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あねくろ@臨時まとめ
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音楽祭

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polpol

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だれでも歓迎! 編集
3:音楽祭

「音楽祭なんかデートにちょうどよさそうじゃないか?」
「うん。そうだね……ゆっくりできそう」
会場に近づくにつれ、リュートだのライアーだの、現代日本ではあまり耳にしない類の楽器の音が聞こえてくる。
もっとも、舞人に現代弦楽器の音との差など聞き分けられるはずもなかったが。
「舞人」
「ん?」
「寝ないでよ?」
「ちょwwwさすがにそれは……」
ふと、中学生時代に課外授業という名目で学年単位で聞きに行ったクラシックコンサートを思い出した。
級友ともども開始5分で熟睡、感想文にえらく苦労した記憶がある。
「あるあ……ねー……あるあるwwww」
「もうー。そこは嘘でも寝ないっていってよー」

………
……
…


「なぁ、ここって音楽祭の会場に間違いなかったよな?」
「そ、そのはずだよ……さっきまでいかにも吟遊詩人って人たちが恋歌とかサーガとかいう表現の歌を……」
舞人と志乃は、会場を包む異様な雰囲気に狼狽しまくっていた。
いや、訂正しよう。
会場中の観客、審査員たちが一様に狼狽しまくっている。
「俺の歌を聴けぇぇぇ!!」
この異様な雰囲気の発生源が、ステージ上でリュートを掻き鳴らしながら絶叫した。
ただでさえバカでかい張りのある声が、拡声魔法によって耳を劈かんばかりに拡大される。
「あれ、リュートっていうよりギターだろ……」
「す、すっごくノリノリだね……他の人たちと大違いだよぉ」
明らかに動揺する観客たちを尻目に、ステージ上の男は真っ赤に染め抜かれたリュートを掻き鳴らし、一歩間違えれば騒音レベルの演奏を披露し続ける。
衣装も、他のいかにも吟遊詩人、といったものではなかった。
「どう見てもV系です、本当にありがとうございます」
奇抜な色に染め上げた髪や、ドギツいメイク、素肌にぴっちり張り付くようなメッシュの服や、鉄鋲などを多用した過剰な装飾品。
現実世界でよくみる、ヴィジュアル系な人たちを連想させた。
「ファイアー!!」
幾度目かの絶叫を上げるV系男。
現実世界でならば、熱狂的なファンがその煽りに答えたことだろう。
しかし、帰ってくるのはどよめきとざわめきばかりだ。
「ボンバー!!」
やっぱり男は気にした風もなく、再び別の文句で観客を煽る。
表情から察するに、こうした扱いは慣れているのだろう。
「舞人……やっぱりこの世界には、ロックとかヘビメタとかそういうのはないのかな……」
「まぁこの反応を見る限り、明らかにあの男が初の試みなんだろーな」
こうした楽曲の存在を知っている二人は、割と狼狽からの復活が早かった。
「やっぱ志乃はこういうのには興味ないか?」
「うん……もうちょっと静かなのがいいなぁ。舞人は大丈夫なの?」
「好きでもないけど嫌いでもないな……ただ、似たようなキャラを知ってるから抵抗はない」
舞人の脳内で丸グラサンに真っ赤なギターを持った暑苦しい男の姿が再生される。
「燃えろファイアー! 突き進めソルジャー! 限りないサンダー!」
とことん破壊的な煽り文句で歌い続ける男。 
「ま、どっちにしろあいつも時間の問題かな……」
「え?」
首をかしげた志乃に、ステージ脇を指差してみせる舞人。
志乃がそちらへ視線を向けると、ようやく正気を取り戻したらしい警備兵がわらわらとステージへ続く階段を駆け上っている姿が見えた。
「わわ……!」
男は歌に熱中していて、それに気づいた様子はない。
隙だらけの男に、警備兵たちがいっせいに飛び掛った。
「そこまでだテロリストめ!」
「な、なにぃ!? 俺のどこがテロリストだというんだ!?」
「黙れ! そのような破壊と殺戮を煽るような歌を歌いおって、ルネーニ転覆を図るテロリストに違いあるまい!!」
「うおっ!? 離せっ、俺のステージはまだ終わっちゃいないぞ! 俺の歌をきけぇぇぇぇ……!!(フェードアウト)」
警備兵に幾重にも包囲された男は、成すすべもなく彼らによってステージを引きずり下ろされてしまった。
「あーあ……」
「ど、どうなっちゃうんだろうね……」
「わかんないって……まぁ、よくて豚箱送り、悪くて……ま、歌歌ってただけだしそうひどいことはされないと思うけど」
そんな折、
「あ、あなたぁぁぁぁ!!」
「ぱぱー!!」
どこからか、聞き覚えのある声が聞こえてきて、見覚えのある母子が警備兵を追って駆け出すのが見えた。
「……」
「……」
一瞬の沈黙。
「とりあえず、ルネに掛け合って釈放してもらうか」
「……そうだね」

そんなこんなで、結局あまりデートっぽさは演出されなかった音楽祭であった。

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