えない。
漆黒の犬が数匹姿を現す。
イリヤを追う男二人が呼び出したものだ。
「おとなしく着いてくるのなら丁重に扱う。
だが抗うのなら、手荒に対応させてもらうことになる」
だが抗うのなら、手荒に対応させてもらうことになる」
犬は唸り声を上げながらこちらに迫っている。
「しかし驚いたよ。通学路に罠を張っていれば引っかかってくれるかもとは思っていたが。
まさかこうも簡単に来てくれるなんて」
「じゃあ、…この場所はあなた達が…」
「そう。だから逃げられるとは思わないことだ。当然、助けも来ない。
その状況で抗うっていうなら」
まさかこうも簡単に来てくれるなんて」
「じゃあ、…この場所はあなた達が…」
「そう。だから逃げられるとは思わないことだ。当然、助けも来ない。
その状況で抗うっていうなら」
犬のギラギラとした瞳がこちらを見ている。
ルビーがいれば大した驚異ではない。逆に言えば、ルビーがいない今の自分には立ち向かう術がない。
ルビーがいれば大した驚異ではない。逆に言えば、ルビーがいない今の自分には立ち向かう術がない。
だけど。
罠を張って、こっちを脅迫してくるような人だ。従ってもいい方向に事態が転がるとも思えなかった。
罠を張って、こっちを脅迫してくるような人だ。従ってもいい方向に事態が転がるとも思えなかった。
背を向けた瞬間、犬はこちらに飛びかかってくるだろう。足には自信があっても獣と競争して勝てるとは思えない。
落ちていた木材を前に構えて起き上がる。せめてもの抵抗だ。
「抗うか。なら仕方ない。
命までは奪えないが、手足の一本無くすくらいは覚悟してもらうぞ」
命までは奪えないが、手足の一本無くすくらいは覚悟してもらうぞ」
走り始めた犬を前に、顔をそらさず前を向き続けるイリヤ。
顔をそらせば対処できなくなる。
顔をそらせば対処できなくなる。
怖い。最悪死ぬかもしれない。
だけど、震える足で立ちながら迫る犬に視線を合わせ続け。
だけど、震える足で立ちながら迫る犬に視線を合わせ続け。
その大きく開かれた牙が目の前に迫った瞬間。
「ギャンッ!」
悲鳴を上げて犬の体が弾かれた。
「えっ?」
困惑するイリヤ。よく見ると犬が弾かれた目の前に、モノクロのオーロラのような何かが広がっている。
「子供相手にそんな凶暴なやつをけしかけるなんてのは、いくらなんでも見過ごせないな」
オーロラの中から声が聞こえ、一人の男が姿を現す。
現れた男は、イリヤに向けてポイ、と何かを投げつけた。
現れた男は、イリヤに向けてポイ、と何かを投げつけた。
『イリヤさん!!良かった、無事ですか?!』
「ルビー!?」
「ルビー!?」
渡されたのは相棒の魔術礼装。
飛んで寄ってくる相棒を前に、しかしイリヤにあったのは安心より困惑だった。
飛んで寄ってくる相棒を前に、しかしイリヤにあったのは安心より困惑だった。
「あの人は?」
『分からないです。イリヤさんを探していたらいきなり掴まれて…』
「ことが終わるまでそこから出るなよ」
『分からないです。イリヤさんを探していたらいきなり掴まれて…』
「ことが終わるまでそこから出るなよ」
そう言ってオーロラの壁をイリヤの前に設置する。
触ると体が弾かれるような感覚があり出ていくことができない。
触ると体が弾かれるような感覚があり出ていくことができない。
そして、困惑しているのはイリヤ達だけではなかった。
「何故この結界の中に入れる?!」
「何だ、お前は?!協会の反対勢力の手の者か?!」
「何だ、お前は?!協会の反対勢力の手の者か?!」
追ってきていた二人の男も困惑している。
警戒して影の犬を下がらせて様子を伺っている。
警戒して影の犬を下がらせて様子を伺っている。
そんな男たちの前に、臆することなく進んでいく。
懐から何かを取り出しながら、男は言う。
懐から何かを取り出しながら、男は言う。
「名乗るほどのものじゃない。ただの通りすがりだ。そう、ただの―――」
言って眼前に、一枚のカードを掲げながら。
「通りすがりの仮面ライダーだ」
そう言って、カードを腰の前に掲げた何かに差し込む。
「変身」
KAMEN RIDE―――
D E C A D E
男の姿が変わる。
銀色の小さな紋章たちが出現し彼の周囲を乱舞したと思えば、数多の鏡像に転じて彼に重なり、その身を装甲のようなもので覆っていく。
そして顕れたのは、顔に板を縦に貼り付けたかのような、黒とマゼンタを基調とした姿。
銀色の小さな紋章たちが出現し彼の周囲を乱舞したと思えば、数多の鏡像に転じて彼に重なり、その身を装甲のようなもので覆っていく。
そして顕れたのは、顔に板を縦に貼り付けたかのような、黒とマゼンタを基調とした姿。
「えっ…?」
その姿が、イリヤにはどこか見覚えのあるようなものに感じた。
あの殺し合いの中で、背中を預けて戦った戦士、乾巧の変身した姿、ファイズに。
どこがと言われれば全く似ていないのに。
例えるなら、魔法少女と分類した時の鹿目まどかと自分たちカレイドの魔法少女、といった概念的なもののような。
あの殺し合いの中で、背中を預けて戦った戦士、乾巧の変身した姿、ファイズに。
どこがと言われれば全く似ていないのに。
例えるなら、魔法少女と分類した時の鹿目まどかと自分たちカレイドの魔法少女、といった概念的なもののような。
「仮面ライダーディケイド、それが俺だ」
ちらりと様子を伺うように振り返った男、ディケイドはそう名乗った。
問いかける間もなく、状況は進んでいく。
問いかける間もなく、状況は進んでいく。
犬達が飛びかかる。
素早い身のこなし。建物の壁面を走りながら迫るものもいる。
それを、ディケイドは拳を振るい足を振り上げてなぎ倒していく。
素早い身のこなし。建物の壁面を走りながら迫るものもいる。
それを、ディケイドは拳を振るい足を振り上げてなぎ倒していく。
起き上がった一匹が頭を飛ばし高速で牙を差し向ける。
それをディケイドは、腰のベルトに提げた白いカードホルダーを剣に変形させ、受け止める。
それをディケイドは、腰のベルトに提げた白いカードホルダーを剣に変形させ、受け止める。
その様子から動けないと見た他の犬が、一斉に飛びかかる。
「誰が動けないと言った?」
ディケイドは犬の体ごと剣を振るい回転斬りを放ち、飛びかかった個体全てを斬り伏せた。
最後に残った剣に食らいついた一匹も、頭を掴んで剣を引き抜き顎を切断。
最後に残った剣に食らいついた一匹も、頭を掴んで剣を引き抜き顎を切断。
犬の体は影となって消えていく。
使い魔の消失に焦る男たち。
使い魔の消失に焦る男たち。
「おい!」
「クソ、仕方ない、アレを出すぞ!」
「クソ、仕方ない、アレを出すぞ!」
言ってスーツの男は指笛を鳴らし、ローブの男は宙で印を切った。
歩を進めるディケイド。
その前に通りの奥から黒く巨大な影が飛び出す。
その前に通りの奥から黒く巨大な影が飛び出す。
「!?」
影の突撃を受けディケイドの体が吹き飛ばされる。
地面を転がった後前を見たところにいたのは、黒く影を纏った熊のような巨体の怪物。
地面を転がった後前を見たところにいたのは、黒く影を纏った熊のような巨体の怪物。
『あれは、魂を食らう魔術生物、ソウルイーターです!』
起き上がったディケイド。その背後の気配を感じ振り向きざまに剣を振るう。
振るわれた剣はその影を通り抜けていき、影の伸ばした爪がディケイドの装甲を引き裂く。
再度地面に倒れ込むディケイド。
振るわれた剣はその影を通り抜けていき、影の伸ばした爪がディケイドの装甲を引き裂く。
再度地面に倒れ込むディケイド。
影はソウルイーターの隣に並ぶ。
巨大な上半身の骨格を思わせ、薄いフードを纏った半透明の怪物。
まるで幽霊を思わせる外見をした、しかし見上げるほど大きなそれ。巨大霊とでも呼ぶべきか。
巨大な上半身の骨格を思わせ、薄いフードを纏った半透明の怪物。
まるで幽霊を思わせる外見をした、しかし見上げるほど大きなそれ。巨大霊とでも呼ぶべきか。
ソウルイーターがディケイドへと飛びかかる。
牙を剣で受け止めるが巨体を押しきれず壁に押し付けられる。
その後ろから、巨大霊がディケイドの体を爪で嬲っていく。ソウルイーターにも当たっているはずのそれは霊体であるが故かすり抜け、ディケイドだけを捉えていく。
牙を剣で受け止めるが巨体を押しきれず壁に押し付けられる。
その後ろから、巨大霊がディケイドの体を爪で嬲っていく。ソウルイーターにも当たっているはずのそれは霊体であるが故かすり抜け、ディケイドだけを捉えていく。
その体をソウルイーターが蹴り飛ばし、宙に飛ばされたディケイドの体を巨大霊の撃ち出した光線が撃ち抜く。
地面を転がって流石に苦悶の声を漏らすディケイド。
「ハハハ、誰かは知らないが、こいつらは並の魔術師じゃ太刀打ちもできない怪物だ!
わざわざ関わってきたことを後悔しながら死んでいけ!」
わざわざ関わってきたことを後悔しながら死んでいけ!」
さっきまでの焦りはどこへやら、勝利を確信し笑う二人。
「魔術師…。なら見せてやるよ。
俺達の世界の魔術師(ウィザード)ってやつを」
俺達の世界の魔術師(ウィザード)ってやつを」
剣でソウルイーターの体を受け流し、身を捩って抜け出しながら。
ディケイドはその剣の基部となったホルダーから引き抜いたカードを、先刻の「何か」――
いまや腰に巻きつくベルトのバックルとなった、紅色の装置に装填する。
ディケイドはその剣の基部となったホルダーから引き抜いたカードを、先刻の「何か」――
いまや腰に巻きつくベルトのバックルとなった、紅色の装置に装填する。
KAMEN RIDE――WIZARD!
ヒー!ヒー! ヒーヒーヒィー!
ヒー!ヒー! ヒーヒーヒィー!
謎の音声と共にディケイドの体が炎に包まれ、その姿が変わる。
炎が迫ったソウルイーターの体を焦がし、怯んだ隙に蹴り飛ばすディケイド。
炎が迫ったソウルイーターの体を焦がし、怯んだ隙に蹴り飛ばすディケイド。
炎が収まった時、その仮面は顔面全体が巨大な赤い宝石になったような形状に。
全身を覆う紅・白・黒の装甲は、同じく真紅の宝石でできた軽鎧と、魔術師のローブを思わせる黒い長衣を纏う姿に変わっていた。
全身を覆う紅・白・黒の装甲は、同じく真紅の宝石でできた軽鎧と、魔術師のローブを思わせる黒い長衣を纏う姿に変わっていた。
『魔力反応があります。我々とは形体が異なりますが…』
壁から離れて距離を取るディケイドウィザード。
そこに再度飛びかかってくるソウルイーターと巨大霊。
その進行先で剣を、まるで何かを描くかのように素早く振るうと宙に紅い魔法陣が出現。
先行した巨大霊はそれに向かって突撃し、姿を消す。
その進行先で剣を、まるで何かを描くかのように素早く振るうと宙に紅い魔法陣が出現。
先行した巨大霊はそれに向かって突撃し、姿を消す。
『空間転移?!こんな高度なものを…!』
巨大霊をどこかに転移させて敵を分断。
残ったソウルイーターの進撃を身を屈めてかわしながらその腹を斬りつけた。
痛みに呻いて蹲りながらも、吠えて再度突撃。牙がディケイドに触れるかどうかというところでその体が急停止する。
ソウルイーターの後ろに置かれた魔法陣から現れた鎖がその後ろ足を拘束しており、それ以上の進行を阻んでいた。
残ったソウルイーターの進撃を身を屈めてかわしながらその腹を斬りつけた。
痛みに呻いて蹲りながらも、吠えて再度突撃。牙がディケイドに触れるかどうかというところでその体が急停止する。
ソウルイーターの後ろに置かれた魔法陣から現れた鎖がその後ろ足を拘束しており、それ以上の進行を阻んでいた。
その目の前で、カードをベルトのバックルに差し込むディケイド。
FINAL ATTACKRIDE――WI-WI-WI-WIZARD!
前面に手を翳し魔法陣を写し出すと、その中に思い切り手を振るい込む。
次の瞬間、ソウルイーターの下に写った魔法陣から巨大な腕が飛び出し、その巨体を拳で大きく打ち上げた。
次の瞬間、ソウルイーターの下に写った魔法陣から巨大な腕が飛び出し、その巨体を拳で大きく打ち上げた。
高く飛ばされるソウルイーターの体。その下でディケイドウィザードは足に炎を纏わせながら側転し。
その勢いのまま飛び上がって、打ち上げられた巨体に飛び蹴りを放った。
その勢いのまま飛び上がって、打ち上げられた巨体に飛び蹴りを放った。
魔法陣と炎に覆われた足がソウルイーターの頭部を粉砕し、地面に激突すると共に爆散、消滅させた。
地に足を付けて振り返ったディケイドに透明な爪が襲いかかる。
どことも知れぬ場所に移されたことに怒りを覚えているのか、巨大霊は体を震わせながら襲いかかる。
剣で受け止めようとするが、ディケイドウィザードの剣は体をすり抜け届かない。
距離を取ったところで放たれた光線を避けながらカードを取り出す。
どことも知れぬ場所に移されたことに怒りを覚えているのか、巨大霊は体を震わせながら襲いかかる。
剣で受け止めようとするが、ディケイドウィザードの剣は体をすり抜け届かない。
距離を取ったところで放たれた光線を避けながらカードを取り出す。
「ゴーストにはゴーストってところか」
KAMEN RIDE――GHOST!
レッツゴー!カクゴ!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト! Go! Go! Go! Go!
レッツゴー!カクゴ!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト! Go! Go! Go! Go!
再度姿が変わる。
体からパーカーのような布が飛び出し、顔から先刻までの宝石どころか目も鼻も口も失せた、黒いマネキンの如くのっぺりとした体を着飾る。
被されたパーカーのフードを脱ぐと、漆黒の無貌は橙との二色で顔らしく塗り分けられ、頭部に一本角の生えた、どことなく不気味にも感じる造形をした体へと変わっていた。
体からパーカーのような布が飛び出し、顔から先刻までの宝石どころか目も鼻も口も失せた、黒いマネキンの如くのっぺりとした体を着飾る。
被されたパーカーのフードを脱ぐと、漆黒の無貌は橙との二色で顔らしく塗り分けられ、頭部に一本角の生えた、どことなく不気味にも感じる造形をした体へと変わっていた。
ガンガンセイバー!!
どこからか取り出した巨大な両刃剣を構えるディケイドゴーストに対し、巨大霊は爪を振るう。
それをふわり、とまるで幽霊を思わせるような緩慢なジャンプで避け、その頭に向けて剣を振り下ろす。
バッサリと、それまで当たらなかった体を剣が捉えて斬り裂いた。
怯む間に幾度も斬りつけ、そのまま蹴りを加えて弾き飛ばす。
それをふわり、とまるで幽霊を思わせるような緩慢なジャンプで避け、その頭に向けて剣を振り下ろす。
バッサリと、それまで当たらなかった体を剣が捉えて斬り裂いた。
怯む間に幾度も斬りつけ、そのまま蹴りを加えて弾き飛ばす。
体勢を立て直した巨大霊は、体から光を射出。巨大霊の周囲にそれより小型の幽霊が多数顕現する。
対してディケイドゴーストは印を組むように手を動かす。するとその体から3体のパーカー状の何かが飛び出した。
飛び込んできた小型の霊を迎撃する3体。二刀の剣を振るうもの、弓を構えて射抜くもの、電撃を放つもの。それらが霊を1体1体打ち破り消滅させていく。
やがて全てが消え去ったところで3体のパーカーは巨大霊に突撃をかけて体勢を崩させる。
対してディケイドゴーストは印を組むように手を動かす。するとその体から3体のパーカー状の何かが飛び出した。
飛び込んできた小型の霊を迎撃する3体。二刀の剣を振るうもの、弓を構えて射抜くもの、電撃を放つもの。それらが霊を1体1体打ち破り消滅させていく。
やがて全てが消え去ったところで3体のパーカーは巨大霊に突撃をかけて体勢を崩させる。
FINAL ATTACKRIDE――GHO-GHO-GHO-GHOST!
巨大霊が顔を上げた時には、ディケイドゴーストの体は橙色の紋章を背負って浮き上がっており。
構えるより早く、その体を橙色のエネルギーを纏った飛び蹴りが打ち砕いていた。
構えるより早く、その体を橙色のエネルギーを纏った飛び蹴りが打ち砕いていた。
ソウルイーターと巨大霊、敵の二つの切り札を破ったディケイドは男達に目を向ける。
すると周囲を黒い犬が囲っており、男達は既にこちらに背を向けていた。
すると周囲を黒い犬が囲っており、男達は既にこちらに背を向けていた。
切り札を破られて撤退を選んだということだ。
そして残った犬は足止め。
そして残った犬は足止め。
状況を把握したディケイドは一瞬チラリとイリヤの方に視線を向け。
KAMEN RIDE――FAIZ!
――Complete
――Complete
次に変身した姿に、イリヤは息を飲んだ。
その姿は、あの人の、今も持っている託されたベルトを使った時の姿、ファイズだったから。
その姿は、あの人の、今も持っている託されたベルトを使った時の姿、ファイズだったから。
FORM RIDE――FAIZ ACCEL!
立て続けに差し込まれたカードでまた姿が変わる。
胸部装甲が開き、目の部分の色は黄から赤に。乾巧も使っていた、高速化する形態だ。
胸部装甲が開き、目の部分の色は黄から赤に。乾巧も使っていた、高速化する形態だ。
――Start up
犬が飛びかかってくると同時に、その姿がかき消え。
FINAL ATTACKRIDE――FA-FA-FA-FAIZ!
周囲の犬に円錐形の赤いポインタが設置。
のみならず、背を向けて逃げる二人の男をも捉えていた。
のみならず、背を向けて逃げる二人の男をも捉えていた。
その姿がイリヤの前にまで戻ってくると同時に、一斉に設置されたポインタが起動。
犬と男達の体へと命中し、消滅させていった。
犬と男達の体へと命中し、消滅させていった。
――Time out
「終わったぞ」
「え、あの…、その…」
「え、あの…、その…」
変身を解除しオーロラの壁を解いて、こちらに手を伸ばす男。
しかしイリヤの混乱は収まらない。
周囲の風景が変わり、堂々巡りだった路地裏は、自分が飛び込んで間もない場所の建物の間に戻った。
しかしイリヤの混乱は収まらない。
周囲の風景が変わり、堂々巡りだった路地裏は、自分が飛び込んで間もない場所の建物の間に戻った。
「さっきのか。まあ気にするな。あそこにいた魔術師ってのもどうやら本人じゃないらしい。
本物は他の場所にいるんだろう」
『それじゃ、そちらも対処しなければ危険なのでは』
「そっちは、……まあ、大丈夫だろう。
たぶん、お前達が気にすることはもうないだろうさ」
本物は他の場所にいるんだろう」
『それじゃ、そちらも対処しなければ危険なのでは』
「そっちは、……まあ、大丈夫だろう。
たぶん、お前達が気にすることはもうないだろうさ」
◇
「クソ!何が起きた!!」
「何なんだあの男は!こっちの切り札の魔獣達をあんなに簡単に…!」
「何なんだあの男は!こっちの切り札の魔獣達をあんなに簡単に…!」
どこかの建物の中で叫び散らす二人の男。
彼らはある依頼を受けて動いていた傭兵のような存在だった。
彼らはある依頼を受けて動いていた傭兵のような存在だった。
難しい仕事ではないと聞いていたが念には念を入れて準備を整えて行動して失敗した。
「こんな有様、雇い主になんて報告すればいいんだ!」
「クソ、考えろ、畜生…」
「クソ、考えろ、畜生…」
頭をかきむしりながら呟き続ける男たち。
次の瞬間だった。
入口のドアのある方向から、体に衝撃が走って地面に倒れ込む。
何が起こったのか。
把握する前に片方の男は即死していた。
生き残った方はその全身を血まみれにした様子と、自分の体から流れる血を見て、撃たれたのだと理解し。
把握する前に片方の男は即死していた。
生き残った方はその全身を血まみれにした様子と、自分の体から流れる血を見て、撃たれたのだと理解し。
扉を蹴破って踏み込んできた男が、銃を突きつけその頭部を撃ち抜いた。
その姿が、噂に聞いた魔術師殺しの姿と一致することを見て、しかし何故そんな男がこの場にいるのかを理解する前に意識は途切れ。
その姿が、噂に聞いた魔術師殺しの姿と一致することを見て、しかし何故そんな男がこの場にいるのかを理解する前に意識は途切れ。
「安心しろ。お前達がこれ以上何かを心配するようなことは、もう二度とない」
反応するものがいなくなった空間で、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの父親である男、魔術師殺しの衛宮切嗣は小さな声で呟いた。