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作品





目玉吐(つ)き



132 名前:目玉吐(つ)き[sage] 投稿日:02/10/30 21:20 ID:gYGUb4ZV
秋の月夜をじっと見ながら
鳴いているのはわたくしではなく
あたたかい外套をまとう百舌が
やせた蜥蜴のはやにえにに
布団を被せたくてたまらずに
いたづらをしてみたその音です

どうだどうだとその嘴で
やせたからだを啄ばむ姿は
月と養鶏場のライトのせいで
わたしの蒼く昏い目から
しっかりと見えて

突然それらの光はあわさり
百舌ははっきりわたしを見据え
ついには目玉は横へと広がり
にやりとなめずるような顔で
わたしのすがたをながめました


133 名前:目玉吐(つ)き[sage] 投稿日:02/10/30 21:21 ID:gYGUb4ZV
それのあまりのおどろきに
突然わたしのくちから
ぽとりぽとりと玉子の目玉が
いくつもいくつも落ちだして
ついにはお池となりはてました

硫黄のにおいのするそれらのめだまは
ふたつよっつやっつとわかれ
かぞえきれぬ数の目となり
そうしてぎょろぎょろながめつつ

いまにもかたまり姿をつくり
そうしてついにはうまれようとするので
わたしはそれらの池へはいり
踏もう踏もうと溺れゆき
ついには沈みきってしまい

それでも
表面にうつる幾億の月は
つぶれずに残り
メルヘンという硫黄の匂いを
たてながらぢっと座って湯気を立て
じいっと夜のあいだに増殖し


134 名前:目玉吐(つ)き[sage] 投稿日:02/10/30 21:21 ID:gYGUb4ZV
霧がすっかりはれて
あさになると
それは黄色い色すらもたず
ぷかりぷかりと蓮華の湯花を
浮かべた風呂で
わたしはぽかりぽかりと
とてもよくあたたまったすえ
ごろりところがっておりました。

そうして月がはじける音は
みえないまんまに
雲のさらに
幾億尺というちかさで




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半月の恋人



139 名前:半月の恋人[sage] 投稿日:02/10/30 23:59 ID:KkaEg8AP
タイミングを見計らったように
半月が表れる
ぼかし絵の輪郭で存在を告げる

冬目前の午後六時
それは立派な夜だった
半月は一人になったばかりの私の前に
追い討ちをかけて独りであることを告げた

そうか 私は 半月だったのか

彼と別れたばかりの私が
そこに浮かんでいた
今夜は半月であるべくして半月なのだ
満月や三日月ではない
ただの半分




140 名前:半月の恋人 続き[sage] 投稿日:02/10/31 00:00 ID:VQM/QyRD
満月は満ち足りた顔で似合わない
三日月は儚げで媚を売ってるみたい

私は半月だ
ただの半分だ
半身を失ったまま闇夜を彷徨う小船
半月こそが今の私

その光は
夜道を照らすには頼りなくて
落とす影も たちまち地面に溶ける
それでも私は今夜だけ独りではない

今は冷たい空気に滲んでも
あの見えない半分の月に出会う
誰かの見えない半分になる

もう一度顔を上げた
白い息が半月にかかる
そうすると少しだけ
半月の輝きが増したような気がした




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141 名前:青[] 投稿日:02/10/31 00:15 ID:bhFQxWwj
青い月は僕の上に
記号のような丸い月
三角の氷風が邪魔をしても
四角い星空が僕を誘っても
ただ丸い青いその姿は
僕の心にはまってしまった
たとえそれが一瞬のことでも
僕の心は離れないんだ
たとえ今隣にいる君のスカートが風でめくれ
僕に世界を見せてくれても
僕の上の青い月から
僕の心は動かないんだろうね







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宝石



143 名前:宝石  1[sage] 投稿日:02/10/31 13:11 ID:ZIiSTRvM
罪悪感は不思議となかった。国が数十億の税金で購入した
銀鷲。膨大な燃料を消費して最後の空へと飛ぶ。飛ぶの
は俺自身だった。誰の命令でもなく。

視力の衰えたパイロットは、容赦なく失格を言い渡される。
子種のないことを打ち明けた男が、恋人から婚約解消を言
い渡されたように。丁寧に机上を滑ってきた婚約指輪。箱
を開けて眺めた。俺が持っていたって仕方のない透けた石
コロ。なぜ女は宝石など欲しがるのか。そして欲しがって
いたものをなぜ、気持ちと一緒に突き返すのか。喫茶店の
扉を開けて出て行く時の、石のようだった彼女の背中が記
憶から離れてくれない。

初めて飛ぶ自由な空には、合わせるべき高度も、ピッチも、
方角もない。俺はただ蒼黒い空虚に放り出されただけだっ
たということに気がついた。操縦旱をどうしようか迷う。
弄ぶ。虚ろな夜闇だから、厳しい規律の中で過ぎて行った
若い日々だけが風の間に現れ、通り過ぎて行く。

自由な空にいて、苦い思い出ばかりが頭を占領する。俺は
操縦旱を、振り払う強さで引くと、頭上に巨きな光を見た。

満月か。そうだ。あの満月へ行こう。


144 名前:宝石  二[sage] 投稿日:02/10/31 13:13 ID:ZIiSTRvM
俺は恋をした。急上昇する銀鷲の、窓枠の隙間に満月が揺
れる。それは月夜のランデブーならぬ、月とのランデブー。
あの月へ辿り着きたい。あの婚約者などには惚れていなかっ
たと今では思える。目の前にいる女は、優しい手をさしの
べてくれる、俺のすべてをわかっていてくれる。

宇宙ロケットだって、大気圏が果てしなければ、いつかは
墜ちてしまう。重力に逆らいつづけることなどできはしな
い、ここにいる限り。HUDに表示された高度は8,000ft。
僅か8,000ftでの失速は、墜落を覚悟させるだろう、それ
がこの俺でなく、若造パイロットだったならば。

俺は地上へ舞い降りて来たが、帰るつもりはなかった。ア
フターバーナーに点火する轟音は、俺の恋心の燃える音。
滑走路をかすめた火花は虫の一~二万匹も焦がしただろう
か。まだ恋人の姿は見えない。上を向かなければ!

再び、彼女と巡り逢えた。HUDに表示される高度は10,00
0ftをみるみる越えて行く。俺は、彼女だけを見ていた。
さっきよりも巨きな彼女がそこにいた。さらに巨大さを増
して行き、遂には俺は包み込まれた。彼女の胸の中に、彼
女の、世界の中に。


145 名前:宝石  三[sage] 投稿日:02/10/31 13:14 ID:ZIiSTRvM
アフターバーナーは点火したまま。音速を遥かに超え、最
高出力のジェット音が鳴り響いている筈の世界が、こんな
にも静かだ。銀鷲も消え、ただ俺だけが、彼女の中にいる。
なんという世界。なんという至福。

遠くからは白いと見えたその内部が、今はさまざまな光の
色で出来上がっている。

宝石の国だ。

俺はどこにいるのか。風防は開けられ、コックピットです
らなく、ただ色とりどりの宝石の光に包まれていた。俺は、
欲しい。この宝石の、すべてが欲しい。

すべてを欲した時、俺は重力のひとつの限界を見た。

銀鷲が震え、帰って行こうとする。
その挙動は、この俺が見たことも聞いたこともない、まる
で乗り物とも生き物とも思えない、奇妙な大車輪だった。
胴体の中心を軸に、前後に回転しはじめる。緩やかだった
回転は、勢いを増し、月は足下へ飛び去ったかと思うと、
また頭上から降って来て、再び足下へ、また頭上、足下、
頭、足、頭足頭足頭足頭足もはや上も下もない!

銀鷲は、ただ墜ちるだけのブーメランと化した。制御する
術もなく、あかるい薄灰色の雲を突き破り、真っ黒な海へ
と突き刺さった。嗚咽のような炎と黒煙を噴きあげた。

上から俺が見下ろしていた。

仰ぐと月は、まだ宝石の色をしていたが、
輪郭から石の無表情を取り戻しつつあった。




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Europa



146 名前:Europa[] 投稿日:02/10/31 20:15 ID:7V+iFnEA


長くなったので詩板避難処の長文、長詩投稿用スレに投稿しました。




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月齢



147 名前:月齢[sage] 投稿日:02/10/31 20:25 ID:n8VfyjFt
盃映真麗四季有
山嶺日日欲色形
明月不迷風影雖
況新月博愛雖羞




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月光に酔う



148 名前:月光に酔う[sage] 投稿日:02/10/31 21:39 ID:jaPyssAy
春 霞んだように 柔らかく
ほの白い ひかり 投げ掛ける

夏 焼け付くような 暑さを
和らげるように 冴え冴えと 銀色

秋 兎 お月見 すすきの穂 
優しい 黄金(こがね)の 夢の時

冬 雪の降る草原 降らない街 同じように
見守って 抱き締めて 照らしてる

ほら 今日も月は 空を巡る
色んな顔を見せながら
色んな色を見せながら

くるん くるん くるん

ほら 夜空を見上げ
今日も 僕は
月の光に酔う

くるん くるん くるん




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アンパンみたいな笑顔



149 名前:アンパンみたいな笑顔[] 投稿日:02/10/31 22:24 ID:W8PKC803
まるい月を見ると いつも
死んだおじいちゃんを思い出す
  顔が 似てるから

晴れた夜には いつも
あの栗の木の葉陰から顔を出す
  同じ 笑顔で

お母さんは 知らないおじさんと夫婦になって
きっと今頃 あの部屋で
  私の妹か弟を製造中

私はおじいちゃんと ポッキーを食べる
ちっちゃな私が ぴんと手を伸ばして ポッキーを差し出すと
布団から半身を起こしたまま にこにこアンパンみたいな笑顔で
ぽきぽき ぱっくん

月になったおじいちゃんは あの日みたいに
すぼんだ口でポッキーを受け止めてはくれないけれど
その代わりに 金色みたいな笑顔で 私を照らしてくれる
にこにこ ふっくら

薄あかるい庭先で 月に数日だけ会える
私の月は おじいちゃん
  あなたの月は どんな顔?




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女神の空



155 名前:女神の空[] 投稿日:02/11/01 00:56 ID:98k53LLC
今はもう下弦の月
誰も見ない明け方に
幽かに光るだけ

蜜月 懐かしいな

秋の夜長 いつまでも君を見ていた
冬の寒空 くつきりの君が美しかつた
満月の日々の生活
春の朧月 輪郭がぼやけて見えたのは
気候のせいだと思つていたけれど

この間まで新月だつたあの娘が
最近少しずつ輝き始めている気がする 
今まさに上弦の月
どうにも駄目だ くらつときそうだ
しかし冷静になつて考える
どうせやがては

不恰好 太つた下弦の月
僕以外誰も見やしない
でもだからこそ
僕だけのものだ




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最終更新:2006年11月05日 10:32