買ったばかりの五月蝿い目覚まし時計が、延々と部屋に響き渡る。
何とも言えない朝。起きるのが辛いというのが彼の本音だった。
「ん……今、何時だ」
それが示す時刻、8時20分。何か大事な用があった気がする。
ただ、そんなことを考えていられるほど頭が働いていない。
「確か、今日は……」
彼は回らない頭でふと思い出した。今日が何の日かを。
「やっべぇ、時間間違えてた!」
何とも言えない朝。起きるのが辛いというのが彼の本音だった。
「ん……今、何時だ」
それが示す時刻、8時20分。何か大事な用があった気がする。
ただ、そんなことを考えていられるほど頭が働いていない。
「確か、今日は……」
彼は回らない頭でふと思い出した。今日が何の日かを。
「やっべぇ、時間間違えてた!」
同時刻。駅の前に、不機嫌そうな面持ちで立ち尽くす少女がいた。透き通るような水色
の髪の少女。橘みずき。
「もう、大和くんは何してんのよ!」
携帯電話のディスプレイに目を移し、時刻を確認する。完全に今日のスケジュールは狂
わされていた。
よりによって彼が携帯を持っていないというのが、一番の問題だ。
周りを見渡してみるものの、彼が来る気配は一向にない。
「せっかく……お気に入りの、大和くんのために着てきたのにな」
みずきは今日が楽しみで、自らが気に入っていた勝負服を着てきたのだ。
しかし、一番見せたい人が現れないという事実が彼女を不安な気持ちにさせた。
「大和くん、私のこと嫌いなのかな」
冷たいコンクリートに座り込んで、俯いていたそのとき。
「よっ、彼女! 今からオレと楽しいとこいかない?」
頭の上から、聞き覚えのない青年の声が聞こえた。
ふと見上げると、髪を金色に染めた男が、白い歯を見せて微笑んでいた。
「……烏丸 雅」
みずきはその男を知っていた。
前に雑誌でみた今大会注目選手、烏丸雅だった。
烏丸は、帝王実業の友沢にも劣らないという評判の、西強高校の抑え投手だ。
「お、オレのこと知ってくれてんだ? 嬉しいね」
「…………今、待ち合わせしてるの」
みずきは、大和の存在を伝えて、何とかその場を凌ごうとした。が、烏丸は折れなかった。
「いいじゃん。そんな男より、オレのがキミを楽しませるからさぁ」
「おいおい。何やってんだ、雅」
みずきは、温かみのある聞き慣れた声に顔を上げた。
そこにいたのは、自分を散々に待たせた張本人だった。
「大和くん……」
「んだよ。大和の彼女なの? お前も隅に置けねぇな」
「ち、ちげぇよ! 彼女は友達で…」
親しげに話す2人に、みずきはキョトンとしていた。
イマイチ状況が把握できなかったからだ。
「あ、オレら中学でバッテリー組んでたからさ」@wikiへ
の髪の少女。橘みずき。
「もう、大和くんは何してんのよ!」
携帯電話のディスプレイに目を移し、時刻を確認する。完全に今日のスケジュールは狂
わされていた。
よりによって彼が携帯を持っていないというのが、一番の問題だ。
周りを見渡してみるものの、彼が来る気配は一向にない。
「せっかく……お気に入りの、大和くんのために着てきたのにな」
みずきは今日が楽しみで、自らが気に入っていた勝負服を着てきたのだ。
しかし、一番見せたい人が現れないという事実が彼女を不安な気持ちにさせた。
「大和くん、私のこと嫌いなのかな」
冷たいコンクリートに座り込んで、俯いていたそのとき。
「よっ、彼女! 今からオレと楽しいとこいかない?」
頭の上から、聞き覚えのない青年の声が聞こえた。
ふと見上げると、髪を金色に染めた男が、白い歯を見せて微笑んでいた。
「……烏丸 雅」
みずきはその男を知っていた。
前に雑誌でみた今大会注目選手、烏丸雅だった。
烏丸は、帝王実業の友沢にも劣らないという評判の、西強高校の抑え投手だ。
「お、オレのこと知ってくれてんだ? 嬉しいね」
「…………今、待ち合わせしてるの」
みずきは、大和の存在を伝えて、何とかその場を凌ごうとした。が、烏丸は折れなかった。
「いいじゃん。そんな男より、オレのがキミを楽しませるからさぁ」
「おいおい。何やってんだ、雅」
みずきは、温かみのある聞き慣れた声に顔を上げた。
そこにいたのは、自分を散々に待たせた張本人だった。
「大和くん……」
「んだよ。大和の彼女なの? お前も隅に置けねぇな」
「ち、ちげぇよ! 彼女は友達で…」
親しげに話す2人に、みずきはキョトンとしていた。
イマイチ状況が把握できなかったからだ。
「あ、オレら中学でバッテリー組んでたからさ」@wikiへ