時間移動か洗脳か ◆7WJp/yel/Y
七原は少しの間だけ考えた結果、布具里と行動を共にすることに決めた。
布具里が戻ってくるまでの間が手持ち無沙汰でしょうがない。
ならばと浜辺に腰を落としてデイバックの中身を確認しなおす。
水、大量の食料、地図、コンパスなど先ほど確認したものが出てくる。
布具里が戻ってくるまでの間が手持ち無沙汰でしょうがない。
ならばと浜辺に腰を落としてデイバックの中身を確認しなおす。
水、大量の食料、地図、コンパスなど先ほど確認したものが出てくる。
「……おいおい、まさかあの忍者装束だけなのか?」
今まで我威亜党の邪魔を散々してきたのだから、おかしい話ではない。
おかしい話ではないが困った話ではある。
布具里と出会うことによって防弾チョッキを手に入れることが出来たからいいが、
もしも誰とも出会わなければ忍者装束だけで戦う羽目になっていたのだ。
腕には自信があるものの、さすがに銃を持った相手に無手で勝てるとは思わない。
自身の装備の貧弱さに、はぁ、と小さくため息をついて乱暴にデイバックをひっくり返す。
支給品がバタバタと落ちていく。
ガチャガチャと音を立てて漁っていくと、一つの小さな、煙草の箱ほどの大きさの箱が手に当たる。
小さなもののため、布具里と情報を交換する時には見渡していたのだろう。
しかし、この大きさでは大した武器であると思えない。
火薬が入っていたとしても高が知れているし、箱に入る程度の武器に殺傷力があるとは考えられない。
七原はあまり期待をせずに、その箱の裏を覗き込み。
おかしい話ではないが困った話ではある。
布具里と出会うことによって防弾チョッキを手に入れることが出来たからいいが、
もしも誰とも出会わなければ忍者装束だけで戦う羽目になっていたのだ。
腕には自信があるものの、さすがに銃を持った相手に無手で勝てるとは思わない。
自身の装備の貧弱さに、はぁ、と小さくため息をついて乱暴にデイバックをひっくり返す。
支給品がバタバタと落ちていく。
ガチャガチャと音を立てて漁っていくと、一つの小さな、煙草の箱ほどの大きさの箱が手に当たる。
小さなもののため、布具里と情報を交換する時には見渡していたのだろう。
しかし、この大きさでは大した武器であると思えない。
火薬が入っていたとしても高が知れているし、箱に入る程度の武器に殺傷力があるとは考えられない。
七原はあまり期待をせずに、その箱の裏を覗き込み。
「うぉ……これは……!!」
先ほどまでの暗い顔を瞬時に明るい表情へと変化させる。
猛スピードでデイバックへとしまい込み、その小さな箱を手に持って海の家へと走っていく。
猛スピードでデイバックへとしまい込み、その小さな箱を手に持って海の家へと走っていく。
「親父!」
「おお、いきなりどうした我が息子よ。
まさかその歳になって父ちゃんと遊びたいとでも言うのか?」
「おお、いきなりどうした我が息子よ。
まさかその歳になって父ちゃんと遊びたいとでも言うのか?」
既に白い忍者装束に着替え終わっていた布具里が冗談めかして訊ねる。
そんな冗談を右から左へと聞き流して、七原は不気味に笑いながら手元の箱を大きく上に掲げる。
そんな冗談を右から左へと聞き流して、七原は不気味に笑いながら手元の箱を大きく上に掲げる。
「さあ親父、ギャンブルだギャンブル!
その袋の中に入っているものを賭けて、俺と勝負しやがれ!」
「なに! ギャンブルだと!」
その袋の中に入っているものを賭けて、俺と勝負しやがれ!」
「なに! ギャンブルだと!」
その言葉に布具里の眼は一気に輝いていく。
七原がするつもりのギャンブルは『Pカード』、ある高校で流行った単純なカードゲームである。
箱の中にはPカードの説明書とカードが1セット。
七原がするつもりのギャンブルは『Pカード』、ある高校で流行った単純なカードゲームである。
箱の中にはPカードの説明書とカードが1セット。
「四人でやるギャンブルらしいけど今回は二人だからな。
ちょうど二等分すればいい感じになるだろ」
ちょうど二等分すればいい感じになるだろ」
説明書を読みながら丸テーブルに座り込む七原。
布具里も顔を輝かせて椅子に座り込んでいく。
布具里も顔を輝かせて椅子に座り込んでいく。
「まあいい、そのうちルールも覚えるだろ!」
「いいのか息子よ。こう見えても父はギャンブルには強いんだぞ?」
「は、借金にまみれた男が言うセリフじゃないな!」
「お互い様ってやつだぞ!」
「朝が来るまでに身包み剥いでやるよ!」
「いいのか息子よ。こう見えても父はギャンブルには強いんだぞ?」
「は、借金にまみれた男が言うセリフじゃないな!」
「お互い様ってやつだぞ!」
「朝が来るまでに身包み剥いでやるよ!」
駄目人間全開の二人の熱い夜は始まったばかりである。
◇ ◇ ◇ ◇
九条英雄と凡田大介は海の家へと向かって北上していた。
先ほど別れた智美のことが気にはかかっていたが、今は仲間を集めると言うことに集中した方がいい。
智美の判断は正しい、三人で動き回るよりも二手に別れた方が仲間を多く集める事が出来るのは当然だ。
頭もいいように見えたし凡田との会話を聞く限り社会的地位も高いようだ。
危機を乗り切れる何かしらの策がある、智美が一人で動く事を選んだのも理由があるはずだ。
先ほど別れた智美のことが気にはかかっていたが、今は仲間を集めると言うことに集中した方がいい。
智美の判断は正しい、三人で動き回るよりも二手に別れた方が仲間を多く集める事が出来るのは当然だ。
頭もいいように見えたし凡田との会話を聞く限り社会的地位も高いようだ。
危機を乗り切れる何かしらの策がある、智美が一人で動く事を選んだのも理由があるはずだ。
「九条くん」
「……ん? 何だい、凡田くん」
「……ん? 何だい、凡田くん」
考え事をしていたため若干反応が遅れる。
それに気になる事はもう一つある。
凡田の言った、ドリルモグラーズに所属している、との言葉。
現在はドリルモグラーズという球団は消え失せて大神ホッパーズと名前を変えているはずだ。
そして、旅の途中で小耳に挟んだ情報が正しければ凡田 大介と言う選手はとっくに引退しているはずだ。
もっとも、風来坊ゆえにガセネタを今まで信じ込んでいたと言う可能性もあるが。
あまり世間のことに興味は持っていないかったが、これからはこまめにチェックすることに決めた。
それに気になる事はもう一つある。
凡田の言った、ドリルモグラーズに所属している、との言葉。
現在はドリルモグラーズという球団は消え失せて大神ホッパーズと名前を変えているはずだ。
そして、旅の途中で小耳に挟んだ情報が正しければ凡田 大介と言う選手はとっくに引退しているはずだ。
もっとも、風来坊ゆえにガセネタを今まで信じ込んでいたと言う可能性もあるが。
あまり世間のことに興味は持っていないかったが、これからはこまめにチェックすることに決めた。
「海の家が近づいてきたでやんすよ」
「ああ、そうだな」
「じゃあ早速……」
「ちょっと待った」
「ああ、そうだな」
「じゃあ早速……」
「ちょっと待った」
駆け寄ろうとする凡田を諌めて耳を潜める。
ほんの少しではあるが人の声が聞こえる、さすがに内容を聞き取る事は出来ないが。
ほんの少しではあるが人の声が聞こえる、さすがに内容を聞き取る事は出来ないが。
「人がいる、話し声みたいだから複数だ」
「へえ、幸先がいいでやんすね。早速仲間をゲットでやんすよ」
「……気楽だね、凡田くんは」
「へえ、幸先がいいでやんすね。早速仲間をゲットでやんすよ」
「……気楽だね、凡田くんは」
しかし、どうするか。
相手が殺し合いに乗っているかどうかわからない状況で攻撃を仕掛けるのは論外だ。
相手がどんなスタンスでいるのかを知らないと行動の取りようがない。
相手が殺し合いに乗っているかどうかわからない状況で攻撃を仕掛けるのは論外だ。
相手がどんなスタンスでいるのかを知らないと行動の取りようがない。
「どうするんでやんすか、九「くっそぉぉ!!」
凡田の問いかけに被せたかの様に叫び声が周囲に響き渡る。
九条と凡田は顔を見合わせ、再び海の家へと目を向けて静かに耳を潜める。
九条と凡田は顔を見合わせ、再び海の家へと目を向けて静かに耳を潜める。
「はは、これで俺の連勝だな親父!」
「ちくしょー! 次だ次だ!」
「ちくしょー! 次だ次だ!」
会話の内容は和気藹々としたものだ。
さすがにこんな場所で大声を出すような人間が殺し合いに乗っているとは考えづらい。
若干抜けている人たちだと判断できるため、仲間にして頼りになるかと聞かれると首を横に振る。
頼りにはならないが、やはり仲間は多いほうがいい。
意を決して海の家への扉を開ける。
さすがにこんな場所で大声を出すような人間が殺し合いに乗っているとは考えづらい。
若干抜けている人たちだと判断できるため、仲間にして頼りになるかと聞かれると首を横に振る。
頼りにはならないが、やはり仲間は多いほうがいい。
意を決して海の家への扉を開ける。
「失礼するでやんすよー」
「ん……なっ!?」
「ん……なっ!?」
しかし、そんな交渉自体は容易だろうと思い扉を開けた瞬間、驚きの声が響き渡る。
海の家の中にいたのは二人。
一人はハンチング帽にサスペンダーの上に地味なベストを羽織っているのが特徴的な若い男。
もう一人は顔の骨格が有り得ない形をしている白い服を着た男。
二人は丸テーブルに向かい合って座っていて、そのテーブルにはカードが散らばっている。
よく見るとテーブルの位置は窓からは四角になり、それでいて直ぐに窓から逃げれる場所だ。
何も考えずにゲームに熱中していたのではないようだ。
海の家の中にいたのは二人。
一人はハンチング帽にサスペンダーの上に地味なベストを羽織っているのが特徴的な若い男。
もう一人は顔の骨格が有り得ない形をしている白い服を着た男。
二人は丸テーブルに向かい合って座っていて、そのテーブルにはカードが散らばっている。
よく見るとテーブルの位置は窓からは四角になり、それでいて直ぐに窓から逃げれる場所だ。
何も考えずにゲームに熱中していたのではないようだ。
「湯田くん!?」
ハンチング帽の男が大声で凡田へと呼びかける。
その手には警察が使う拳銃、ニューナンブを握り地味な色のベストを羽織っている。
その手には警察が使う拳銃、ニューナンブを握り地味な色のベストを羽織っている。
「……あー、人違いでやんすよ。オイラは凡田でやんす」
「人違い? そんな馬鹿な!?」
「人違い? そんな馬鹿な!?」
男は大きく目を見開いて凡田へと問いかける。
九条はそんな様子を静かに見届けて、この二人が殺し合いに乗っていないだろうという大体のあたりをつける。
二人で動いていると言う事は最後の一人になるまで殺しあうというルールに矛盾している。
もちろん利害の一致で組んでいると言う可能性も高いが、それならあの銃を牽制にも使わないのは不自然だ。
九条はそんな様子を静かに見届けて、この二人が殺し合いに乗っていないだろうという大体のあたりをつける。
二人で動いていると言う事は最後の一人になるまで殺しあうというルールに矛盾している。
もちろん利害の一致で組んでいると言う可能性も高いが、それならあの銃を牽制にも使わないのは不自然だ。
「……少し、話をいいかな?」
「おう、俺たちを殺す前の決め台詞か何かかい?」
「……俺たちは仲間を探しています。
この殺し合いから脱出するための、あの亀田とか言う男を倒すための仲間を」
「へえ、そいつは奇遇だねえ。俺たちも殺し合いに乗るつもりは頭からないんだよ。
出来るなら穏便に済ましたいと思ってたところでさあ。
それで、あんたたちの名前は?」
「おう、俺たちを殺す前の決め台詞か何かかい?」
「……俺たちは仲間を探しています。
この殺し合いから脱出するための、あの亀田とか言う男を倒すための仲間を」
「へえ、そいつは奇遇だねえ。俺たちも殺し合いに乗るつもりは頭からないんだよ。
出来るなら穏便に済ましたいと思ってたところでさあ。
それで、あんたたちの名前は?」
動揺しているハンチング帽の男に変わり、白い服の男が対応する。
こっちをおちょくるような言葉だが、恐らくそれが自然体なのだろう。
ニヤニヤと余裕のある笑みを顔中に浮かべている、理不尽な状況には慣れているということだ。
こっちをおちょくるような言葉だが、恐らくそれが自然体なのだろう。
ニヤニヤと余裕のある笑みを顔中に浮かべている、理不尽な状況には慣れているということだ。
「九条 英雄、こっちの眼鏡の人は凡田 大介」
「俺は布具里、考古学者だよ」
「何が考古学者だ、遺跡泥棒の間違いだろ」
「はっはっは、こいつは手厳しいな、我が息子よ」
「俺は布具里、考古学者だよ」
「何が考古学者だ、遺跡泥棒の間違いだろ」
「はっはっは、こいつは手厳しいな、我が息子よ」
混乱から立ち直ったハンチング帽の男は布具里ジト目で睨みつけた後、口を開く。
この二人は雰囲気からしてただの一般人ではない。
九条や椿のような、どこか危ない道も歩いて生活している人間。
この二人は雰囲気からしてただの一般人ではない。
九条や椿のような、どこか危ない道も歩いて生活している人間。
「七原 正大と言います。
帝都に探偵事務所を開いているので是非ご利用をお願いします」
帝都に探偵事務所を開いているので是非ご利用をお願いします」
明らかな営業スマイルで近寄ってくる。
探偵、あまり良いイメージはない。
だが精神的に逞しいのは間違いないのだろう。
探偵、あまり良いイメージはない。
だが精神的に逞しいのは間違いないのだろう。
(この二人は親子なのか、親子に殺し合いをさせるなんて腐っているな。
ところでテイトってどこだ?)
ところでテイトってどこだ?)
少し疑問に思うものの、あまり知られていない地名なのかもしれない。
それにその日の食事に困るほど金に困っている九条が探偵を利用する事なんてまずない。
凡田が今まで溜め込んでいるコレクションをフリーマーケットに出すぐらい有り得ない。
それにその日の食事に困るほど金に困っている九条が探偵を利用する事なんてまずない。
凡田が今まで溜め込んでいるコレクションをフリーマーケットに出すぐらい有り得ない。
「俺は九条 英雄。職は持っていません、風来坊ってやつですね」
「オイラは凡田大介でやんす、モグラーズのピッチャーでプロ野球選手でやんすよ」
「プロ……?」
「へえ、兄ちゃん外国にでも住んでるのか、あっちの住み心地はどうなんだよ?」
「いや、オイラは日本人でやんすよ……外国になんて行った事もないでやんす!」
「オイラは凡田大介でやんす、モグラーズのピッチャーでプロ野球選手でやんすよ」
「プロ……?」
「へえ、兄ちゃん外国にでも住んでるのか、あっちの住み心地はどうなんだよ?」
「いや、オイラは日本人でやんすよ……外国になんて行った事もないでやんす!」
話がかみ合わない、先ほどの九条と凡田と智美の会話のように何かがずれている。
いわゆる共通の認識がそっくりそのまま違うような、致命的なズレがある。
いわゆる共通の認識がそっくりそのまま違うような、致命的なズレがある。
「知らないな、モグラーズなんて野球倶楽部。親父は?」
「俺も知らないね。日本で横文字使ってる野球倶楽部は」
「あんた達、本当に日本人でやんすか……?」
「俺も知らないね。日本で横文字使ってる野球倶楽部は」
「あんた達、本当に日本人でやんすか……?」
明らかにおかしい。
さすがにプロ野球を知らない日本人なんて絶対にいない。
モグラーズもそれなりに知られているし、何より野球倶楽部という言い方にも引っかかる。
さすがにプロ野球を知らない日本人なんて絶対にいない。
モグラーズもそれなりに知られているし、何より野球倶楽部という言い方にも引っかかる。
(……まさか)
九条の脳裏に思い浮かぶのは一つの突飛な考え。
有り得ない、出来るはずがない、夢を見すぎている。
普通ならそう思う考えだ。
有り得ない、出来るはずがない、夢を見すぎている。
普通ならそう思う考えだ。
――ここにいる人間の住んでいた時間が違っているなど。
しかし、有り得ないことは有り得ない。
現に幽霊が具現化してある草野球チームに力を貸す、なんてことも平気で起こる世の中なのだから。
現に幽霊が具現化してある草野球チームに力を貸す、なんてことも平気で起こる世の中なのだから。
「……七原さん、今年って何年でしたっけ?」
「? 大正○○年だろ?」
「は?」
「じゃあ凡田くんは?」
「△△年でやんすよ」
「は?」
(決まり、か)
「? 大正○○年だろ?」
「は?」
「じゃあ凡田くんは?」
「△△年でやんすよ」
「は?」
(決まり、か)
その言葉で彼の中での推理に確信を得た。
七原や布具里はもちろん、凡田も九条も違う時間から拉致をされたことになる。
いや、七原や布具里の間にも時間の違いがあるかもしれない。
七原や布具里はもちろん、凡田も九条も違う時間から拉致をされたことになる。
いや、七原や布具里の間にも時間の違いがあるかもしれない。
「……まさか!?」
そこに七原も気付いたようだ。
会話での明らかな食い違い、先ほどの年代、そして見たことのない大型の拳銃。
気付く余地はある、それでも鋭い部類の人間に入るだろう。
置いていかれた布具里と凡田は眉をひそめて難しい顔をする二人を眺めている。
会話での明らかな食い違い、先ほどの年代、そして見たことのない大型の拳銃。
気付く余地はある、それでも鋭い部類の人間に入るだろう。
置いていかれた布具里と凡田は眉をひそめて難しい顔をする二人を眺めている。
「時代の違い……か?」
七原の声が海の家に響く。
あの亀田皇帝には時間を移動する手段がある。
それがどんな原理で起きているかはわからないが。
あの亀田皇帝には時間を移動する手段がある。
それがどんな原理で起きているかはわからないが。
「それってアレでやんすか?
未来に行ったり過去に行ったりする漫画とかアニメでも使い古されたアイディアでやんすよね」
「……それ以外思いつかないんだよ」
未来に行ったり過去に行ったりする漫画とかアニメでも使い古されたアイディアでやんすよね」
「……それ以外思いつかないんだよ」
口ではこう言うが、九条は七原と違いもう一つの可能性も頭にあった。
それは薬や機械を使った洗脳。
自分がモグラーズの選手で、自分が大正時代の人間であるように思い込むように洗脳された。
正直な話、これが一番現実的な考えだ。
だが、その場合も疑問点が数ある。
参加者全員を洗脳する必要はないとは言え、かなりの手間と時間と金がかかる。
そして何よりも洗脳することに必要性が感じられない。
時間移動の方は話の筋は通るのだ。
先ほどのテレポートも、あの巨大ロボも、全てが現代の技術ではない未来の技術だとすれば。
技術面では全てが納得できる。
それは薬や機械を使った洗脳。
自分がモグラーズの選手で、自分が大正時代の人間であるように思い込むように洗脳された。
正直な話、これが一番現実的な考えだ。
だが、その場合も疑問点が数ある。
参加者全員を洗脳する必要はないとは言え、かなりの手間と時間と金がかかる。
そして何よりも洗脳することに必要性が感じられない。
時間移動の方は話の筋は通るのだ。
先ほどのテレポートも、あの巨大ロボも、全てが現代の技術ではない未来の技術だとすれば。
技術面では全てが納得できる。
「……今は情報を集める事が先決だな」
七原もそう簡単には納得できないらしく眉をひそめて九条と凡田に向かって向き直る。
その眼は真っ直ぐに二人を見ている。
その眼は真っ直ぐに二人を見ている。
「情報交換、といかないかい? ちょっと我威亜党には因縁が遭ってね。
殺し合いに乗るつもりは毛頭もないからな」
殺し合いに乗るつもりは毛頭もないからな」
◇ ◇ ◇ ◇
七原は値踏みするように九条と凡田を眺めていた。
どちらも身体を鍛えているようで体格はいい、少なくとも何時間も歩き回って倒れるようには見えない。
九条と言う男は話をした限り、頭は悪くない鋭いタイプの人間。
凡田は普通の一般人そのもので人殺しをしそうには見えない、気のいいタイプだろう。
仲間としては上等の部類に当たるだろう。
どちらも身体を鍛えているようで体格はいい、少なくとも何時間も歩き回って倒れるようには見えない。
九条と言う男は話をした限り、頭は悪くない鋭いタイプの人間。
凡田は普通の一般人そのもので人殺しをしそうには見えない、気のいいタイプだろう。
仲間としては上等の部類に当たるだろう。
「我威亜党のことなんだが……時間が違うとすると知らないか?」
「ええ、全く」
「一言で表すと悪の組織ってやつだ、世界征服を目指してくるんだから。
百貨店に強盗に入ったり怪しげな機械を作ったりと色々と悪事を働いていたんだ。
そして、帝都に地震を起こした」
「大正の地震って……まさか、あの大震災が人為的に起こされたのか?」
「ええ、全く」
「一言で表すと悪の組織ってやつだ、世界征服を目指してくるんだから。
百貨店に強盗に入ったり怪しげな機械を作ったりと色々と悪事を働いていたんだ。
そして、帝都に地震を起こした」
「大正の地震って……まさか、あの大震災が人為的に起こされたのか?」
九条が目を見開き呆然と呟く。
確かにあの自身での被害はパッと見ただけでも凄まじいものだった。
あれが人為的に行われたとはそう簡単には信じられないだろう。
確かにあの自身での被害はパッと見ただけでも凄まじいものだった。
あれが人為的に行われたとはそう簡単には信じられないだろう。
「我威亜党はそのために動いていたんだよ。
帝都に地震を起こして、多くの人間を殺し、ある禍々しい姿の化物を召喚するためにね」
帝都に地震を起こして、多くの人間を殺し、ある禍々しい姿の化物を召喚するためにね」
目を瞑ればあの姿が鮮明に思い出せる。
この世のものとは思えない造形、恐竜をも超える力、いくら攻撃しても倒れない圧倒的な耐久。
あれを支配すれば確かに世界征服などたやすいだろう。
それほどまでに規格外の存在だった。
七原は知る由もないが、元々召喚するつもりだった邪神を文字通り『食って』しまった太古の穢れ神なのだから。
それを所詮は人である我威亜党に何の準備もなしに支配できるわけがない。
この世のものとは思えない造形、恐竜をも超える力、いくら攻撃しても倒れない圧倒的な耐久。
あれを支配すれば確かに世界征服などたやすいだろう。
それほどまでに規格外の存在だった。
七原は知る由もないが、元々召喚するつもりだった邪神を文字通り『食って』しまった太古の穢れ神なのだから。
それを所詮は人である我威亜党に何の準備もなしに支配できるわけがない。
「でも、安心したよ。
『未来がある』ってことはあの化物は倒されたってことだろ?」
「聞いたこともないですね、情報工作か何かされたんでしょう」
『未来がある』ってことはあの化物は倒されたってことだろ?」
「聞いたこともないですね、情報工作か何かされたんでしょう」
確かに無駄に恐怖を煽っても仕方がない。
ただの地震とした方が都合が良いのだろう。
そのことからも我威亜党が未来に伝わっていないのも納得がいった。
ただの地震とした方が都合が良いのだろう。
そのことからも我威亜党が未来に伝わっていないのも納得がいった。
「それで、俺と仲間はその召喚された化物に殺された……はずだった」
「だけど気がつけばここにいた、ってことでやんすか?」
「ああ、傷も綺麗に塞がっている。こいつも未来の技術って奴かな」
「だけど気がつけばここにいた、ってことでやんすか?」
「ああ、傷も綺麗に塞がっている。こいつも未来の技術って奴かな」
身体に痺れなども感じないし後遺症はない……ように思える。
不思議なものだと開いたり閉じたりしている手を見る。
不思議なものだと開いたり閉じたりしている手を見る。
「ああ、我威亜党についてだけど幹部は俺の知ってる限り五人いる。
亀田皇帝、チバヤシ公爵、秋穂侯爵、あやか伯爵、寺岡子爵、チキン男爵。
どいつも癖のある連中ばかりだよ」
亀田皇帝、チバヤシ公爵、秋穂侯爵、あやか伯爵、寺岡子爵、チキン男爵。
どいつも癖のある連中ばかりだよ」
恐らくこの首輪は寺岡子爵の特製だろう。
嬉々として殺しをするような人物ではないが、嬉々として兵器を作るような人物だ。
大方、気がついたら作っていたとかそんな理由だろう。
嬉々として殺しをするような人物ではないが、嬉々として兵器を作るような人物だ。
大方、気がついたら作っていたとかそんな理由だろう。
「……これも何かの儀式かもしれないな。
帝都の大地震もあの化物を呼び出すためのものだったから、可能性は高いと思う」
「規模が違うぜ、息子よ」
「そうだな、あの時は万単位、こっちは数十人だ」
帝都の大地震もあの化物を呼び出すためのものだったから、可能性は高いと思う」
「規模が違うぜ、息子よ」
「そうだな、あの時は万単位、こっちは数十人だ」
もちろん、数の問題ではないが。
しかし、儀式や生贄などでは大きなポイントとなるのも事実だろう。
しかし、儀式や生贄などでは大きなポイントとなるのも事実だろう。
「今のところ我威亜党が殺し合いを始めた目的はわからない。
だけど、世界征服という大きな目標に繋がるものは確実なはずだ」
だけど、世界征服という大きな目標に繋がるものは確実なはずだ」
あの化物を支配できなかった以上我威亜党にも多大な被害が出たはずだ。
ならば遊んでいる暇はない、これにも何かしらの意味がある。
ならば遊んでいる暇はない、これにも何かしらの意味がある。
「仲間も大勢居たんだけど、こっちに連れてこられたかはわからないな」
「その人たちの名前を教えてもらってもいいかな?」
「ああ、今メモに書くよ。そっちの知り合いもよければが書いてくれるか?」
「了解でやんす!」
「その人たちの名前を教えてもらってもいいかな?」
「ああ、今メモに書くよ。そっちの知り合いもよければが書いてくれるか?」
「了解でやんす!」
九条と凡田も筆記用具を取り出してデイバックに入っていたメモ帳に名前をつらつらと書いている。
「こっちで知り合ったのは……?」
「……親父だけだ」
「ハハハ、そんなにへこむな息子よ。良いことだってきっとあるさ」
「俺は四路 智美って人に会いました」
「四路 智美? 智美もいるのか!?」
「……親父だけだ」
「ハハハ、そんなにへこむな息子よ。良いことだってきっとあるさ」
「俺は四路 智美って人に会いました」
「四路 智美? 智美もいるのか!?」
七原の頭に浮かぶのは元スパイの頼りがいのある女の姿だ。
銃の腕前もたいしたものだし、何よりしたたかだ。
銃の腕前もたいしたものだし、何よりしたたかだ。
「多分人違いだよ、凡田くんの知り合いだから」
「……同姓同名か」
「俺と凡田くんの名前を出したら警戒は解いてくれるはずだ」
「……同姓同名か」
「俺と凡田くんの名前を出したら警戒は解いてくれるはずだ」
カリカリと音を立ててメモに名前を書き込んでいく。
七原は書き終わると顔を上げてメモを渡す。
七原は書き終わると顔を上げてメモを渡す。
「信用は出来るやつらだよ、少し我の強いのが多いけど」
「オイラも出来たでやんす!」
「……一応信用は出来ますよ、少なくとも殺し合いに乗るような奴らじゃない」
「了解……って倉刈さんまで。同姓同名多いんだな」
「オイラも出来たでやんす!」
「……一応信用は出来ますよ、少なくとも殺し合いに乗るような奴らじゃない」
「了解……って倉刈さんまで。同姓同名多いんだな」
多くある名前ではないが珍しいというほどではない。
同姓同名がいるぐらいおかしくはないだろう。
同姓同名がいるぐらいおかしくはないだろう。
「散々話してもらって申し訳ないけど、こっちには重要な情報がないんだ。
これから仲間を探そうとしたところでね」
「仲間、か」
「三回目の放送でホテルに集合でやんす」
これから仲間を探そうとしたところでね」
「仲間、か」
「三回目の放送でホテルに集合でやんす」
第三放送ということは大体十数時間後。
時間がないわけではない、しかし遊んでいる時間はない。
時間がないわけではない、しかし遊んでいる時間はない。
「じゃあ早速動こうか」
「あ、その前にスコップはないでやんすか?」
「スコップ?
知らないな、親父は……っておい、なにやってんだ」
「ん~? いや、面倒くさい話してるからよ~、ちょっとパンを食ってただけだよ」
「……スコップは?」
「見てないな~、包丁とかそういうのもないから武器になりそうなのは取り上げられてると思うぜ?」
「あ、その前にスコップはないでやんすか?」
「スコップ?
知らないな、親父は……っておい、なにやってんだ」
「ん~? いや、面倒くさい話してるからよ~、ちょっとパンを食ってただけだよ」
「……スコップは?」
「見てないな~、包丁とかそういうのもないから武器になりそうなのは取り上げられてると思うぜ?」
布具里は相変わらず呑気だ。
三人は軽くため息をつき、話を続ける。
三人は軽くため息をつき、話を続ける。
「一旦別れるか。山にも施設があるから見て回りたい。
二人と二人ならちょうどいいだろ」
「じゃあ俺と凡田くんで」
「え、一緒に行かないんでやんすか?」
二人と二人ならちょうどいいだろ」
「じゃあ俺と凡田くんで」
「え、一緒に行かないんでやんすか?」
凡田が疑問の声を上げる。
確かに四人もいれば頼りになるだろう。
しかし、ここは冒険に出なければいけない。
確かに四人もいれば頼りになるだろう。
しかし、ここは冒険に出なければいけない。
「俺たちは先に街に向かっておく、こう見えても冒険家だからな荒事は専門さ。
そっちは先にホテルに行って綺麗にしておいてくれよ」
そっちは先にホテルに行って綺麗にしておいてくれよ」
七原は修羅場に慣れた自分と布具里が仲間集めをする場面だと判断した。
道中で襲われる可能性や話しかけた相手が殺し合いに乗っている可能性だって高い。
危険冒すのはプロがやるべきだ。
道中で襲われる可能性や話しかけた相手が殺し合いに乗っている可能性だって高い。
危険冒すのはプロがやるべきだ。
「そうか……でも、俺たちも一応仲間を探しておく」
「死ぬなよー、命あっての物種だからな」
「『依頼』は完遂させるさ。
こう見えても達成率は100%、期待しといてくれよ」
「死ぬなよー、命あっての物種だからな」
「『依頼』は完遂させるさ。
こう見えても達成率は100%、期待しといてくれよ」
布具里が手を振って海の家を出て行く。
これで方針は立った。
ホテルの見張りは九条たちに任せて七原たちは仲間を見つけて保護する。
これで方針は立った。
ホテルの見張りは九条たちに任せて七原たちは仲間を見つけて保護する。
「さて、親父。さっさと仕事終わらせて続きをやるか!」
まだ殺し合いを破壊する依頼は始まったばかりだ。
【B-5/海の家/一日目/早朝】
【九条英雄@パワプロクンポケット9】
[状態]:健康、正義の味方としての決意
[装備]:ギター
[参戦時期]:維織GOOD後からアルバムまでの間
[道具]:支給品一式、ロケット弾、スタングレネード、野球人形、大正編の仲間の名前が書かれたメモ
[思考・状況]
基本:参加者全員を助け出し、亀田を倒す
1:ホテルに向かいながら仲間を集める。
2:彼女(森友子)を埋葬したい。
[備考]
※七原と軽い情報交換をしました。
【九条英雄@パワプロクンポケット9】
[状態]:健康、正義の味方としての決意
[装備]:ギター
[参戦時期]:維織GOOD後からアルバムまでの間
[道具]:支給品一式、ロケット弾、スタングレネード、野球人形、大正編の仲間の名前が書かれたメモ
[思考・状況]
基本:参加者全員を助け出し、亀田を倒す
1:ホテルに向かいながら仲間を集める。
2:彼女(森友子)を埋葬したい。
[備考]
※七原と軽い情報交換をしました。
【凡田大介@パワプロクンポケット2】
[状態]:顔面に打撲
[装備]:無し
[参戦時期]:本編終了後
[装備]:お守り
[道具]:支給品一式、鍵
[思考・状況]
基本:ガンダーロボを救出したい
1:ホテルに向かいながら仲間を集める。
2:基本人殺しはしたくない。
3:九条を信頼。
4:チームメイトにH亀田がいる
[備考]
※七原と情報交換をしました。
[状態]:顔面に打撲
[装備]:無し
[参戦時期]:本編終了後
[装備]:お守り
[道具]:支給品一式、鍵
[思考・状況]
基本:ガンダーロボを救出したい
1:ホテルに向かいながら仲間を集める。
2:基本人殺しはしたくない。
3:九条を信頼。
4:チームメイトにH亀田がいる
[備考]
※七原と情報交換をしました。
【七原正大(ななはら まさひろ)@パワプロクンポケット7裏】
[状態]:健康
[参戦時期]:ほるひす戦敗北直後
[装備]:地味な色のベスト、ニューナンブM60(6/6)
[道具]:支給品一式、Pカード、九条と凡田の知り合いの名前の書かれたメモ、予備弾(12/12)
[思考]
基本:亀田を倒す。
1:仲間を集めるために動き回る。
2:ほるひすに警戒心。
3:第三放送前にホテルPAWAへと向かう。
[備考]
※大正編のどの人物とどの程度面識があるか、メモに誰の名前が書かれたかは後の書き手に任せます。
※布具里から拳銃、ニューナンブM60を巻き上げました
[状態]:健康
[参戦時期]:ほるひす戦敗北直後
[装備]:地味な色のベスト、ニューナンブM60(6/6)
[道具]:支給品一式、Pカード、九条と凡田の知り合いの名前の書かれたメモ、予備弾(12/12)
[思考]
基本:亀田を倒す。
1:仲間を集めるために動き回る。
2:ほるひすに警戒心。
3:第三放送前にホテルPAWAへと向かう。
[備考]
※大正編のどの人物とどの程度面識があるか、メモに誰の名前が書かれたかは後の書き手に任せます。
※布具里から拳銃、ニューナンブM60を巻き上げました
【布具里@パワプロクンポケット7裏】
[状態]:健康
[参戦時期]:不明
[装備]:亀田幻妖斎の服
[道具]:支給品一式、ランダム支給品残り0~1個(本人確認済み)、亀田幻妖斎の仮面
[思考]
基本:正大に寄生して生きる。
1:仲間を集める。
2:第三放送前にホテルPAWAへと向かう。
[備考]
※確認済みの支給品の中に、衣服になるものは入っていません。
[状態]:健康
[参戦時期]:不明
[装備]:亀田幻妖斎の服
[道具]:支給品一式、ランダム支給品残り0~1個(本人確認済み)、亀田幻妖斎の仮面
[思考]
基本:正大に寄生して生きる。
1:仲間を集める。
2:第三放送前にホテルPAWAへと向かう。
[備考]
※確認済みの支給品の中に、衣服になるものは入っていません。
【Pカード@パワプロクンポケット10】
親切高校の生徒間で行われていたゲームで使うカード。
どんじゃらの様なルールで10種類のカードが10枚ずつとほるひすカードが一枚入っている。
親切高校の生徒間で行われていたゲームで使うカード。
どんじゃらの様なルールで10種類のカードが10枚ずつとほるひすカードが一枚入っている。
投下順に読む
040:それぞれの思惑← 戻る →042:もう戻れない世界
時系列順に読む
045:五、六年もあれば爽やかな青年も悪の手先に変わってしまうことを彼は知らない← 戻る →|042:もう戻れない世界
040:それぞれの思惑← 戻る →042:もう戻れない世界
時系列順に読む
045:五、六年もあれば爽やかな青年も悪の手先に変わってしまうことを彼は知らない← 戻る →|042:もう戻れない世界
| 前へ | キャラ追跡表 | 次へ |
| 034:想い | 九条英雄 | 058:再会、そして再出発 |
| 029:父と息子の思惑 | 七原正大 | 068:名探偵の呪縛 |
| 029:父と息子の思惑 | 布具里 | 068:名探偵の呪縛 |
| 034:想い | 凡田大介 | 058:再会、そして再出発 |