GHOST IN THE SHELL ◆BOMB.pP2l.
「ネットは広大だわ……」
最低限の明かりしかない薄暗い部屋の中でその少女は小さな口からそれをぽつりと漏らす。
彼女の目の前にはその綺麗な顔を照らす四角い光源があり、それは目まぐるしく色を変え幾多もの情報を照らし出していた。
此処と此処でない場所。今と今ではない時間。変化するものと不変のものとを繋ぐ虹色の窓。
彼女の目の前にはその綺麗な顔を照らす四角い光源があり、それは目まぐるしく色を変え幾多もの情報を照らし出していた。
此処と此処でない場所。今と今ではない時間。変化するものと不変のものとを繋ぐ虹色の窓。
それは、簡単に言えばPCのディスプレイであり、その先に繋がるネットワークである。
箱と形容してもいいほどの狭い空間の中にキーを叩く音が木霊する。
背中に黒髪を流すセーラー服の少女。そうとしか見えない一つの対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。
一言で表せばアンドロイド。朝倉涼子と呼ばれる彼女は今、そのディスプレイを見て――……
背中に黒髪を流すセーラー服の少女。そうとしか見えない一つの対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。
一言で表せばアンドロイド。朝倉涼子と呼ばれる彼女は今、そのディスプレイを見て――……
「長門さん……長門さん……ハァハァ……ハァハァ……」
――口からよだれをたらしていた。
☆ ☆ ☆
「――いっけない。私としたことがこんな時間になるまで」
学園から出発した直後。
通りの表に一軒のネカフェを発見し、早速ハッキングでもして主催者打倒に役立つ情報でも得ようとした彼女ではあったが、
いっぱしの宇宙人が数時間を使ってどれだけの成果を上げられたかというと――
通りの表に一軒のネカフェを発見し、早速ハッキングでもして主催者打倒に役立つ情報でも得ようとした彼女ではあったが、
いっぱしの宇宙人が数時間を使ってどれだけの成果を上げられたかというと――
「とりあえず、集めた画像はCDに焼いておこうっと」
一枚のCD内に収まる程度の画像データのみであった。
その内容は”長門フォルダ”と”長門×朝倉”フォルダに分類され……まぁ、中身はお察しの通りである。
もしここに彼女の愛する長門有希がいたならば、所詮バックアップはバックアップと言われたかもしれない。
中の人が同じあの小生意気な少女がいれば、この馬鹿野郎とも言われたであろう。
その内容は”長門フォルダ”と”長門×朝倉”フォルダに分類され……まぁ、中身はお察しの通りである。
もしここに彼女の愛する長門有希がいたならば、所詮バックアップはバックアップと言われたかもしれない。
中の人が同じあの小生意気な少女がいれば、この馬鹿野郎とも言われたであろう。
「ハッキングを防ごうとホームページに萌え画像検索エンジンを設定しておくなんて、これは主催側の施した罠ね」
全くそんな訳がなく。ほとほと呆れ返るような言い訳にもならない言い訳をでっち上げて彼女は失態をごまかす。
時間を確認すれば、そろそろ外では明るくなりはじめている頃だろう。
しかしまともに仕事をしていなかったことはともかくとして、
それだけの時間を用いておきながら彼女がCD一枚に納まる程度の画像しか得られなかったのは何故だろうか?
時間を確認すれば、そろそろ外では明るくなりはじめている頃だろう。
しかしまともに仕事をしていなかったことはともかくとして、
それだけの時間を用いておきながら彼女がCD一枚に納まる程度の画像しか得られなかったのは何故だろうか?
「……あぁ、でも……長門さんのこんな姿を見たら……ハァハァ、ハァハァ……」
こういうことだった。
この馬鹿野郎ときたら、気に入ったものを見つけるたんびに以下検閲であり、もう本当に馬鹿野郎だな。この馬鹿。
毎度毎度こんな有様だからどこでもヨゴレ扱いなのである。全く、困った眉毛だよ。
今回登場することができなかったあのワカメもきっとどこかでせせら笑っていることだろうさ。
この馬鹿野郎ときたら、気に入ったものを見つけるたんびに以下検閲であり、もう本当に馬鹿野郎だな。この馬鹿。
毎度毎度こんな有様だからどこでもヨゴレ扱いなのである。全く、困った眉毛だよ。
今回登場することができなかったあのワカメもきっとどこかでせせら笑っていることだろうさ。
☆ ☆ ☆
「――けど、案の定。この世界には私達関係者以外は存在しないようね」
とはいえ、底なしの馬鹿野郎だとしても与えられたスペックがある以上、彼女は無能というわけでもない。
処理能力のほとんどを長門画像への反応に使っていたが、辛うじて残った部分で真っ当な考察も行っていた。
処理能力のほとんどを長門画像への反応に使っていたが、辛うじて残った部分で真っ当な考察も行っていた。
「恐らくは、このバトルロワイアルが始まってよりこのネット上には一切の人間の手による更新がなされていない……」
そう、彼女が某大手掲示板でどれだけ麻呂AAを張ってもZIPはもらえず――って馬鹿!
……まぁ、手段や経緯はともかくとして結論としては、ある時間より一切の人類がこの世界より消失したと判明した。
空虚の市街や施設。生活の跡も新しく、時が途切れたかの様に残されたどこまでも無人の世界。
バトロワとしてはお約束ではあるが、それが全世界規模で起こっていると確認できたのは一つの成果とも言える。
……まぁ、手段や経緯はともかくとして結論としては、ある時間より一切の人類がこの世界より消失したと判明した。
空虚の市街や施設。生活の跡も新しく、時が途切れたかの様に残されたどこまでも無人の世界。
バトロワとしてはお約束ではあるが、それが全世界規模で起こっていると確認できたのは一つの成果とも言える。
「するつもりはなかったけど、ネットを通じて外部勢力に助けを……というのは簡単にはいかないようね」
CDに情報が書き込まれるシュルシュルという音を聞きながら朝倉涼子はふむ、と唸る。
ネットそのものが使えたのは幸運だったと言えるが、しかし併せて行っていた探査においても主催の手掛りは掴めていなかった。
長門画像で発電してる脳裏の片隅でそんなことやってのけるのだから、今更ながらにハイスペックな彼女ではあるが、
しかし実質的な成果は無いに等しく焼き終わったCDを後生大事に抱える様を見れば……やっぱり馬鹿野郎だな。
ネットそのものが使えたのは幸運だったと言えるが、しかし併せて行っていた探査においても主催の手掛りは掴めていなかった。
長門画像で発電してる脳裏の片隅でそんなことやってのけるのだから、今更ながらにハイスペックな彼女ではあるが、
しかし実質的な成果は無いに等しく焼き終わったCDを後生大事に抱える様を見れば……やっぱり馬鹿野郎だな。
「主催者達は監視にしろ首輪の探知にしろ、それ専用の電波か別の手段を用いている……か」
結局、解ったことと言えば当たり前のことだけ。
勿論それらが当たり前のことだとしても、明らかにするだけで一つの成果とは言えるのだが、物足りないのも事実だ。
もっとも、こんな初っ端から当たりが引けるわけも無いのだが、
しかし生還を一度成功させた者の一人としては鮮やかにそれを成し万雷の拍手を、何よりも長門よりの(ryと朝倉は思っていた。
勿論それらが当たり前のことだとしても、明らかにするだけで一つの成果とは言えるのだが、物足りないのも事実だ。
もっとも、こんな初っ端から当たりが引けるわけも無いのだが、
しかし生還を一度成功させた者の一人としては鮮やかにそれを成し万雷の拍手を、何よりも長門よりの(ryと朝倉は思っていた。
「こんなことなら首輪の解析から始めた方がよかったかしら……って、あれ?」
何かに気付いたのか、朝倉は犬の様にくんくんと鼻を鳴らす。
そしてPCの電源を落とすと、鞄を持ってブースの一つから通路へと飛び出した。
そしてPCの電源を落とすと、鞄を持ってブースの一つから通路へと飛び出した。
「くんくん……くんくん……匂うわ。すぐ近く……くんくん……」
空気中に漂うある特定の因子。それを匂いとして感知する能力を彼女は持っている。
それは――”みのりん因子”
あけっぴろげに言えば、長門有希の”中の人”である茅原実里という要素を匂いとして感知できるのである。
尤もあくまで中の人の匂いであるから、それが長門有希本人でない場合もあるが。
それは――”みのりん因子”
あけっぴろげに言えば、長門有希の”中の人”である茅原実里という要素を匂いとして感知できるのである。
尤もあくまで中の人の匂いであるから、それが長門有希本人でない場合もあるが。
「……くんくん……ハァハァ……いけない、また興奮してきたわ……くんくん……」
まぁ、その場合はその場合ということで、朝倉涼子はいそいそとネカフェの出口を潜り匂いの元へと急いだのであった。
【E-3/ネットカフェ/1日目-早朝】
【朝倉涼子@テラカオスバトルロワイヤル】
[状態]:健康
[装備]:鉈@現実
[持物]:デイパック、基本支給品一式、ニアデスハピネス@漫画ロワ、長門画像CD
[方針/行動]
基本方針:殺し合いからの脱出。
0:くんくん……、匂いの元へと急ぐ。
1:知り合いとの合流。(長門との合流を最優先)
[状態]:健康
[装備]:鉈@現実
[持物]:デイパック、基本支給品一式、ニアデスハピネス@漫画ロワ、長門画像CD
[方針/行動]
基本方針:殺し合いからの脱出。
0:くんくん……、匂いの元へと急ぐ。
1:知り合いとの合流。(長門との合流を最優先)
[備考]
※カオスロワ5th生還後からの参戦。生還後からまだあまり経っていないものと思われる。
※自分の情報操作力について何らかの制限がかかっていると気付いています。
※カオスロワ5th生還後からの参戦。生還後からまだあまり経っていないものと思われる。
※自分の情報操作力について何らかの制限がかかっていると気付いています。
※朝倉涼子が反応した中の人の匂いの発生源は「岩崎みなみ」です。
【長門画像CD@現地調達】
朝倉涼子がネカフェ内でハァハァしながら集めた萌え画像等々が記憶されているCD。
画像は「長門フォルダ」と「長門×朝倉フォルダ」に分けて収録されている。
朝倉涼子がネカフェ内でハァハァしながら集めた萌え画像等々が記憶されているCD。
画像は「長門フォルダ」と「長門×朝倉フォルダ」に分けて収録されている。
058:男の戦い | 投下順 | 060:誰かが死ぬのが怖いのか? |
058:男の戦い | 時系列順 | 060:誰かが死ぬのが怖いのか? |
007:アンドロイドvsホムンクルス | 朝倉涼子 | 092:紅 kure-nai |