たった一つの強がり抱いて ◆BOMB.pP2l.
夜空に円を描く月が照らす薄蒼色の小さな砂浜に一つの小さな少女の姿があった。
大きな瞳が愛らしい顔も、薄く白い胸も、小さくて丸いお尻も、細くか弱い脚も、その全てを白い光の中に曝している。
月を見上げ遠くの人に思いを馳せる少女の名前は素晴らしきフラグビルド――恋する乙女である。
大きな瞳が愛らしい顔も、薄く白い胸も、小さくて丸いお尻も、細くか弱い脚も、その全てを白い光の中に曝している。
月を見上げ遠くの人に思いを馳せる少女の名前は素晴らしきフラグビルド――恋する乙女である。
「――コスプレ衣装かなのはのデバイスでも支給されているといいんだけど」
ずぶ濡れになった衣装を全て脱ぎ捨てたフラグビルドは、その露になった肢体を覆う為の何かがないかと鞄を漁る。
開始早々水の中に落ちて元から着ていた衣装を駄目にする――というのは、パロロワならよくある話であったが、
そうならばその代わりとなる衣装が支給されていることも少なくない話である。
彼女はそれに期待して、未だ不明であった残りの支給品を確かめるが――、
開始早々水の中に落ちて元から着ていた衣装を駄目にする――というのは、パロロワならよくある話であったが、
そうならばその代わりとなる衣装が支給されていることも少なくない話である。
彼女はそれに期待して、未だ不明であった残りの支給品を確かめるが――、
「ありませんか。いたいけな少女を裸のままにしておこうって魂胆ですね……」
――しかし、着るようなものは支給品の中にはなかった。
しかたがないという風で溜息をつくとフラグビルドは水のペットボトルを一本取り出しそれを頭から被る。
しかたがないという風で溜息をつくとフラグビルドは水のペットボトルを一本取り出しそれを頭から被る。
「――っ! ……冷たい」
留めていた髪を解くと、彼女はフェイスタオルを一枚取って再び濡れた身体から水気を拭ってゆく。
応急処置ではあったがこれで海に潜ったせいでついたベタつきも少しはましにはなったと、また一息。
応急処置ではあったがこれで海に潜ったせいでついたベタつきも少しはましにはなったと、また一息。
「あぁ……温かいお風呂に入りたいな。温泉に向かったら、前みたくChain-情さんに会えるかなぁ……」
再び、溜息。
恋する乙女は溜息が多かった。
恋する乙女は溜息が多かった。
☆ ☆ ☆
「これ、コアドリルに似ているけど……なんだろう?」
フラグビルドの手の上には、彼女の小さな掌の中にも収まるぐらいのまん丸な緑色の珠がのっていた。
それは彼女が言うとおりどこかコアドリルに似た不思議な感触がある。
それは彼女が言うとおりどこかコアドリルに似た不思議な感触がある。
「……えーと、かいふくのマテリア」
それがその珠の名前であった。
付属していた説明書によると、素養のない一般人でも回復魔法が使えるようになるとても便利なものらしい。
付属していた説明書によると、素養のない一般人でも回復魔法が使えるようになるとても便利なものらしい。
「ん。使ってみよう…… ――ケアル♪」
片手にマテリアを握り、もう片手をまだ新しい傷跡に当ててフラグビルドは魔法の名前を口にする。
そのコマンドに呼応したのか、手の中のマテリアがほのかに温かくなり次いでそれがもう片方の手へと伝わってゆく。
そのコマンドに呼応したのか、手の中のマテリアがほのかに温かくなり次いでそれがもう片方の手へと伝わってゆく。
「ふぁ……、すごい」
傷口にぬるま湯を当てているような優しくくすぐったい感触が走った後、そこから痛みは綺麗に消え去っていた。
手を当てて確かめてみても、もうそこには傷跡すらもなくさらさらとした肌の感触だけだ。
手を当てて確かめてみても、もうそこには傷跡すらもなくさらさらとした肌の感触だけだ。
「あ、でも……この感覚」
言って、フラグビルドは頭にへと手を当てる。
僅かだが眩暈のような、または貧血の時のような感じがそこにはあった。
僅かだが眩暈のような、または貧血の時のような感じがそこにはあった。
「……これが、マジックポイントが減るって感覚なのかな?
テレポートの時と似ているけど、私のテレポートも実はマジックポイント消費だったのかなー……?」
テレポートの時と似ているけど、私のテレポートも実はマジックポイント消費だったのかなー……?」
感覚から、便利ではあるけどそう回数は使えないかと判断するとフラグビルドはマテリアを鞄へと仕舞い直す。
服を着ていればポケットに入れておきたかったが、残念ながら唯一の服は水浸しで着れたものではない。
それと、そしてほったらかしであった人間大の桂馬の駒も鞄へと戻すと、彼女は鞄を背に夜の中を歩き始めた――。
服を着ていればポケットに入れておきたかったが、残念ながら唯一の服は水浸しで着れたものではない。
それと、そしてほったらかしであった人間大の桂馬の駒も鞄へと戻すと、彼女は鞄を背に夜の中を歩き始めた――。
☆ ☆ ☆
裸である故に人目を避けて海岸沿いに東へと進んでいた小さな少女は街の影が見えてきたところで足を止めた。
地図の上で言えば、A-6の真ん中あたりの位置である。
地図の上で言えば、A-6の真ん中あたりの位置である。
「お風呂と着替え。そしてChain-情さん。”どっち”に行けばいいのかな?」
今、フラグビルドの中には2つの選択肢が存在した。
一つは――ここより南に位置する”病院”へと向かうこと。
病院と言えば、パロロワの中でも定番のホットスポットである。そこに向かえば誰かに会えるという公算は高い。
だがしかし、トラブルに見舞われる可能性もかなーり高い。
人が集まればマーダーが寄ってくる――それもパロロワの摂理であった。
一つは――ここより南に位置する”病院”へと向かうこと。
病院と言えば、パロロワの中でも定番のホットスポットである。そこに向かえば誰かに会えるという公算は高い。
だがしかし、トラブルに見舞われる可能性もかなーり高い。
人が集まればマーダーが寄ってくる――それもパロロワの摂理であった。
「これ……”フラグ”だよね」
言って、彼女は一本の鍵を取り出す。
それは彼女に与えられた3つ目の支給品で、説明書には”豪華客船のメインキー”と書かれていた。
それは彼女に与えられた3つ目の支給品で、説明書には”豪華客船のメインキー”と書かれていた。
「うーん……」
名前の通り、彼女はフラグをとても重視する。立てられるフラグがあれば見境なく立ててゆくのが彼女の信条だ。
だがしかし今はもう事情が異なる。
以前とは違い、彼女には愛するChain-情と一緒に添い遂げるという明確な目的があるのだ。
故に、危険な……つまり、この”豪華客船のメインキー”というフラグを選ぶのには抵抗があった。
彼女の出身であるアニロワ2ndでの豪華客船上の惨劇を思い出すまでもなく、ここにはあの”言葉”もいるのだ。
nice boatが発生する可能性も決して低くはない。もっとも、ボートというには客船は大きすぎるのだが……。
だがしかし今はもう事情が異なる。
以前とは違い、彼女には愛するChain-情と一緒に添い遂げるという明確な目的があるのだ。
故に、危険な……つまり、この”豪華客船のメインキー”というフラグを選ぶのには抵抗があった。
彼女の出身であるアニロワ2ndでの豪華客船上の惨劇を思い出すまでもなく、ここにはあの”言葉”もいるのだ。
nice boatが発生する可能性も決して低くはない。もっとも、ボートというには客船は大きすぎるのだが……。
「あー、やっぱり温泉の方が無難だったかなぁ……」
彼女は西の山を振り返る。
地図を確認すれば今は真っ黒な影としか見えないその頂上らへんに一つの温泉があるのだ。
お色気イベントが確約されている温泉という施設は安全の度合いも高くフラグも立ちやすい。
なのでそこを目指すのも有意であったが、しかし遠すぎるので彼女は諦めたのであった。
せめて靴を履いていれば山道を行くこともできたが、今はそれもずぶ濡れになった衣装と共に鞄の中である。
地図を確認すれば今は真っ黒な影としか見えないその頂上らへんに一つの温泉があるのだ。
お色気イベントが確約されている温泉という施設は安全の度合いも高くフラグも立ちやすい。
なのでそこを目指すのも有意であったが、しかし遠すぎるので彼女は諦めたのであった。
せめて靴を履いていれば山道を行くこともできたが、今はそれもずぶ濡れになった衣装と共に鞄の中である。
「どっちに、しようか……な?」
人が集まることはほぼ確定。メリットデメリットがはっきりしている”病院”か?
それとも、何が起こるか予想できないが本筋に対し重要なフラグが立つかも知れない”豪華客船”か?
それとも、何が起こるか予想できないが本筋に対し重要なフラグが立つかも知れない”豪華客船”か?
月明かりの下。海風に緑色の髪をなびかせながら白い肌の小さな少女は頭を悩ませる――……
【A-6/海岸線/1日目-黎明】
【素晴らしきフラグビルド@書き手ロワ2nd】
[状態]:疲労(小)、精神疲労(小)、全裸
[装備]:なし
[持物]:デイパック、支給品一式(水のペットボトルx2消費)、ずぶ濡れの服と靴
:かいふくのマテリア@なのはロワ、桂馬@オールロワ、豪華客船のメインキー@アニ2
[方針/行動]
基本方針:私はChain-情さんと添い遂げる! (二人で生還する)
0:病院に向かうか、豪華客船に向かうか……それとも?
1:↑のどちらかでお風呂に入って、服を調達したい。
2: Chain-情さんを探し出して同行する。
3:↑を達成するまでは、徹底的に危険を避ける。
[状態]:疲労(小)、精神疲労(小)、全裸
[装備]:なし
[持物]:デイパック、支給品一式(水のペットボトルx2消費)、ずぶ濡れの服と靴
:かいふくのマテリア@なのはロワ、桂馬@オールロワ、豪華客船のメインキー@アニ2
[方針/行動]
基本方針:私はChain-情さんと添い遂げる! (二人で生還する)
0:病院に向かうか、豪華客船に向かうか……それとも?
1:↑のどちらかでお風呂に入って、服を調達したい。
2: Chain-情さんを探し出して同行する。
3:↑を達成するまでは、徹底的に危険を避ける。
[備考]
※死亡後からの参戦です。
※死亡後からの参戦です。
【かいふくのマテリア@なのはロワ】
セフィロスが登場するFF7よりの出展。マテリアとは一般人でも魔法が使えるように調整された魔力の結晶珠。
かいふくのマテリアはその名前の通り、回復魔法であるケアル、ケアルラ、リジュネ、ケアルガを習得できる。
セフィロスが登場するFF7よりの出展。マテリアとは一般人でも魔法が使えるように調整された魔力の結晶珠。
かいふくのマテリアはその名前の通り、回復魔法であるケアル、ケアルラ、リジュネ、ケアルガを習得できる。
【豪華客船のメインキー@アニ2】
アニ2内にある一施設、豪華客船を動かすためのメインキー。
これがこのロワにある豪華客船も動かせるかは、今のところは謎である――……。
アニ2内にある一施設、豪華客船を動かすためのメインキー。
これがこのロワにある豪華客船も動かせるかは、今のところは謎である――……。
046:どこまでも続く罪のという名のフラグ | 投下順 | 048:小早川ゆたかの遺言 |
046:どこまでも続く罪のという名のフラグ | 時系列順 | 048:小早川ゆたかの遺言 |
004:愛しい人のために | 素晴らしきフラグビルド | 067:彼女のフラグ取捨選択 |